『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』6周年記念生放送レポート。ファンにとって宝物のような3時間を振り返る【スタッフメッセージ付き】

タダツグ
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 10月1日(日)に『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』の6周年記念生放送が配信されました。YouTube、ニコニコ生放送で同時配信されたこの番組。じつは都内某所のとあるイベントスペースに、抽選で入場を勝ち取った少数のファンを招待しての催しとなっていました。

 今回、幸運にもイベント会場に取材と称してお邪魔させていただくことができまして。せっかくおうがかいしたのだから、なんらかのレポート記事をしたためたい。そう思ったしだいでございます。

 そうはいってもこの生放送。「7周年に向けてこ~んな新情報やあ~んな新展開が!」といった趣旨のものでは全然なく。ヨコオタロウ氏、齊藤陽介氏(スクウェア・エニックス)、田浦貴久氏(プラチナゲームズ)、岡部啓一氏(MONACA)らを中心とした開発スタッフによるフリートークや、ファンからの質問に答えるQ&Aコーナーがメインで構成されておりました。エンディングまでのネタバレも全解禁で、開発スタッフもファンもまさに腹を割って語り合う……そんな内容!

 プログラムの終盤には“Pod(ポッド)042”を演じる安元洋貴氏が応援に駆け付けてくれたほか、ギタリストの後藤貴徳氏による生演奏コーナーもあるなど、見ごたえはバツグンのイベントでしたよ。その全貌は下記からご覧いただけます。

 この記事ではせっかくなので、会場の雰囲気やお料理のお味など、現場におうかがいした人間の目をとおしてのイベント感想をつづっていきます。イベントのユル~くリラックスした感じをうまく出せればいいのですが……。

 なお、記事の構成として物語のネタバレには極力触れない方向でしたためていく予定ですが、万一のこともあるので、少しのネタバレでも気になるというかたはご注意くださいませ。そもそもそういう趣旨の番組だったので大丈夫だとは思いますが、念のため(笑)。

どこまでも温かい空気……これこそが『ニーア』のイベント!

 さて。まずはこのイベントが行われた場所ですが、都内渋谷の某所となります。ドリンクやアルコール、フードなどが提供されるイベントスペースといえば……まぁ、おおよそ見当がつく方もいるかもしれませんね。

  • ▲普段、渋谷には滅多に寄り付かないのですが、人の多さにビックリしました。休日の夜だからなのか、どこを見ても人、人、人だらけ!

 自分で言うのもなんですが、いわゆる“陰キャ”な僕としては、こういったイベントスペースなんてそれこそ取材でしかおうかがいしたことはなく、入る前はちょっと身構えておりました。ただ、いざ訪れてみたら非常にアットホームな空間で、いい意味で緊張することなくリラックスしてイベントを楽しめましたけど(笑)。ここらへんの空気感の作り方、『ニーア』チームの得意とするところだし、ファンの皆さんも慣れている部分がある気がしました。

 現場ではヨコオさんたちはもちろん、『ニーア』ファンにはおなじみ(?)の宣伝・高野さんにもご挨拶できて、なんだかホッとしました。個人的にうれしかったのはファミ通編集部の杉原さんとめちゃくちゃ久しぶりにお会いできたことですね。……いや、ここは某メディアのS氏とかボカしておいたほうがいいのか? ちょっとメールで聞いてみよう(なんせ、今やファミ通と電撃は同じ会社だから)。

 さておき、杉原さんはある意味“ヨコオタイトルつながり”とでもいいますか。やれインタビューやらプレイ取材、オーケストラコンサートやら、はてはヨコオさんが原作を手掛ける舞台鑑賞の場まで、色々な現場でお会いしておりましてね。ヨコオさんが作る世界へのリスペクトがハンパじゃない方なので、勝手にシンパシーを感じているわけです。

 先日までのコロナ渦もあって、お会いできる機会が激減していたなか、久方ぶりの再会をはたしまして。これがうれしくないわけがない。まあ、僕だけかもしれないけど(笑)。つい隣のお席を陣取って、お酒で乾杯して昔を懐かしんだりしつつ、ヨコオさんたちのべしゃりに共に耳を傾けておりました。

  • ▲イベント後、自宅に帰って原稿を書くつもりだったのですが、もう楽しいしいいや~って気持ちでお酒を飲みながら鑑賞するスタイルに切り替えました。大事だよね、割り切り。

 杉原さんを例に出してしまいましたが、これはぶっちゃけ会場にお越しになっていたファンの皆さんにも言えることなんですよね。ヨコオさんたちのトークでの笑いどころとか、会場の大スクリーンに流れていたニコ生のコメントへの反応など、ツボがほとんど一緒でものすごくうれしくなる。一緒の感情を共有しているこの感覚、ある意味、小規模開催だからこその距離感の近さといえるかもしれません。

 ヨコオさんも拾っていましたが、ニコ生で『ニーア オートマタ』のPVが流れた際に書き込まれた“親の顔よりも見たPV”というおなじみのフレーズに加え、そこから派生した“親のPVよりも見た”というコメントに会場中が大爆笑でして(笑)。あのコメントで一気に場が温まった気がしました。書き込んだ方々はナイスです!

 たとえばトーク中に岡部さんがビーフカレーを注文する局面があったのですが、おいしそうに召し上がっている氏の笑顔を見て会場のファンもさっそくカレーを注文。そのかぐわしい芳香に今度はこちらの胃袋も刺激され、周辺の方や、ついには僕までカレーを注文してしまう……みたいな、よくわからない連鎖反応も起こったりしてました(笑)。

  • ▲岡部さんが「おいしい!」を連呼していたこちらのビーフカレー。忖度抜きでめっちゃおいしかったことをご報告いたします。イベント前にバーガーキ●グでお腹を膨らませていたハズの僕が、ぺろりと完食してしまいましたからね!

 あと、これは生放送をご覧になっていた方も気付いたかと思いますが、スタッフ同士の距離感がかなりこなれていて、もはや「熟年夫婦かな?」ってレベルのツーカーっぷりでした。

 特筆しておきたいのは、ヨコオさんのボケやツッコミに対する田浦さんの返しのキレ味でしょう。かつてはこの手のイベントにまだ慣れておらず、ヨコオさんから一方的にイジられることが多かった田浦さんが、今や逆に返す刀でヨコオさんにツッコミを入れ返すなど、すごくいい距離感になったなって思ったんですよね。

 そんな2人を生あたたかく見守る岡部さんのスタンスも大好き。ヨコオさんとの距離感が縮まった(気がする)田浦さんと比較すると、岡部さんは俯瞰視点気味というか。自分に話がフラれると、時に受け止めてから返したり、かと思えばバツグンのしなやかさで受け流したりと、めちゃくちゃ臨機応変かつとても自然体なんですよね。これはよーすぴさんにも言えることですが、ヨコオさんと信頼関係がしっかり結ばれているからこその接し方だよなあ……と、これまた感心しきりでした。

 言うまでもなく、よーすぴさんの板についた出演者兼MCっぷりはさすがの一言。ユルいところはとことんユルく、でもシメるところはカッチリこなす。あのスタンスは、むしろ僕もマネしたいレベルだったりします。舞浜のテーマパークネタやステージに『ドラゴンクエスト』シリーズのバトルえんぴつを模したクッションを持ち込むなど、いじっていいのかダメなのかギリギリなところを突いてくるあたりも含めて、とても素晴らしかったです。

 Q&Aコーナーではさまざまな質問に、それぞれのスタッフさんが答えてくださいました。世界観を掘り下げるような設定系のお話も、ヨコオさんがだいぶ真摯に(ときに華麗にかわしつつ)回答してくださったので、世界観の解像度がより上がったというファンの方も少なくないと思います。



 ここらへん、記事で触れてしまうのも無粋なので、まだ未見の方はぜひアーカイブで動画を見てみてくださいね。

 イチファンとしてとてもうれしかったのは、よーすぴさんが「ファンを置いてきぼりにしない」という趣旨の言葉を何度もかけてくれたこと。「開発者がこうしてアクションを取り続けることでコンテンツの熱が冷めないようにする」という断固たる決意(デターミネーションってやつ)が見て取れて、めちゃくちゃテンション上がっちゃいましたよ。まさにプロデューサーのカガミだなって思っちゃいました。

 Q&Aコーナーのあとはプレゼントコーナーへ。現場にお越しになったファンの方、および生放送の視聴者へ向けて、それぞれ豪華なプレゼントが贈られるという企画です。現場にいる人はじゃんけんで、視聴者プレゼントは抽選でって形でしたが、こちらもおおいに盛り上がりました。

 現場では、世界に3つしか存在しないというラバーストラップもプレゼントされて、じゃんけんの優勝者さんが素直にうらやましかったです。そもそもイベントの当選倍率もエグかったらしく、そんな場でのじゃんけんで勝ち残るとかもはや奇跡みたいな確率だと思うので、ぜひ大事にしてほしいなぁ……なんて思ってしまいました。ええ、マジでうらやましかったです(2回目)。

 プレゼントコーナーのあとは休憩を挟んで、前述したとおりギタリストの後藤さんによる演奏パートへ。これこそ記事で語れることなんて何もないので、絶対に映像で観てみてほしい。エモ過ぎて、きっと感情が爆発しそうになりますからご注意を。


 演奏パート終了後は、いよいよ番組もフィナーレへ。あっという間の約3時間半は、最後まで心地よい空気感のなかで終了することになりました。明言されたわけではないですが、言葉の端々から「来年もまたみんなで集まって何かやろうぜ」って雰囲気を感じましたので、期待せざるをえない……。

 昨年有明で開催された5周年記念ファンミーティングのような大規模イベントもそりゃあ楽しいですが、たまにはこれくらいの“距離感が近いイベント(スタッフとファンのみならず、ファンとファンの距離感も含む)”もいいもんだなあ、と。

 僕が書くのもなんですが……。正直なところ、2年ほど前に病気で亡くなってしまわれた『ニーア』大好きライターのサガコさん(よく電撃オンラインに記事を寄稿してくれていました)のことを、とても強く思い出した夜でもありました。彼女と一緒に観たかったな……本当に素敵なファンミーティングだったからこそ、強く思います。いや、サガコさんのことだから、きっと空の上から見ていたに違いない。僕はそう思う。ヨナもそう思う。

 最後に、スタッフさんたちからファンの皆さんに向けてのメッセージもちょうだいしてきました。記事のシメとしてぜひご確認ください。

イベントを終えた主要スタッフからファンの皆さんへ向けてのメッセージ

齊藤陽介氏:6周年というのは、数字的にはなんの節目でもないんですけど。現場に来てくださったファンの方、そして配信を視聴してくださったファンの方からは、『ニーア』をずっと応援してくださっていることがひしひしと感じられました。コロナ渦中にはなかった、田浦くんへの黄色い声援も久しぶりに聞けましたし、非常にいいイベントになったと思います。これからも7周年、8周年、9周年、そして10周年へと向けて頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

ヨコオタロウ氏:6周年。長い間ファンの皆さんに支えていただいて、感謝しかないねって岡部さんに話したら「しょせん奴らは金づるだ」って返ってきてショックを受けました。そんな6周年でした。ありがとうございました!

岡部啓一氏:今のヨコオさんの言葉は捏造なので(汗)。もちろん、僕もファンの皆さんには本当に感謝していて。今日は会場で直接お会いできる方々もいて、おかげさまでとても楽しい時間を過ごさせていただきました。この感謝の気持ちをまた別の形でお返しできるような機会があればいいなと思っています。これからもよろしくお願いします。ありがとうございました!

後藤貴徳氏:今日のために、友達からの飲み会の誘いも断って練習してきました。ソロでのギター演奏だったんですけど、とても楽しくできました。本当にありがとうございました!

田浦貴久氏:発売から6年も経って、『ニーア オートマタ』としてはとくに何か新作を出したわけでもないというのに、こうしてお客様に集まってもらえたり、配信で色々な人に見てもらえたりすることには感謝しかありません。僕が言えたことではないのですが、いつか皆さんにお返しできる何かを作れたらいいなと思います。ありがとうございました!

 メッセージコメントの収録直前、会場に来られていたスタッフさんと会話していて少しの間席を外していた田浦さん。ヨコオさんからは「田浦さんはイベント終了後、すぐにいなくなりました。ヒントは渋谷の円山町です」というジョークも飛び出していたことをご報告しておきます(汗)。ここらへんの距離感、やっぱりいいですよね……。それでは、今回はこのへんで!



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