【オクトラ大陸の覇者:3周年記念インタビュー】推しキャラとまた旅をしよう! オーバークラスアップ実装の真意【連載第1回】

タダツグ
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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用RPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) 大陸の覇者』が、10月28日に3周年を迎えました。

 3周年に先んじて“オーバークラスアップ”や“星の香炉”といったさまざまな新要素も実装され、ますます奥深さが増した本作。その魅力の根源をお聞きするべく、プロデューサーの鈴木 裕人氏、ディレクターの細川 晋太郎氏、プランナーの伊藤 幸祐氏にお集まりいただいてのインタビューを実施してきました。今回から複数回に分けて、お聞きしたお話をまとめていきます。

 初回となる今回は、“オーバークラスアップ”などキャラクターの育成要素を中心にお届け。なお、ストーリーのネタバレなどには言及しておりませんのでご安心ください。

※本記事はスクウェア・エニックスの提供でお送りします。

お祭りとなった3周年。キャラ育成とパーティ編成の幅が広がった“オーバークラスアップ”

──『オクトラ 大陸の覇者』3周年、本当におめでとうございます! まずはお3方に、今の率直な気持ちをお聞かせいただこうかと思います。鈴木さんからお願いします。

鈴木:はい。3周年ということで様々な施策を打ち出させていただきました。プレイヤーの皆さんには概ね好評というか、楽しんでいただけているようで我々としてもうれしいです。遊んでくださっている皆さんのおかげでここまで来られましたので、感謝の気持ちでいっぱいです。

  • ▲左からディレクターの細川 晋太郎氏、プロデューサーの鈴木 裕人氏、プランナーの伊藤 幸祐氏。

──鈴Pが周年タイミングで出されたプロデューサーレターは、熱がこもっていて心がほっこりしました。“帰る家として在りたい”という表現、本当に好きなんですよね。

鈴木:ありがとうございます。これからも皆さんがもっと住みやすくなるよう、引き続き環境を整えていくことに全力を尽くしていこうと思います。

──その発言だけ切り取るとハウスキーパーみたいですが(笑)。では、次は細川さんお願いします。

細川:まずは楽しんでいただけているようで何よりです。自分は3周年施策でいえば、“オーバークラスアップ”と“星の香炉”関連を担当していました。半年くらい時間をかけて作ってきた要素だったので、プレイヤーの皆さんに受け入れていただけてホッとしました。

──“オーバークラスアップ”に関しては、あとでたっぷりお話を聞かせていただきますね。それでは、次は伊藤さんから。ちなみに伊藤さんはこのようなメディアインタビューに登場されるのは初めてだとおうかがいしたので、簡単に自己紹介もお願いできればと!

伊藤:はい。プランナーの伊藤と申します。主にシナリオ関連に携わりつつ、ゲームの魅力をプレイヤーさんに伝えていくための企画を考えるお仕事をしています。3周年でいえば“猫島”企画なども担当しました。『大陸の覇者』のプロジェクトに参加したのは途中からになりますが、3周年に立ち会わせていただけたのは感無量です。これからも期待を裏切ることがないよう、身が引き締まる思いです。

──お3方とも今日はよろしくお願いします。では、さっそく色々とお聞きしていきますが。3周年での施策に関して、一番反響が大きかったのはやっぱり“オーバークラスアップ”になりますかね。

鈴木:そうですね。全キャラクターが星5になれるというのは皆さんが望んでいたことだと思うので、喜んでいただけたかなと思っています。

──一部のキャラクターは星5どころか星6まで実装されて、育成の幅がグンと広がりましたよね。あれにはビックリしました。開発陣には相当なカロリーがかかっているものと推察します。

鈴木:僕も、細川たち現場のチームメンバーに「本当にやれる?」って何度も確認していました(苦笑)。おっしゃるとおり、コストとカロリーはしっかり注いでやっています。ただ、半端に「このキャラクターたちを星5になれるようにしました!」とするよりは、「全キャラクターを星5になれるようにしました!」とするほうが、プレイヤーの皆さんにも喜んでもらえると思いますし、インパクトも強いだろうということで。開発チームには3周年に間に合わせる形で頑張ってもらいました。

細川:はい。ガンバリマシタ。

伊藤:心なしか目が虚ろに(苦笑)。

──相当ハードだったんですね(汗)。

細川:実際、かなりやりがいのあるお仕事でしたね……(遠い目)。それだけに、プレイヤーの皆さんに喜んでいただけてよかったです。

──“サイドソリスティア”スタート時に実装された“灯火の加護”、そして今回の“オーバークラスアップ”と、ここ最近の『大陸の覇者』はキャラクターの育成要素にすごく力を入れてますよね。これにはどういう狙いがあるのでしょう?

鈴木:RPGといえばキャラクターの育成ということで、おっしゃるとおり、我々としても特に力を入れている部分です。

細川:ただ、今挙げていただいた2つの要素に関していえば、狙いというか考えの発端は違ったものになっていますね。

──コンセプトが違う、と。具体的に教えてもらえますか?

細川:はい。まず“灯火の加護”ですが、こちらは“サイドソリスティア”という新しいシナリオ、新しい旅を始めていただくにあたり、既存のプレイヤーさんにもう1度“旅をしていくなかでの成長感”を味わっていただきたくて実装しました。

細川:これまでオルステラで冒険されてきた方々は、ほとんどのキャラクターがレベルMAXまで上がっている状況だったと思うので。旅をしながら成長を実感してもらうため、完全に新規の成長システムを組み込む必要があったわけです。

──たしかに、これまでの成長システムの延長線ではなく、まったく新しい要素が組み込まれたからこそ、ソリスティアでの冒険がすごくワクワクするものになった気がします。

細川:旅を続けることでキャラクターが増えていくと、どうしても育成が完了したキャラってメインパーティには入れづらいじゃないですか。

──まだ育成途中のキャラがいればそちらを優先してしまう側面はありますね。自分が好きなキャラクターほど育成の順番は早くなりがちですが、育ちきった以上、ずっとパーティに入れておくのは経験値的にもったいなくて(苦笑)。結果、パーティから外しがちになるというのはジレンマといえるかもしません。

細川:そういう方々に、もう1度新鮮な気持ちで自分の推しキャラと冒険してほしくて考えたのが“灯火の加護”というシステムです。TPを貯めてアビリティを獲得したり、パラメーターを底上げしたりするために、またお気に入りキャラをパーティに入れて冒険したって人も多いのではないかと。

──たしかに。そういう意味ではなつかしくもあり、新鮮でもある育成要素でした。

細川:一方、“オーバークラスアップ”は別の視点で実装したシステムで。おかげさまで『大陸の覇者』は3周年を迎えることができたわけですが、これに慢心せず、より長期的に皆さんにお付き合いいただけるタイトルにするにはどうしたらいいのか。それを根底に設計した成長システムになっております。

──なるほど。

細川:好きなキャラクターを育てて理想のパーティを作り上げることって、RPGの一番の楽しさだと思うんですけど。これまでの『大陸の覇者』は星3とか星4といったいわゆるレアリティの存在により、どうしてもそこに制限がありました。

──それは『大陸の覇者』が運営型のRPGである以上、商業的なものも含めて仕方のない部分だと認識していますが……。

細川:はい。ただ、もう3周年ということで、そろそろレアリティの制限は撤廃するというか、ある程度は自由度を高めてもいいのではないかとチーム一同で話し合いまして。

 同時に、毎日遊んでくれるプレイヤーさんも、平日はログインだけして週末に集中して遊ぶよってプレイヤーさんも、欲を言えばこれから始めてくださるプレイヤーさんも含めて、色々な人が楽しめる仕組みはなんだろうとアイデアを出し合ったすえに生まれたのが、今回の“オーバークラスアップ”と“星の香炉”になります。

──レアリティの制限緩和。こう言ってはなんですが、ソシャゲの運営の考え方としては相当珍しいというか、思い切った舵の切り方だと思いますよ。

細川:先ほども申し上げたとおり、すでにサービス開始から3年が経過したからこその措置ではあります。リリース初期から1周年、2周年のタイミングでは、こういう展開はまだ難しかったです。ただ、運営が長期化してくると、新しく登場させるキャラクターはどうしても性能を上げる必要が出てくるわけで。

──いわゆるインフレってやつですね。別にフォローの意図はありませんが、個人的にはゆるやかなインフレは擁護派ですよ。ゲームには開発費だって運営費だってかかっているわけで、しっかり売り上げが上がらないとサービスの継続そのものに支障が出るわけじゃないですか。

──そう考えたら、強いキャラを出すことでプレイヤーさんにガチャを回してもらう必要性は理解できます。プレイヤー視点で考えても、強いキャラを手に入れてパーティが強くなるのはうれしいわけですし。

細川:そう言っていただけるのはとてもありがたいです。とはいえ、ガチャにばかり頼らない売り上げのスタンスというのは、我々としてもしっかり考えていくべきテーマであり、今回トラベラーズパスにもテコ入れをしたのですが……一旦それは置いておいて。

 最近のキャラクターたちは少し前のキャラクターと比較すると、基礎ステータスこそさほど変わらなくても、バトルアビリティやサポートアビリティの内容で使い勝手に差がついていると思っています。

──最近のキャラクターのバトルアビリティは連撃の数が多かったり、複数の弱点を突ける技だったりと、便利なものが増えましたからね。

細川:その方向性はこれからも大きく変わりはしません。端的にいえば、アビリティの性能差で新しいキャラクターの価値は担保できると考えています。そしてそれは、3年もサービスを続けてこられた今の環境だからこそできていることなんです。

──言い換えれば3年の月日をかけて、星3キャラを星5、そして星6にまで引き上げても新しいキャラクターに価値を感じてもらえる土壌を作り上げたってことですかね。

細川:おっしゃるとおりですね。

──僕は先ほど“ゆるやかなインフレ”と言いましたが、今回の“オーバークラスアップ”に関してはある意味、低レアリティであればあるほど“爆発的なインフレ”になっていると思っていて。全体的な性能差は一旦縮まったわけで、誰でも入手しやすい星3、星4のキャラが強くなるのはプレイヤーにとって歓迎すべき部分だと思いました。好きなキャラをパーティに入れやすくなっただけでもうれしいですからね。

鈴木:ゆるやかなインフレをずっと続けていくと、一度ついていけなくなったキャラクターはずっと沈みっぱなしになる側面もあって。そういった意味で、今回の“オーバークラスアップ”はよかったと思っています。

 低レアリティのキャラクターに能力を上積みし、このタイミングで今一度バランスを整えたことで、結果的にゲーム全体のバランスがよくなる。そのおかげで、これからのゲームバランスも測りやすくなる……そういう形に仕上げられたかな、と。

──“天賦覚醒”や“灯火の加護”による強化の状況にもよると思いますが、星5キャラよりも星3から星6になったキャラのほうが高いダメージをたたき出せる局面もあったりするみたいですし。シンプルに「これはロマンがあるな」って思えました。

細川:総合的な使い勝手はどうしても新しいキャラに軍配が上がるとしても、条件が噛み合えばしっかり魅力を引き出せるというか。せっかく“オーバークラスアップ”した以上、使いどころはしっかり出せるように設計してるつもりです。

──すでに生放送で明言されている、今後実装予定の高難度バトルコンテンツなどでも輝きそうですしね。“オーバークラスアップ”には夢が詰まっていると感じました。素敵なシステム、本当にありがたいです。

“オーバークラスアップ”素材は覚醒石の欠片や商人猫の手形でも入手可能に

──ちなみに“オーバークラスアップ”関連の素材の入手量に関しては、ちょっと調整しますみたいなお話になったと思うんですけど。こちらはどのような形になるのでしょうか?

細川:記事が掲載されるタイミングでは、公式Xなどで告知されていると思いますが。こちらの素材関連についてお話する前に、まずはExアラウネとリンユウの復刻に際して、一部のプレイヤーさんに不利益と感じられる設計になってしまったことを謝っておきたいと思います。

──一部のプレイヤーさんに不利益と感じられるというのは、具体的には星6への“オーバークラスアップ”に関してということですよね?

細川:はい。現状(※インタビュー実施日は11月上旬)では星6への“オーバークラスアップ”に関して、星の香炉で素材を集めていただくか、または導きで星6状態のキャラを入手していただくかという限られた経路しか用意できていないわけでして……。

──たしかに、それはそうですね。

細川:星の香炉からの素材入手速度を考慮に入れると、「今すぐリンユウとExアラウネを星6にしたい!」という方にとっては、導きで入手するほうが早いということになってしまいます。ただこれは、すでに星5状態で天賦覚醒もIVまで到達しており、なおかつ必殺技も最大レベルまで育成が完了している方からすると、ただ星6にするためだけにガチャを回すことにつながるわけです。

──なるほど。手に入れた覚醒石の使いどころがないぶん、これまでほどのメリットが感じられないということですか。

細川:そのとおりです……。

──もちろん、星の香炉からの素材入手を待つという選択肢もありつつ。せっかく星6になれるのであれば、すぐに星6にしてあげたいという熱心なファンもおられるでしょうから、これは難しいところ……。

鈴木:我々としては、復刻でピックアップされたキャラがより使いやすくなるようにという意図でこのような形にさせていただいたのですが。結果的に、熱心なプレイヤーさんにとっては不利益だと感じられてしまう設計になってしまっていたことについて、配慮が足りていなかったと深く反省しております。不快な思いを抱かせてしまったプレイヤーの皆様にはこの場を借りてお詫びを申し上げつつ、早急に対処方法(※)を考え、決まり次第告知させていただくつもりです。

※編集部追記:この件に関しては、公式Xおよびゲーム内の“告知”にて進捗が報告されています。具体的には11月9日のメンテナンス終了後より、“覚醒石の欠片交換所”および“商人猫の手形交換所”にて、“オーバークラスアップ”に必要な素材を交換可能になるとのこと。また、今回の復刻で該当キャラを星6にすることだけを目的にガチャを回したプレイヤー(すでに覚醒石を5つ以上入手していたプレイヤー)に関しては、ガチャに使用したルビーを返還することも告知されています。

──“オーバークラスアップ”実装直後だからこそ起こった、意図せぬミスだとは思いますが。僕がこう言うのもなんですけど、プレイヤーさんのためにもしっかりと対処していただくことが大事だなって思いました。

鈴木:もちろんです。

──インタビューでお話をお聞きしている現段階ではまだ告知前ということで、具体的な数などまでは言いづらいかもしれませんが、施策の方向性についてだけでもお話いただけますか?

細川:はい。具体的には、“オーバークラスアップ”の素材に関して交換所でも入手可能となるよう調整します。覚醒石の欠片、または商人猫の手形との交換で、各クラスの英傑印や各ジョブの聖印を入手できる形ですね。レートは今の段階では最終調整中ですが、ちゃんと妥当だと感じていただけるくらいのものにしようと思っています。

──“オーバークラスアップ”の素材入手経路が増えること自体にはポジティブな印象があります。一方で、あまりにも入手量自体が増えすぎても、それはそれでコンテンツの寿命を考えたらどうだろうと思っていて。そういう意味では、あまり安易に手に入り過ぎてしまうのは違うかなって思っちゃいますね。少なくとも現状では“オーバークラスアップ”にそれくらいの特別感があってほしい気もします。

鈴木:そうですね。慎重に検討させていただきます。

──これは本末転倒かもしれませんが、個人的には“なれるけどしない”って選択肢もあるのかなって。というより、僕はまだ星5から星6にしたキャラって誰もいないんですよ。

伊藤:なるほど。最初に星5から星6に上げるキャラを決めているってことですかね?

──はい。僕は、うちの旅団のリーダーだと決めているフィオルを、最初の星5から星6への“オーバークラスアップ”キャラにしようと決めていて。何しろ、うちの大事な“選ばれし者”ですからね。この『大陸の覇者』に関しては、そういうところにもこだわりたい気持ちがあります。もちろん、僕の個人的な考え方としてです(笑)。

伊藤:実装されたらすぐに星6にしていただける熱心なプレイヤーさんの存在はとてもありがたいですし、ストーリー的な側面からそのようなこだわりを持っていただけるのも、我々としてはうれしいです。『大陸の覇者』はシングルプレイRPGですから、ぜひご自身のスタンスでプレイしてもらえればと思います。

<連載第2回へ続く>

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OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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