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『ドラゴンズドグマ 2』インタビュー。ストーリーの自由度やジョブの種類、オンライン要素はどうなる?

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 PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ゲーム『ドラゴンズドグマ 2』のインタビュー記事をお届けします。

■(写真右)伊津野英昭氏
 前作『ドラゴンズドグマ』から引き続きディレクターとして参加。『デビルメイクライ』シリーズ(『2』以降)、『ジャスティス学園』など、カプコンで数多くの名作の開発に携わる。

■(写真左)平林良章氏
 『バイオハザード』シリーズや『帰ってきた魔界村』などの開発に携わるカプコン所属のゲームクリエイター。本作にはプロデューサーとして参加している。

開発と同時にREエンジンもオープンワールド用に大幅進化!

――前作から10年経っての新作発表ということで、反響はいかがでしたか?

伊津野英昭氏(以下、敬称略):ファンからは、「あいかわらず『ドラゴンズドグマ』で良かった」という反響が多くて、安心しています。世界各地で「どの項目が良かったか」というインタビューをとりましたが、前作でこだわったところに関しては評価が高かったです。逆にファンが気になっているのは「前作とどう違うか」という点かと思います。

――続編の発表に10年を要した理由はなんでしょうか?

平林良章氏(以下、敬称略):掛け値なしに『ドラゴンズドクマ』シリーズは、カプコンにとって本当に大切で大きなプロジェクトです。そのためどうしても、人的なリソースの用意、伊津野自身が開発に集中できる環境、会社のバックアップの用意など、それらすべてがそろうまでに時間がかかりました。

――前作から開発環境にはどんな変化がありましたか?

伊津野:エンジンが“MTフレームワーク”からREエンジンに変わったのが大きいです。さらに、本作の開発中にREエンジンにオープンワールドRPGをできる機能を追加しているので、ゲーム開発と同時にエンジンも進化していますね。具体的にはマップ作りやロードの仕組み、あとキャラクターエディットなどの仕組みです。

――全体のボリューム感はいかがですか? 試遊した範囲でもマップが広くランダムイベントが多かったので、密度もすごいことになっていそうですが……。

伊津野:そういう風に感じ取っていただけたならよかったです(笑)。オープンワールドは退屈な時間が長くなってしまいがちなので、そういう時間を極力ゼロに近づけようと考えています。

 もちろん面積も広いんですけど、そこに深く絡まるように、いろいろなイベントとかクエストとかをぎゅーっと入れて、密度で勝負したいという風には思っています。ほかのオープンワールドゲームとの差異を問われたときにお返しするのが、その体験の密度という点ですね。

 数値上は前作の4倍のマップという説明はしていますが、そこをことさらに言いたいということではなくて。あくまで密度を重視したいと考えています。

――いわゆる“カルマ”にあたるようなシステムはありますか?

平林:NPCからプレイヤーに向けての感情的な差異はあります。システムとしていわゆる“カルマ”にあたるものではないですが、リアルな世界を表現するためにNPCが複数のパラメータを持っていて、それらの組み合わせによっていろいろなことが決まります。

ドラゴンに挑むストーリーと王になるためのストーリーが並行して展開していく

――ストーリー上での主人公の立ち位置はどんなものになるのでしょう?

伊津野:ドラゴンに見初められて心臓を奪われて、ドラゴンのところに心臓を取り返しに行くという宿命を受けた“覚者”です。立ち位置としてはほぼ前作と同じですね。

 ただし本作ではそれと並行して、覚者を君主に戴く人の王国“ヴェルムント”を舞台に、最初は記憶喪失になって牢に入れられ、やがて王になっていくというストーリーが展開していきます。

――壮大なストーリーが描かれそうですが、その見どころについて教えてください。

伊津野:じつはそれほど固定のストーリーはなく、先ほどの2つのストーリー以外は自由に進められるようになっています。

平林:ストーリードリブン型のRPGをプレイされる場合って、どうしてもストーリーを押し付けられがちなわけですよね。本作は人それぞれで異なる冒険を体験してもらいたいという狙いもあって、固定のストーリーは最低限になっています。

――獣人の国“バタル”についても、ストーリーに関わってくるのでしょうか?

伊津野:“ヴェルムント”とは文化や思惑なども異なる獣人の国です。それらの要素が絡みあいつつ、ストーリーは進んでいきます。

――プレイヤーによって異なる物語を体験できるということでしょうか?

平林:体験そのものが、いろいろあると思ってください。物語が分岐し始めると、プレイヤーにその物語を押し付けられることになるので。比較的物語をシンプルにしている理由は、一元的な方向性ではなくて、敵との戦闘とか出会う人、クリアするクエストの違いなどの連なりで、冒険という体験がそれぞれにできるように組まれているからです。

 ストーリードリブン型ではあるんですけれども、ストーリーをシンプルにすることで体験を分化させていくような作り方を目指したということです。

――同じプレイヤーが2回遊んだとしても違う体験ができるということですよね。

平林:ストーリーだけで言うとどうしても一元化しちゃうんですけれども、ゲームって結局読み物じゃないので。プレイした時の体験が違うところが、ゲームならではのおもしろさだと思っています。

――進み方によって発生するクエストにも違いが出てくるってことですか?

伊津野:全然違いますね。クエスト自体はクリアしなければいけないと強制するものはほとんどないです。クエスト同士が複雑に絡み合ってたりもするんで、人によってだいぶ違ってきます。クエストの展開は人それぞれで、「俺こんなになってる」「マジで? 俺はこうなってんだけど!」「えー?」ってなるように作っています(笑)。

――そうなると、周回プレイも楽しそうですね。ジョブもたくさんあるので。

平林:そういう形の楽しみは体験できるかと。

伊津野:ちなみに、全ジョブを一周で遊び尽くせるようなバランスになっていないと思います。いろいろ試してみてほしいですね。

ファンタジー世界のリアルさを再現するためにAIと物理演算を利用

――ジョブの種類はどれくらいになるのでしょうか? 現状では6種類が公開されていますが……。

平林:アクションゲームとして各ジョブに個性を持った楽しみ方ができるように作っているので、違いが出にくいものをあえてジョブとしては用意したくはないですね。数の多さを目指すわけではなく、あくまでアクションゲームとしての質を重視して作っています。かといって、数が少ないわけではないです。

――ちなみに、初心者向けのオススメジョブというのはありますか?

伊津野:人それぞれかな、とは思いますね。ファイターやシーフは近接ジョブで戦いやすいですが、空中を飛ぶ相手にはアーチャーが狙いやすいので。いろいろと試してみてほしいです。とくにアーチャーは、ヘッドショットを狙えると楽しくなってくると思います。

 アクションが苦手だったら、メイジなどの遠距離型の魔法使い職をオススメします。ポーンに近距離戦を挑ませ、指揮官のように戦うと場を回せます。

――ポーンもかなり賢くなっていそうですね。

伊津野:AIは進化していますが、どちらかというと賢くするためではなく、個性を出すためにAIを使っています。ポーンは会話の分岐も大幅に増えているので、とにかく収録が大変でしたね。

――同じジョブのポーンだったとしても行動は個体ごとに全然異なってくるのでしょうか?

伊津野:4種類ある性格によっても、しゃべり方や行動基準が大きく異なってきます。そのほか、自分自身はもちろん、他プレイヤーに借りられた先での経験も学んで行動に影響してきます。ポーンにはまだ発表できてない新要素もありますので、そちらも含めてよりオーナーの覚者の個性が出るようにしています。

――AIはモンスターにも用いられてるんですか?

伊津野:もちろんです。いろんな情報を察知して行動を変えるように作っています。

――試遊では、物理演算を使用したギミックも豊富でした。

伊津野:物理演算もAIも、リアルなファンタジー世界を再現するために用いています。坂道を登るとしんどいとか、高所からの方が有利になるとか、いかに自然のルールを落とし込めるかというところですね。

――となると、天気なども影響してくるのでしょうか?

伊津野:多少影響するようにはなっていますが、あまりにも影響が大きすぎると雨の日がおもしろくなくなってしまうので、調整はしています。多少滑るなどの影響はありますが。

最初から思い描いていた最高の『ドラゴンズドグマ』を作ることができた

――今回、オンライン要素は前作と同様にポーンの貸し借りだけでしょうか?

平林:はい、オンライン要素はポーンの貸し借りのみです。ただしポーンの貸し借りにおいてもクエストのようなものはあります。

――最後に10年ぶりの新作を待ちわびるファンにメッセージをお願いします。

伊津野:最初から思い描いていた最高の『ドラゴンズドクマ』を今の技術で作ることができたという感じです。10年ぶんのすべてを詰め込んだので、ぜひ楽しみにしていてください!

平林:オープンワールドRPGとして注目していただいている本作ですが、非常に質のいいアクションゲームになっております。非常にボリューミーなアクションゲームとして楽しんでいただくこともできるので、ぜひ触ってみてほしいです。


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