『ティアムーン帝国物語』11話感想。シオンとアベルが信念を賭けて決闘。ミーアが積み上げてきた絆が起こした奇跡に胸が熱くなる

米澤崇史
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 TVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』の第11話“再会と決闘と……”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』11話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』第11話“再会と決闘と……”感想

シリアスな話の横でクッキーを頬張るミーアがかわいすぎる

 話し合いを行うため、革命派のリーダーであるランベールの屋敷へと招かれたミーアとシオン王子。ランベールはレムナ王国が他国への侵攻のために重税を課そうとしている可能性を伝え、シオンを味方に引き入れようと画策します。

 民を苦しめ戦争を画策するレムナ王国を放置するのが本当に正しいのか、シオンが思い悩むシリアスなシーンなんですが、その傍らでむにょむにょいいながらクッキーを頬張っているミーアがかわいすぎる。

 前回の第10話では革命派に拉致され、命からがら窮地を脱した直後だけに、安心して気持ちが緩んでしまったのかもしれませんが、今回のミーアはポンコツ度が全体的に高め。シリアスな展開の中での癒やし要素的な存在になっていました(結果的に、このマイペースさがシオンを思いとどまらせることにも繋がっていますが)。

 本作は何かとお風呂シーンが多いですが、11話では久しぶりに登場。いつもはアンヌと一緒なので、ミーアが一人で身体を洗っているのはなかなか珍しい気がします。

 リーシャの気遣いのおかげで、ミーアは自分が馬用のシャンプーを使っていることに気が付かずにすみましたが、この先真相を知ることになるのか、それとも最後まで気づかないまま幸せに過ごせるのか、気になるところです。

 そして大きな盛り上がりどころとなったのが、アベルとシオンの決闘シーン。例え内部に問題があったとしても、民のために国は必要だというアベルと、腐敗した国のために民が血を流すことは許せないとそれを止めようとするシオン。どちらの主張にも正義があり、譲れないもののために剣を交えるという展開は非常に熱かったです。

 個人的に、ミーアが二人の決闘を止めようする際に、アベルだけではなくシオンの身も案じていたことに安心しました。

 以前のミーアなら、やり直し前の世界で自分の死の要因を作ったシオンの敗北を願っていたのではないかと思いますが、ここまで二人だけで旅をして来たのもありますし、この関係性の変化は個人的にすごく良いなと感じたポイントです。

ついに明かされたディオンの実力。やり直し後の積み重ねがミーアを救う

 今回何よりカッコよかったのが、完璧なタイミングで登場してあっという間に二人の王子とベルナルドを圧倒したディオン。これまでのエピソードではかなりの実力者であることが仄めかされながらも、直接的な戦闘シーンは描かれていませんでしたが、11話にしてその本当の強さが明らかに。

 とくにベルナルドは、王子であるアベルの護衛役を兼ねているほどですから、相当な強さの騎士だと推測できますが、ディオンはベルナルドの武器の刃の部分だけを斬り落とすという離れ業で無力化しています。

 ここまで強いとなると、ルードヴィッヒがわざわざスカウトにいったのも頷けます。ここ一番で状況を打開するのがミーア自身ではなく、やり直し後に築いてきた仲間の力というのも本作らしいですね。

 駆けつけたアンヌの姿を見た瞬間、すぐアンヌに抱きついて泣きじゃくるミーアの姿も印象的でした。

 やり直している分、この世界のアンヌよりもミーアの方が精神的な年齢は上のはずですが、この時のミーアはまるで母親と再会した小さな子供のようです。全キャラクターの中で、ミーアと共に過ごした時間が一番長いのはアンヌでしょうし、ミーアにとっては母親のような存在なのでしょうね。

 最終的には場を収めるためにミーアが演説することになるも、アベル王子と会うことしか頭になかったミーアは完全ノープラン。

 この終盤最大の山場といえるシーンで、主人公が何も考えていなかったというのはあまりにも斬新な展開でしたが、危機的状況にまで追い込まれたことで、やり直し前のティアムーン帝国で起きた革命と、今回のレムナ王国の革命の両方にサンクランド王国が関わっているという、黒幕に繋がる突破口に気づくことができました。

 やり直し前の世界でのサバイバルのエピソードもそうですが、自分の命が脅かされると、途端に火事場の馬鹿力的な力を発揮する生存本能の強さこそ、ミーアの一番の強さなのかもしれません。

 ラストに登場したキースウッドの肩には黒い鴉が乗っていましたが、これは10話でモニカが飛ばしていたメッセージを受け取ったと考えてほぼ間違いないでしょう。

 黒幕の正体を知ったミーアにアベル、そして自分の国であるサンクランドが関わっていることを知ったシオンはどう動くのか。ついに残すは最終話のみとなりましたが、最後まで目が話せない展開が続きそうです。


©餅月望・TO ブックス/ティアムーン帝国物語製作委員会2023

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