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孔明の死後も八陣は機能していた…!? 石兵八陣の謎に迫る伝承2選【三国志 英傑群像出張版#24-1】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 英傑群像出張版では、わたしが中国各地で集めた三国志武将の民間伝承の古書から、日本で知られていないものを厳選して文章をまとめて紹介しています。

 今、三国志関連の話題ではTV版『パリピ孔明』が話題ですね。

 我が「KOBE鉄人三国志ギャラリー」でも三国志部分に限定した「『パリピ孔明』三国志パネル展」を実施させて頂いております。劉備の衣装展示などもあります。2023年12月一杯までなのでまだの方はぜひご来館くださいね。

 さて、その第一話では“孔明が陸遜を撃退した石兵八陣”が登場しました。私は“孔明の八陣”といわれる遺跡は結構現地で見ていて、4箇所は行った事があります。

 白帝城の近くにあった八陣にもいきました。たぶんここが“石兵八陣”の地。今はダム建設で水没したそうですが水没前に見ました。

 しかし、4箇所も行っていても石碑があったり原っぱだったりして味気ない場所ばかり。その実態は全く掴めませんでした。

 孔明が八卦陣の陣形の練習をした場所だろうとか、本当に石を積んで敵を錯覚させた場所だとか言われていますが謎のまま。

 今の時代にも謎を問いかけるあたり“さすが孔明”というところでしょうか。ちなみに中国で巨大迷路を見ると八陣と書いていることが多くて、迷路=八陣って認識なんだなと感じていました。

 三国志巨大ジオラマ13mを作った際も、いの一番に“石兵八陣”は作ってもらいました。また今回なぜか触発されて自分でも石を積んで“石兵八陣”シーンを再現してみました。

 そんな“八陣”に関する民間伝承があるので今回と次回の2回に分けて紹介していきたいと思います。

 この2回見ていただくと、謎だった部分が少しは解決ヒントになるかもしれません。

白帝城下 八陣図の物語~孔明の石兵八陣の石の効果とは……【鶏がなく石枕】~

 何千年もの間、貴州の人々は白帝城下(※)を八陣の聖地としてみなしてきた。(※:いわゆるここが石兵八陣の場所)

 毎年、旧暦の1月7日には市内の人が集まり参拝し、女性たちは美しい石を持ち帰る事もあった。

 穴を開け糸を通し髪留めに結んだりするもので、悪霊を追い払い、幸運を呼び込む効果があると信じられ、子供が身に着けたりもした。

 伝説によれば、八陣図の近くに趙という男がいて釣りで生計を立てていた。彼は貴州から白帝城に至る川で漁師をしていた。風が強くて雨が降って釣りが難しいときは、八陣図近くに船を繋いで休ませた。

 彼は大小の石を見て静かに、“諸葛亮はとても偉大だ。彼は実際に石を使って配列を作り、木を牛や馬に変えて穀物を運んだ! もし私にその能力があれば、何もする必要はなく楽できるのに”と考ながら、漁のために網を投げた。

 時々、遅くなったとき、趙は白帝城の下に船を一晩停泊させた。彼は山の上で星空を眺め、長い間“諸葛亮はとても偉大だ。夜に星を眺め、日中は戦闘陣形を観察した。彼は実際に賢い計算をして、何千里も離れた場所でも勝つことができた!もし私にその能力があれば、何もする必要はなく楽できたのに。”と物思いにふけっていた。

 彼は昼夜、孔明について考えていたが、突然、八陣図の石のことを思い出した。これらの小さな石は人々に幸運をもたらすので、自分の船にいくつか移してみてはどうだろうか? もしかしたら効果があるかもしないと。そして1月7日が来るのを心から楽しみにしていた。

 ついにその日が到来し、夜明けに八陣に来て船を停泊させて上陸し石を運ぶ準備をした。石が多すぎる、翡翠のような白、エメラルドのような緑、瑪瑙のような赤、青い天然石、どれも色とりどりで、どれも美しい。

 船が潰れるのですべてを載せることはできない! 彼には選択の余地がなく、一番大きくて最高の石を選んで船に持って行った。

 この石は実に珍しい石で、滑らかで光沢があり、冬は暖かく、夏は冷たい石だった。彼はそれが宝であることは知ったが、どんなご利益があるのか​​わからなかった。長くて丸く、両端が高く真ん中が低く、枕に似ていたので、寝るときに使った。

 その夜、眠りかけたとき、突然鶏(にわとり)の鳴き声が耳元で聞こえた。彼はまぶたを開けることさえせず、“鶏はどこから来たのだ。なぜ夜中にそんな音を立てるのか?”と怒って目を開けると、空は満天の星で冷たい風が吹き寒くて震えが止まらなかったので、急いで布団に入った。

 同時に、夜中に鶏が鳴くなんてありえないだろう、聞き間違いに違いない。また眠りにつこうとすると、また鶏が三度鳴いた。彼はとても怒り飛び起きて、睡眠の邪魔をさせないようにいつか鶏を捕まえようと決心した。

 しかし、村も店もなく、他の船も停泊していないのに、どうして鶏がいるのだろう? 結局、鶏を見つけることもできない。

 眠れないのでいつもよりも早く起きることになり、漁に出るといつもより多くの魚を捕まえることができた。彼は疲れていたが、夜布団に横になり寝ようとすると鶏が3回鳴き早起きせざるをえない日々が続いた。

 結果、他の人より多く移動し、釣りに行き、他の人より多くの網を投げることになった。彼が結婚するとき、誰もが彼は努力の人だと言った。

 ある日、彼は誤って石枕を落として割ってしまった。見ると、中は空洞があり中には“諸葛酉の鳴き声”という文字が一行現れた。これが諸葛孔明の遺物であることが判かり、鶏の鳴き声はここから来ていたのだ。

 「諸葛亮は賢いが、努力のおかげで有能だったのだ。」

 そう悟らされた彼は早起きを続け、一生懸命働き、家族で豊かな生活を送った。

成都付近の八陣図話

 成都の新都県の郊外には諸葛亮が八陣を設置した八陣村がある。諸葛亮はなぜここに布陣を敷いたのか?

 劉備が益州を占領し軍隊を分割した。そのため、首都成都の守備隊は非常に弱かった。首都の安全を守り、劉璋の残党の活動を阻止するため、孔明は八陣を設置しこの地の数千の軍馬を他に派遣した。

 この八陣図は、遠目から見ると、横八列、縦八列、底面八・八・六十四からなり、石を数十個整然と並べただけであり、何ら不思議な部分はない。

 しかし、古今東西、数え切れないほどここで無謀で無知な人々が驚く事件に遭遇してきた。そのため、地元の人々はここを諸葛孔明の魔の場所と考え保存されてきた。

 清王朝の雍正時代、若い王子が四川省の役人と人民の視察するためにやって来た。康熙帝の子・果親王として知られる雍正帝の弟だ。

 この日、彼は大型の籠に16人で乗って巡回中だったが、成都北門の外で半日歩いた後、籠が突然速度を落とした。

 彼は何が起こっているのか尋ねると、諸葛亮が築いた八陣に到着し、ここは籠に乗っていた人たちは降りて八陣を通らなければならない決まりだという。

 果親王はそれを聞いてすぐに理解したが、冷笑して兵士たちに八陣を掘り起こさせて籠に乗っったまて通過しようとした。

 その時、雲と霧が立ち上り、瞬時に何も見えなくなった。瞬間、雷鳴がとどろき、稲妻が光り、猛烈な雨が降りだした。兵士たちは恐怖のあまり逃げ出した。

 果親王も担ぎ手に籠を担いで逃げるように命じた。しかし、土砂降りの雨のため目を開けることも困難でまともに移動できず1時間ほど格闘した後も、雨はどんどん強くなり、雷鳴がどんどん響き、籠の屋根まで持ち上がった。兵士たちはまだ石列の中で走り回っていた。

 その時になって初めて、果親王はその力に気づきすぐに「籠を降ろせ」と叫んだ。籠を運んでいた人は、あまりの恐怖に作法も忘れ籠を肩から投げ落として地面に落とした。

 果親王はよろめきながら籠から立ち上がると、雨と強風にもかかわらず、八陣図に頭を下げて敬礼し「蜀漢の偉大な将軍、諸葛丞相。お許しください。私が間違っておりました。」長い間祈った後、風は止み雨も止んだ。

 王子は才能と学識に優れた人であったが今までは傲慢だった。しかし、この出来事以来、決して傲慢になる事はなかった。行く先々で孔明の遺構遺がないか尋ねてまわり、それらを保護した。

 今日に至るまで、成都の武侯祠の劉備殿にある【業功高光】と書かれた金の額、昭化にある費禕墓の石碑【深謀卓識】は、果親王自身が書いたものだ。

 いかがだったでしょうか?

 1つ目の話、私がいった白帝城近くの石兵八陣の地に石が積んでなかったのは地元の人が記念に持ち帰っていったからだったのかもしれません。

 2つ目の話、ここも現地は石碑以外なにもありませんでしたが、この話を知ってこの地に行くとより空想がひろがりますね。

 果親王が見た暴風雨ももしかしたら幻影だったのかもしれません。しかし1500年近く孔明の八陣の効果が残っていたということでしょうか?

 次回も八陣にまつわるほかのお話を続けたいと思います。お楽しみに!

ドラマ「パリピ孔明」とコラボ中!

 KOBE鉄人三国志ギャラリ-で「『パリピ孔明』三国志パネル展」を10月20日~12月28日の期間開催しています。

 劉備(ディーン・フジオカさん)の衣装や番組内で登場したカードも展示! ドラマは漫画やアニメより三国志要素が増えていて、三国志ファンには嬉しいドラマとなっています。今後の展開も楽しみですね。

 ぜひ遊びにいらしてください。

観覧無料※ただし施設入場料1人100円必要

場所KOBE鉄人三国志ギャラリ-


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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