『マーベル スパイダーマン2』レビューと感想。人気ヴィラン・ヴェノムの登場! 2人のスパイダーマンによる相乗効果でアクションはどう進化したのか?【Marvel’s Spider-Man 2】
- 文
- 電撃オンライン
- 公開日時
2023年10月20日に発売予定のPS5用ソフト『Marvel’s Spider-Man 2』。2018年に発売された『Marvel’s Spider-Man』、そして2020年発売の『Marvel's Spider-Man:Miles Morales』の流れをくむ本作のレビューをお届けします。
●通常版パッケージ
●コレクターズエディション
本作は言わずもがな、日本でも有名なマーベルヒーローのスパイダーマンの活躍を体験できる作品となっており、コミックや映画とは違う、本作独自のストーリーラインを味わえます。1作目はピーター・パーカー、2作目はマイルズ・モラレスを主人公としていましたが、今作ではなんと両主人公を操作することができ、2人のスパイダーマンでニューヨークの街を駆け巡ることが可能になりました。
発売に先駆け、SIEからゲームコードを提供いただけたので、事前レビューとして本作の魅力を紹介していきます。
なお、本作ではオプションでグラフィック処理を優先する“忠実度再現”モードと、パフォーマンスを優先する“パフォーマンス優先”モードを切り替え可能であり、本記事で使用している写真の一部は“忠実度再現”モードで撮影したものを使用しています。
クレイブンの狩場となったニューヨークで、さまざまな人物の想いが交錯してゆく物語は必見!
“親愛なる隣人”ことスパイダーマンは、ニューヨークを拠点に、凶悪犯罪や人々のトラブルを解決しているスーパーヒーロー。初代スパイダーマンであるピーター・パーカー、二代目スパイダーマンのマイルズ・モラレスの2人の視点を中心に物語は進んでいき、数々のヴィランとの対決につながっていきます。
そしてヒーローとしての華やかな面だけでなく、ピーターやマイルズという人間の悩みや葛藤を同時に描いているのも、本シリーズの魅力。
ピーター・パーカーといえば、多くのスパイダーマン作品においては学生としてスタートするのですが、本シリーズにおいては登場時からすでに社会人。本作ではすでにスパイダーマン業としてのキャリアも長く、安定した活躍を見せる一方で、本来やりたかったこと――科学を人のために役立てることに想いを馳せる一面も。
恋人のMJとも関係は良好ですが、ジャーナリストとして忙しくしている彼女と、スパイダーマンであるために自由な時間を確保しにくいピーターでは、なかなか会う時間も満足に取れないなど、ヒーローゆえの悩みを抱えています。
もう1人のスパイダーマンであるモラレスも、学業との板挟みで苦労中。加えて、彼の父親が命を落とす事件を起こしたマーティン・リー(ミスター・ネガティブ)に対して暗い気持ちを募らせており、ときどき怒りが心を蝕んでいる様子が描かれます。
本作では、こうしたヒーローとそれ以外の生活のあいだで生まれた葛藤が描写されており、彼らがそこにどうやって向き合っていくのかという、成長の物語を楽しむことができます。
忘れていはいけないのが、ヴィランがどうやって物語に絡んでくるのか、ということ。ストーリートレーラーでも登場しているように、本作のメインヴィランはクレイブン・ザ・ハンターとヴェノム。特にヴェノムは日本でも知名度が高く、登場を待ち望んでいた人も多いのではないでしょうか。クレイブンも、2024年に単独映画が予定されている旬なキャラクターですね。
まずクレイブンですが、彼は強大な獲物を狩ることに執念を燃やす狩人であり、ニューヨークには“ある獲物”を狙って訪れます。その獲物を追い立てるべく、多数の部下……通称“ハンター”を総動員。獲物を確保するために手段を択ばないハンターによって、街は混乱に包まれていくことになります。
ヴェノムは、クレイブンとはまた違った経緯で登場。ヴェノムの本体は、シンビオートと呼ばれる寄生生命体であるということは、ヴェノムが登場する作品を視聴したことがある方はご存じかと思います。
トレーラーには、黒いスーツをまとったスパイダーマンが、ヴェノム由来の触手を繰り出して攻撃しているシーンが映っています。それとは別に、しっかりヴェノムとしての姿も得ていることから、私は「スパイダーマンがシンビオートに寄生され、やがて離れるのかな」という予測をしていました。実際に読んだことはないのですが、コミックでもその流れはあったようで、登場のしかたとしては王道を選んだのかなという印象でした。
実際、その見立ては間違ってはいなかったのですが、やはり『Marvel’s Spider-Man』時空。オリジナル要素をしっかりと入れてきます。この辺りの物語はぜひ体験してほしいため詳細は伏せますが、ヴェノムの出現の経緯はプレイ中に薄々と勘づいてくるようになっていて、だからこそ物語の展開にグっと心臓をつかまれるように感じました。
ちなみに登場するヴィランは彼らだけでなく、サンドマンやリザードも登場。彼らにも彼らなりの考えがあり、そこにスパイダーマンがどのような答えを返すのかにも注目です。
もともと本シリーズの人物描写にはこだわりを感じていたのですが、ピーターとマイルズという2人のスパイダーマンと、彼らの周辺の人物の関係性を描くことで、より物語に深みが増したように思えます。
もちろん本作から遊んでも楽しむことはできますが、前作・前々作から登場しているキャラクターも多いため、過去作もプレイしておくと、本作の物語を十二分に楽しめるでしょう。
アクションの完成度の高さは折り紙付き! スパイダーマンらしい動きでニューヨークを飛び回れる!
『Marvel’s Spider-Man』のだいご味といえば、爽快感を追求したアクション! スパイダーマンの代名詞とも言える、手首から糸を射出してビルの合間をスイングしていく“ウェブ・スイング”は、この動作単体でものすごく気持ちよく、こんなにも移動が楽しいゲームは類を見ません。
高層ビルが乱立するマンハッタンの街並みもウェブ・スイングとの相性が良く、高速で風景が後ろへと流れていく疾走感は一度プレイすると病みつきになります。
さらに本作からは、スーツの脇部分に皮膜が展開されて滑空できる“ウェブ・ウィング”が追加。これによって、周辺に高い建物がない開けた場所でも、高度を保ったまま長距離を移動できるようになり、快適性も向上しました。
ビルの合間のような強い風が吹きすさぶ場所では、ウェブ・ウィングで風を受けて高速で飛ぶことができたり、噴き上げる上昇気流をつかまえることで高度を上げたりすることもでき、移動の楽しさが倍増! これまでよりもマップ自体が広がっていますが、移動アクションはさらに洗練されており、長距離の移動は苦になりません。
各区画へのファストトラベルは、その地域の事件をある程度解決してアンロックしなければならないという制限はあるものの、そもそもの移動が快適なので、ほとんど気になりません。むしろ移動自体が楽しいことに加え、移動中に出くわす事件や収集物など気になる寄り道要素が多く、私個人は基本的にファストトラベルを使わなかったほどです。
余談ですが、PS5のDualSense ワイヤレスコントローラーの機能のひとつとして、ゲーム内の状況に合わせてトリガーの重さが変わるアダプティブトリガーという機能があります。本作においても、主にウェブを用いたアクションの際にこの機能が用いられているのですが、とくにウェブ・スイングの際の重さが臨場感を感じるので、ぜひ試してみてください。
バトルシステムはこれまでのものを踏襲しているため、シリーズ経験者であればそのままの感覚で遊べるはず。スパイダーマンならではの、敵を翻(ほん)ろうするような体術に加え、ウェブ・シューターで敵を拘束したり、敵の武器を奪ったりといったアクションが満載で、目にも楽しいバトルを味わえます。
しいていえば、初期状態から行えるアクションがすでに結構な数となっている点にはちょっと気を付けたいところ。シリーズ初プレイヤーはメニューの技リストを確認して、少しずつ特殊アクションに慣れていくといいかもしれません。
ピーターとマイルズでは、使えるアビリティが異なるのですが、通常攻撃などの共通するアクションでも、それぞれの性格が反映された動作になっていて芸の細かさを感じます。
前作の主人公だったマイルズは、ヴェノム・パワー(※ヴィランのヴェノムとは無関係)と呼ばれる放電能力を持っており、それによってピーターとのアクションの差別化が図られていました。本作でもヴェノム・パワーによる攻撃は健在で、ピーターに比べパワフルな戦い方がマイルズの持ち味となっています。
それに加え、本作ではゲーム中で手に入れることになる別種のヴェノム・パワー“エボルブ・ヴェノム”を用いた攻撃が可能に! 青白い雷光によって離れた敵を連鎖感電させたり、複数の敵を引き寄せたりといった強力なパワーを扱えます。ヴェノム・パワーによってダメージを受けた敵は一定時間スタン状態になるため、対複数戦で戦いやすいのがマイルズの強みです。
一方でピーターも、ただウェブを飛ばすだけではありません。背中から伸縮するスパイダー・アームを展開させて敵を圧倒するアビリティに加え、前述のシンビオート由来の触手を使った技を繰り出せるなど、マイルズとは異なる戦い方が楽しめます。
これらのアビリティは一度使ったらクールタイムが発生するため連続使用こそできませんが、それ以外には使用条件はないため、積極的に使っていけるのがポイント。アクションにメリハリが付くだけでなく見た目も派手なので、より戦闘を楽しむスパイスとして機能しています。
ほかにも、ゲージを溜めて放つ超必殺技のようなものや、ガジェットを使った攻撃などさまざまな攻撃手段が用意されており、戦い方の幅がとても広い! 敵によっては、回避やパリィといった防御アクションを駆使する必要があるなど、簡単に倒せる敵ばかりではないのも歯ごたえがありました。
危険を察知できる“スパイダーセンス”があるため回避タイミングはわかりやすいのですが、それでも攻撃に熱中しているとダメージを負ってしまうことも。スパイダーマンたるもの、いつでも冗談を口にできるように、クレバーな態度で視野を広く持って戦いたいですね(笑)。
基本的に無数の敵との同時戦闘になることが多く、遠距離からは射撃も飛んでくるため、戦場はかなり慌ただしいです。そんな中をウェブやガジェットを駆使したスパイダーマンらしい動きであしらえたときの快感は、本作でしか味わえません!
場合によってはステルスで敵を片づけることも可能です。侵入から始まるミッションなどでは、敵はこちらを発見しておらず、頭上から人知れず敵を拘束していくことができます。
本作では“ウェブ・ライン”によって、ある程度自由にウェブの足場を作成可能に。映画などでのイメージ通り、壁や天井に張り付いて移動することもできるため、ステルスの柔軟性はかなり高くなったと感じます。ちなみにマイルズは、一定時間自分の姿を背景に同化させるカモフラージュ能力を持つため、ステルス任務はピーターよりも得意かもしれません。
当然ながらピーターかマイルズの両方を同時に操作することはできないのですが、ミッションによっては2人が共闘するものもあり、そういった場合は2人の連携攻撃を見ることも可能です。すでにマイルズがピーターに師事してからそこそこの年月が経っているためか、2人の息はピッタリ。スパイダーマンとしてのユーモアの波長もバッチリで、緊迫したバトルの最中にも関わらず、思わず笑みがこぼれてしまうような信頼関係を感じて、嬉しくなってしまいました。
アクティビティが気軽に楽しめ、街の探索がめちゃ楽しい! さらに増えたスーツの数々にも注目!
ニューヨークで日頃発生している犯罪を取り締まったり、困っている人を助けたりするのもスパイダーマンの仕事。とくにクレイブンの狩りが始まって以降、ハンターたちによる襲撃が増え、さまざまな場所に助けを必要とする市民が溢れている状況です。
こういったトラブルを解消し、各区画の平和を取り戻していく要素がアクティビティとして取り入れられています。ほかにも、フォトスポットでニューヨークらしい写真を撮ったり、点在するコンテナやスパイダーボットを回収したりといった収集要素も。
なかには物語の設定的にピーター、またはマイルズどちらかでしかアクセスできないアクティビティもあるのですが、現地でボタンを押せば瞬時に切り替えられるため、ストレスはほぼなし。
しかしオープンワールドゲームの収集要素は、人によっては「ちょっと面倒だな……」と感じる人も少なくないでしょう。何を隠そう、私もそちらの人間です。
ですが本作のアクティビティや収集要素は例外! 理由のひとつは、視認のしやすさです。AR機能を使ってマスクに表示しているという設定で、プレイヤーにもわかりやすいように空中にドーンと大きなアイコンが表示されます。めちゃくちゃ親切!(笑)
収集要素もアクティビティほどではないとはいえ、かなりわかりやすいほう。例えばスパイダーボットは、広範囲に広がる音波のようなエフェクトを出していて、すごく探しやすい!
理由のふたつめは、スパイダーマンならではの移動の快適さ。スパイダーマンの機動力をもってすれば、どこにあろうとひとっ飛びで回収できるため、収集物へのアクセスがとても快適なのです。
しかもマップを開けば、その区画にある収集物の数と現在回収した数が表示されていますし、そもそも総量がそこまで多くないため「ちょっと頑張って集めようかな」という気持ちにさせられます。
ものによってはパズルのようなミニゲームを解かねばならないのですが、そこまで難しくないのと、アクションの箸休め的な感覚も相まって、私はすごく楽しめました。
なお、これらのアクティビティをクリアしたり、収集要素を集めることで、ヒーロートークンやパーツなどを入手することができます。これらはスパイダーマンのスーツパワーやガジェットの強化に必要な素材で、基礎能力を高めたり、ガジェットの効果を高めたりすることが可能。
もし敵が強いと感じたら、パトロールして素材を集め、スーツやガジェットを強化することで、ストーリーを進めやすくなる工夫がされています。
地味に感動したのが、片方のスパイダーマンをプレイしているとき、事件現場に行くともう1人のスパイダーマンがすでに戦っていたこと。これ、いいですよね。勝手にアクティビティを解決してくれるわけではないとは思いますが「自分がプレイしていないときでも、ちゃんと街を守っているんだな」と、作り込みに感服しました。
個人的にイチオシの要素が、スパイダーマンのスーツの変更。過去作にも存在した要素ですが、本作ではなんと30種類以上のスーツが用意されていました。
しかもこれはピーターひとりの数。マイルズのスーツも入れると、その数は60種類以上! しかもスーツによってはカラーパターンを選択できるものも増加しているため、お気に入りのスーツを選ぶだけでも大変かもしれません。毎日プレイのたびにスーツを変えようとしても、まったく追い付かないほどです。
スパイダーマン(に限らず、アメコミヒーロー全般ですが……)は、媒体によって着用しているスーツのデザインが大きく変わります。それこそ『Marvel’s Spider-Man』で着ていたスーツや、映画で着ていたもの、コミックで着ていたものなど千差万別!
本作にはフォトモードも搭載されているため、お気に入りのスーツでカッコいいシーンをスクリーンショットとして撮影するのも、ひとつの楽しみかた。
カメラ映えするアクションが多いこともあって、昨今では増えたフォトモード搭載ゲームのなかでも、スクリーンショットを撮る楽しさは指折りと言えるでしょう。
過去作から大きく変わった点こそありませんが、それはむしろ本シリーズの完成度の高さがゆえ。アクションゲームが好きであれば間違いなく楽しめる作品となっているので、この手触りの良さを、ぜひご自身で体感してみてください!
PlayStation5用ソフトウェア『Marvel’s Spider-Man 2』商品概要
作品名:Marvel’s Spider-Man 2
ジャンル:オープンワールドアクションアドベンチャー
対応機種:PlayStation5
発売予定日:2023年10月20日(金)
価格:
・通常版:パッケージ希望小売価格 / ダウンロード販売価格 8,980円(税込)
・デジタルデラックスエディション:販売価格 9,980円(税込)
CERO:C(15才以上対象)
開発元:Insomniac Games
発売元:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
●通常版パッケージ
●コレクターズエディション
© 2023 MARVEL
© 2023 Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by Insomniac Games, Inc.
※「PlayStation」、「プレイステーション」、および「PS5」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標または商標です。
※その他記載されている名称は各社の商標または登録商標です。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
『Marvel’s Spider-Man 2』公式サイトはこちら