インタビュー:『シャニソン』書き下ろしシナリオ、新キャラの魅力から今後の展開まで、高山Pに気になることを聞いてみた【アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism】

Akてけおん
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 11月14日にサービス開始を控え、事前登録受付中のバンダイナムコエンターテインメントの新作アプリゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』。開発プロデューサーの高山祐介氏へのインタビュー記事をお届けします。

 本作は、アイドルたちを育成し、輝くステージへと導く“アイドル育成シミュレーション&リズムゲーム”です。

 プレイヤーは、芸能事務所“283(ツバサ)プロダクション”のプロデューサーとして、個性豊かな28人のアイドルたちと日々を過ごし、レッスンやお仕事を通して彼女たちをアイドルとして成長させていくことになります。

 サービス開始目前に控えた今、高山さんがどういったことを考えながら本作の開発を進めていったのかを伺いました。(※このインタビューは11月8日に実施したものです)

『アイドルマスター』が持つ本来の魅力――“アイドルが歌って踊る姿を魅せる”――を生かせる作品を作りたかった

――『シャニマス』が5.5周年を迎えた今、『シャニソン』を制作した理由をお聞かせください。

高山祐介氏(以下、高山P):元々enza対応ゲーム『シャニマス』はプロデューサーと一体一のプロデュース表現やライブ対戦が中心でしたが、「アイドルが歌って踊る」という『アイドルマスター』が持つ魅力を活かしきれてないという思いがありました。そのあたりの魅力をお届けできるタイトルを制作できればというところが、開発の根底にあります。

――8月末にYouTubeで配信された“開発進捗報告会”では、プロデューサーの皆さんに向けて、その時点で『シャニソン』がどういう開発状況なのかわかりやすくお伝えされていたかと思います。今後もあのような配信を実施されるご予定はあるのでしょうか?

高山P:個人的にはぜひ実施していきたいと思っています。ただ、配信頻度がどのくらいになるかはまだ未定です。

――8月の開発進捗報告会の手応えはどうでしたか?

高山P:大きな反応としては、MVの修正についてですね。まさにアイドルを描写する大事なポイントと思っていますので、プロデューサーの皆さんのご意見を踏まえた改修ができ、そこをすごく好意的に受け止めてくださったのかなという印象です。

――『シャニソン』やアニメから『シャニマス』シリーズを始めても問題はないのでしょうか?

高山P:はい、『シャニソン』からシャニマスに触れていただく方でも、アイドルの魅力を知っていただけるように、プロデュース時のシナリオを構成しています。もちろんアニメでもそれぞれのユニットの魅力を知って頂けるような作りになっているので、問題ありません。

――enza対応ゲーム『シャニマス』における“グレードフェス”のような対人要素はありますか?

高山P:将来的な構想としては検討もしていますが、サービス開始時にはありません。プロデュースパートでアイドルやアイドルユニットを育成し、ライブパートでリズムゲームを通して輝かせる、というのが最初にご提供する遊びですから、プロデューサーの皆さんの反応も含めて考えていきます。

――DMM GAMES版のリリースも発表されていましたが、改めてどんなモードが楽しめるのでしょう?

高山P:DMM GAMES版では、プロデュースパートはもちろん、ライブパートはオートライブとしてプレイできます。PCでのプレイですから、アイドルのビジュアルを大画面で楽しめるほか、じっくりと腰を据えてプレイをできるのも特徴ですので、しっかりとプロデュースパートを考えながらやりたい人にもオススメです。特にenza対応ゲーム『シャニマス』ではおもにPCでプレイをしていたという方にもおすすめになります。

『シャニソン』では新楽曲や新シナリオを毎月追加予定

――サービス開始直後のボリュームについて教えてください。

高山P:ユニットが8ユニット登場しますので、それぞれ1本ずつ“プロデュースシナリオ”がプレイできます。enza対応ゲーム『シャニマス』でいうW.I.N.G.編や感謝祭編のようなプロデュースモードに、8種のシナリオがあるようなイメージですね。難易度も複数に分かれているので、初期からボリューミーな内容になっていると思います。

――難易度というのは、いわゆる音ゲー部分以外にプロデュースシナリオにもあるのでしょうか?

高山P:プロデュース、ライブ、どちらにもあります。“プロデュースシナリオ”では難易度がEasy、Normal、Hardの3つにわかれています。今回のプロデュースで採用しているプロデュースカードゲームのルールなど、ユニットによって立ち回りが大きく異なってくるので、まずはEasyでコツをつかんでいただければと。

――難易度によって具体的にどういったものに違いが出てくるのでしょうか? 育成するユニットの強さが変わってくるのですか?

高山P:例えばですが、スケジュールの抽選ロジックが変化したりします。Easyでは体力の管理をある程度簡単にするために、体力を回復できるタイミングが他の難易度よりも登場しやすかったりします。

 一方Hardでは体力回復の機会がEasyに比べて少なくなっているため、その分をレッスンやお仕事などの能力アップに行動回数を割り当てられますが、より計画的に行動しなければいけなくなります。今ご紹介したのはほんの一部ですが、難易度によって、スケジュール選択の立ち回りや、プロデュースカードデッキの構築などを変えていく必要があるでしょう。

――サービス開始時の収録楽曲数はどれくらいになりますか?

高山P:初期収録曲は18曲です。ユニットごとに1曲ずつで曲8、ソロが8曲、それ以外の全体曲が2曲ですね。月におおよそ3~4曲ずつ増えていく予定です。そして、現在劇場放映中のアニメオープニングテーマの『ツバサグラビティ』もプレイいただけるようになります。

――楽曲は毎月増えていくとのことですが、ゲーム内で実施されるイベントなどに合わせて追加されていく形ですか?

高山P:毎月、ユニットの歌う新曲が追加される、『シャニマス』でいうシナリオイベントにあたるような“楽曲ストーリーイベント”を実施します。イベントの内容としては、追加される新曲に限らずリズムゲームをプレイするとイベント報酬を得られるような形式で、同じ曲をプレイし続けるようなイメージではありません。

 またプロデュースパートについても、初期に実装されているエピソード1以降の“プロデュースシナリオ”にあたる各ユニットのエピソード2を順次追加予定となっていて、同時に既存のユニット楽曲もライブパートでプレイできるようになります。そしてソロ曲も月に1曲のペースで追加されます。全体楽曲もタイミングを見て追加予定です。

――初期18曲についても、MVは全部付くのでしょうか?

高山P:はい。初期実装される曲も含めて、すべての楽曲にMVが付きます。

――すべての楽曲にMVが付くとなると、制作にはかなり手間がかかっていそうですね。

高山P:ええ。MVの制作はかなりロングスパンになっています。初期実装の曲に関しては、開発初期から作っていました。現在は、初期実装の曲を制作していたタイミングに比べると開発のノウハウも集まってきたので、プロデューサーさんの意見も参考に手を入れ直す部分があるだろう、と改修に着手したという形ですね。

――具体的にはどのような改修がされたのでしょうか?

高山P:開発当初と比べると、MVによっては大きく印象が変わっているものもあります。開発中にモーションキャプチャ―の撮影技術、カメラワークの作り方、構成の切り方、あとは表情の付け方など、様々な面で改善をできてきました。
 システム的な部分でも、モデルにできるだけ干渉しないよう髪の毛や衣装の押し出しのシステムを改修したり、全体的に負荷を軽減してフレームレートを向上させたり、口の動きであるリップシンクを細かく制御できたりなど、できることが増えていきましたね。

――すでに公開されているMVも、ここからさらに変わっていくこともあるかもしれないのでしょうか?

高山P:ありますね。今YouTubeに上がっている映像も、とくにリップシンクに関しては直近でアップデートを行いましたので、サービス開始後、ゲームでご覧いただく映像は細かい調整が入っています。

――プロデュースアイドルやサポートキャラクターなどについて、収録ボリュームはどのくらいになりますか?

高山P:最高レアの★3で登場するプロデュースアイドルが8人。SSRのサポートキャラクターは9人です。毎月★3プロデュースアイドルは5人程度、★2プロデュースアイドルもイベント報酬やガシャで多数追加されます。SSRサポートキャラクターも数枚ずつ増えていく予定です。

――3Dだと制作が大変そうだなとは思うのですがいかがでしょう?

高山P:はい、プロデュースアイドルは3Dで表現されるので、アイドルの魅力を引き出すために力を入れているところではあります。『シャニマス』では最高レアリティSSRのプロデュースアイドルはユニット衣装で登場していましたが、『シャニソン』ではアイドル個々人の魅力を打ち出すような個別の衣装になっています。ユニット衣装は★2で登場するのですが、★3はそれぞれアイドルごとに衣装のコンセプトを変えて作っているので、どうしても手間がかかっていますね。

『シャニソン』での新曲に紐づくシナリオはすべて書き下ろし!

――改めてプロデュースパートの魅力について教えてください。

高山P:プロデュースパートのゲーム性については、全3シーズンを、スケジュールを選択しながらアイドルの能力向上を目指します。レッスンやオーディションではプロデュースカードゲームで遊んでいただくのですが、こちらでは語弊なく言えば“ローグライトカードゲーム”のような遊び応えを目指しています。

 プロデュースではユニットごとの特徴を意識したプレイが大事でして、スケジュールを選択しながらパラメータの向上とプロデュースカードを集めてデッキを構築する必要があります。

 能力の向上を目指してお仕事を選択するのか、プロデュースカードを集めてデッキを強化するためにレッスンを選ぶのか、はたまたデッキのカードが増えすぎても狙った手札が出ないなどもあるので、ユニットごとの強みや特徴を意識していただくことで、ユニットごとに違ったプレイが楽しめると思います。

――プロデュースパートはenza対応版のようにシナリオが追加されていくのでしょうか? また、それによって遊び方も変わるのでしょうか?

高山P:プロデュースパートでは、毎月新エピソードが配信されます。ゲーム開始時から各ユニットのエピソード1でプロデュースいただけるので、1ユニットずつ新エピソードを追加します。ゲーム進行が根本的に変わるというよりは、プロデュースカードを拡張させていくことでデッキ構築の楽しみが広がります。もちろん、ユニット毎のプロデュースシナリオもお楽しみいただける形です。

 その他細かい要素では、条件を満たすと分岐できる“サブシーズン”と呼ばれる要素も拡張され、より行動の幅が広がるイメージで制作しています。

――本作をリズムゲームに特化するのではなく、“プロデュースシナリオ”を導入した狙いについてお聞かせください。

高山P:もちろん、純粋なリズムゲームとして提供することも選択肢にはありましたが、『シャニマス』が持つ楽しさ――アイドルを育成したり、アイドルと交流してシナリオを楽しんだりといった部分を踏まえたリズムゲームにしたいという思いがありました。そのため、育成とリズムゲームどちらも楽しめるようなゲームデザインになっています。

――『シャニソン』における“プロデュースシナリオ”の内容はenza対応版と同じですか?

高山P:プロデュースパートの各エピソードは、基本的には、enza対応版におけるW.I.N.G.編シナリオや各ユニットのイベントシナリオを踏まえた内容になっています。

 enza対応版では見えていなかったプロデューサーの立ち回りであったり、お話の裏でプロデューサーとアイドルにどんなストーリーがあったのか?のように、今まではカメラが入っていなかった部分を『シャニソン』では新たに描くイメージで制作をしているので、enza対応版をすでにプレイしている人でも新たな気付きがあると思います。

 逆に『シャニソン』から『シャニマス』を始めていただいた方でも、「enza対応版ではどうだったんだろう?」っていう風に、enza対応版をお楽しみいただくこともできると思います。

――高山さんとしては、こういう風に遊んでもらいたいという考えはありますか?

高山P:プロデュースしたアイドルたちがステージに立つというところを見守って、それで得られる感慨深さを体験していただきたいなという思いがまずあります。とはいえ、リズムゲームがしたくて『シャニソン』を始めたという方もいらっしゃると思いますし、そうした需要にこたえられるようにはなっています。

――プロデュースなしで、リズムゲームだけでも楽しめるのですか?

高山P:はい。育成を終えないとリズムゲームができないとか、そういった形でプロデュースパートのプレイを強制するような形にはしていません。リズムゲームだけでも楽しめるようになっているのでご安心ください。

――先ほど“プロデュースシナリオ”についてお伺いしましたが、イベントシナリオについてはenza対応版と別物なのでしょうか?

高山P:はい、enza対応版のイベントシナリオは、アイドルの成長とユニットの歩みを含めた最新の物語が描かれるような内容になっていましたが、『シャニソン』ではユニットの新曲のイメージを大切にしながら、アイドルユニットのストーリーを描くようなシナリオになっています。

 『シャニソン』からプレイいただく方もいらっしゃるでしょうし、enza対応版のイベントシナリオをすべて読んでいないと理解できないようなストーリーにはなっていません。それぞれ別の楽しみ方ができるようになっています。

――アイドル個別のシナリオも『シャニソン』で読めたりするんですか?

高山P:プロデュース中は、ユニット共通パートとアイドル個別のパートに分岐をしながら、シナリオが進行します。ユニットのプロデューサーとしても、アイドル1人1人のプロデューサーとしてもシナリオを楽しめますね。また、プロデュースとは別に用意されているストーリーモードでもアイドル個別のストーリーを楽しめます。

――アイドルそれぞれのデビューの経緯についても描かれるのでしょうか?

高山P:それはシナリオによりますね。コメティックに関しては、どういう経緯でユニットになったのかについても描かれるのでご期待ください。

――『シャニソン』から登場するコメティックについてもお聞かせください。

高山P:『シャニマス』にルカが登場した当初は、283プロに合流するかは未定でした。ストーリーが進むなかで合流の道も見えてきましたが……そこでルカのストーリーは終わらないなと感じまして。彼女にとっての居場所が欲しい、となったのが、コメティックの出発点ですね。

 先ほどお伝えした通り、『シャニソン』のプロデュースシナリオではコメティック結成の物語も描かれます。enza対応版でもコメティックのストーリーは語られていきますので、併せてお楽しみいただけると嬉しいです。

――毎月追加される新曲に紐づくシナリオはオリジナルですか?

高山P:はい、『楽曲ストーリーイベント』で描かれるシナリオはすべて新しい内容です。あとはストーリーモードに収録されるユニットストーリーとアイドルストーリーも書き下ろしの内容になっています。さらにガシャやイベント報酬で登場するプロデュースアイドルに紐づく新しいシナリオもありますし、サポートキャラクターのイラストカードに紐づくシナリオもあります。

――シナリオはかなりボリューミーになっていますね。どこから読み始めるか迷うところですが、最初は“プロデュースシナリオ”から楽しむのが推奨ですか?

高山P:『シャニソン』でそのアイドルを初めて知る方もいらっしゃると思っていますので、そうした方については、“プロデュースシナリオ”から楽しんでいただくのがいいかなとは思いますが、お好きなように遊んでいただくのは一番かなとは。

enza対応ゲーム『シャニマス』のアップデートも引き続き行っていく

――テキスト周りの演出については、enza対応版とはどんな違いがあるのでしょうか?

高山P:enza対応版のシナリオはどちらかというと、プレイしながら読むよりは、シナリオはシナリオ、ゲームプレイはゲームプレイで別という形です。そのぶんシナリオの演出――例えば表示するまで少し時間を空けたりといった、情緒感のある演出などにも力を入れていましたが、中にはプレイしながら読むのにはテンポが悪い、といった印象の方もいらっしゃったかもしれません。

 そういう意味で『シャニソン』はどちらかというと、ゲームプレイの中でシナリオを楽しんでいただくにあたってのテンポ感も大切にしながら、シナリオを楽しんでいただくための必要な演出を入れ込んでいるというイメージになります。

――enza対応版との連動要素はありますか?

高山P:連動キャンペーンのような取り組みは今後検討していきたいとは思いつつ、サービス開始時点では連動要素はありません。enza対応ゲーム『シャニマス』を長らくプレイいただいているプロデューサーさんや、新規で『シャニソン』に触れていただく方もいる中で、連動要素を強め過ぎてユーザー間で差が生まれてしまう、というのは避けるべきだと考えました。ですが、『シャニマス』と『シャニソン』が揃った時点で、どちらも楽しんでいただくような取り組みは考えてみたいところです。

――『シャニソン』のサービス開始後、enza対応ゲーム『シャニマス』のほうのサービスはどんな展開になっていくのでしょう?

高山P:新たなゲーム要素であるマスターズフェスを追加したり、『シャニソン』が登場しても変わらずアップデートしていきたいと思っていますし、2024年4月に迎える6周年のタイミングにもまた新しい仕掛けや楽しみをプロデューサーさんたちに提供できたらなと思っていますので、2タイトル、そしてアニメを含めて『シャニマス』の世界を楽しんでいただきたいなという気持ちですね。

――『シャニソン』に期待しているプロデューサーさんたちに向けて最後にメッセージをお願いします。

高山P:4月29日に発表させていただいてから、ご提供まで半年近くお待たせしました。その間にもプロデューサーの皆さんには実際に触れていただいたり、さまざまなご意見をいただいたりして、そのおかげで開発を進めてくることができました。もうすぐゲームをお届けできるのが本当にうれしいです。ぜひ、シャニソンのプロデュースをライブ体験をお楽しみいただきたいです。


 『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』は、11月14日にいよいよ正式サービス開始予定です。事前登録をして待ちましょう!

※情報は、発表日現在のものです。発表後予告なしに内容が変更されることがあります。あらかじめご了承ください。
※画面は開発中のものです。
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

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