『P4U2』EXオルギアモードのアイギスフィギュア制作陣にインタビュー。クリエイターが語るこだわりやキャラクターの魅力とは?

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 2024年10月発売予定の『1/6スケールフィギュア P4U2 アイギス エクストリームオルギアモード』について、フィギュア制作者へのインタビューを掲載します。

1/6スケールフィギュア『P4U2』アイギス EXオルギアモードクリエイター陣へのインタビューを実施!

 “ATLUS TGS2023 MEDIA BRIEFING”で初公開され、大きな反響があった『1/6スケールフィギュア P4U2 アイギス エクストリームオルギアモード』。

 今回はフィギュアの制作に携わったクリエイター陣へのインタビューを実施。フィギュア制作の裏話やこだわり、アイギスというキャラクターの魅力を語ってもらいました。

原型製作を担当したイクリエへのインタビュー

 まずはフィギュアの企画や原型製作を行った株式会社イクリエへ話を伺いました。

――イクリエは今回初めて自社からフィギュアを発売するわけですが、何故アイギスを第1弾に選んだのでしょうか?

イクリエ:イクリエは元々フィギュアメーカーの下請けとして原型データなどを作っていましたが、より多くのファンの方々にキャラクターやフィギュアの魅力や伝えていきたいという想いがあり、フィギュアメーカー事業を立ち上げました。

 下請けの立場だとメーカーから依頼のあったキャラクターの原型データを作るというところが主なお仕事になりますが、自社でフィギュアを製造・発売するとなると、どのキャラクターをフィギュア化するかという企画面から自分たちで決めていくことになります。

 その第1弾としてアイギスを選んだ理由ですが、イクリエは過去にアトラス様の『真・女神転生』シリーズ30周年記念ロゴなどを製作させていただいていたご縁もあり、自社フィギュア第1弾はアトラス様のキャラクターを造りたいという想いがありました。

 アトラスタイトルには魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、中でもアイギスは非常に立体映えするデザインですし、エクストリームオルギアモードのフィギュアはこれまで発売されていなかったこともあり、チャレンジする気持ちで自社フィギュアの第1弾とさせていただきました。

――アイギスフィギュアの制作に関わった人数は何人くらいでしょう? 役割分担も教えて下さい。

イクリエ:原型制作に携わったチームメンバーは8人で、在籍するほぼ全員の得意分野に応じて役割分担しています。

 キャラクター部分3名、メカ部分2名、台座1名でデータを制作し、3Dプリンターでの出力と磨き作業、シリコーン型での複製作業に各1名ずつという体制で制作にあたりました。

 また、社内にゲームのPVなどを作っている映像制作のチームもあるので、アイギスのPVも内製しています。企画や生産管理、映像制作なども含めると、社内外あわせて15名以上のスタッフがこの企画に取り組んでいることになりますね。

●【フィギュア】『P4U2』 アイギスEXオルギアモード PV

――どういったツールを使ってフィギュアを作ってるんでしょうか?

イクリエ:専門的な話になってしまうかもしれませんが、データ制作は主にZBrushで行い、メカ部分など一部の造形にBlenderや3DCoatを、分割作業にはZBrushとFreeFormを使用しました。

 出力には3DプリンターのForm3、ELEGOO Jupiter、UniFormation GKtwoなどを使用し、一部細かいメカパーツは高精細アクリル樹脂で出力しています。磨き仕上げと複製は手作業で行いました。

――どういったところにこだわりをもって原型を作ったのでしょうか?

イクリエ:キャラクター部分では髪の毛のデザインが繊細でボリュームがあり表現に力を入れました。

 前髪がわずかに目にかかっているのは元イラストの雰囲気に近づけられるように工夫したポイントです。

 また、骨格や筋肉といった人体に見られる生々しさのような造形をあえて減らし、人間に近い形をしながらも機械であるというアイギスのキャラクター性を表現できるよう心がけました。

 メカ部分については、設定画に細いアームや小さい歯車が多く描かれていたので、1/6スケールのフィギュアとして造形できるよう見た目を極力変えずにアレンジする必要がありました。

 イラストの通りに細かく造形するだけではなく、パーツ先端の厚みを抑えるなど視覚効果として小さく薄く見えるように制作しています。

 また、デザインされたそれぞれの部品がアイギスの体の一部としてどのように繋がり、曲がり、支えるのか、できる限り説得力を持たせることを意識しました。

 特に胴や太腿のカバーはフィギュアとしての可動ギミックこそありませんが、実際に開閉できる形状として制作しリアリティを追求しています。

 また、台座の瓦礫の質感、鉄骨の錆びた表現、コンクリートから生えた鉄筋にもこだわりました。

 瓦礫の制作にあたって写真資料を集めたのですが、実際の廃材や鉄骨はそのままだと動きが少ないため、ダイナミックな印象になるよう形状や配置を考えて構成しました。

――特に目を引くLEDの機構についてはどのようにして作ったのでしょうか?

イクリエ:モチーフとしたイラストが胸部を中心として発光しているような表現で非常に印象的だったので、企画の初期段階からフィギュアとしても光らせたいという気持ちがありました。

 これまで発光ギミックを取り扱った経験者がいなかったため手探り状態でしたが、LEDを組み込めるよう胴体内部を空洞にしたものを用意し、手作りの電子工作で試作を重ねました。

  • ▲テストの様子

――制作期間はどれくらいかかっているのでしょうか?

イクリエ:企画からデコマス※が完成するまで2年くらいかかっています。通常のフィギュアと違って設定画を描き起こしたり、LEDの試作もしていたことも考えると、スピーディーに進行したといってもいいのではないでしょうか。

 これはアトラスの監修窓口であるライセンスチームの方や、キャラクターデザイナーの副島さん、プロデューサーの和田さんが非常に精度の高い監修(修正の指示)をしていただいたことにも大きく助けられています。本当にありがとうございました…!

※デコレーションマスター。量産時のクオリティの指標となる着彩見本。予約ページなどに掲載される商品画像もデコマスを撮影したもの。

――アイギスの魅力はどういったところにあるのでしょうか?フィギュア原型師の視点でお答えください。

イクリエ:人間に近いけど人間じゃない、少女の持つ柔らかさと機械の持つ硬質な冷たさがシンプルなフォルムの中に同居しており、原型師の腕が試されるデザインだと思います。

 雅先生に描き起こしていただいた設定画もいままでのアイギスにないメカ部分を強調したものだったので、デジタル造形ならではの繊細な表現と相性がいいと感じました。

――最後に一言メッセージをお願いいたします。

イクリエ:チーム一丸となり力の限りを注いで制作したので、たくさんの人に見てほしいであります。

彩色を担当した合同会社namojiへのインタビュー

 次にフィギュアの彩色を担当した合同会社namojiにお話を伺いました。

――簡単な自己紹介をお願いします。

namoji:合同会社namojiです。フィギュアのフィニッシャー※として10年間ほど活動していまして、今年から法人化して原型の制作なども含めてフィギュア制作に関わっています。

※フィギュアなどを製作する際に、塗装などの仕上げを担当する仕事。

――彩色を行うにあたって、事前に打ち合わせなどはされたのでしょうか?

namoji:直接イクリエさんに赴き、組み上がった原型を見ながら打ち合わせをしました。

 アイギスを塗ることは事前に聞いていましたが、発光ギミックが入ることや、イクリエさんのブランド1発目の商品ということなどはその場で聞いたので、とてもワクワクしました。

――イラストの再現で気を遣ったところなどがあれば教えてください

namoji:発光しているイラストなのですが、その再現のために目の色をかなり明るめにしました。

 アイギスのボディが特徴的なのと、LEDを使用するとのことで、それに負けないような色の表現、イラストにあるクールさ、いつものアイギスとは違った荘厳なイメージになるようつとめました。

――どういったところにこだわりをもって彩色を行ったのでしょうか?

namoji:ボディの色は白とアイボリーの中間になり、シャドウは汚くならないようグレーみを抑えています。アイギス自身は綺麗に、台座はボロボロな感じを強くして、台座とアイギスのコントラストを強くしました。

 また、肌とボディの色の明るさの差を少なくして、リボンなどの赤い部分は鮮やかにして、全体的に人外っぽさを演出できればと考えながら塗りました。

――アイギスの魅力はどういったところにあるのでしょうか?フィニッシャーの視点でお答えください。

namoji:メカというと、メタリックなイメージが強いなか、流線形で女性的な白いボディなのに足や腕に急にメカがきていて、フェミニンであり兵器であるという世界観がとても不思議で魅力的です。

――最後に一言メッセージをお願いいたします。

namoji:ペルソナ3リメイク楽しみです!

 フィギュアの発売も楽しみです。フィギュアを通して世界観の魅力を広げる手助けになれば幸いです。

設定製作を担当した雅氏へのインタビュー

  • ▲設定画

 最後にインタビューを行うのは今回のフィギュア制作の要となる設定画の制作を担当した雅(まさ)氏。以前は P-STUDIOアートチームに所属しており、現在はフリーイラストレーター/デザイナーとして活動中です。

 代表作である『とんでもスキルで異世界放浪メシ』(オーバーラップノベルス刊)は2023年1月~3月にTVアニメ第1期が放送され、先日第2期の制作決定も発表されました。

――雅先生が設定制作を担当することになった経緯や、引き受けたときのお気持ちを教えてください。

雅氏:自分は元々アトラスに在籍してまして、そのことをご存じだったイクリエ様から声が掛かりました。

 お仕事の話を受けたとき、新しい依頼がきてウキウキ楽しみで「やってやるぜ!」という前向きな気持ちでしたが、『ペルソナ』に携わるのが久しぶりなので感覚を忘れているかも…という不安や、また『ペルソナ』に関わることになった感慨深さなどもあり、いろんな感情が混ざった賑やかな心持ちでした。

――上半身のみのイラストをもとに下半身、背中の設定を新たに作るという仕事でしたが、苦労された点などはありますか?

雅氏:前述したとおり久しぶりにアイギスに触れることになったので、設定を創る楽しさももちろんありましたが、どういうデザインラインで作っていたかを思い出す必要があったり、そもそも自分のセンスですし…アイギスのデザイナーさんを納得させられるかという不安感がつきまとって手の震えを抑えるのに苦労しました。

――特に注目してほしいところはありますか?

雅氏:内部メカの奥行き感など、メカ物の立体物として見応えあるよう意識したデザインとそれを踏襲した造形表現。

 あと、可憐さがありつつ凛々しいアイギスの表情、お顔の造形でしょうか。あとはやはり発光ギミックは見所でしょうね。

――アイギスの魅力はどういったところにあるのでしょうか? 雅先生の視点で教えてください。

雅氏:可愛らしさの中にも凛々しさ、カッコ良さも兼ね備えた完璧なキャラ造形…でしょうか。それは勿論、デザイン・見た目だけでなく中身も伴っている、とにかく魅力的なキャラクターだと感じます。あと、メカ的な浪漫もたくさん詰まっていますしそういう面でも大好きなキャラクター、デザインですね。

――最後に本フィギュアに興味のある方や予約をした方へメッセージをお願いいたします。

雅氏:この内容でこのお値段のフィギュアはとてもお買い得ですよ! お客さん!

 ぜひ実際に手にとって頂き、その造形と込められた情熱に直に触れてみてくださいませ!

クリエイターの思いが詰まったアイギスのフィギュアをお見逃しなく!

 今回のインタビューをとおして、アイギスのフィギュアが多くのクリエイターたちの想いを乗せて世に出たことが改めて実感できました。

 アイギスファンなら買って後悔はないクオリティになっているので、是非、このフィギュアを手に取ってほしいです。

 アトラスD-shop東京フィギュアではオリジナルラバーマットが付属する限定版も予約可能です。

  • ▲オリジナルラバーマット

商品詳細

商品名:ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド アイギス エクストリームオルギアモード
受注締切:2023年12月22日
発売予定:2024年10月予定
価格:
【通常版】33,000円(税込)
【限定版】35,200円(税込)
仕様:1/6スケール プラスチック製 塗装済み完成品 専用台座付属 ※パピヨンハートLED発光ギミック内蔵
サイズ:約30cm
原型:株式会社イクリエ
彩色:namoji
製作協力:キムラユヅル(MellowYellowLab)
発売元:株式会社イクリエ
販売元:株式会社東京フィギュア

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