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感想:アニメ『ウマ娘』第3期11話は暗雲立ち込める激動回! 突き付けられたアスリートとしての宿命を前にキタサンブラックが選ぶ道は……

タダツグ
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 ファン待望のアニメシリーズ第3期『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』第11話“決意”が放送されましたので、視聴しての感想をお届けします。

【注意】この記事では『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』第11話“決意”感想

 降りしきる雨のレースが描かれた第11話。泥だらけのバ場状態に負けないくらいの激重なドラマが描かれていました。はっきり言います。泣きました。ラスト、感情がわやくちゃになって泣いてしまいました。おじさんはこういうのに弱いんだ……。今回はどうしたって、いつもよりネタバレ成分多めになりますけどご容赦ください。

 前回の10話、春のGI戦線の最終戦である宝塚記念で惨敗を喫したキタサンブラック。全力を出し切ってそれでもなお負けてしまったのなら、それはもう仕方がないこと。でも、宝塚記念のキタちゃんはちょっと違いましたよね。なんだか違和感を感じていましたよね? 風邪で体調を崩してしまった後遺症なのかな……と思っていましたが。むしろ、そうであってほしいとすら願っていましたが!

 今回、かなり残酷な現実が突き付けられることになりました。現役ウマ娘としての“ピークアウト”。すなわち、全盛期の力は失われたという現実。第3期前半で、あのゴールドシップも直面した問題に、今度はキタちゃんが思い悩むことになります。サトノダイヤモンドとともに渡仏して凱旋門賞を狙うと決めていたキタちゃんにとっては、重たすぎる悩みですよ。

 “己のピークを過ぎたとき、どのような選択をするのか?”

 これはアスリートにとって、目を背けることはできない問題。いや……むしろどんな人間であっても、年齢などの理由から自身の肉体やメンタルの減衰に悩むことはあると思います。筆者自身で例えるなら、40なかばとなって明らかに徹夜がキツくなっており、昔のようなペースで原稿を書けなくなっていますからね。これもひとつのピークアウト。

 つまるところ、キタちゃんが直面したこの悩みって我々も大なり小なり抱えている問題であるわけです。リアリティがあって生々しい。そして、だからこそ強く感情移入してしまう……そういう構造でした。

 よくぞこのような重たいテーマに正面から挑んだものだと、個人的には感心しきり。もしかすると若いファンと、僕のようにある程度年齢を重ねたファンとでは、物語の見え方やキタちゃんへの感情移入度に微妙な差異が生まれるかもしれません。そこがまた、このアニメ『ウマ娘』の面白さのように感じましたね。

 さておき、なかなか答えが出せないキタちゃん。悩める彼女の背中を押したのは……これまでずっと彼女の支えになってきてくれた、商店街のファンの皆さんでした。ファンの存在って力にもなるし、時にプレッシャーにもなると思うのですが。商店街の皆さんは本当にハートウォーミングであり、キタちゃんのことが大切なんだなってあらためて思いました。

 その声援に応える形でキタちゃんが選択した道筋。そして、選んだ道を走るなかで最後まで戦い抜く決意を純粋に応援したい……そう強く感じています。

 Bパートで見せた雨のレースでの激走は素晴らしいのひと言。作画、演出、そして声優さんの演技など、すべてが上質です。これまでのエネルギッシュでがむしゃらなキタちゃんとはひと味異なり、泥だらけになりながら何かを絞り出すかのようにして走るその姿に胸が震えましたよ。未見の方はぜひご期待ください。

 いよいよクライマックスが近いことが予想されるアニメ『ウマ娘』第3期。結末まで見逃せないエピソードが続きそうですね。

 ……さて、ここからは気分を変えて。イチ『ウマ娘』ファン視点で、11話を鑑賞していて「おっ!」と思ったところをご紹介しましょう。

“しっかり者のお姉さん感”が板についてきたサトノクラウン。正直、ガチャを回したくなっています!!

 ……見出しで宣言することか? いや、筆者はゲーム版『ウマ娘 プリティーダービー』も大好きなトレーナーであるということで、そこは流してほしいわけですが(苦笑)。とにかく、サトノクラウンが魅力的だって話です。

 同期組として、キタちゃんやシュヴァルグランと絡むことも多い彼女。3人のなかでは一番大人びているというか、“しっかり者”っぷりがだいぶしっくり来ている感じがします。

 サトノクラウンと言えば、同じ家柄であるサトノダイヤモンドよりも1つ年上ということで、彼女の相談に乗ったり諭したりするポジション。加えて、宝塚記念で国内のGIレースでも勝利を収めたことが自信にもつながっているのかな、と。

 個人的には、いつもしっかり者で優等生って感じの彼女が、ゲーム版でどのような表情を見せてくれるのかが気になっています。このタイミングで育成ウマ娘として実装するのは、とてもナイスな判断ではないでしょうか。ま、回したい……。

 若干お話が逸れましたが(苦笑)。11話のラスト、キタちゃんとの一騎打ちで見せた激走は今も目に焼き付いています。めちゃくちゃアツかった! 最高の名場面を彩ってくれたサトノクラウン、これからも要注目の存在といえますね。

悩めるキタちゃんとサクラバクシンオーが正面衝突? 浮かない顔のキタちゃんに委員長は何を思う

 なんかこう書くと、キタちゃんとバクシンオーがケンカでもしたのかと誤解を生みそうですが……。実際は、いつもの如く廊下を爆走してきたバクシンオーがスマホを見ながら歩いていたキタちゃんとぶつかってしまう、というシーン。

 互いに謝り合って、そのまま別れることになる……と思いきや。元気のないキタちゃんを心配そうに見つめるバクシンオーがとても印象的でした。

 キタちゃんが悩んでいる時、バクシンオーが親身になって心配してくれることはゲーム版でも語られていますし、もしかしたら今後の伏線になっているシーンなのかも? 意味ありげでとても気になっています。個人的に、バクシンオーは思い入れが強いウマ娘の1人なので(僕がゲーム版ではじめて育成シナリオをクリアしたのは彼女)、もっともっと活躍してくれたらうれしいです。

やっぱりバナナが好きなのね! ビワハヤヒデの唐突なカットインに爆笑

 オチに使っちゃってごめん、ハヤヒデ(笑)。食堂で会話するキタちゃんやサトノクラウンの後ろで、めちゃくちゃ唐突に、もぐもぐとバナナを食すビワハヤヒデの姿が描写されていたの、皆さんもお気づきになられましたよね? あそこ、めちゃくちゃインパクトがあって笑っちゃいました。

 彼女のバナナ好きっぷりはゲーム版でも語られていますが、前回の早食い大会に続いてここでもカットインしてくるとは……。恐るべし、バナナへの執念。最高でしたね(笑)。

 先ほども書きましたが、クライマックスが近づいてきている感がひしひしと伝わって来たこの11話。ラストで豪雨のなか、天を仰いで荒い息をつくキタちゃんが、現実を受け入れたかのようにこぼした「そっか…」という声が、あまりにも切なくて泣けてきます。最初に見たときも泣いて、記事を書くために見直した今、またも号泣中。キタちゃん……。

 ホント、先が気になって仕方がない反面、ゴールが見えてきたがゆえの寂寥感もあって、どうしてもしんみりしてしまいますね。キタちゃんの、そしてダイヤちゃんの物語がどのような結末を迎えるのか? しっかりと見守っていきたいと思います。

 ……その前に、チャンピオンズミーティングも頑張らなければ(汗)。それでは、今回はこのへんで!

©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会

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