今さら聞けない『幻影異聞録♯FE Encore』の世界観。なぜ主人公たちが芸能人なの？

　任天堂が2020年1月17日に発売するNintendo Switch用ソフト『幻影異聞録♯FE Encore』。

　アトラスと『ファイアーエムブレム』とのコラボRPGとなる本作は、Wii Uで発売された『幻影異聞録♯FE』（欧米版）をベースにさまざまな新規要素が追加され、遊びやすくなっています。

　現代の東京を舞台に、芸能人である主人公たちは芸能界で輝くという夢を追いかけながら、記憶を失い現代に迷い込んだ『ファイアーエムブレム』の英雄の力を借りて、異世界からの侵略者“ミラージュ”の脅威に立ち向かいます。

●動画：幻影異聞録♯FE Encore 紹介映像 世界観編

●動画：幻影異聞録♯FE Encore 紹介映像 バトル編

　この記事では、『幻影異聞録♯FE Encore』ならではの世界観を理解するためのキーワードについて紹介します。

　筆者はWii U版『幻影異聞録♯FE』を何度もクリアしましたが、本作の世界観と物語は本当に秀逸なもの。

　主人公たちが芸能人と聞くと「ん？」と少し戸惑うかもしれませんが、芸能人に興味がない一般人の蒼井樹の目を通して芸能界の楽しさや厳しさが描かれていくので、主人公と一緒に芸能人として成長していく過程を楽しめます。

　また、パフォーマと呼ばれる心に宿る表現力の結晶を持つ主人公たちの“心の強さ”は本作の物語テーマと合致しており、遊ぶたびに“前向きな気持ち”をもらえる素敵な作品となっています。

リアルな東京と幻想異世界“イドラスフィア”

　物語の舞台となるのは、渋谷や原宿をはじめとした現代の東京です。

　そして、もう1つの舞台は東京各地に点在する“ミラージュ”たちの巣窟“イドラスフィア”です。

　芸能界を目指していく現実世界と、“ミラージュ”たちがうごめく異世界を行き来しながら、物語は進みます。

ミラージュとミラージュマスター

　本作の世界は、“ミラージュ”と呼ばれる侵略者からの危機に瀕しています。

　“ミラージュ”とは異世界で名を馳せた英雄たちがこの世界に顕現した姿。ミラージュたちは、人間の心に宿る表現力の結晶“パフォーマ”を狙うべく、絶大な力を持って侵攻してきます。

　しかし、クロムやシーダのように“パフォーマ”を持つ人間に感応し、力を貸してくれるミラージュも一部存在し、そのミラージュと絆によって結ばれ、彼らの持つ強力な力を行使できる人間のことを“ミラージュマスター”と呼びます。

　侵略者であるミラージュに立ち向かうべく、主人公たちは“ミラージュマスター”として“ファイアーエムブレムの英雄（パートナーとなるミラージュ）”とタッグを組み共闘しながら成長していきます。

芸能界で輝く夢を持った若者たち

　主人公たちは異世界からの侵略に立ち向かいながらも、芸能界で輝くという夢を追いかける現代の若者です。

　歌や演技を磨いたり、ライブやドラマに出演したりと表の顔である芸能人としての活動も行います。そして、芸能人としての活躍が、大きく光り輝く“パフォーマ”となって、戦いにも繋がっていきます。

キャラクターの成長を描くサイドストーリーについて

　暗躍する敵ミラージュとの戦いを中心に描くメインストーリーとは対称的に、仲間たちのパーソナリティを中心に描くサイドストーリー。

　芸能人である彼らはそれぞれが夢や目標、悩みや不安を持ち、ふと主人公である樹に相談を持ち掛けてくることがある。

　相談内容はライブやドラマ、ヒーローショーや番組収録など、仲間によってさまざま。一緒に乗り越えることができれば、きっと大きな成長につながるはずだ。

　仲間ごとに複数のサイドストーリーがあり、それぞれは連続性のあるドラマ仕立ての構成になっている。

　それらのサイドストーリーをクリアすると、スペシャルパフォーマンスやデュオアーツなどを習得できる。

サイドストーリーの例：弓弦エレオノーラ“プリンセス・オブ・ホラー”

　勝気な性格だが意外と怖い物が苦手な弓弦エレオノーラ。そんな彼女は学園ホラードラマに出演することになり、悩んでいた。

　恐怖を克服するために蒼井樹を誘い、ホラー映画を観賞するエレオノーラ。しかし、どうもピンと来ていない様子。

　映画だけではホラーの耐性を付けることが難しいと感じたエレオノーラ。次なる作戦として、イドラスフィアで実際にモンスターに遭遇することを思いつく。

　樹やヴィオールの助けも借りながら、モンスターを退治することで怖い物への恐怖心を克服しようと奮闘する。

　モンスターを退治した事でエレオノーラは、自分の中の恐怖心に打ち勝つ、ある“心構え”を会得する。

　エレオノーラはモンスターの恐怖におののく女子高生役だったが、彼女の恐怖に打ち勝つ勇気がドラマのシナリオをも変更。学園ホラー物から一変、退魔女子高生物へと変貌していた。
（余談ですが、筆者は初プレイ時、このトンデモ展開で、一気にエリーちゃん（エレオノーラのこと）のファンになりました。笑。てっきり、普段は見られないエリーちゃんのおどおどした演技を見られると思っていたのに、真逆の展開になるとは！）

　新境地を開拓した“女優・弓弦エレオノーラ”の胸中に、新たなパフォーマの輝きが出現する。

　ドラマの路線変更もあったが、芸能人として1つステップアップを遂げたエレオノーラ。そして、そんな彼女にハリウッド行きの話が舞い込む……。

芸能活動を彩る楽曲

　主人公たちはミラージュマスターとして世界を救う一方でフォルトナエンタテイメント所属の芸能人として数々の楽曲を歌います。

　新曲を合わせたすべての楽曲が、avex全面プロデュースの元で制作されています。

Kiria『Reincarnation』

　つばさが大ファンであり、目標とするKiriaの新曲。観客を挑発するかのような衣装とパフォーマンス、メッセージ性のある曲で、若者たちの心を掴む。

　渋谷の中心地で行われたライブパフォーマンスは、ミラージュであるサーリャの魔術よって幻想的かつ派手に演出され、オーディエンスを魅了した。

剣弥代『BLACK RAIN』

　キレキレのダンスをみせつつ、息も切らせず歌いきる弥代。

　観客に完璧なパフォーマンスを見せる事と、常に高いレベルに自分を置き続ける自己研鑽力によって、弥代のカリスマ性が保たれている。

　avexの振付によるモーションキャプチャーで制作された弥代のダンスは見物。

織部つばさ『Feel』

　渋谷106での敵との立ち回りを偶然撮影していた志摩崎舞子のアイデアで構成された彼女のデビューシングル・PV。

　歌詞の世界とリンクするように、ミラージュマスター、そしてアイドル、両面のつばさを表現している。アイドルの王道かつ等身大のつばさらしさが前面にでた一曲だ。

TIKi『幻じゃない世界』

　音声合成ソフト“ウタロイド”のキャラクターとして人気を博すTIKiの新曲。

　ブルームパレスから出ることができないチキだが、街頭の様々な場所で彼女の歌声が聞こえ、世間でTIKiの名を知らぬ者はいない。

　チキがウタロイド“TIKi”として活動するのは何か理由がありそうだ。志摩崎舞子だけが、その理由を知っているようだが。

Kiria×織部つばさ『Give me!!』

　トップミュージシャンKiriaと、新人アイドル織部つばさによるデュオユニットの1stシングル。

　舞子のひらめきによって誕生することになったこのユニットは、クールビューティーで周囲からは羨望の眼差しを受けるKiriaと、等身大の自分で飾らずに前向きなつばさ、それぞれの長所を活かしつつ、“相手が持っていない魅力”を引き出す事をコンセプトにしている。2人の個性が溢れるライブシーンは必見。

織部つばさ×弓弦エレオノーラ『ドリーム☆キャッチャー』

　志摩崎舞子が、事務所に所属する若手二人の組み合わせに着目して発案、誕生したユニット。

　2人の若さが全面に出たポップチューンであり、PVもカラフルなアニメ調に仕上がっている。

　普段女優を中心に活動しているエレオノーラが初めて歌に挑戦するこの曲は、鬼トレーナーであるバリィ・グッドマンのシゴキによって完成することとなる。