『ジージェネF』をさらなる神ゲーに押し上げた拡張ディスク。全能力ンストの最強フローレンス・キリシマ爆誕【ジージェネF.I.F:メモリの無駄づかい】

米澤崇史
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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ(私)、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PlayStationで発売されたRPG『SDガンダム ジージェネレーション F.I.F』について語らせていただきます。

『SDガンダム ジージェネレーション F.I.F』とは

 本作は、2000年8月3日にバンダイ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された作品で、『SDガンダム ジージェネレーション F』の拡張ディスクにあたるタイトル。『ジージェネ』シリーズの拡張ディスクは現状本作のみなので、かなり貴重な存在でもあります。

 全ユニットの戦闘アニメーションや図鑑を見れたり、本作単体でも資料的なソフトとして楽しむことはできるのですが、やはり真価を発揮するのは『F』のセーブデータと組み合わせた時。『F』で育てた自軍のデータを持ち越して、育成が前提となる超高難易度のステージに挑み、さらに部隊を強化していくことができるなど、やりこみ要素をさらに拡張してくれます。

 立ち位置としては『F』の拡張ディスクなのですが、初代『ジージェネ』、『ジージェネZERO』との連動要素も存在。両作のクリア済のセーブデータや、ディスクを入れ替えることでそれぞれのタイトルの全てのムービーも見られるようになるなど、それまでにPlayStationで発売されていた全『ジージェネ』シリーズのファンサービス的な要素も含まれています。

『F』ではできなかった最強のパイロットを育成できるシステム【ジージェネF.I.Fの思い出】

 本作の最大のウリは、より深い育成を楽しめること。『ジージェネ』の終盤になると余りがちになるキャピタル(自軍の資金に相当)を活用して、戦闘を行わずMSやキャラクターのレベルを上昇させることができます。これには育成の時間短縮という側面もあったのですが、『F』単体ではできなかったパラメータや限界を越えた育成も可能になっています。

 中でも嬉しかったのがパイロット周りのカスタマイズで、キャピタルを支払うことで射撃や格闘、反応といったパラメーターを育成の上限を越えて最大まで伸ばせるようになりました。

 加えて、全自軍キャラクターをニュータイプに覚醒させることもできるようになったのも地味ながらありがたかったですね。

 『F』の頃の『ジージェネ』には近年のタイトルにある“覚醒値”のパラメーターがなく、代わりにファンネルなどのサイコミュ兵器の使用時は、各キャクターのNTか強化人間のLVが参照されていました。

 そのため、オールドタイプのキャラクターがサイコミュ兵器を使いこなすには、キャラクターに強化措置を行って強化人間にするしかないのですが、一度強化人間にしてしまうと元に戻すことができず、育成に必要なEXPが増えるなどなどのデメリットや、キャラクターのイメージ的な問題もあり、なかなか勇気がいる決断でした。

 筆者は結局強さの魅力には抗えず、ニュータイプ以外のパイロットはほぼ強化人間にするという非道な(?)プレイをしていたのですが、『F.I.F』では一度強化人間にしてしまったキャラクターを普通のオールドタイプに戻すことも可能になりました。

 ニュータイプ化のデメリットは強化人間と異なり、オールドタイプに戻せないことくらいしかなかったので、ブリッジクルーも含めて自軍キャラクターを片っ端からニュータイプにするという、超贅沢な部隊を結成して遊んでいました。

 筆者の場合、『ジージェネ』の名物オリジナルキャラクターである、超絶口の悪いお嬢様としてお馴染みのフローレンス・キリシマ(この頃はまだ顔芸を始める前)がお気に入りだったのですが、『F』では最高まで育成したとしても、決して能力値が高いキャラクターではありませんでした。

 『F.I.F』ではパイロット育成システムをフル活用し、射撃・格闘・反応値をカンストさせた上でニュータイプに覚醒させ、最強の機体であるサイコ・ハロに乗せてして大暴れさせることができたのは楽しかったです(キリシマの場合は、強化人間にしてもあまり違和感はないのですが……)。

 『F』にはいくらキャラクターや機体を育成しても、その強さに見合う敵が存在しないという問題もあったので、エンドコンテンツ的な高難易度ステージが追加されたのも嬉しかったですね。並の育成ではまず歯が立たない、最高レベルまで強化されたサイコハロが敵として出現する悪夢のようなステージがあったり、活用の場ができたことでさらに育成のモチベーションを高める役割も果たしてくれました。

 『F』は単体でも紛れもなく名作ですが、『F.I.F』はわずかに届いていなかった『F』の“かゆい部分”を的確にフォローしており、さらに完成度を引き上げて神ゲーにしてくれた拡張ディスクでした。いつの日か、2つのタイトルがセットになったリマスターをプレイする日が来てくれればいいな……と願っています。


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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