年末年始はストーリー重視の1人用RPGはいかが? 『グリムエコーズ』インタビュー+設定画公開

イナヤ マギ
公開日時
最終更新

 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ Repage』と『グリムエコーズ』。『グリムノーツ』が来年1月21日に4周年、『グリムエコーズ』が3月28日に1周年を迎えます。それらを記念した合同インタビューを4回に渡ってお届けします。


 第1回は『グリムエコーズ』のインタビュー前半です。ストーリーの前半や、デザインの裏話などをお聞きししました。ラストに設定イラスト集もありますので、お見逃しなく!

  • ▲左から、シナリオ担当の大泉貴さん、プロデューサーの石井諒太郎さん、メインキャラクターのイラスト担当の穂里みきねさん。

キャラクターひとりひとりを大切にした作品にしたい

――まずは『グリムエコーズ』の開発コンセプトや目指してきたことを教えてください。

石井:『グリムノーツ』に続く作品ということもあり、できるだけ両方遊んでもらえるゲームにするというのが、開発のコンセプトでした。

 続編という形を強く打ち出して「新しい作品が出るので、こっちを遊んでください」という感じにはしたくなくて、それぞれ別な遊び方ができるように意識して作りました。

 『グリムノーツ』のときに、世界観やお話は好きだけど、みんなでマルチプレイを遊ぶようなゲームシステムが合わないという意見も結構あったんですよ。なので、『グリムエコーズ』では、そういったソーシャル性を削って、いつでも自分のペースで遊べるようなゲームを作りたいなと。

 『グリムノーツ』に合わなかった方は『グリムエコーズ』に、『グリムエコーズ』に合わなかった方は『グリムノーツ』に合うくらいの気持ちで、ターゲットをまったく同じにしないよう意識して作っていました。

 ストーリーとしても、『グリムノーツ』のコンセプトをある程度引き継ぎながらも、まったく違ったメッセージを伝えたいと考えていました。

大泉:『グリムノーツ』と根本的に違うのは、何度も同じ世界、同じキャラクターで遊べるということです。

 キャラクター同士の関係性をどんどん深めるというのは、『グリムノーツ』では世界観の設定上できなかったので、それを深めるような話にしていきたいなと思いました。

石井:『グリムノーツ』を作っていて感じたことは、どんどんと新しいキャラクターを追加していきますが、その話が終わるともう二度と語られないことが多く、言い方は悪いですが、キャラクターを使い捨てにしてきていると感じていました。

 アリスなどの人気キャラクターは何回も出して欲しいとか、キャラクターたちのその後が観たいとかの要望を頂くのですが、想区で区切っている以上むずかしいという。

 プレイヤーの方々に求められていることが構造上できないジレンマがあり、『グリムエコーズ』の開発当初から、キャラクターひとりひとりを大事にするような作品にしたいという話は出ていて、今のような同じキャラクターと交流するようなストーリーやシステムになっています。

 それこそ最初のヘンゼルとグレーテルに、ストーリーが終わった後も何度も会いに行こうというのがあったり、ヨリンゲルが何度も出てきたりしています。

 わかりやすい例は桃太郎ですね。最初にメインストーリーに登場するのは顔見せ程度でしたが、のちのちの章ではメインとして活躍します。ストーリーを進めながらも、前のストーリーのその後がどうなったのかといった話の広がりを大切にしたいなと思って開発しています。

――確かに話が進んでいくうちに、たくさんのキャラクターとの関わりが増えて、図書館がにぎやかになってくるのは楽しいですね。『グリムノーツ』と比べると、『グリムエコーズ』ではかなりキャラへの愛着の持ち方が違うと感じます。

大泉:ヒーロークエストもそうですが 童話を超えてキャラクター達がどういう関係を持つのかというところをしっかり描くようにしています。

石井:物語について、童話キャラクターを前面に出している部分はあります。『グリムノーツ』では 空白の書の持ち主である“エクス”ら主人公たちのストーリーを大事に作っていますが、『グリムエコーズ』は元となる童話を大切に作っているという点も違いますね。

大泉:ですから、『グリムノーツ』ではよく登場してくる“創造主”を、『グリムエコーズ』では、今のところピックアップしないようにしています。ここも2作品で大きく違うところだと思います。

『グリムノーツ』とは違う3Dのデザインを楽しんでもらいたい

――『グリムエコーズ』のキャラデザインやイラストは、『グリムノーツ』と比べて、どのようなところが違いますか?

穂里: 『グリムノーツ』とは違う作品ではあるのですが、『グリムノーツ』で遊んできた方に馴染みやすいようにしようということで、デザインの方向性としては『グリムノーツ』の延長戦上で作成しています。

 ですが、3Dになるぶん、デザインに調整が必要だったり、見せ方が変わってくる部分があるので、2Dの『グリムノーツ』とは違う一面を見せられたら面白いかなと思っています。

石井:『グリムエコーズ』と『グリムノーツ』で登場する童話のキャラクターたちはそれぞれ別人として描かれていますが、同じ童話のキャラクターなので、印象が変わりすぎないようには気を付けています。

大泉:逆にテーマごと変わったキャラクターはデザインごと変えています。顕著なのは、ツヴェルクかな。

石井:メインストーリーに関わりすぎて、『グリムノーツ』のものをそのまま使うわけにはいかなかったというのはありますね。

序盤のストーリーは『グリムエコーズ』の世界観とキャラを知ってもらうことを優先した

――主にシナリオ担当の大泉さんにお聞きしますが、ストーリーの1章から4章について、開発時のコンセプトや印象などを教えてください。

大泉:1章では、この世界がループする設定であるというのを示すために、あえて『グリムノーツ』では主に『白雪姫』で描いた設定を、『ヘンゼルとグレーテル』で描きなおしました。

 あと1章はベータテストと本編でラストを変えたことで、サービス開始後に大きな反響をいただいただのがうれしかったですね。

石井:ストーリーの流れは同じなのですが、最後のエピローグを追加したんです。

――確かにラストの展開の追加にはビックリしました!

石井:同じことを2度やることは、プレイヤーの方々にとってはきついかなと思っていたので、最後は別の結末を準備したいと思っていました。ただ、追加したのはかなりギリギリでしたが(苦笑)。

大泉:2章は『シンデレラ』をメインにしながら、『マッチ売りの少女』や『長靴をはいた猫』をからめていきました。

 初期案に対して、石井さんから「シンデレラのガラスの靴を、もしも別人が履いていたらどうだろう」というアイデアをいただいて、最終調整をしました。『グリムエコーズ』では、童話をひねった視点で描くことが結構多いですね。

 童話ではシンデレラが王妃になってめでたしめでたしですが、ガラスの靴によって選ばれた“王妃という立場”の重責やプレッシャーに悩まないのか? と、ちょっと生々しい形での“童話の先”を盛り込みました。

 ただ、周囲からは「そこは、シンデレラストーリーの根本的な楽しさを否定しちゃうので、ちょっと共感できないかも」という感想も多かったですね(苦笑)。

穂里:よくも悪くも、大泉さんの独特の感性や周囲とのズレは、『グリムエコーズ』の味のひとつかもしれませんね(笑)。

大泉:さて、気を取り直して『赤ずきん』を主体とした3章ですが、ここで初めて“空白の書”の話が出てきます。インタビュー後編でもう少し詳しく語ろうと思いますが、『グリムノーツ』の“空白の書”とはいろいろ設定が違うところは、注目してほしいポイントですね。

 スカーレットと赤ずきんの関係は『グリムエコーズ』の初期の段階で決まっていましたが、『グリムノーツ』で言うところのタオとシェインの関係に近いかなと思っています。

 3章では、普段交わらないもの同士が交流を深めていくと同時に、主人公たち図書館メンバーががどういう人間なのかを描きました。

石井:『グリムノーツ』のシナリオに近かったから、結構大変だった記憶があります。ロールシフトの設定とか、相当気に入っているよね(笑)。

大泉:『グリムノーツ』を離れてしまった方にもう一度その設定を見せたかったというのはありますね。

――次は4章のアラジンの話ですが、今までと少し雰囲気が違うお話でしたね。

大泉:そうですね。4章は、それまでがシリアスな話だったので、もう少し明るめの話にしようということになりまして。『アラジンと魔法のランプ』のアラジンを主体に、『オズの魔法使い』のドロシーを絡めて出しました。

 同じくらいの年の子たちの掛け合いだったので書いていて楽しかったです。


石井:僕としては、今となっては4章はもうちょっと何かできたのではないかいう物足りなさがあります。

 テンポよくノリ重視で楽しめるよさはあるのですが、オチを先に決めて進めてしまったこともあって、全体的に軽かったなと。

 “人の力を借りず、なんでも自分でできるようになりたい”という子供らしい願いから始まって、そうならなくていいという提案まで含めて、ちょっと深みが足りなかったかなと。

――個人的には、4章は他と比べて選択肢が多めで、よりRPG感があって好きでした。

石井:いい意味で“昔のRPG”みたいな感じですよね。「どこどこに行って、●●を取ってこい」みたいな、いわゆる“おつかい”も多かったですし。

 重い話が多い『グリムエコーズ』のなかでは、気軽に楽しめるRPGらしさがある章なので、楽しんでもらえたなら嬉しいです。

キャラクターのモチーフには正体に関する重要なヒントが!

――キャラクターデザインについてなのですが、穂里さんが描きやすかったキャラクターや逆に大変だったキャラクターは誰ですか?

穂里:1番描きやすかったのがスカーレットで、1番描きにくかったのがウィズですね。

  • ▲スカーレット。
  • ▲ウィズ。

石井: ウィズは色々と問題があったからね(笑)。

穂里:そうなんですよ。スカーレットみたいな感情の起伏が分かりやすいキャラクターは、どんな表情をして、どんな行動をして、どんな仕草をして……というのがすごく思い浮かぶやすいんです。

 なので、それに合わせて、こういう服を着て、こういう髪型でという連想がしやすいですね。

 逆にウィズみたいな少し物静かで淡々としていて、俯瞰しているキャラクターは連想していくのが難しいので……。いろいろと悩んで試行錯誤したキャラでした。

――デザインの中にも正体が分かるようなモチーフが隠されていたりするのでしょうか。例えばスカーレットとか。

穂里:スカーレットはすぐ正体が分かるのですが、「本作のストーリーは、こういう風にメインキャラの正体を明かしていく構造になっていますよ」ということを提示するキャラクターとしてデザインしました。

 そのため、デザインは凝りすぎるよりも、分かりやすいヒントを散りばめようと決めていたので、スカーレットは作りやすかったですね。

 ただ、公式サイトに掲載されているプロフィール文章を読んだだけで、勘がいい方は正体を当ててきてますからね。

 『グリムノーツ』からのファンの方の流れもあって、『グリムエコーズ』も考察が鋭いプレイヤーの方々が多いので、基本的には正体を知った後だと気づきやすいデザインを入れつつ、細かい部分は少しひねってバレにくいようにしています。

1人用RPGとして進化してきたポイントや、初心者に向けた攻略アドバイス

――『グリムエコーズ』を初めて遊ぶという方や、初期に遊んでいて今休んでいるプレイヤーの方々に向けて、アピールしたいポイントなどあったら、教えてください。

石井:『グリムエコーズ』は基本的には、ソロプレイでストーリーをじっくり楽しんで欲しい作品なので、そこが便利になる機能は随時追加しています。

 また、やり込みが好きな方のために、“フィールドボス”という形で、フィールドの様々なところにレアエネミーとしてボスが出現するようになっています。


 最近だと、“闘技場”がオープンしました。リアルタイムで他のプレイヤーの方々と戦うものではなく、一定時間自分でコツコツ戦って結果が出るものなので、こちらもじっくり遊べます。

 また、リリース初期には説明不足だったところはかなり解消されていると思いますので、初めての方も迷わずプレイできると思います。

――効率のいいプレイをするための攻略アドバイスなどがあれば教えてください。

石井:攻略アドバイスとしては、自分のテクニックを上手くするよりも、レベルを上げてキャラクターを強くすることですね。

 回避アクションなどのテクニックがうまくなれば、もちろん楽なのですが、どちらが効率いいかと言われれば、地道にキャラクターのレベルを上げる方をオススメしますね。レベル上げは、すべてに勝ります。

 限界突破用のアイテムはガチャだけでなく、ショップやほこらでも手に入るので、毎日ちょっとずつでも継続的に遊んでいけば、ちゃんとヒーローが育っていくはずです。

 また、育成用のアイテムを年末年始にたくさん配る予定なので、このタイミングがレベル上げに一番いいと思います。

 初めてプレイする方やもう一度遊んでみようという方は、年末年始にプレイすると巻き返せるぐらい育成できると思いますので、ぜひプレイして1人用RPGの魅力やストーリーのよさをお楽しみください!

次回インタビューは1月掲載予定

 次回インタビューは1月に掲載予定。4周年が近づき、物語のクライマックスが近づいている『グリムノーツ』に関する開発秘話を掲載します。

おまけ:設定イラスト集

※こちらは企画段階の資料です。実際のゲーム内で確認できるものとは異なる可能性があります。

  • ▲3Dモデル用に描き起こされた二面図。
  • ▲デザインに各国のモチーフを使うので、模様や図柄の配置などにNGがないか各方面でチェックしてもらうそうです。
  • ▲3Dになって色々なモーションが付けられるので、かわいいヴィランズを作りたいと思い、様々なパターンを作成したとのこと。
  • ▲シンデレラの背景は、ネタバレが発生する可能性があるため、当時は一部隠して掲載したそうです。

© 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
© 2016 - 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

グリムエコーズ

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年3月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

グリムエコーズ

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2019年3月28日
  • 定価: 基本無料/アイテム課金

グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

関連する記事一覧はこちら