『MFゴースト』1話&2話の感想を『頭文字D』ファンがお届け。今から観る人は2話まで一気見がオススメな理由がある

電撃オンライン
公開日時

 今なお熱狂的なファンを持つ名作『頭文字D』の後継作として、満を持して世に送り出された新作アニメ『MFゴースト』。第1話、第2話を視聴してみて感じたのは「これは絶対に2話までぶっ続けで観た方が楽しめるな」ということ。その理由を視聴した感想とともに語っていこうと思います。

【注意】ここからは『MFゴースト』の物語に関する記述が多々含まれます。記事の構成上、少しでもネタバレが気になるという方は本編第1~2話をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『MFゴースト』第1話&第2話の感想

 『バリバリ伝説』の頃からしげの秀一先生のファンであります、ゲームライターのタダツグです。この秋待望の新作TVアニメ『MFゴースト』も、オンエアをリアタイしながら楽しませてもらっています。

 今回、遅ればせながら感想記事を書かせてもらうことになったのですが、記事の見出しにもあるとおり、自分はこと本作に関していうと第2話までぶっ通しで観た方が作品の魅力が伝わりやすいなと思いました。いったいなぜか? その理由は、この『MFゴースト』という作品の物語構成にあります。

 そもそもこの『MFゴースト』という作品について、知っておきたい知識を箇条書きにしてみると……。

・物語の舞台は『頭文字D』から数年後の日本
・この世界の日本は富士山の爆発で地形などが変化。富士山周辺には人が住まなくなっている
・安全が確認された今となっては、人が住まなくなったこのエリアを利用したレース“MFG”が開催中
・主人公はこの“MFG”に出場するため日本にやってきた英国人ハーフの青年・片桐カナタ
・カナタは英国の名門ドライビングスクールで運転技術を学んだエリート。師匠は『頭文字D』の主人公である藤原拓海
・そのほか『頭文字D』のキャラも年齢を重ねた姿で登場する

 といった具合です。端的に言って、『頭文字D』の魂を色濃く引き継いだ新たな公道最速伝説が描かれていきます。

 なお、『頭文字D』では走り屋たちによる公道バトルをメインに、主人公の拓海と彼を取り巻くさまざまな登場人物たちによる人間ドラマが描かれたわけですが。『MFゴースト』ではレースシーンはもとより、この人間ドラマ描写にさらに力が注がれているのが大きなポイントとなっています。

 まずは主人公のカナタについて。彼は英国人の母と日本人の父の間に生まれたハーフであり、本名はカナタ・リヴィントン(CV:内田雄馬)。母を亡くしたことをきっかけに、母と離婚して家族を捨てた父親を探して日本にやってきたという、やや重めの背景を背負っています。

 上記のとおり、カナタは拓海仕込みの卓越したドライビングテクニックを有しており、日本でMFGに出走するわけですが。これはもちろん、己のテクニックを試したいというドライバーとしての衝動もありつつ、レース出走は父親捜しのためというところにも大きなウェイトが寄せられています。

 具体的には、母方の姓である“リヴィントン”ではなく、あえて父方の“片桐”姓を名乗ることで、どこかでレースを見かけることになるかもしれない父へ向けて自分の存在をアピールすることも目的になっているわけですね。

 こう書くと一見重たいのですが(実際にカナタのなかで軽いエピソードではないのでしょうが)、カナタ自身はこの日本への滞在、およびMFGというレース自体をとてもエンジョイしている模様。さまざまな人々との交流を経て、ドライバーとしてはもちろん人間としても大きく成長を遂げていくことになりそうです。
 とてもピュアで素直でいい子なものだから、ついつい感情移入して応援してしまいたくなる! 日本のお菓子や牛丼を食べてそのおいしさに感動するといった、さりげない人物の掘り下げ描写はさすがといったところです。

 そんなカナタが日本でホームステイすることになるのが、母のかつての親友が住まう西園寺家。そして、本作のメインヒロインこそが、この西園寺家の一人娘である恋(レン/CV:佐倉綾音)ちゃんその人なんですよね。主人公とヒロインが一つ屋根の下なんて……『頭文字D』とは全然違うアプローチ! 

 なんとレンちゃん、ファーストコンタクトの瞬間からカナタに一目ぼれしてしまうわけですが。彼女には普通の女子高生という一面に加え、カナタが出場するMFGのレーシングクィーン(MFGエンジェルスナンバーセブン)としての顔も持っており、ヒロイン力の高さはかなりのものです。

 なお、第2話の段階ではカナタはレンがナンバーセブンだとは気づいておらず。加えて、MFGの先輩としてカナタの世話を焼いてくれる相葉瞬(CV:小野大輔)がナンバーセブンに惚れてしまうなど、ちょっと複雑な構造が出来上がりつつあるのも興味深い点ですね。レースのみならず、恋愛模様の行方からも目が離せない状況になりそう。

 個人的には、相葉先輩はめちゃいい人なれど。こと恋愛に関してはちょっとモテとは遠い気もしちゃってます。NISMOのTシャツを着てるところとか、『頭文字D』の池谷先輩とダブるんだよなあ……(笑)。


 つらつら書いてきましたが、つまるところ第1話では、そんなカナタの訪日背景や彼をとりまく人物関係が丁寧に描いていくぶん、カナタがクルマに乗り込んで拓海譲りのドラテクを披露する時間的な尺がまったくありませんでした。『頭文字D』ファンからすると、少し肩透かしに感じる部分もあるかも(苦笑)。

 もちろんこれは原作通りな展開なんですが、アニメで描くにはちょっと地味だったりもするのも事実。正直僕は、もしかするとかなり描写を短縮されるか、もしくは導入の構成自体が変わってしまうかも……と思っていました。でも、アニメ版でもそういったレース以外のドラマがしっかり描写されていて、個人的にはホッとしましたね。『MFゴースト』はただのレースものではなく、カナタたちの恋愛描写なども散りばめた人間ドラマを描いていくぞという、スタッフの明確なメッセージを受け取った気がしたもので。たぶん、最終的にはそっちのほうが楽しめるハズです、この『MFゴースト』の物語は。

 ちなみに、第2話ではカナタが愛機であるハチロク(トヨタ86GT前期)に乗り込み、MFGの予選タイムアタックに出場して天才ドライバーたる片鱗を覗かせてくれます。そう、カナタの愛機もハチロクなんですよ! これに燃えない『頭文字D』ファンがいるのかって話。実際、パンダトレノではないんですけど、やはり往年のファンにとってハチロクは思い出深い車種ですから。特別感はハンパじゃない……。

 なお、本作においてもハチロクはすでに型遅れ車種であり、ハイパワーなクルマが幅を利かせるMFGにおいてはハンデキャップとなりそう。そんなパワー不足のマシンを持ち前のドライビングテクニックで補い、予選突破を目指すカナタの走りには壮絶なものがあります。

 彼のブレーキングドリフトにかつての拓海とパンダトレノの姿がダブるところもあり、ファンにとっては胸アツなんじゃないですかね。僕はちょっと目頭が熱くなりましたよ。中盤から突入する霧がかかった“デスゾーン”でのカミカゼ走行なんかも、見てて鳥肌モノなのでオススメです。


 実際、コースに霧がかかるなんてコースを走るレースだったらなかなか考えづらい部分ですが。そこはMFGが“公道”を走るものならではのおもしろさといえそうです。じつはこのMFG、ルールを設定したのはリョウ・タカハシと呼ばれる謎の人物なのですが……まぁ、『頭文字Ð』ファンにとってはバレバレですよね。隠す気ないだろって(笑)。

 第2話ではそんな髙橋涼介(CV:子安武人)もちょっとだけスポットで登場したりしました。時間にして一分足らずの出演ですが、めちゃめちゃ存在感のあるシーンとなるので、インパクトは絶大でしたね。原作を踏襲するとしたら、この後は続々と『頭文字D』の登場人物たちが顔を見せてくれると思うので、そちらにも期待が高まるところ。

 ここで気になるのは、まだ予選のタイムアタックということもあってユーロビートサウンドが少なめな部分。ただ、この『MFゴースト』の音響監督は『頭文字D』も担当していた三間雅文氏ですから。おそらくユーロビート演出はレース本戦の見せ場でたっぷりと披露してもらえるんじゃないかと想像しております。今から楽しみで仕方がない!

 とはいえユーロビートがないと物足りない……という方は、OPソング『JUNGLE FIRE feat. MOTSU』でしっかり成分を吸収できますのでご心配なく。

 このOPソング、メインボーカルは芹澤優さん(本作にも北原望役で登場)なのですが。かつて『頭文字D』にさまざまな楽曲を提供してくれた、現在は解散している伝説的なグループ“m.o.v.e”のmotsuさんもしっかり関わっておられるわけですよ。motsuさんの声を聴くだけで、妙にしっくり世界にシンクロできる気もしちゃうのは『頭文字D』世代の宿命なのか……たまんねぇ! もちろん、芹澤さんのボーカルもめちゃくちゃキュートなので、新世代のファンにもしっかり刺さるであろうことは間違いないと思います。

■ノンクレジットOP|『頭文字D』後継作TVアニメ『MFゴースト』

■芹澤 優『JUNGLE FIRE feat. MOTSU』-Music Video-【TVアニメ『MFゴースト』オープ二ングテーマ】

 とにもかくにもこの『MFゴースト』。本番は予選が終わってのレース本戦からともいえますし、むしろまだ助走状態。回を追うごとに盛り上がっていくことは請け合いといえるでしょう。3話以降はより物語にフォーカスした感想記事もしたためていければと思っておりますので、よろしければそちらもぜひご一読くださいませ。

 それでは、本日はこのへんで!

©しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


関連する記事一覧はこちら