『チェンクロ』がゲーム実況配信アプリ“ミラティブ”で生まれ変わる! 懐かしいけど新しい体験ができる『ちぇいんくろにくるローグ』開発者インタビュー

マスクド・イマイチ
公開日時

 セガが配信するiOS/Android用RPG『チェインクロニクル』。そのスピンオフタイトルとなる『ちぇいんくろにくるローグ(以下、ちぇんログ)』が“ミラティブライブゲーム”で11月9日より配信がスタートしました。

 セガが10年以上運営する『チェンクロ』が、新しいタイプのゲームとしてスマホ向けゲーム実況配信アプリ“ミラティブ”に登場。プレイヤーはステージクリア型のバトルを配信し、その配信を見る視聴者がバトルに介入できるという新たな楽しみ方が用意されています。

→『ちぇんログ』のレビューはこちら

 サービスが始まったばかりの本作ですが、その開発・運営のキーマンとなる2人にインタビューを敢行。『チェンクロ』の総合ディレクターであるセガの松永純氏と、ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏のお二人にお話をうかがいました。お二人は、本作でプロデューサーを務めています。

  • ▲『チェインクロニクル』総合ディレクター・セガ 松永純氏。
  • ▲ミラティブ代表取締役 赤川隼一氏。

 『ちぇんログ』が作られることになったきっかけや、お二人が目指す“懐かしいけど新しい体験”について語っていただきました。(※インタビュー中は敬称略)

※プレイいただく際、Mirrativのダウンロードが必要となります。

『ちぇんログ』開発経緯。開発期間はわずか半年!?

――まずは『ちぇんログ』の開発の経緯をお聞きしたいのですが、セガさんとミラティブさん、どちらからのアプローチで始まったのでしょうか。

赤川:ミラティブでは、昨年2022年からライブゲームの本格的な開発をスタートさせました。いろんなパートナーさんに開発環境を開放し、タイトルを作っていくなかで手ごたえのある成果が出てきたところで、去年の11月にセガさんらから資金調達をいただくという流れがありました。

 その際、今までのゲーム実況にはプレイヤーとオーディエンスの関係しかなかったところに、オーディエンスがゲームに介入していくという「ライブゲーム」の新しいゲーム体験のポテンシャルにご賛同いただいたんです。その頃にはまだ『チェンクロ』で何かを作ろうというところまでは固まっていなかったですね。ディスカッションを重ねていくなかで、「『チェンクロ』の新作どうですか?」と松永さんからお話をいただいたという流れになります。

松永:セガ側の話で言うと、もともと僕のほうで「『チェンクロ』で新しいことをやりたい」というのが昔からずっとあって。10周年祭のときにも話をしていたのですが、『チェンクロ』がこれから先も続いていくなかで、2つの命題があるなと思っていたんです。

――その2つとはどんなことですか?

松永:1つは、10年続いてきた『チェンクロ』を、改めていろんな人たちにも遊んでほしいということ。よく『こち亀』や『ゴルゴ』を今から読みはじめるのは大変という例を出しますけど、10年やっていると「途中からやるのはつらいよ、このアプリ」という人がとても多くて。なので、アプリの外で『チェンクロ』の魅力を知ってもらえるタイミングを作りたいなと思っていました。それをするならば、ストーリーの魅力は本編をやってもらうのが一番なので、もうひとつの売りであるバトルのおもしろさを別の形で伝えたいなと。

 もう1つは、『チェンクロ』をずっと楽しんでくださっている方々に向けてです。10周年のイベントでも強く感じたのですが、ファンの方々同士でもっと交流できる機会を作りたいということです。でも一方で、『チェンクロ』は1人で楽しめるRPGであることが大切で、本編の『チェンクロ』にギルド要素やPVPを入れるとかはご法度だと思っていて、それは今後もやる予定はなくて。だとすると、これもアプリの外側で何かできたらいいなって考えていました。

 超都合がいいことを言うのなら、『チェンクロ』を知らない人がやって「あ、これおもしろいじゃん!知らなかった!」って言ってくれて、さらに『チェンクロ』を知っている人が「この『チェンクロ』、みんなでワイワイできて楽しいぞ!」と盛り上がれる、そんな一挙両得な夢のアプリが作れたらいいなと思っていたんです。

 そうしたらミラティブさんとの話がちょうどあって、「この視聴者と配信者がいっしょになって楽しむライブゲームって、まさにもうそれじゃん!?」となって、「ハイハイハイ!作ります!」と手を挙げさせてもらいました(笑)。

――セガのなかで「ミラティブで何かやりたい人~?」みたいな募集があって、渡りに船と手を挙げたのですね。

松永:ですね。もともと『チェンクロ』の生放送なんかでも、視聴者のみなさんのコメントを画面に反映させて遊ぶミニゲームを作ったりしていて、1人用ゲームをワイワイみんなで楽しむイメージみたいなものはあったんですが、独立したゲームとして展開するにはサーバとかコミュニティ運営とか無理があるよなぁと思っていたなかで、ミラティブのライブゲームを見て「これだこれ!」みたいな。それで手を挙げたのが今年の春先ぐらいですね。で、すぐに企画書を書いて、赤川さんとの会議に参加させてもらって。

――ではこの数カ月でできあがったタイトルなんですね。

松永:はい、「わっ」とできあがって、今ここまできました。本当に奇跡的なタイミングでの出会いでしたね。

赤川:そうですね。今、松永さんからいい話をいただいたんで僕の方でも重ねてみるのですが(笑)。10年前、リリース当時から『チェンクロ』は触らせてもらっていましたし、松永さんのことも存じ上げていました。当時ってスマホゲームの市場の流れが変わってきた、スマホゲームというものが新しいものとしてユーザーに普及していくなかで、10年以上続く新しい体験を提供したものの1つに『チェンクロ』があったと思っています。なので、その新しい匂いを探し当てて新しい体験を作れる松永さんがミラティブのライブゲームに何かを感じてくれているというのは、すごく光栄です。

 このライブゲームという体験自体がまだ世の中に広まっている最中ですが、10年経ったら当たり前の、スタンダードな体験になっていると確信しています。普通に考えて、10年後にYouTubeでゲーム実況を見ていて、視聴者からできることがチャットとスーパーチャットだけということはありえないだろうと。ゲーム実況が当たり前になってきたなかで、新しい体験が出てくるというのは確信していて、それをどう実際の体験に落とし込むかというのを1年ぐらいいろいろやってきました。

 そこで松永さんと『チェンクロ』という、ファンもたくさんいらっしゃって、新しい体験を作れそうなパートナーができたというのは僕らにとってもすごくいいタイミングだったと感じています。

ミラティブのライブゲームだからできる新しい魅力

――ライブゲームの特徴は、やはりチャットを送って感想などを伝えるだけでなく、ゲームのアイテムを贈ったりする部分が主なのでしょうか。

赤川:僕らも松永さんとディスカッションして進めているのですが、ライブゲームというのは、本当の意味での新しいソーシャルゲームだと思っているんです。ソーシャルゲームという表現がこの十数年で変わってしまったような気がしていて。元々はSNS上での交流が起こるという新しい楽しさがあったものが、気が付くとガチャが入っているゲームのことを“ソシャゲ”というような流れがあったかなと思います。本来的には、最初期で言うと自分の花壇に友だちが水やりに来てくれたりとか、そういうコミュニケーションの楽しさがソーシャルゲームにはあったわけですよね。

 視聴者が参加してくるというのもそうですし、単純に視聴者があるキャラを育てた状態で配信を見に来てくれると、そのキャラを配信者が借りられたり。10年前と違うのは、その場で配信者の口から「〇〇さんのキャラのおかげで勝てました!」と感謝をしてもらえるとか。そういう新しい交流の形というのがゲームデザインに組み込まれているのが、ライブゲームの魅力だと思っています。

 わかりやすい例として視聴者が「マナ投げます!」みたいなのもあるんですが、もう少しいろいろな形でコミュニケーションが豊かになるようなゲームデザインというのが今回の『ちぇんログ』には組み込まれているので、その辺を楽しんでもらいたいと思っています。

松永:そうですね。マナを投げたりといった直接的な介入もあるんですけど、赤川さんが今話したようにソーシャルゲームの進化系みたいなところを今回突き詰めていて。逆に何もしなくてもいいんです。「見ているだけでもいっしょに遊んでいる感覚になれるゲーム」なんです。

 ふつう、みんなでいっしょに楽しむってなると、例えば対戦ゲームだったりマルチプレイの『モンスターハンター』のようなゲームになると思うんですけど、それって参加したら「絶対めっちゃ頑張らなきゃダメ」じゃないですか。でも、このゲームは誰かが一生懸命プレイしているのを、横でただ見ていて、なんとなく応援しているだけでも楽しいんです。たとえば見ていることで配信者にバフがかかったり、自動で育成したキャラをポンと渡せたり。そういうのが入っていて。もちろんマナを贈る、敵をふきとばすとか直接的な介入をしてもいいし、どっちも楽しいという遊び方の幅の広いゲームになっています。

 僕もプレイを配信するタイプのゲームというのはもちろん作るのが初めてなので、どんな感じなんだろうとドキドキしながら作ったんです。でも、想像以上にミラティブさんの用意しているこのプラットフォームがいい意味でゆるいというか、ミラティブさんのコンセプトが「誰でも配信者になれる」というところだと思うんですけど、本当に気軽に配信できる感じになっているのがいいですね。

 無言で配信している人とかもいて。「今日は無言です」みたいな説明が書いてあって、そういうときは「今日はこの人このステージやってるんだ~」ぐらいの感情で、見る側もぼーっと眺めるみたいな。そういうゆるいコミュニケーションもできる幅があって、遊びやすくておもしろいなと思いました。配信っていうと、スター配信者みたいな人がいて、そういう人しか配信しちゃいけないんじゃないかとか、見る側も配信者さんにギフトしなきゃいけないとか、チャット1つ送るのにも気を遣うのかなとか、身構えてたんだけどすごく自由な感じで。

 実際、普通にゲーム遊ぶユーザーさんがあるときは配信して、あるときは視聴してって交互にやってたりする感じのプラットフォームなので、シンプルにゲームを楽しみたいって人から見て、すごくやりやすい場だなって思って。それはきっと、『チェンクロ』を遊んでくれているファンの皆さんにとっても入りやすいし、同じ感覚になれる場所だなと感じました。なので、このゆるくみんなで楽しむという新しい体験を、ぜひプレイしていただきたいですね。

――今、いろんな配信アプリが存在していますが、ミラティブさんの特徴というのはやはり手軽さというところにあるのでしょうか。

赤川:そうですね。元々のコンセプトは「友だちの家でゲームをやっている感じ」というのがあったり、事実としてスマートフォン1つでゲーム実況できるようなサービスを提供したのは僕らが世界で初めてでした。また、配信者数に限って言うと、ミラティブはグローバル大手のサービスを含めても日本ではいちばん多いんです。とにかく配信を始めやすい、気軽に配信できるというのがミラティブの特徴の1つですね。まさに無言で配信する人がいてもいいとか、どうせゲームをするなら誰かと交流しながらやったほうがおもしろいとか、そのどちらのニーズも満たしていると思っています。

――友だちの家で、友だちがRPGのレベル上げをしているのを隣で見ているような感覚、いいですよね。それこそゲームの話をしなくても、その日の学校であったこととかテストの話をしながらレベル上げを眺めているような。それで「あ、今の分かれ道、右行った方がよかったんじゃない?」とか思い出したようにゲームの話をしたり。そういう思い出は私にもあります。

赤川:それはすごく大事にしているところで、ガチの攻略情報を話さなきゃいけないみたいな感じではなくて、雑談しながら周回していてもいいじゃん、と。それは今だからできる体験だなと思っています。

松永:そのうえで、たまに「俺にも1機(1プレイ)やらせて!」みたいな感じも出せるようにしています(笑)。それぐらいの手軽さがすごくいいなと思います。

シンプルだけどおもしろい、『チェンクロ』のバトルの原点回帰

――今回の『ちぇんログ』で新しいユーザーも入ってくると思いますが、古参の濃いユーザーと新しいユーザー、その融合みたいなところも期待していますか?

松永:まずは今ミラティブを使っているユーザーさんにはぜひ触ってほしいと思っていますね。そのうえで、『チェンクロ』を今やってくれているユーザーさんにも、「あ、この感じ新しいな」って言ってもらえるゲームになったと思います。今回ゲーム性も、2キャラでバトルをスタートするからライン移動の操作がめっちゃ大事とか、初期の『チェンクロ』の頃みたいな、原点回帰した楽しさが味わえる内容になっています。『チェンクロ』のコアなファンとか、長くやってくださっている方は絶対楽しめると思います。

 その結果、そこで交流が生まれたらいいなと。今の『チェンクロ』のユーザーさん同士で友だちの家に遊びに行く感じで楽しむというのも全然アリだと思いますし、新しいユーザーさんと楽しむのもアリだと思います。そこはいい広がりになってほしいですし、まだ未知数なところだと思います。単純にこの話を聞いて「なんか、おもしろいことやってんじゃん!」って、ミラティブユーザーでもチェンクロファンでもない人に遊びに来てもらえたら最高ですね。

――ゲーム性のところで言うと、少し触ってみた感じシンプルなのがいいなと思いました。最近の『チェンクロ』はスキルやアビリティの数や種類、効果も多いですし、たぶん説明を読むだけで普通の人は頭がパンクしちゃうと思うんです。今回はそこをすごくシンプルにしてきたなと。『チェンクロ』1部の頃を思い出しました。

松永:「キャラが1人増えたらバトルがぜんぜん変わる」とか「このラインにだれを当てれば守り切れるか!?」とか、そういう初期のゲームデザインの感覚を『ちぇんログ』では意識して強くしています。オートバトルも入っていないので、まさに操作することのおもしろさを楽しんでほしいなと。はじめての方にも、古参のファンの方にも楽しんでいただきたいなと思っています。

――視聴者の介入要素の1つであるふきとばしがすごい重要そうだなと思ったのですが、こういった介入要素が増える可能性はありますか?

松永:いえ。まずは皆さんにこのゲームを楽しみつくしていただいてからかなと思います。ライブゲームは配信せずにソロでも遊べるんですけど、配信しないで遊んでも『チェンクロ』のユーザーさんが「新しい!」って思ってもらえるような要素が存分に入っています。

 基本のゲーム性も、バトルだけじゃなくてマップを進行してイベントをこなしながらボスを目指して進んでいくという、いわゆる「ローグライク」の作りにしていて。ステージの途中で、パーティをどう強化していくかを考えていくのが楽しいゲームになっているんです。

 スタートはキャラ2人なんですが、ステージの途中で仲間が増える仕組みになっていて、それは自分が育てたキャラも登場しますし、視聴者のキャラも助っ人で登場します。誰を仲間に入れようかと悩みながら進めてもらうところは非常におもしろいんじゃないかと思います。パーティ全体がそのステージ中強くなる特別なバフアイテムも用意していて、キャラとアイテムの2軸でパーティ構成のシナジーを楽しめるようにしています。そのほか『チェンクロ』の本編でやっていないような遊びもたくさん入っているので、バトルを楽しむゲームとしておもしろがってもらえるのではと思います。

 あとはシンプルにふきとばしで助けるとか以外にも、イベントで「旅の魔法使いの〇〇(視聴者の名前がランダムで入る)が現れた!」とか、ちょっとした視聴者との絡みも用意しています。そういういっしょに遊んでいると、クスッとなるような部分も入っていて。こういう部分は、制作のなかでは毎週に近い感じで赤川さんに企画の会議に入ってもらって、「配信するとき、こういう要素があるとおもしろいですよ」とアドバイスをいただいたりして作っているんです。ソロでも楽しいし、配信するとよりクスッとおもしろいし、ゲームもバトルも盛り上がるみたいな、そんなバランスのゲームにできたかなと思っています。

――赤川さんから、今回のゲームに関してどんなアドバイスをしましたか?

赤川:そうですね……コミュニケーションが生まれるきっかけづくりは、多く話をさせてもらいました。配信している人が楽しい体験って、必ずしも勝つとか成功するだけじゃなかったりするんですよ。それこそ「撮れ高」という言葉があるように、ハプニングが起こると楽しいわけですよね。それに視聴者の自分が絡んでいると、なお楽しい。そういうちょっとしたイベントやハプニングが積み重なって物語になると思っています。

――ライブゲームって、もっとパズルとか簡単でシンプルなものが多かったりするのかなと思っていて。今回、『チェンクロ』のスピンオフというと結構骨太なものなのかなという印象があるのですがいかがでしょう。

赤川:それはどちらにも対応していける、懐の深いものだろうと思っています。市場としては、軽いものから始まったわけですが、今回の『ちぇんログ』は骨太感もありつつ、初めて触った人でもすごくシンプルに楽しめる魅力があるんです。10年前、あれだけ一世を風靡したタイトルのバトルなわけで、あのカジュアルさというのは変わらず維持できているかなと思っています。

 開発的な意味においても、『チェンクロ』が10年培ってきたバトル体験だったり、たくさんのキャラクター、その背景となるストーリー、いろんなものを活用しているからこそリッチなんだけど入りやすいものになっていると思います。開発の観点で言うと、過去培ってきたものを使って新しい体験を作り出すというのは、可能性のドアを1つ開けるエポックな作品になるかなと思っています。

いっしょに引けばどんな結果でも楽しい!? 『ちぇんログ』のガチャ

――タイトルのマネタイズ、収益をどのよう得るかとしては、やはりガチャになると思うのですがその形も特殊ですよね。配信者にガチャを送って、視聴者がいっしょに引くというのはおもしろい試みです。

松永:これについては、このゲームだけでなく、ミラティブライブゲームのガチャは必ず2人で引くんですよね。作り始めてから知ったんですが、めっちゃおもしろいなと。

 単純に、贈ってもらう方はプレゼントされるとめちゃくちゃうれしいですし、贈る方も自分も引けるから損はないのに相手が喜んでくれるから普通にうれしい。双方がうれしい。だからこそ配信として盛り上がる形になっています。

――無課金でも配信したり、視聴したりして遊べる作りにはなっていますか?

松永:はい、配信は誰でもできます。視聴者からのギフトも、無料で投げられるアイテムボックスみたいなものもあって、どんどん投げていくとお互い育成アイテムが貯まっていくという仕組みになっています。そこでお互いにプレゼントし合う楽しさは味わってもらえます。

赤川:そうですね。自分自身では課金しないけど、見てくれている人にもらったものに感謝しながらいっしょに遊ぼうっていう人もいると思います。贈る側の視点としても新しくハマってほしい人にプレゼントして、「ちょっといっしょに行こうよ」、「いやいや自分もアイテムもらえるんで」みたいな、いい意味での言い訳になる部分もあるので。そういったところの設計は僕らも長く磨いてきたので、今回もただのガチャのように見えて交流の仕組みになっているんです。こういう仕組みも10年経ったら当たり前のものになると思っているので、その新しい仕組みをこの機会に触れてくれる人がたくさんいるといいなと思います。

今、ミラティブで『チェンクロ』のスピンオフ作品を作る意味とは?

――ミラティブとしては、今回のようなRPGのライブゲームをオリジナルで作るのではなく、『チェンクロ』というものでやることに意義があると思っている部分はありますか?

赤川:そうですね。ミラティブのなかでライブゲームというものをユーザーさんが楽しんでいるというのも、この1年でユーザーさんが増えていることからもわかるのですが、それを世の中のより多くの人に広げていくきっかけになってほしい作品だなと思っています。

 僕がライブゲームのユーザーさんを見ていてすごくいいなと思っているのは、肩ひじ張らずに始めている気軽さですね。ライブゲームだからやるんじゃなくて、好きなゲームに新しくいっしょに遊ぶ機能が入ったよぐらいのカジュアルさで始めたら、新しい交流が生まれるものになっていると思います。そういうところを僕らも大事にしていますね。

 なので、今回は『チェンクロ』のファンの方には『チェンクロ』の新しいタイトルだ、という理由で触ってもらったら、結果的にいろんな新しい交流が始まって、『チェンクロ』の話がたくさんできるという楽しみ方でいいと思っています。あるいは『チェンクロ』を昔やっていたとか、『チェンクロ』を知らないという人にとっても、なんか普通のRPGよりも視聴者さんとワイワイできて楽しいと思って触ってもらえればと。

――ミラティブのユーザーの年齢層は、結構お若いイメージがあるのですがいかがでしょうか。配信すること自体が若い人の行動、楽しみ方だと思っているところがありまして。

赤川:いわゆるZ世代みたいな25歳以下が主ではありますが、一方で30代、40代の方というのもどんどん増えてきています。そのぐらいゲーム実況というものがこの10年で当たり前の文化になったと思います。例えばガチャを回すなら、1人で回すんじゃなくて誰かに見てもらいながら回す方が楽しいじゃんというのは、若い世代のほうが強いとは思います。

 でも、ゲーム実況を見る側っていうのは、30代、40代の方も当たり前のように見ていて、自分もやってみるかという方もどんどん増えていますね。今回のゲームは、若者は『チェンクロ』を知るきっかけになるかもしれないですし、ベテランの方もたくさん配信して昔の思い出を語るもよし、新しい友だちを作るという体験をしてほしいなと思います。

――『チェンクロ』も10年ですからね……。知らない人も多くなっているかもしれません。

松永:それは多いと思いますよ。小中学生でまだスマホを持ってなかった人も、社会人になるくらいの年月なので。ちょっとでも知る機会になってほしいなと思いますね。まったく『チェンクロ』を知らなくても、めちゃくちゃ楽しめるゲームになっているので。

『ちぇんログ』で見せたい、『チェンクロ』3Dキャラのすばらしさ!

――松永さんとしては、そこから本編の『チェンクロ』に来てほしいなという気持ちはありますか?

松永:そうですね、少しあります。そういう意味では今回、ストーリー要素をまったく入れていなくて。『チェンクロ』の大きな売りの1つはストーリーなので、『ちぇんログ』を触ってみて、もしその世界観に興味を持ってもらえたらぜひ本編も触ってもらえたらなという気持ちはあります。でも、そこはあまり匂わせず、シンプルにこの『ちぇんログ』で盛り上がってもらえるのが一番だと思っています。

 なにより、『チェンクロ』アプリというより、チェンクロシリーズというものを新しいユーザーさんに好きになってもらえるのが、本当の一番だと思うんですよね。その大きな1つのきっかけにこのタイトルがなるといいなと思っています。

――ちなみにタイトルを平仮名にした理由って何かあるんでしょうか。

松永:ここは結構悩んだんですけど! いや、たいして悩んでないかな(苦笑)。今回ぜひ、『チェンクロ』のゲーム性は好きだったけどさすがに10年続いてきた中で追うのに飽きてやめちゃった人とかにもプレイしてもらえたらうれしいなと思っていて。タイトルを伝えたときにメインのゲーム性のところがすぐに伝わったらと思って「ローグ」という言葉を付けました。

 正確にいうと、ローグではなくローグライク、ローグライトというテイストが入っていますという感じですね。今、世の中的にやり込めるゲームジャンルとしてローグライト系のものが流行っていて、そういう要素を『チェンクロ』と組み合わせたのが、すぐ伝わるといいなと思ってこの名前にしました。「あ、そういうことね。じゃあやってみようかな?」となるといいなと。

 とはいえ、『チェインクロニクルローグ』って全部カタカナで書くと、ちょっと印象が重たくなっちゃうなというのがあって、そこは若いユーザーさんも含めて、気軽に遊べるようなものにしたかったので平仮名を使いました。

 今回、気軽さはとても大事にしていて、おもいきって2Dのイラストは全面には推さずに、3Dのかわいいキャラクター中心で冒険できるゲーム内容にしています。そういった世界観のかわいさみたいなところも、平仮名のほうが伝わるかなと。

――今回はタイトル画面から、3Dキャラが並んでいるのが印象的でした。

松永:『チェンクロ』の3Dキャラは自信を持ってかわいいと言えると思っているので。本編は10年経っているタイトルなので画面から古さが感じられる部分も正直あると思うんですけど、3Dのモデリングのクオリティは今の一線級のタイトルと比べても、ウチのほうがかわいいぞ、かっこいいぞと言える自信があります。

――今回、武器がガチャから出てきたり、武器にも注目が集まると思うのですが、『ちぇんログ』オリジナルの武器とかも出てくるのでしょうか?

松永:今のところ、『チェンクロ』のなかで使用されている武器で作っていますね。そのほうが『チェンクロ』を知っている方から見ても楽しいかなと。もちろん、武器を育成する仕組みなんかは大きく変わっているので、『チェンクロ』とは違った楽しみ方ができると思います。

 あと正直言うと、『チェンクロ』の武器が多すぎて新しく作る必要がまったくなかったんです(笑)。かっこいいものはもちろん、ちょっと変わった、配信映えするようなおもしろいものも揃っているので。ソフトクリームだったりビールジョッキだったり。今回、配信でのコミュニケーションを意識して「こういうのあったら思わずコメントしちゃうよね」というアイデア出しも開発中にやってもらったんですが、チェンクロの武器リスト見たら、それ全部あるなとなったんですよね(笑)。

“ソシャゲ”という言葉と改めて向き合う、懐かしくも新しいゲーム性

――ゲームがリリースされて、最初は目新しさにプレイする人、配信する人が多いと思いますが、継続的に遊んでもらうような運営やキャンペーンは考えていますか?

松永:ミラティブのプラットフォームとしてのキャンペーンも開催してもらう予定ですし、『ちぇんログ』のゲーム内でも腕やスコアを競ってもらうようなイベントも定期的に開催していく予定です。

 あとは原点回帰というところで、いかに先のステージをクリアできるかというのが大きなモチベーションになるかなと思っています。そのステージもシーズンごとに追加していく予定なので、ソロでのバトルの楽しさもきっちり楽しんでもらえればと思います。

赤川:そこは開発段階から触らせてもらっているなかで、すごい骨太のステージもありましたね。ローグライト的なランダム性だったり、深いところまで潜っていくなかでいろんなイベント、ドラマが起こるという部分は、すごく楽しみにしているところです。めちゃくちゃ難しいステージも……(苦笑)。配信している人と視聴している人が、「ああでもないこうでもない」といっしょに潜っていくみたいな体験が作れたらおもしろいなと思います。

松永:そうですね。1人ですべてのキャラを集めて強化してというのはなかなか難しいと思うのですが、視聴者が「俺のキャラ強いぜ!」と持ち寄って応援しに来てくれると、それでゲームの難易度もガラっと変わるようになっています。いろんな配信者さんを助けるために、キャラを育てて、いろいろ視聴して回ったりも楽しいかもしれないですね。

――自分で持ち込めるキャラクターが2人と少ないのがいいと思いました。今の『チェンクロ』では、所属やアビリティの影響でがっつりパーティを組む楽しさに重点が置かれていて。それもいいのですが、『ちぇんログ』のように1人強いのを引けばとりあえず格好はついて、あとは視聴者のキャラでなんとかしよう! というプレイもできるのかなと思っています。

松永:違う楽しさですよね。今までだと、バトルを始める前にパーティで取れる戦略は決まっていて。今回は2人でスタートした時点では、戦略はほとんど定まってないんです。ステージを進んでいくなかで、「3人から誰を仲間に選ぶ?」みたいなイベントが発生して、パーティのバランス的にはこの子を入れたいけど、視聴者の〇〇さんが推しのこの子も入れたい……みたいなことが起きて。そういう風に迷って、視聴者さんとコミュニケーションしながらどういう風に戦うパーティか決めていく。この楽しさをぜひ味わってもらいたいですね。

――本当の意味でのソーシャルゲームという言葉に、改めて向かい合っている気がしますね。

赤川:そうですね。ゲームは本来ソーシャルなものだと思っているので、それはどんな時代だろうと変わらないので、それの原点に立ち返るような遊びができるタイトルかなと思っています。ソーシャルゲームが出てきた頃って、楽しさのベクトルが必ずしもグラフィックがリッチなものイコールおもしろいものというわけじゃなかったんですよね。

 『ちぇんログ』は、既存のスマホゲームで培ってきたものを使ったことで、これだけの短期間、開発費も小さなサイズで作られたんですが、それでも新しい体験ができるゲームになっています。ビジネス的にどういった結果が出るかはこれからなんですが、開発費の小ささを感じさせない楽しさや売上の深さも出せる新しいものになってはいると思います。

 もちろん重厚長大なタイトルも個人的にはファンなんですけど、それとは違うゲーム体験の新しさをライブゲームとして作っていくみたいな流れができたらいいなと思っています。その辺は、ソシャゲ初期に近いのかなとも思いますね。創意工夫で新しい楽しさを作れるというところは、僕らもやっていて楽しい部分です。

――では最後に、『チェンクロ』ファンの方、ミラティブユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。

松永:はい。まず今回はじめて『チェンクロ』に触れてくれるミラティブユーザーさんや新規プレイヤーの方に。10年かけて充実した『チェンクロ』の面白い部分を凝縮して、ライブゲームとして最高に楽しめるゲームにしました。きっとバトルに、キャラに、配信に、熱を感じてもらえると思います。ぜひ一度プレイしてみてください!

 そして『チェンクロ』ファンの皆さんには、懐かしさと今までにない新しさ、どちらも感じてもらえるゲームが作れたと思っています。「このバトルの感覚なつかしい!」と思ったら、次には「このパーティ選択の悩ましさ、今までにない!」みたいな感じで、新鮮で楽しい感覚を一気に満喫できますので、ぜひ遊んでみてください。ソロプレイもできるので、まずはそこから遊んでもらって、もしよければ配信している方の視聴を楽しんだり、あわよくば配信にもチャレンジしてみてもらえたらうれしいです。

 長く遊んでくれているファンの皆さんに、ファン同士がいっしょになって盛り上がれる場を作るというのは僕にとって大きな悲願でした。そのひとつの形がようやく用意できたと思っているので、ぜひフレンドの方にお声がけしていっしょに遊んでもらえたら、楽しんでもらえたらうれしいです!

赤川:この10年間でスマホゲームを代表するタイトルとなった『チェンクロ』の新作を、いっしょに作れること自体に僕らも喜びとリスペクトの気持ちを持っています。新しくておもしろいけど、明確に『チェンクロ』だなと思ってもらえるものになっていると思います。

 「俺、別にYouTuberになりたいわけでもないし」という人もいっぱいいらっしゃると思うんですけど、肩ひじを張らずに配信して、誰かと『チェンクロ』の話で交流したりしてもらいたいですね。『チェンクロ』を好きになった頃の気持ちを増幅させるような体験をしてもらえたらいいなと思っています。

 いっしょに『チェンクロ』ファンを増やせるタイミングだとも思っていて、ミラティブでも今まで『チェンクロ』をやったことがない配信者さんもいると思いますし、逆に昔やってたけど今はやっていないという人を引き戻せるチャンスだとも思っているので、いっしょにこのすばらしいゲームを再度盛り上げていければなと思っています。

※プレイいただく際、Mirrativのダウンロードが必要となります。

©SEGA/©︎Mirrativ, Inc.

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チェインクロニクル 第4部 ―新世界の呼び声―

  • メーカー: セガ
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2013年8月1日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

チェインクロニクル 第4部 ―新世界の呼び声―

  • メーカー: セガ
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2013年7月26日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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