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孫権と張昭の逸話、王子とお目付け役の爺。正史と民間伝承の違いとは?【三国志 英傑群像出張版#25-2】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 英傑群像出張版、今月のテーマは“身内に寛大であるべきか? 厳しくあるべきか?”というお話をピックアップし2週にわたり紹介しています。

 今回は2週目の“身内に厳しくあるべきか?”というお話を紹介します。

張昭と孫権 正史と民間伝承の違いを紹介

 今週は<張昭と孫権のお話>。王子とお目付け役の爺という感じの関係の二人です。

 民間伝承がかなり正史と同じでしたので、今回は2つの差分だけを紹介しようと思います。

 正史やその注にも二人の話はたくさんあってよく知られています。ここで張昭が孫権に厳しく諫め続けた話をまとめてみましょう。

①孫策が亡くなって泣き崩れる孫権に、張昭は泣いている場合ではないと馬に乗せて出陣させます。

②孫権が狩りで怪我をしそうになり張昭は諫めた。孫権は安全な狩り用の馬車をつくり窓から狩りをした。

③孫権が酒宴で羽目を外して飲んだ。張昭は退席しあとで殷の紂王の例をだして諫めると孫権は宴会を中止した。

④張昭が孫権の気分を害し出入り禁止とした。蜀の使者が訪れたが対抗できる人がおらず。孫権は謝罪して張昭をよび戻した。張昭は君主への直諫が自分の仕事で機嫌とりが仕事ではないといった。

⑤二人の意見が食い違った時、孫権が怒ると、張昭は亡き孫権の母の遺言があったからだと泣いた。孫権も泣いたが結局意見は採用されなかった。それ以来張昭は引きこもり門を塞いだ。二転三転あって、結局、張昭の意見が正しかったことがわかり孫権は張昭宅へいって詫びた。

 というものになります。さて、私が集めた民間伝承では、同じような内容ながらも少し違っているものもあります。

 まずは①のお話。民間伝承では、正史同様、張昭は泣いて政務に当たらない孫権を無理に抱き上げると、馬に乗せたのではなく議場に向かいます。孫権を上座に座らせてから、文官と武官を率いて命令を聞き、重要事項を話し合いました。

 そして命令を処理し瞬く間に、政治が進むようになり呉全体が整然とし孫権が後継者だと皆が納得した。と記されています。

 ⑤は民間伝承では、張昭は涙を流し「私は年をとっており助言せずともよいが、私はあなたがトラブルに巻き込まれるのを見て見ぬふりはできない!」と言い、孫権は感動して剣を捨て張昭と一緒に泣いた。となっています

 正史と民間伝承では、このように少しだけ違うお話がいくつも存在しています。そういったものを探していくのも面白いですよね。

 いかがだったでしょうか? ①は出陣させた事と、朝議に連れて行った事の違い。⑤は泣いた理由の違いでしたね。

 呉の孫権が長くうまく政治をコントロールできたのは、張昭の諫言あってこそだと改めて思いました。

 いつの時代も信頼する近しい人の愛情ある厳しい言葉こそが大事ですね。

 張昭が亡くなり、孫権は後継者問題の判断で晩節を汚す事となります。陸遜では孫権を止めきれませんでした。

 近しい人に寛大であるべきか? 厳しくあるべきか? 前回は曹操、今回は張昭を例に見てきました。

 どちらでいくべきかは、やはり相手を見ながら選ぶべきだろうなという事かもしれませんね。

 それでは次回もお楽しみに。

第六回「桃園の智会」イベント実施報告

 先日、KOBE鉄人三国志ギャラリーで三国志交流イベント第6回「桃園の智会」を実施しました。遠方から来やすいように年三回、冬休み、ゴールデンウィーク、お盆休みで実施しており、2年目となります。

 三国志イベントを10数年来やってきましたが、こういう交流会ではすごく喋る方や知識自慢の方が一方的に話して、それをみんなで聞くっていうのがよくあって、私自身その経験から楽しくないので基本三国志の飲み会とかに参加しないようになってしまいました。

 それを打開すべくみんなが一人一言を原則として、全員が平等に話しあえる三国志交流イベントを作りました。これはボードゲームをしていると順番が平等に回ってくるというのを参考にして生み出しました。

 またテーマに一言だけいうだけなので、知識レベルや得意じゃないジャンルについてもあまり影響しないという事で、幅広い層が交流ができるのではないかと思っています。

 まあ難しい理屈はおいておいて、特に書くいろんな人のいろんな三国志の好きなポイントを聞き自分も語れて楽しいので時間があっという間にたってしまいます。今回も小学生から大人の方まで幅広く今回もご参加いただきました。今回も初参加の方もおられ大変盛り上がりました。

 前回第五回では1コーナーを使い「野球の打線を三国志で組んでみる」というのを実施し盛り上がりました(英傑群像出張版#20-3の最後で紹介しています)。

 今回は私が決めた複数のテーマで「武将ナンバーワンを決めよう!」ということで三位までをみんなで出し合うという試みをやってみました。(最後に記載)

 三国志演義の登場人物だけでも1192人も人が登場する中、意外とみんなランキングの結果が似ていてびっくりしました。

 途中途中、候補武将の魅力を語り合い楽しい時間を過ごすことができました。ご参加の皆さんありがとうございました。

皆で出し合った「三国志武将ナンバーワンを決めよう!」

1.猛将は?
龐徳、張飛、趙雲、呂布、関羽、張遼

2.策略家は?
賈詡、魯粛、李儒、郭嘉、孔明、法正

3.政治外交家は?
張昭、荀彧、鄧芝、魯粛、孔明

4.凄い合戦は?
潼関戦、街亭戦、赤壁戦、夷陵戦、合肥戦、官渡戦

5.難攻不落の城は?
陳倉城、合肥城、樊城、官渡城

6.凄い兵器は?
木牛流馬、連弩、発石車、木獣、藤甲

7.すばり英傑は?
曹操、周瑜、姜維

8.部下にしたいのは?
孔明、趙雲、李儒、郝昭

9.上司にしたいのは?
劉備、劉禅、荀彧、魯粛

10.情に篤いのは?
劉備、関羽、陳宮、徐庶、太史慈、姜維

11.酒好きは?
張飛、孫権、呂布、郭嘉

12.好きな諺は?
破竹の勢い、髀肉の嘆、水魚の交わり、白眉、泣いて馬謖を斬る

※出た武将名などをまとめています。順不同。

 皆さんも是非考えみて教えてくださいね。

 次回の「桃園の智会」はGWの5月3日に実施予定です。お気楽にご参加ください! 今度、応援してくださる人がいれば関東で出張版「桃園の智会」をやってみたいなと思っています。

三国志ボードゲーム“三国志ドラフト会議”販売中

 “三国志ドラフト会議”は、長時間にならず、多めの人数で遊べて、難しすぎない三国志というコンセプトで作成した三国志ボードゲームです。

 簡単にルール説明すると君主(劉備、曹操、孫権など)となり、人材登用してそのメンバーでバトルを行って勝ち抜いた人が勝利のゲーム。プレイの模様をyoutubeでもアップしておりますので、参考にしてくださいね。

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岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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