クリア済みレビュー:『龍が如く7 外伝 名を消した男』真っすぐで不器用な桐生一馬の生き様に男泣き。一方でキャバクラやポケサーなどの遊びに夢中な姿にも笑い泣き
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セガが11月9日にPS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、Windows/PC(Steam)で発売する『龍が如く7 外伝 名を消した男』。本作は『龍が如く6 命の詩。』のラストで自ら名を消し、『龍が如く7 光と闇の行方』で主人公の春日一番たちの前に姿を現すまでの物語が描かれます。
そのため、本作は2024年1月26日発売の『龍が如く8』の布石となる位置づけになり、ナンバリングタイトルほどのボリュームはないとすでに公言されています。ですが、クリアまでプレイしてみるとそんな言葉はウソの如く、満足感の高い作品に仕上がっていました。
そこで1作目から桐生一馬の人生を追ってきたコアファン目線からどのあたりに惹かれ、そしてハマったのかをお伝えしたいと思います。なお、物語的なネタバレはありませんので、ぜひ警戒せずにプレイ前に読んで発売を待っていただければ幸いです。
※記事中のボタン表記はPS5、PS4になります。
ちなみに、ゲームクリア後には『龍が如く8』スペシャル体験版が解禁されます。TGS2023で行ったプロデューサー(シリーズチーフプロデューサー)の阪本寛之氏、ディレクター(チーフディレクター)の堀井亮佑氏へのインタビューでは、製品版では見られない物語的な補完もこの体験版に含まれていると言及がありましたので乞うご期待!
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これだよこれ! と言いたくなる桐生一馬のドラマにくぎ付け
『龍が如く6』では表舞台からの引退に寂しさを感じ、『龍が如く7』では春日を導くような人物としての登場に喜びを感じ、あらためて『龍が如く』シリーズには彼が必要不可欠だと思わせてくれた桐生一馬。ですが、残念ながら春日の前に姿を見せるまでに何をやっていたのかは語られず、会話からいろいろ想像するしかなくてもやもやが残っていたのも事実なんですね。
だからこそ、本作で大道寺のエージェントとして動いていたという事実が明かされ、その活動の最中にはさまざまな葛藤があったことを知ることができたのは、桐生一馬ファンとしてとても幸せでした。物語の序盤はエージェントとして管理されておとなしめですが、窮地に立たされると“桐生らしさ”がしっかり出てくるところも燃えました!
最後のほうになるとプレイしながら「これこそ桐生ちゃん」とテンション爆上がりでしたし、公開されているセカンドトレーラーにある桐生の号泣シーンでは、「よかったね」と思わずもらい泣きも……。
ちなみに、名を消したと言っても強烈な存在感を隠しきれるわけがなく、けっこう序盤から「桐生では?」と訝しげに見られることが多いです。そりゃあんなにケンカの強い男なんてそうそういないし、バトルになるたびに「ですよね」となったのも楽しかった(笑)。
そんな桐生の物語に大きくかかわる重要人物として本作ではエージェントの桐生を管理する花輪喜平、近江連合の鶴野祐樹と獅子堂康生、蒼天堀で影の顔役の赤目の4人が登場します。
もちろん、彼らにもしっかりしたバックボーンが用意されていて、距離が縮まるごとに印象がガラッと変わっていきます。とくに絶妙な距離感で桐生と付き合える花輪喜平は、これまでのシリーズにはいないタイプで新キャラクターです。淡々としながらも芯には熱いものを持つ彼は、きっとこれから人気が出そうな予感がします!
あとは赤目も好感度が高いキャラクターでした。演じているファーストサマーウイカさんの言い回しも見事で、「世界観にすごくハマったキャラクターが出てきたな」と、設定と合わせて大のお気に入りです。なお、彼女の人物像はサブクエストで深堀りされるのですが、そこも彼女らしさが出ていてよかったです。蒼天彫が今後も登場する場合は、レギュラーで登場してほしいくらいでした。
ひさびさのケンカバトルはスタイルチェンジが熱い!!
『龍が如く7』はジャンルがRPGとなりコマンドバトルを採用していましたが、本作は桐生が主人公の外伝のためひさびさのアクションが軸のバトルになっています。注目はバトルスタイルを自由に切り替えて戦えることで、1つは桐生らしさが全開なケンカスタイルの“応龍”。もう1つはさまざまなガジェットを使って戦う“エージェント”です。
操作した手応えとしては“応龍”は一撃が重く、おなじみの“虎落とし”のようなカウンター攻撃が得意で、どちらかといえばタイマン勝負向きな印象。アルティメットヒートモード(ヒートゲージが一定値以上でR2ボタン)を発動すると、まるでボクシングのラッシュのような怒涛の殴りを展開できるのも気持ちよかったです。
一方の“エージェント”はドローン(蜂)やタバコ型爆弾(蛍)などのガジェットを使い戦うのですが、こちらは素の状態だといまいちで、能力強化をして進化を発揮するという印象でしたね。なので強化にお金を注げる後半になるほど出番が増えました。また、“応龍”よりも攻撃がスピーディーな点も、ギアチェンジしたような手応えを感じられて満足です。
ちなみに、アクションバトルでいちばんのお気に入り要素は、強敵の必殺技に合わせてカウンターを当てる“アルティメットカウンター”。必殺技が当たる直線にR1+×ボタンで発動できるのですが、これがまた威力が抜群で、効果音も気持ちよく“決めてやった感”が半端なかったです。
それ以外にもお気に入りは、オブジェクトを使って殴ったりヒートアクションを繰り出せたりすること。「これこそ『龍が如く』シリーズのだいご味!」と思っているので、ヒートアクションでフィニッシュするたびに「桐生ちゃんが帰ってきたな~」と、喜びを噛みしめていました。
寄り道だけども遊びの密度が濃い赤目ネットワーク
本作のシステム的な注目ポイントとして用意されているのが、赤目がホームレスを情報網として展開している“赤目ネットワーク”。これは街の住人や赤目から依頼を受け、クリアすると報酬としてお金や赤目ポイントがもらえる内容になります。
この赤目ポイントはアイテムの交換に使うだけでなく、桐生の能力強化にも必要です。そのため、赤目ネットワークを進める=桐生の強さに直結するので、できれば挑戦できるタイミングで発生したものは、その時点でこなしておくとゲームを有利に進められますよ。
注目は赤目から受ける依頼で、こちらは報酬も多めながらその内容が『龍が如く』らしい展開のものばかり。なかには「おいおい」と突っ込みたくなる内容も。既出の情報ですが『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』で活躍した海藤正治も登場するので、ぜひコンプリートしてほしいですね。
外伝だからと侮るなかれ! 充実したプレイスポットこそが真の本編!?
本作は外伝という位置づけで価格もリーズナブルとなっているため、ナンバリングよりもこじんまりとした作品と思っている方も多いはず。ですが、それは大きな間違いで、『龍が如く』シリーズの華とも言うべきプレイスポットの充実っぷりはかなりのもの。そこに期待している人は必ず満足できると断言できますね。
そんなプレイスポットですが、本作では闘技場、カジノ、賭場、キャバクラなどが集合したキャッスルが登場します。ここでの遊びも本作のメインとなりますが、そのなかでも注目したいのは闘技場。闘技場にはタイマンで挑む“TOURNAMENT”、1対多数の“ZIGOKU RUMBLE”、特別ルールの“SPECIAL EVENT MATCH”、チームを編成して挑む“ZIGOKU TEAM RUMBLE”が用意されています。
注目は“浄龍会”と呼ばれるチームを編成して挑む“ZIGOKU TEAM RUMBLE”で、こちらは赤目の依頼をこなしたり、闘技場で戦った相手をスカウトして人数を増やすことができる仕組みです。『龍が如く6』の“クランクリエイター”を彷彿させる部分もあり、スカウトや育成にハマっちゃいましたね。
そして発表時から大きな話題を集めている、生キャバ嬢オーディションの合格者たちが実写で登場するキャバクラ。システムこそ好感度が上がる選択(会話)を選ぶだけとシンプルだけども、画面いっぱいに映し出される彼女たちとの会話は、実際に対話しているような錯覚に。キャバ通いが当分やめられそうにありません。
最後に語るプレイスポットはポケットサーキット。シリーズファンおなじみの要素で、今回もやり込み度抜群のモードとなっています。大会を勝ち抜いて上位を目指す流れは同じで、大会以外にライバルたちとの対戦も可能です(赤目ネットワークで増える)。
価格以上の満足感で『龍が如く8』の期待値が爆上がり!
というわけで、物語や主要なシステムについて語った形ですがいかがだったでしょうか。取り上げた要素以外にもロッカーの鍵やブティックでの着替えがあるなど、舞台となる蒼天堀を隅々まで活用した遊びが用意されており、物語や寄り道を含めてのボリューム感は十二分でしょう。
ちなみに、クリアまでは赤目ネットワークをほぼやり込んでの約20時間ほどでした。クリア後は序盤で立ち寄る横浜・伊勢佐木異人町(一部)にも行けるようになりますし、『龍が如く8』スペシャル体験版も遊べるし、それも含めて考えると大満足だったと太鼓判を押したいと思います。
(C)SEGA
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