面白い縦読み漫画続々。第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞は『粛正配信』、部門賞は『八色雫のエヴァンジェリン』『ノンフィクション』『アカヤス』『保証期間1年の彼女』『輪廻大戦』
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KADOKAWAのコミックを取り扱う36編集部が参加し、“いつでもどこでも誰でも読めるおもしろい漫画”を探す、縦スクロールコミックの漫画賞「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」&「The 1st TATESC COMICS Global Awards」の授賞式が、2023年12月19日に開催されました。
本授賞式には、応援サポーターを務めた、いとうのいぢ氏と鴨志田 一氏も出席。ここでは授賞式の様子と、受賞者作品を紹介していきます。
どれも面白い漫画で、無料で読めるものとなっているので、年末年始に読んでみることをおすすめします!
「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」&「The 1st TATESC COMICS Global Awards」とは
国内のコミック市場規模は電子コミックの隆盛によって拡大傾向にあり、縦スクロール漫画市場も2028年には世界的に現在の5倍以上にあたる約4兆円弱になると予想されています。
KADOKAWAの「タテスクコミック」は、現在急成長中の縦スクロールコミックを、PCでもスマートフォンでも楽しめるコミックレーベル。国内の人気作品をフルカラー&縦スクロールをはじめ、オリジナル作品の制作、海外市場への配信など、日本の漫画コンテンツを新たな表現で国内外に配信する取り組みを行っています。
「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」は、縦スクロールコミックの新たな才能を発掘するため、KADOKAWAの漫画を扱う部門が総出で審査をおこなう漫画賞です。大賞および各部門の受賞者は、賞金の授与と連載デビューが確約されています。また入賞作品も、担当編集者とともにデビューを目指すことに!
応援サポーターとして、イラストレイター/キャラクターデザイナー・いとうのいぢ氏、作家の鴨志田 一氏、漫画家の吉崎観音氏が就任。新たな表現に挑戦する新進のクリエイターたちに、エールを送りました。
また今年は、海外法人と連携し、募集言語とエリアを拡大した「The 1st TATESC COMICS Global Awards」が同時開催されました。応募された日本語以外で描かれたオリジナルタテスクコミックを、言語ごとに現地の編集部が審査し、受賞作を決定。受賞者は、世界各地の編集とともにデジタル配信連載など作品デビューを目指すそうです。
各部門の受賞作品を紹介
授賞式では、株式会社KADOKAWA執行役 Chief Publishing Officerの青柳昌行氏から開会のご挨拶があり、受賞者の皆さんへのお祝いの言葉が贈られます。また「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」と、「The 1st TATESC COMICS Global Awards」の開催の意図や、縦読みコミック発展への想いを語ってくださいました。
続いて、「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」の授賞式へ。まずは奨励賞、佳作、特別賞の表彰式が行われ、青柳氏より賞状と目録が贈られます。
大賞並びに各部門の表彰式には、応援サポーターのいとうのいぢ氏と鴨志田 一氏も参加。青柳氏より賞状、鴨志田氏より目録、いとうのいぢ氏より、楯が授与されました。
第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞
■大賞
『粛正配信』: 加藤しろ
取り立てて目立った特徴もない男子高校生・東条直人は、自らが起こした「いじめ告発動画」の炎上事件がきっかけとなり、前世の記憶を思い出す。
かつて異世界で賢者と称えらえた自分――その胸の内には正義感や使命感などなく、己の力を使ってただただ「粛正を楽しみたい」という欲望だけが、男の中にはあった。
その欲望と、賢者としての力を取り戻した少年は、現代日本でも楽しく粛正を行うため、悪を滅ぼす「粛正配信」を開始する。
■女性向け異世界ファンタジー部門賞
『八色雫のエヴァンジェリン』 :荻灯
きらびやかな鉱石や草花に彩られた森に、クロアはボロボロに傷ついた状態で倒れていた。
そこにふらりと現れて、「ともだちにならない?」と聞いてくる、笑顔の男。彼はヨカと名乗り、不思議な力でヨカの傷を治療する。
そして「ともだち」となった二人は、空を飛び、ヨカの塔へと向かったのだった。
■女性向け恋愛・ラブコメ部門賞
『ノンフィクション』 :夢野 ゆず
平凡で平穏な毎日。そんな中、省エネ体質の主人公 有沢真央(ありさわ まお)が拾ったのは1冊の漫画の本だった。
その漫画の中身は、この世界の概念が変わってしまうような不思議な内容だった。
この世界は本物(ノンフィクション)か作り物(フィクション)か。
■男性向け異世界ファンタジー部門賞
『アカヤス』:プリゲツ
アカヤスと呼ばれる女の子はVRオンラインゲーム「NEW FANTASY WORLD」で最強のプレイヤーだ。
しかし彼女は毎日同じ店でまずいビーフパイを食べることにこだわっている。
その原因は、過去のある友人に関わっていたこと…。
■男性向け恋愛・ラブコメ部門賞
『保証期間1年の彼女』: スタジオテイル
主人公トモヤは友だちナシ・彼女ナシのボッチ高校2年生。そんなトモヤに、叔父サトシはAI少女「ハティ」をプレゼントする。
初めて身近に現れる異性に混乱するトモヤだったが、天真爛漫ながらも自分だけを見てくれているハティに、徐々に強い愛情を感じるようになる。
■バトル・アクション・サスペンス部門賞:
『輪廻大戦』: JOH じょー
時は1998 年。古代兵器の調査を行うアジュールドラゴン、チームアマテラスのもとに遺跡へ潜入していた仲間のレンジャーから無線が入る。
それはレンジャー全員の消息が途絶えたという悲痛なメッセージであった。
行方不明になった仲間の捜索で遺跡群へ向かった黎とノアだが、 2人の前に古代の生物兵器が現れる。
生物兵器の予想を超える能力に苦戦する黎とノア。 2人は生物兵器を破壊し無事帰還を果たせるのか。
■編集部特別賞
『魔窟街ノ畏譚姫』 :彩瀬 えぬ
『ユニコーンユニゾン』 :準
『団地』: 悪役/donthinkalot
『生まれ変わったら彼氏の息子でした』: さくら怜音
『タイムマシンを作ろう!』 :ZARDNINE
■佳作
『悪女は愛を求めない』: 13*
『コミュ障すぎて嫌われていたはずが執着されています。』: 八月
『あなたを人にする物語』 :ささきなぎさ
『サレ妻聖女~異世界に召喚されたら王太子に溺愛されました~』:はねみどり
『かなでの歌』 :まる
『不倫の沼』: 森野ハルナ
『私王子卒業します!』: 翠川まろ
『異世界終末』: イド
『もののけ温泉ものがたり』: 秋山アズマ
『きっと物語の終りに本当に付き合う事になる読書先輩と後輩天使の恋心考察ごっこ』:テツマロ
『あつ子さんの「あ!」となる日々』 :しゅんのすけ太
『数多の罪があろうとも!』 :陽気なおじさん
■奨励賞
『アゼル様は同担拒否⁉』 :うた
『MUSCLE・FAIRY』: ケン・トーマホ
「The 1st TATESC COMICS Global Awards」の授賞式では、株式会社KADOKAWA執行役 Chief Global Officerの泉水 敬氏より賞状、応援サポーターの鴨志田氏より目録、いとうのいぢ氏より楯が授与されました。
The 1st TATESC COMICS Global Awards
■中国語簡体字 金賞/日本語翻訳出版賞 銀賞
『极热进化』(邦題 『極熱進化 Emotions Evolution』):手撃拳
A国L市の気温は上昇の一途をたどり、建設事故で地下に眠っている怪しい蟲が目覚め、都市を占拠し、人間に寄生し始める。寄生された人間の感情が支配されれば、恐ろしい怪物へと変貌してしまう。
平凡なサラリーマン 肖傑はこの日、DVから逃れるため、母親と一緒にL市を出ようとしたが、蟲絡みの事件に巻き込まれてしまう。
母親を救うために逃亡し、何度も危機から逃れ生き延びた彼は「感情のスイッチ」をコントロールできる自分が「普通」ではないことに気づいてしまう。
数え切れないほどの生死の境をさまよい、自らの過去と向き合った末に、彼はようやく信頼できるパートナーを得た。
果たして蟲の正体とは――最後に彼は真実に近づくが、人間として生き残ることができるのだろうか?
■中国語繁体字 金賞/日本語翻訳出版賞 奨励賞
『您的好兄弟要加熱嗎』 :重花
■中国語簡体字 銀賞
『小渝之森』 biubiu
■中国語簡体字 銅賞
『深海异王的卡伦在人间』:家重
『死路鎮(culdesac,)』 :Kulame
■英語 銀賞
『Bounty Sit』: Vako
『Once Upon a Magpie』: Daphne
■タイ語 銀賞/日本語翻訳出版賞 奨励賞
『REVENANT SAGA』: umeumebozu
■タイ語 銅賞
『ป๊ ะป๊ าบอกว่าให ้เลือกสามีมา 1 คน』: Yunyim
■マレー語 銀賞
『Pinocchio the Double Agent』: MAS Hiro
■日本語翻訳出版賞 奨励賞
『风流房客俏房东』 :你好好好菌
『困兽』:小晨阳-woogy
『清道夫』 :陀地老油条
『消灾社』 :Janz.
※『極熱進化 Emotions Evolution』は日本語に翻訳後、タテスクコミックレーベルで出版予定です。
応援サポートの先生たちからの総評やお祝いイラストも
授賞式後には、鴨志田氏といとうのいぢ氏より総評が語られました。
鴨志田 一氏:
受賞者の皆様、大変おめでとうございます。皆さんの作品を読んで思ったのが、意欲的で挑戦的な作品が多かったなという印象でした。それは同時に、タテスクというジャンルがまだまだ発展途上であり、チャンスのある媒体なんだなというのを強く感じました。
受賞された皆様がこの先、作品を作っていくなかでより良いものを作り、世界中の人に読まれる作品になれば、応援サポーターをさせていただいた僕としても大変嬉しく思います。
いとうのいぢ氏:
この度は、受賞者の皆様本当におめでとうございます。国を越えて、熱意ある筆力、そして表現力、そして皆様の思っている世界というのが伝わってきて、大変楽しませていただきました。
これからどんどん作品を錬磨して、たくさん生み出してくださることだと思います。応援しております。
両氏からのコメントのほか、残念ながら授賞式には参加できなかった吉崎観音氏が描く、イラストメッセージの公開も! 縦スクロール漫画に合わせた縦のイラストで、受賞作のキャラクターたちを描いていました。
また株式会社KADOKAWA 出版事業マネジメント局 タテスクコミック部 部長の寺谷圭生氏も登壇して、総評と共に「第4回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」と、「The 2nd TATESC COMICS Global Awards」の開催も発表されました。詳しい内容は、今後発表されるとのことです。
授賞式の最後には、メディア向けの質疑応答がおこなわれました。
今後のタテスク作品のメディアミックス展開について聞かれた寺谷氏は、挑戦していきたいと意欲を見せました。寺谷氏は「まずは受賞作品がコミックとして世に出ることが最初に目指すところかなと思いますが、実写に向いている作品、アニメに向いている作品、ノベライズに向いている作品、いろいろ考えられると思います。まず手に取って読んでいただいて、そこから可能性を感じていただき、メディアミックス展開に発展していったらと思います」と話していました。
また縦読み漫画ならではの表現方法についての質問には、受賞者の重花氏と手撃拳氏が解答。
重花氏は「横よみの漫画はコマとセリフの流れが重要で、考えることが多いです。縦読み漫画はコマの置き方を考えずに、吹き出して視線の誘導、物語の流れがスムーズに進んでいきます。映画のような読み心地なので、創作のときもそういう風に考えています」とのこと。
ユニットである手撃拳氏からは、カラー原稿であることや、連載時に定期的な更新が求められるため、複数人での制作をするメリットなどが語られました。
最後に泉水氏の閉幕の挨拶をして、授賞式は終了しました。
大賞ならびに各部門の受賞作品は、カドコミにて読みことが出来ます。ぜひ、チェックしてみてください。
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