『Cities: Skylines II』レビュー&感想。前作を1600時間遊んだプレイヤーが驚いた住民たちのリアルさ【シティーズ:スカイライン2】
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海外パブリッシャーのParadox InteractiveがPC(Steam)で2015年にリリースした、街づくりシミュレーションゲーム(SLG)の『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン、以下CS)』。本作は多彩なDLCが発売される形でアップデートを続け、いまも多くのプレイヤーが街づくりを楽しんでいます。そしてのちにPS4やNintendo Switchなどのコンシューマに移植されるなど、幅広い層に愛されるロングセラータイトルへと成長しました。
ですがそんな名作も発売から8年が経過したことで、根本的な部分での大きなアップデートが望む声も大きくなっていました。そしてそんな声に応えるかのように続編の『Cities: Skylines II(CS2)』が今年の3月に発表され、10月25日に発売を迎えることに。
そこで今回はSteam版『CS』を1600時間以上プレイしたコアファンが、本作の進化ポイントに斬り込んだ形でプレイレビュー。あわせてプレイのちょっとしたコツもアドバイスします。
※本記事はParadox Interactiveの提供でお送りします。
“マイルストーン”解除での都市拡大が楽しみになる仕掛けが満載
まず『CS』をプレイしたことがない人に向けて基本的な遊び方を解説すると、本作はプレイヤーが市長として予算内で自在に道路や線路を敷設。そして、人々が暮らす住宅区画(緑)や職場となる商業区画(青)、工業区区画(黄)、オフィス区画(紫)、産業特区などの区画を指定しながら、街を大きく成長させることが目的の街づくりSLGです。
そんな街づくりの柱となるのが“マイルストーン”と呼ばれるシステムで、これは街の規模が大きくなるとアンロックされ、公共サービスなどが順次利用可能になります(資金や幸福度も入手)。前作は単に総人口での区切りで上位の“マイルストーン”がアンロックされましたが、本作ではその解除システムを一新。
道路や建物を建設したり、住民の幸福度が上がったりすると蓄積される拡張ポイント(XP)が特定値に達することで、アンロックされていく形になりました。そのため、単に人口を増やすだけでなく、公共サービスを適切に配置し、住民たちを幸せにして住みやすい街にすることが求められ、シミュレーション色が前作以上に濃くなっているのです。
そして“マイルストーン”とあわせて注目したい新要素が、開発ツリーを使った交通機関や公共サービス施設などの解放です。これは“マイルストーン”のアンロック時に得られる開発ポイントを消費して行いますが、得られる開発ポイントには限りがあるので、“いま必要なもの”を厳選して選ぶ必要があります。
住民生活のシミュレート度合がさらに細分化されてリアルさが増した
これまで数多くの街づくりSLGをプレイしてきた自分ですが、そのなかで『CS』にハマった理由が住民ひとりひとりの生活がシミュレートされる点がありました。住民は10代からシニアまでさまざまな年齢層が暮らしていますが、年代別に行動思考が異なるなど本作ではより顕著になっています。
たとえば交通手段の選択では、10代はお金がないので安価な交通手段を選択しやすく、目的地が多少遠くても歩く手段を選びます。また、車で旅行する場合、駐車料金を払って目的地に近い駐車場に駐車するよりも、遠く離れた無料の駐車場に駐車したいと考えます。
逆に大人の場合はお金よりも時間を大切にするため、早く到着するならば多少高い料金を払ってでも、駐車場や交通機関を積極的に利用するようになるのです。このように、どこにどんな年齢層が住んでいるのかを調べ、適切な交通手段を用意するといった計画が必要になります。
この辺りは前作より細かいので「若干こだわりすぎかな?」と感じたのですが、自分は前作でもこういった要素を反映できるMODを好んで入れて遊んでいただけに、バニラ(通常)で採用されたのは歓迎したいです。
UI周りが洗練されてインフラ整備のスピードがアップ
細かい部分になりますが、個人的に気に入ったのは前作で好評だったUI系MODを積極的に取り入れている点。たとえば道路や線路を敷設する場合、高さの設定や平行が可能になるなど、いまやあって当然のように受け入れているUIが使えるのはありがたいです。
また、交通量の増大により道路を拡張する場合、左右のどちら側に拡張するのかなどが選べるのも、きれいな都市計画を進めたい自分としてはありがたかった。また、いわゆる碁盤の目的な街づくりをする場合、あらかじめ格子状の道路を敷設できる点も、整備のスピードアップが図れていいですね。
収支のバランスが改善されて黒字運営がしやすくなった
前作では交通インフラでの支出が多い、公共サービスを数多く設置しないと需要を満たしにくいなど、バニラの状態では財政面での収支バランスが微妙でした。ですが、本作では政府補助金という項目が用意されており、都市の経済状況に応じて交付されるので、赤字になりにくくなっています。
また、警察や消防、発電所などのインフラ施設はアップグレードが可能で、配備できる車両数を増やしたり効果範囲を広げたりできます。前作は街が大きくなると数を増やさざるを得ず、その結果サービスの支出が増えて赤字になり、景観的にもあまりよろしくないというケースが多かったので、この変更はありがたいですね。
ちなみに、プレイして資金にこまったら以下の点を試してみるのがおススメです。
①特区を設定して路上駐車の車から駐車料金を徴収する
②産業特区を設定して製品や原材料を輸出する
③電気や水を外部の都市に売却する
④税率を上げる
⑤サービスの予算を下げる
【総評】長期スパンで見守りたい進化型のゲームであることは間違いない!
最後にまとめとして希望&ちょっとした不満を述べたいと思います。まずはバニラの鉄道駅がとても使いにくい点。プラットフォームが3つのため現実にそぐわない規模で設置も難しいんですね。いわゆる島式や2面2線のコンパクトな駅が早急にMODで登場することを期待しています。
つぎはモノレールやロープウェイといった、前作で人気の公共交通機関がないこと(自転車も)。こちらは前作同様にDLCでの登場になるのかな、なんて予想していますがはたして?
あとは希望という点ではベンチマークの配付でしょうか。これは言及したほうがいいと思うのでお伝えしますが、公式サイトで公開されている動画のような美しいビジュアルでのプレイは、推奨スペックが満たせるPCが必要になるのも事実。
<推奨スペック>
64ビットプロセッサとオペレーティングシステムが必要です
OS: WindowsR 10 Home 64 Bit | WindowsR 11
プロセッサー: IntelR Core i5-12600K | AMDR Ryzen 7 5800X
メモリー: 16GB RAM
グラフィック: Nvidia GeForce RTX 3080 (10 GB) | AMDR Radeon RX 6800 XT (16 GB)
ストレージ: 60GBの空き容量
ある程度コンフィグでグラフィックの調整は効きますが、自分のマシンは人口4万人近くで悲鳴を上げていたので、これを機に買い替えを検討中です(笑)。
というわけで、現状マイルストーン8の大きな街まで開発を終えた段階までのレビューをお届けしました。前作もそうでしたが、『CS』はMODやDLCが充実してくるとそのたびにビルド&スクラップを繰り返して遊びたくなるタイプのゲームであり、今後のさらなる広がりにも期待が高まります。「この完成度と拡張性ならば、前作の8年を超える長期スパンで遊べそうだ」という総評で、今回の記事を締めくくりたいと思います。
(C)2023 Paradox Interactive AB. Cities: Skylines II is published by Paradox Interactive AB and developed by Colossal Order Ltd. CITIES SKYLINES and PARADOX INTERACTIVE are trademarks and/or registered trademarks of Paradox Interactive AB in Europe, the U.S. and other countries. Any other trademark, logo and copyright is the property of its owner.
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