アニメ『豚のレバーは加熱しろ』ジェス役・楠木ともりさんにインタビュー。ジェスの演技について聞いてみたら、松岡さんの見立てとまさかの一致!?
- 文
- てけおん
- 公開日時
毎週土曜24:30より、各局にて放送中のアニメ『豚のレバーは加熱しろ』。本作でジェス役を演じる、楠木ともりさんのインタビューをお届けします。
『豚のレバーは加熱しろ』とは?
豚のレバーを生で食べて意識を失った冴えないオタクな主人公が異世界転生し、まさかの豚に⁉ なにもわからないまま豚小屋で転がっているところを人の心を読むことができる“イェスマ”のジェスに助けられます。
王都へ行けば人間に戻れるかもしれないと、豚とジェスは王都を目指して旅立ちますが、ジェスは命を狙われており、この世界は平和ではない様子……。無事に豚は人間に戻ることができるのでしょうか?
ジェス
人の心を読むことができる“イェスマ”の少女。豚の妄想をはにかみながらも受け止めてくれる天使のような少女。領主の屋敷で小間使いとして働いている。豚を人間に戻すため王都に一緒に行ってくれると言うが……⁉
ジェスは自他ともに認める難しい役どころだった!
――原作を読んだ印象をおしえてください。
楠木:先の展開にわくわくしました。豚さんの変態チックなセリフだったり、それに対してジェスがどう答えるかだったり、表情を想像しながら読むのが楽しかったです。
――イェスマは人の心を読むことができますが、ご自身にもしもそういう能力があったら何かやってみたいこと、逆にこんなことに困るだろうなということはありますか?
楠木:あったらいいなぁとは思わない能力だと思っています。私は人の顔色をうかがってしまうタイプなんですけど、それが手に取るようにわかるということは、傷ついたりすることも多いんじゃないかと思いますね。
もしプラスに使えるんだとしたら、友達のお誕生日にほしいプレゼントを探ってサプライズしたいですね! でも基本的には困ってしまうことのほうが多そうだと思います。
――楠木さんから見て、ジェスというキャラクターはどんなキャラクターでしょうか?
楠木:実は序盤ではジェスの気持ちがあまり描かれてなくて、彼女がなにを考えているのかわからないんです。豚さんのモノローグは多いんですけどね。
豚さんに対してすごく肯定的で、変な要望に対しても応えてくれる。そんな純粋で健気で優しい子というイメージではあるんですけど、でも本当はなにを考えているかわからない。単なるいい子なだけじゃなく、気になるポイントが見え隠れする。そんな子だなと思っています。
――ジェスを演じるにあたって気をつけていることなどはありますか?
楠木:彼女がどんなキャラクターなのかに通じるところでもあるんですけど、基本的には気持ちが見えないように意識しています。嬉しいときは素直に喜んだりもするんですけど、豚さんとの会話の中でも、その点は注意しています。
いっそ、ジェスの過去や気持ちを知らないままアフレコに挑んだほうがよかったかもなと思うタイミングもありました。すべてを知ってしまっていると、ジェスに対するこちらの気持ちがついつい演技に出てしまったりもします。
松岡さんが豚さんとして遊んでくれているので、本当はジェスとして乗っかりたいんですけど……ジェスだったらどういったポイントなら乗ってもおかしくないか、それが難しいポイントですね。あとは、儚い雰囲気にしたくて息多めのキャラ作りをしてしまったので、長文で息が持たなくって……酸欠になりながら収録をしていました(笑)。
淡々とあまり抑揚も付けずに、ささやくように話すというのが難しい役どころですね。ただ、あまりにも感情を出さないように出さないようにと意識しすぎると、AIというか、棒読みっぽくなってしまうんですよ。そうならないように感情を乗せて演じるよう気を付けなくてはいけなくて、そこが難しいキャラクターだと感じています。
――実は先日、豚役の松岡さんにもお話を聞いたのですが、楠木さんがまさに今「難しい」とおっしゃっていた部分について、ほとんど同じことをおっしゃっていたので驚きました。
楠木:本当ですか!? 松岡さんがそこまで汲み取ってくださっていたなんて、とてもうれしいですね。よく聞いてくださっているんだなぁ……。
豚役松岡さんとのエピソードについて質問
――そんな松岡さんが演じる豚についての魅力についてもお聞かせください。
楠木:豚さんは本当におもしろいキャラクターで、演技が独特というか遊んでいらっしゃるなぁと感じましたね。
ただおもしろい豚さんだけじゃなくて、すごくイケメンに見える瞬間があるんですよ! 例えば「豚足では撫でられない」というセリフも、おもしろいけれど優しさにキュンときてしまいます。そういった部分がたくさんあって、ギャップが愛くるしいキャラクターだなと思います。
――本作の演技はかなり自由にやっていらっしゃると、“電撃文庫 30th 夏の祭典”で松岡さんがおっしゃっていましたが、楠木さんから見てもやはりかなり自由にやっていらっしゃいますか? アフレコで印象的なことなどありましたら教えてください。
楠木:作品としてコメディタッチなのは最初のほうだけで、だんだんとそれだけではない、この作品世界が持っている“重さ”が出てくるんです。そこを松岡さんが「どこかでギャグをはさんだほうが、見てくれている人にとってはいいのかな」と気にされていて。
なので、ここぞというところにアドリブを入れたり、テイストをコミカルにしたり、「自由に」というと「好き勝手に」と捉えられてしまうかもしれませんが、そうではなくて、「よりよくなるように考えて」と解釈していただくと実際のところに近いのかもしれません。
台本に書かれているセリフに独自のニュアンスを足すなど、松岡さんがすごく考えて演じられていることが伝わってきて、とても勉強になりました。
――記憶に残っている豚とのおもしろいやりとりはありますか?
楠木:そこかしこにありますよ!(笑) 豚さんが躍るところの「イエス!」「グレート!」「クール!」などは、リズムゲームでタッチした際の判定で出てくる効果音っぽさがあって、すごくおもしろかったです! あとは、1話の豚さんのモノローグですね。豚さんはオタクっぽいセリフが印象的なんですが、そこに松岡さんの演技が組み合わさるととてもおもしろいものになるんです(笑)。本当に豚さんは話しているだけでおもしろいですよ。
――ジェスについても印象に残っているシーンはありますか?
楠木:気まずそうに話すシーンが多いは多いんですけど、豚さんのモノローグについ反応してしまって、豚さんに「スルーしていいんだぞ」と言われて「ハッ!」となるのが可愛いなと思います。あのモノローグって、私たちからしたら逆に無視したくなるようなことを言っている気もするんですけど、その気持ちも全部汲み取って返事をしちゃうジェスの優しさが垣間見えて、愛おしいなって思います。
あとは、“リスタ”と呼ばれる魔法の力が込められた特殊なアイテムを買うシーンですね。ジェスは豚さんの言葉に従って買おうとするのですが……例えて言うなら、無線でアドバイスをもらいながら爆弾処理をしているような緊張感がありました。
――アフレコについて印象的なエピソードがありましたら教えてください。
楠木:松岡さんとは何度かご一緒させていただいているんですが、2人でメインというのははじめてでしたね。松岡さんが演じているキャラクターって、カッコよさが突出しているイメージが強かったので、豚さんの演技を聞くのはとても新鮮でした。
実はとある作品をやる前に、松岡さんの演技を聞いて勉強させていただいたことがあって。私は養成所にも通っておらず下地がない状態だったので、アニメ演技の基礎的な部分などを学ばせていただいて、その作品では褒めていただくことができたんです。
なので、松岡さんは憧れの方であり恩人ですね。それもあって『豚レバー』の収録は全部が有意義で嬉しい時間でいろいろなことを吸収させていただけたと思っています。もっともっといろいろなことを聞けばよかったなとも思いますね。
――WEBラジオも今後実施予定との旨です。こちらについても何かコメントをいただけるようでしたらお願いいたします。
楠木:最初にお話を聞いた時は、「2人で一緒にWEBラジオをできるんですか!?」と、驚いたことを覚えています。松岡さんはお忙しいですし、私1人かなと思っていたんです。なので、そんな豪華なことしていただけるんですか⁉ という感じでした。
収録はこれからなのですが、ジェスに対して豚さんがブヒブヒしているので、そういうお便りが来たらどういうリアクションをしたらいいんだろうという心配はありますね(笑)。ラジオではもちろん作品のお話しをしたいですし、ゲストの方がいらっしゃるようでしたらいろいろと聞いてみたいこともたくさんあります。作品がより楽しくなるラジオをお届けできればなと思います!
――“豚になる”という転生は、かなり斬新な設定だと思いますが、ご自身がもし転生したら……なにかなりないものはありますでしょうか?
楠木:異世界転生だったら、うーん……ペガサスかな(笑)空も飛べるし、何食べるんだろうとか考えちゃいます。この世界にはいないものになってみたいです。人のこと驚かしたり幽霊とかでも面白そうですね(笑)。
――こちらは松岡さんからの質問となります。「世界にはミニサイズからビッグサイズのものまでたくさんの種類の豚がいますが、豚の背中に乗ってみたいですか? 乗ってみたいとしたらどんな豚がいいですか? あと、豚の骨は固いらしいです」とのことです。
楠木:松岡さ~ん!!(笑) 豚の背中……どんな感じかわからないので乗ってみたいですが、実は動物がそんなに得意ではなくて……触るのが怖いんですよね。見ているのはいいんですけど。なので、大人しい子がいいですね。豚さんってまるっとしててやわらかくてあったかそうなので、そういう豚さんに乗って寝たいですね。
「豚の骨は固いらしい」はどう答えたらいいのか、今度松岡さんに会ったら聞いてみたいと思います(笑)。
――最後に放送を楽しみに待っているファンに一言お願いします。
楠木:タイトルとPVを見てカワイイ女の子と、彼女にブヒブヒしている豚さんのホッコリ系作品だと思った方は、少しずつびっくりしていくんじゃないかなと思います。もちろんコミカルな部分もありますが、その中にある苦しさや寂しさを、きっと豚さんがなんとかしてくれると思います。
豚さんに転生するという、なかなか先を想像しづらい設定でどんな物語が展開するのか? ぜひ結末まで見届けていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします!
©2023 逆井卓馬/KADOKAWA・アニプレックス・BS11
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