『ティアムーン帝国物語』9話感想。アベル王子に会うため、ミーアは革命真っ最中のレムノ王国へ。カッコいいのに不憫なシオン王子を応援したくなる

米澤崇史
公開日時

 TVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』の第9話“ミーア姫(恋愛脳)の選択”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』9話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』第9話で、ギロチンの未来を回避した矢先に訪れるミーアの新たな苦難

 第8話のラストでは、前の世界の自分が残した日記が消滅し、ついにギロチンにかけられる未来を回避することに成功したミーア。

 貴族・平民の垣根なく通える学校を作ろうとする話を聞いたラフィーナがさらに心酔するなど、ミーアにとって万事がうまくいっているかのように思えた最中、アベル王子の故郷であるレムノ王国で革命が起こったという衝撃の知らせが舞い込みます。

 ミーアはアベル王子に会うため、友人たちの力を借りてレムノ王国を目指すことになりました。

 元々ミーアがアベル王子に近づいたのは、ティアムーン帝国内で革命が起こってしまった際の備えをするためであり、すでにギロチンの未来を回避できたミーアにとって、レムノ王国に関わることはほとんどメリットがなくなっています。

 これまでのミーアは、基本的に“ギロチンの未来を回避する”ことがすべての行動の動機になっていましたが、今回は100%他人のために動いているのが驚きのポイント。タイトルでは“恋愛脳”と言われてますが、これまではその恋愛脳が働いていなかったわけですから、大きな変化がミーアの中で起こりつつあることが分かります。

 シオンとティオ―ナの護衛の申し出を顔色一つ変えずに受けたのもその変化を感じられる要素。前の世界で自分の死の要因を作った二人に命を預けるのは、ミーアにとってはかなり勇気がいる決断だったはず(実際、ミーアは二人とはあまり関わらないようにしていましたし)。

 周囲のミーアへの感情だけではなく、周囲に対するミーア自身の感情も変わりつつあるということでしょう。

カッコいいのにミーアからの扱いが不憫なシオン王子

 個人的に、今回特に大きく株を上げたのがシオン王子です。

 サンクランド王国の第1王子という重要な立場にありながら、民やミーアのために危険な護衛役を買ってでる男前っぷりに加え、レムノ王国を目指す道中に野党の襲撃を受けた際も、基本的には戦いをキースウッドに任せつつ、ティオ―ナと一緒にミーアの護衛に徹するという冷静な対応ができています。

 学園の剣術大会のエピソードで実力の高さは描かれていましたが、立場や年齢を考慮すると、ほぼ実戦経験はないはず。にも関わらず、キースウッドが只者ではないと感じられるレベルの相手を前にしても動揺せず、しっかりと自分の実力も弁えた立ち回りをしています。

 その一方で、ミーアが馬車から落ちてしまった際には、危険を顧みず即座に後を追って馬車から飛び降りており、男でも思わずキュンとしてしまうような王子様っぷりです。

 そんな完璧超人なシオン王子ですが、ミーアが水に濡れた服を乾かしているに時だけは動揺を隠せなくなる、年相応のかわいい一面も見せてくれました。

 シオンの王子のミーアへの感情が恋愛にまで達しているかはまだ微妙なところに見えますが、どのみちミーアはアベル王子に一直線なので、ほぼ異性として意識してもらえない不憫さも含め、一気に応援してあげたいキャラクターになりました。

 その後、野党の襲撃でキースウッドたちと離れ離れになってしまったミーアとシオンは、徒歩で王都を目指すことになります。

 途中で出会った猟師・ムジクに村まで案内されたミーアは、レムノ王国内の情勢は安定しており、到底革命が起こるような状態ではないことを知って違和感を抱くのですが、持ち前の能天気さが発揮されてしまい、深く考えることはありませんでした。

 レムノ王国内の革命には、第8話のラストで暗躍していた謎の集団が関与している可能性が高く、今後はいつミーアが真相に気付くことができるかも注目です。ミーア達がレムノ王国に向かっていた情報が、どこから漏れたのかも気になるところで、無事王都にたどり着けたとしても、一筋縄ではいかない予感がします。

 ただ、この能天気さはミーアのいいところでもあり、日記が消え、未来が分からなくなったことへの不安を一切抱いていないのに凄みを感じました。

 今回はそんな心配をする暇もない状況だったもありますが、「何かが起こっても、自分ならなんとかできる」という自己評価の高さが根底にある気がしています。深刻な悩みを消し飛ばしてしまうほどのポジティブさは、我々も見習うべき部分かもしれません。


©餅月望・TO ブックス/ティアムーン帝国物語製作委員会2023

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