TGSの話題作『ジェットコーラ』の今は? リアルなボトルを振るアーケードゲームならではの苦労点とは?【Jetcola開発者インタビュー:電撃インディー#519】
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- 電撃オンライン
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「テクノクラフト!」を合言葉に、遊べる機械やアーケードゲーム作り、映像制作、映像システム構築などを行うTamakotronica(タマコトロニカ)の千田泰宏さんにインタビュー。
東京ゲームショウ2023に出展し話題となった『Jetcola(ジェットコーラ)』について、本作の注目点や開発の裏話、さらに今後の夢などをお話しいただきました。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
『Jetcola(ジェットコーラ)』とは
『Jetcola(ジェットコーラ)』は、千田泰宏さんが制作したアーケードタイプのインディーゲーム。
ゲームと連動したデバイスを振るだけというシンプルなルールながら、子供から大人まで幅広い世代の方が楽しめる作品になっています。
コーラのボトルを振って、振って、振りまくって! 吹き出すコーラで宇宙を目指しましょう。
忘年会や新年会への出張参加もあり!? 誰でも楽しめるアーケードーム展開の夢【ジェットコーラ開発者インタビュー】
――まずは『Jetcola(ジェットコーラ)』の注目点を教えてください。
誰でも簡単に遊べて、やってみるとかなり楽しいということ!
もう一つは、インディーゲームとしては珍しいアーケードなど、“現場”での導入を目指していることです。
――そもそも『Jetcola(ジェットコーラ)』はどのようなきっかけで思いつき、開発を進めていったのでしょうか。
もともとは、子供向けプログラミング教室で、教師サポートをしたときに、デモンストレーション作品として開発したのがきっかけです。
子供たちの作るものが“マウスとキーボード”で操作する作品に集中していましたので、そこから「入力の“形”を変えるだけで、違う体験が作れるよ!」と見本を示すためにコーラのボトルを振るゲームを制作しました。
その時、子供も保護者も楽しくプレイしてくださったのをきっかけに、以前から興味のあったアーケードの要素“筐体”を追加で制作しました。
筐体にゲームを入れることで、その場で楽しむゲームということが伝わりやすくなり、より楽しんでいただけるようになったと思います。
――開発中に苦労した部分があれば教えてください。
ボトル型コントローラの開発に苦労しました。
制作当初は子供たちがプログラミングしている環境に合わせるため、振った回数を、ボトルの中に入れたマイクでシャカシャカなるビーズの音を拾ってカウントする方法をとっていました。
そうしたところ、「一生懸命に振ったのに、あまりスコアが変わらない」と残念そうにする顔を何度か見ました。
これではいけないと思い、ボトルコントローラの開発に着手しました。
はじめは市販のコーラのペットボトルキャップ部分に接続できるキャップ型ケースに加速度センサーを入れていましたが、この方法だとあまりにもセンシティブで、小さな振りも拾ってしまうため、がんばってもがんばらなくても差が出ないことに気が付きました。
がんばったらしっかりスコアが出る、より“スポーティー”なゲームにしたかったので、その後、ゲームセンターの筐体に使われているボタンを改造することで、センサーとして利用する方法を思いつきました。
市販のペットボトルの改造+自作ボタンセンサーでいくつかのインディーイベントに出展したところ、思いのほかプレイヤーが集まり、ペットボトルがぼこぼこになるという事件に見舞われます。それをきっかけに1から3Dプリンターでボトルを作り、現在に至ります。
――ユーザーさんが実際に遊んだ感想や反響についてはいかがでしょうか。
おかげさまでTGSでは会期中1,000人以上のプレイヤーに恵まれました。
「とにかく思い切り何かを“振る”という行為自体が楽しい!」という声、「周りから見ていても楽しい」という声をいただいています。
何気なく通りかかったブースで、必死で何かを振っている人を見ると「やってみたい!」と思ってくださるようです。
ゲーム自体はとてもばかばかしい内容ですが、実は“切実な”ストーリーがあったりして、そこを見て、更なる高みを目指す方が現れたりと様々ですが、皆さん一様にものすごく発散して笑顔で帰ってくださるのがうれしいです。
また、いくつかのイベントに出展しているうちに、さまざまのボトルシェイクスタイルが開発されだしているのも面白いなと思います。
――TGS2023出展後もゲームのブラッシュアップが続いていますが、どのような部分を調整していっているのでしょうか?
大きな新要素としては“復活”要素の追加です。今まではゲームの最初にボトルを一生懸命に振り、その後は画面を眺めるだけでしたが、追加した復活機能により、2秒間のエクストラシェイクが得られます。
この復活を“連チャン”させることで、どこまでも飛んでいくことができます。
復活が“連チャン”しだすと、ギャラリーもものすごく盛り上がり、謎の一体感が産まれます。
――TGSではプロレスラーの方がものすごい記録を出したそうですが、普通の方の記録と比べていかがでしたか?
多くのプレイヤーが木星到達の100,000Pts前後のスコアなのですが、プロレスラーの方は、125,000Ptsという並外れたスコアを出し、その後連チャンにつなげることで太陽系突破の200,000Ptsを獲得していました。
実はもう一人プロレスラーの方が来たのですが、その方も135,000Ptsを叩き出してました。
他にもたまにこのあたりのスコアを出す方がいるのですが、皆さんに共通して言えるのは振るときの体が安定しているということ。体幹がしっかりしているということです。
――個人的にはパンチングマシンのような多人数でわいわい遊ぶエレメカ筐体として、ゲームセンターやボウリング場に置かれても面白そうだと感じました。忘年会や新年会への出展も可能とのことですが、反響はいかがでしょうか?
現在、ゲームパブリッシャーの方や、広告代理店、医療系のアプリの方、音楽レーベル、ショッピングモールなどにお声がけいただいているのですが、実際の出展には至っていません。打ち合わせ最中のところもあるので、今後の展開につなげていきたいなと思っています。
ボトルのデザインや筐体デザイン、ゲームのグラフィックも必要に応じてカスタムできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせは“公式サイトのContact”よりお待ちしております!
――『Jetcola(ジェットコーラ)』の今後の展開や野望・夢について教えてください。
12月8日から行われた台湾のゲームイベントG-Eightで出展してきました。初めての海外展開ですので、どのような反応が得られるか不安な部分もありましたが、会期3日間で1,244名のプレイヤーの参加があり、過去最高の盛り上がりを見せる結果となりました。
非常にアグレッシブなプレーが多かったので、調整等含め今後に生かしていきたいなと思っています。
また、来年(2024年)の3月にサンフランシスコで開催されるGDC内で行われる、ゲームコントローラを使わないゲーム限定のイベント“Alt.Ctrl.GDC”にエントリーしています。
もし、採択されればインディーアーケードゲームの本場 アメリカでの出展になるので、受かるといいなぁと思っています。
そして、もちろん、いつかはゲームセンターに置けたら最高だなと思っています!
――Tamakotronicaの今後の展開や目指していることについて教えてください。
Tamakotronicaの目標は、“楽しんでもらえるプロダクトを作ること”と“楽しんでもらえプロダクトはみんなも作れる! を伝える”ことですね。
手先が器用でなくても、現代のテクノロジーを使えば、誰でも様々なものを作ることができます。
例えば、ギターを弾いて歌うことで多くの人を楽しませることができるように、コンピュータを使ってエンターテイメントを作ることもできます。
そのことをTamakotronicaが“アーケード”を通して広めることで、多くの人に楽しんでもらえ、可能性を感じてもらえるといいですね。
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