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なぜ黄承彦は石兵八陣から陸遜を助け出したのか? 彼と娘婿(孔明)との関係とは!?【三国志 英傑群像出張版#24-2】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 英傑群像出張版では、わたしが中国各地で集めた三国志武将の民間伝承の古書から、日本で知られていないものを厳選して文章をまとめて紹介しています。

 今月は、三国志関連で話題のTV版「パリピ孔明」で登場した、“孔明が陸遜を撃退した石兵八陣”から、“孔明の八陣”といわれる遺跡に関する民間伝承を紹介しています。

 その第2回目です。今回は「石兵八陣」にかかった陸遜が、何故か孔明の舅である黄承彦(こうしょうげん、黄月英の父)に助けられることになったのかという理由につながる民間伝承をご紹介します。

諸葛亮と黄夫人

 諸葛亮は幼い頃から読書が大好きであちこちから書物を借りていた。

 ある時、彼は臥龍崗に黄承彦という人物がいて、彼は優れた戦略を持っており、彼の家族は無数の古今の書物を隠していたが、折に触れて一般に広めることを拒んでいると聞いた。

 諸葛亮は黄承彦に近づき彼が隠した奇妙な書物を読むために臥龍崗に家を移した。しかし、彼に会う機会がなかった。

 黄承彦はガチョウが好きで、家で何千羽ものガチョウを飼っており、毎日臥龍崗の下にある白河で放牧していた。諸葛亮はそこに藁葺きの小屋を建て、昼は農作業をし、夜は読書をし、しばしば黄承彦と過去と現在について語り合ったが、本の貸し出しについては触れなかった。

 日が経つにつれて、黄承彦はこの学識と才能のある若者に惚れ込み、将来は素晴らしい人物になるだろうと考え、娘を諸葛亮と婚約させるよう仲人に頼んだ。

 諸葛亮は黄承彦の娘が非常に優秀だと聞いていたので自然に承諾した。結婚が決まると、仲人は諸葛亮に黄家にどんな持参金を用意してほしいかと尋ねた。

 諸葛亮は、「義父が何冊かの本を送ってくれるなら、それは素晴らしい贈り物です。」と言った。

 黄承彦は孔明に、天文学、地理学、陰陽八卦掌など、大きな本を数冊贈った。諸葛亮は宝物のように、昼も夜も読みふけり、すぐにすべて暗記した。

 しかし、彼はまだ満足していない。ある日長いため息はつき「奇妙な本は多いが、残念ながら兵法が欠落している。」とつぶやいた。これを聞いた黄夫人(黄月英)は唇をすぼめて微笑み返事をしなかった。

 数日後、女性は八卦陣形の図を描画し、諸葛亮に「あなたは兵法を学びたいようですね。この陣形を破ることができるか、試してみましょう」と言った。孔明は妻が冗談をいっていると思った。

 孔明が図をよく見ると思わず唖然とした。専門家でなくてどうやってこの絵を描くことができるだろうか? 彼は注意深く慎重に考え、八卦の陣形を崩すのに丸一ヶ月かかった。

 黄月英は微笑みながら「あなたはとても賢い!」と言い、父親から教わった行軍や部隊編成の方法を夫に一つ一つ教えた。

 若い夫婦はしばしば木製のブロックを使ってダイニングテーブルや机の上に陣形を作り、一方が攻撃し、もう一方が防御する部隊を作った。それ以来、諸葛亮は文武両道に精通し、広く名声を得るようになった。すぐに劉備が三顧の礼で諸葛亮を招待する。

 諸葛亮が家を出る前に、黄夫人は夜鍋をして彼に太極図の絵の入った衣を縫いながら「この衣の外は八卦模様で、縫い目の内側は太極の形です。これを着て、隊列を組んで軍隊を率いてください。」と言った。

 そして「心配する必要はありません。当初、父はあなたに兵法書を与えることを拒否し、あなたが兵法を学ぶことを恐れていました。しかし今、父に会えば兵法書を渡してくれるでしょう。そして、劉備さまと漢王朝を再興し国を助ければ、あなたは時代を超えて有名になり、我が父は間違いなく幸せです。」と続けた。

 諸葛亮はそれを聞き、“八卦の衣装”を着て義父に別れを告げに行った。

 黄承彦はとても喜び、自らガチョウを屠り、義理の息子の送別会のために宴会を催し、ガチョウの羽で大きな扇(羽扇)を作り、兵法の秘伝書と一緒に諸葛亮に渡した。

 そして「ガチョウは最も警戒心の強い生き物で、風や草の動きを知っている。同じく司令官は"警戒"という言葉を忘れてはならない。」と警告した。

 孔明は数十年の軍歴の中で、「八卦の衣装」と「ガチョウの羽の大きな扇(羽扇)」はいつも体に持ち、敵を知り、自分を知り、百戦百勝することができたのだ。

 いかがだったでしょうか?

 三国志演義において、石兵八陣に掛った陸遜が黄承彦に助けられるのは納得がいかないし、唐突過ぎておかしいじゃんって思っていた方も多いと思います。

 吉川英治も横山光輝もそう思ったのか、陸遜を助ける人物が黄承彦の友人と変更になっています。

 しかし今回の民間伝承を知ると、孔明に八陣の手ほどきをしたのが黄承彦であることが伺い知れます。

 そして教えた人ならそれを止める権利もある気がします。自分の教えた技で目の前で人が殺められるのを見るに忍びなかったのかもしれません。

 羽扇を渡したのも黄承彦でした。まあ後付の可能性もありますが、少なくとも我々が納得できる理由付けになるとは思います。

 どちらにしてもこの名門の黄家との出会いが孔明飛躍の要因であったのは事実かと思います。

 “石兵八陣”の謎が少し明らかになりましたね。それでは次回もお楽しみに!

三国志ゲーム出展レポート【ゲームマーケット2023秋】

 先日、12/9・10と実施されたアナログゲームの祭典“ゲームマーケット2023秋”の12/9に英傑群像オリジナルで作った“三国志ドラフト会議”を持って参加してきました。

 東京ビックサイトで行われたイベントは、12月9日(土)は14,000名。10日(日)は11,000名の来場があったそうです。

 “三国志ドラフト会議”は、KOBE鉄人三国志ギャラリーの三国志ゲーム会用に作って3年ぐらい遊んだゲームを商品化したものです。

 コンセプトは長時間にならず、多めの人数で遊べて、難しすぎない三国志感を味わえる物。(三国志はウォーゲームとか難しくて時間がかかるものが多いのでそうでない物を目指しました。)発売にあたり三国志ファンが楽しめるモノとして作ったものを知らない人でも遊べるように調整しました。

 簡単にルール説明すると君主(劉備、曹操、孫権など)となり、人材登用してそのメンバーでバトルを行って勝ち抜いた人が勝利のゲーム。具体的には、手順で行います。

①野球のドラフト会議の用に欲しい人材を投票し交渉権を獲得し登用交渉を行う
②集めた人材から5名を厳選し柔道や剣道のように先鋒から大将までが順に登場し勝ち抜き戦を行う

 三国志祭とこのゲームマーケットで先行販売しました。当日は知り合いや三国志好きの方に来ていただき、たくさんお話が出来ました。ゲームの話より三国志の話をしていた気がします。買ってくださった方、お話してくれた方ありがとうございました。

 当日、他のブースでも三国志が題材のものを出しているところが数カ所あってうれしかったです。KOBE鉄人三国志ギャラリーの活動についても知って貰ういい機会になりました。

 神戸で横山三国志を中心に街おこしで店を持ってからは、他に出張して販売するという事も減りました。というよりうちに来てもらってこそ町おこしと思っていたので、そういう事も長らく控えていました。

 小規模での参加でしたが刺激ある楽しい時間を過ごせました。また新しい三国志ゲームを作って参加したいなと思いました。

 今回は三国志ファン向け要素が強かったですが、次回はゲームファン向けに振った三国志ゲームを作りたいなと思っています。

◆“三国志ドラフト会議”の通販も開始
 こちらの英傑群像通販サイトにてチェックしてみてください!

ドラマ「パリピ孔明」とコラボ中!

 KOBE鉄人三国志ギャラリ-で「『パリピ孔明』三国志パネル展」を10月20日~12月28日の期間開催しています。

 劉備(ディーン・フジオカさん)の衣装や番組内で登場したカードも展示! ドラマは漫画やアニメより三国志要素が増えていて、三国志ファンには嬉しいドラマとなっています。今後の展開も楽しみですね。

 ぜひ遊びにいらしてください。

観覧無料※ただし施設入場料1人100円必要

場所KOBE鉄人三国志ギャラリ-


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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