大河ドラマ『どうする家康』40話感想。同じ星を見ていたはずが…深まる家康と三成の対立

びえ
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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第40回“天下人家康”のレビューをお届けします。

協力して政治を行う新体制に! 石田三成の理想はどうなる…?

 前回は、朝鮮への侵略を強引に推し進めていた秀吉が、とうとう体調を崩して倒れてしまい、ついには亡くなるまでが描かれました。

 今回は、その泥沼と化してしまった朝鮮出兵の後始末をするところから始まります。

 秀吉の遺言に従い、石田三成ら5人の奉行と、家康ら5人の大名で協力して政治を行う、新しい仕組みが作られました。

 豊臣秀頼が成長するまでは、この10人が話し合いをしながら代わりに政治を行う、というのが建前ですが、当然ながらそれに素直に従う者ばかりではないようです。

 特に、人望が厚く強い発言力を持っている家康に対しては、反発を抱いている者も少なくはありません。今はあまり目立たず、大人しくしているのが得策のようです。

 今は、朝鮮出兵の後始末という大きな問題もあります。すでに泥沼と化してしまったこの問題を解決するのは非常に難しく、関わってもあまり良いことはないというのが、家康の判断のようです。

 いつの間にか、家康も知恵が回るようになってきましたね。以前は彼のことを“たぬき”と呼ぶのはちょっと違和感がありましたが、今はもうぴったりだと思えるようになってしまいました。

 三成を矢面に立たせ、自分は息をひそめるという姑息なやり方に、本多忠勝はちょっと不満顔です。これが若い頃の家康なら、真っ先にこの問題に立ち向かっていただろうなと思うと、筆者も少し寂しい気持ちになってしまいました。

 とはいえ、実際に朝鮮出兵の問題はとても根深く、対応に追われている三成は、敵からも味方からも恨まれるような難しい立場に置かれてしまっています。

 7年もの長い間、国外で無理な戦いを強いられてきた者たちからすれば、恨みや不満を感じるのは無理もありません。

 その気持ちを汲み取る余裕が三成にもあれば良かったのですが、豊臣家を大切に思うあまり、むしろそんな不満を抱える者たちを非難してしまいます。溝は深まるばかりで、どうにもなりません。

 国内でも、秀吉が亡くなったことにより、不穏な動きが見られるようになってしまいました。このままでは、再び戦乱の世の中に戻ってしまいます。さすがにそれは、家康も望んではいないはず。

 今こそ家康が表舞台に立ち、この騒ぎをおさめるべきだと忠勝は進言します。しかし、それでは家康の立場も危うくなるという本多正信。どこまでも正反対な考え方をする2人の違いが面白いですね。

 どうやら隠れてひっそり事を進めるしかないようです。あとで妙な疑いを招かなければよいのですが……。

同じ星を見ていたはずが…深まる家康と三成の対立

 そんななか、豊臣秀頼が大坂城へ移り住んできました。もちろん茶々も一緒です。彼女にもなにか考えがありそうな様子ですが、あまり家康に対して好意的ではなさそうです。

 その間にも、家康は加藤清正、福島正則、黒田長政と縁組の話を進めていました。しかし、勝手に婚姻を結ぶことは禁止されていたため、奉行や老中たちから批判を浴びてしまいます。

 難しい判断を迫られた三成は、家康に謹慎処分を下しますが、当の本人はのらりくらりとかわしてしまいます。だんだんと腹黒いところが見えてきたようで、ちょっと憎らしいですね。

 さらには、脅しのようなことまで口にしてしまいました。これには奉行たちが怒るのも当然です。三成との対立は、ますます深まってしまいました。

 かつては、同じ平和への願いを持っていたはずの2人なのですが……袂を分かってしまうのは悲しいですね。

 しばらくして、とある事件が起こります。なんと加藤や福島の軍勢が、三成のいる伏見城を取り囲んでしまったのです。大騒ぎをなんとか鎮めた家康ですが、三成への不満があちこちから噴出して止めようがありません。

 協力して政治をするどころか、余計な争いばかりが起きてしまう状態に、とうとう家康も覚悟を決めたようです。三成もまた、この騒動の責任を取って隠居することを決意します。

 夢や理想は立派で真面目でもある三成ですが、少し人を思いやる気持ちに欠けているところがあったかもしれません。豊臣家を大切に思うからこそなのですが、それがあちこちですれ違いを生み、こんな結果になってしまいました。

 また一緒に星を見たいという家康の誘いも断られ、対立は決定的に。2人が同じ星を見ていた頃を思うと、あまりにも悲しい展開ですが、もう後戻りはできません。覚悟を決めた家康と忠勝の横顔が、頼もしくもあり寂しくもあり、複雑な気持ちになってしまいました。

 いよいよ天下を取るために動き出した家康。次回も楽しみに待ちましょう。

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