『ティアムーン帝国物語』7話感想。今回は”勘違い”じゃない!? ポンコツさの中に垣間見えるリーダーの資質、回を増すごとにミーアが好きになる

米澤崇史
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 TVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』の第7話“ミーア姫、冴え渡る”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』7話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

『ティアムーン帝国物語』7話で描かれるのは、未だ変わらないミーアの処刑と帝国滅亡の未来

 学園が長期休暇に入ったことで、久しぶりに帝国への帰路につくミーア。学園では、アベル王子を初めとする生徒たちと仲良くなるなど、人間関係を大幅に改善させることに成功しました。

 しかし、ミーアの日記帳によると、処刑前日の晩餐が料理長の配慮によって豪華になるという変化はあったものの、未だに処刑の運命を逃れられていないことも判明します。

 ここで言及されていた料理長は、第1話に登場した人物と思われるのですが、ミーアが子供の頃、黄月トマトのシチューを涙を流して喜んで食べていたことをずっと覚えており、最後にもう一度食べさせてあげたいと考えた心境を想像すると、ちょっと泣けるものがあります。

 幼少期からずっと食事の面倒を見ていたとなると、自分の子供にも近い存在になっていてもおかしくないですよね……。

 一方、ミーアは帝国が滅亡する原因の一つである飢饉に備えるため、大商会を取りまとめるクロエ・フォークロードの父と取引を成功させます。

 ”お友達価格”というミーアの言葉を、好意的に解釈したルードヴィッヒの配慮があってこそでしたが、両者とも取引が成立したのはミーアのおかげと考えており、結果としてミーアの株がさらに上がることに。

 まったく具体的ではないミーアの言葉をヒントに、適切な案を出せるルードヴィッヒの優秀さが目立ったシーンではありますが、”自分が分からないことは詳しい部下に全面的に任せる”という、ある意味トップとして適切な行動をミーアもとれているんですよね。

 できないことは無理だと割り切って他人を頼れるところは、やり直し後のミーアのいいところの一つだと思います。

ミーア役・上坂すみれさんの熱演が素晴らしい! 中でも「あっぶねぇ!」はインパクトあり

 飢饉への備えには一定の目処をつけることに成功した一方、ミーアを悩ませていたのが、帝国滅亡のもう一つの要因である少数部族との紛争です。今回のエピソードでは、静海(セイレント)の森に住む部族・ルールー族と、領土拡大のために森を開拓しようとするベルモン子爵の対立が描かれていました。

 そんな中、ミーアは森でわざとルールー族を挑発する行動をとって攻撃を誘発し、自身を護衛させる名目で帝国軍の全部隊を前線から後退させ、事態を収拾させるという、今までない(?)ほどの活躍も見せていました。

 帝国の部隊を率いていたディオンは、前の世界ではミーアの処刑を実際に行うという因縁深い人物ですが、ルールー族に護衛対象が襲われるという緊急事態にも対応しつつ、即座にミーアの狙いを察知して行動に移せるという、かなり頭の切れる人物であることがわかります。基本的に、主人公よりも周りの人々が優秀(だからこそ勘違いが生まれる)というのが、本作の面白いポイントでもあります。

 ただ、今回はミーア自身もかなり頑張っており、これまではミーアの言葉を周囲が好意的に解釈し、結果的にうまくいく……というのがパターンでした。今回のエピソードでは、ミーアが自分自身で考えた作戦が勘違いではなく狙い通りに成功しています。

 一歩間違えれば命を落としてもおかしくないリスクを負いながらも実行に踏み切っている度胸も見せ、第7話のサブタイトル”ミーア姫、冴え渡る”にふさわしいエピソードだったと思います。

 その一方で、アベル王子からプレゼントされた馬用のシャンプーを自身の髪につけて喜んでいたり、相変わらずポンコツな側面も見せてくれました。

 ミーア役の上坂すみれさんの熱演は今回も素晴らしく、中でも森に向かう途中、森とルールー族を取り巻く事態が切迫している状況を後から知った際の「あっぶねぇ!」というリアクションは、まさに心の底から湧き出たような声でインパクトがありました。

 普段の優雅なお姫様のような声に始まり、年相応の乙女らしさ、本性のゲスっぽさまで、ジェットコースターのような声音の変化には毎度圧倒されます。

 無事に騒動も解決したかに思われた矢先、貧民街でプレゼントされた、静海の森ゆかりのかんざしを森に落としてしまっていたことに気づくミーア。無事にかんざしを取り戻すことができるのか、来週以降の展開も楽しみです。


©餅月望・TO ブックス/ティアムーン帝国物語製作委員会2023

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