【電撃PS】傑作誕生の秘密に迫る『十三機兵防衛圏』ヴァニラウェア&ベイシスケイプWインタビューを掲載!
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独特の世界観と深い作り込みに定評がある“アトラス×ヴァニラウェア”ブランドの最新作『十三機兵防衛圏』。1985年をはじめとする複数の時代を舞台に、十三人の主人公たちが織り成す奥深いストーリーと、謎の敵“怪獣”を相手に戦うシミュレーションバトルが魅力のSFドラマチックアドベンチャーです。
2019年11月28日の発売以来、プレイしたユーザーから例外なく高い評価を受けている本作は、はたしてどのようにして誕生したのか?
2019年12月28日発売の電撃PlayStation Vol.683では、本作のディレクター・神谷盛治氏が代表取締役を務めるヴァニラウェアと、サウンドディレクター・崎元仁氏が率いるベイシスケイプへのスペシャルインタビューを掲載。8ページに渡って、『十三機兵防衛圏』の開発の経緯や、発売後の反響、今だから話せる開発秘話などを語っていただいています。
今回は特別に、ヴァニラウェアとベイシスケイプ、両インタビューの冒頭部分を公開。この続きをぜひ、電撃PS Vol.683でご覧ください!
苦労と夢が詰め込まれた、
今しか作れないまったく新しいタイトル
『十三機兵防衛圏』の開発を手掛けたヴァニラウェア。その代表取締役にして、本作のディレクターを務めた神谷盛治氏と、神谷氏をサポートしたデザイナー・前納浩一氏&平井有紀子氏にお話をうかがいました。
今回の公開範囲では平井さんの語りはありませんが、3人のこだわりトークはじょじょに盛り上がり、開発初期のキャラクター設定など、ウラ話が満載のインタビューに! 2019年12月28日発売の電撃PlayStation Vol.683を要チェックです。
――発売、おめでとうございます! 改めて、今のお気持ちをお聞かせください。
神谷盛治氏(以下、敬称略):発売日前後にはビッグタイトルがめじろ押しですし、説明しにくいゲームなのでやはり売れんな……と落胆していたのですが、遊んだお客さんから好評価をいただきまして、アトラスさんには申し訳ないけど、それだけで救われた気持ちです。
――まれなことだと思いますが、口コミでどんどんと本作のよさが広がっていくのを感じています。
神谷:本当に口コミで広がって……もっとたくさん売れたら、アトラスさんもセガさんも、ニッコリされるんでしょうけどね。でもこのゲームをいいと言ってくれる人がいるのは本当によかった。
制作後半では時空の歪み(設定矛盾)が増えてしまい、ずっとつじつま合わせに追われていましたから……最初に構築したサプライズやミスリードの仕組みがちゃんと機能しているか、もうわからなくなっていたんですよね。時空の歪みを直すため、とある事件の犯人を変更する大改造とかもありましたし……。
前納浩一氏(以下、敬称略):本来ゲーム制作は、ほぼ完成してデータが入れ込まれてから、デバッグもろもろ、練り込んで整えていく作業が入ります。でも本作は、最後までスクリプト作業をしていましたね(苦笑)。
神谷:いつもは制作の最終段階でセリフテキストの精査をするんです。くどい表現を避けたり、独特な表現で盛り上げたり……。今回はそんな時間もなくて本当にあせりました。文体自体、くだけた口語文だから助けられてるところもありますね。
前納:いい風に言えば、ライブ感が出ています。
――ライブ感といえば、「プレイし始めたら止め時がわからない!」というユーザーからの意見をよく目にします。
神谷:そこは想定外でしたね。発売後はネットで感想を追ったりもしたのですが、徹夜して一気にプレイしちゃう人もいて……わかりにくい話が、寝不足だと余計わかりにくくなるのではとハラハラしてました。でも、アメリカのドラマのように気になる展開がずっと続く構造は想定通りにいってるみたいで安心しました。
”1人の物語に決着がついても謎は一部しか解明されず、十三人全員でパズルが完成し世界の謎がわかる”構造のなかで、主人公を自由に選んで謎を追えるのが本作のコンセプトです。主人公を選ぶ順番がプレイヤーごとに違うので、ミスリードやサプライズの仕掛けがすべて機能しないのは承知のうえでした。
たとえ半分しか機能しなくてもおもしろくて、結末は同じでもプレイヤーごとにゲームの印象がそれぞれ違う。そんなシナリオに挑戦したんですが……僕には難しすぎました。開発終盤にスタッフから「一部でも物語進行にロックをかけた方がいい」と提案されました。シナリオをこれでもかと読み込んで、「これが最適解だ」と設定してくれたロックの仕組みは、評判を聞くと本当に正解だったんだなと、今はとても感謝しています。
――単語ひとつでもネタバレになりかねないなか、ラストシーン以外、配信を制限していないのはなぜなのでしょうか?
神谷:ネタバレは、僕も説明しづらいゲームだから大丈夫じゃないかな……と。それよりも、よくわかんないゲームなので、まず知ってもらうのが優先だと思いまして。
それにしてもみなさん、プレイが速いですよね! アドベンチャーゲームに慣れていらっしゃる方が多いのか、かなりのスピードでセリフを次へ送るプレイを見て驚きました。社内やアトラスのQAチームさんから「プレイ時間は50時間か、それ以上かも……」と報告を受けた時は、想定プレイ時間をはるかに超えていて設計を失敗したなぁと思ったんです。でも20数時間でクリアされている方もいて、「実際は足りなかったのか……」と呆然としました。
――編集部では、クリアまでに50時間以上かけて、じっくりプレイした人間が多かったですよ。もちろん非常に好評だったのですが、世間の「ヴァニラウェアの作品はハズレがない」という評判に、プレッシャーは感じられませんでしたか?
神谷:それ間違ってますよ(苦笑)。ハズレもします。もちろん作るとなったら後悔しないよう毎回全力ですし、期待に応えられるよう命懸けですが……。ほどよい期待でよろしくお願いします!
前納:グラフィックの話でいえば、『十三機兵防衛圏』は今までと違って”架空の現代”を舞台にしていますから、どういう表現で見せていくかの試行錯誤はありました。
神谷:ロボの表現方法で答えが見えず、シナリオもどう作っていいかわからなくなって、そのせいでキャラアニメの発注がうまくいかない時期には、「このゲーム……背景しかイイとこないやん……」なんて枕を涙で濡らしたこともありました(笑)。
――そんなことないですよ! ゲーム制作上、こんなにも苦労があるものは珍しいと思うんです。
神谷:どちらにしろこういうゲームはもう作れないと思います。絶対に戻れないあの80年代を思い続けると……胸が苦しくてこっちに戻れなくなる。
――本作ではユーザーをいい意味で騙して驚かせるといったギミックが散りばめられていますが、神谷さんのアイデアなのでしょうか。
神谷:物語と制御スクリプトは基本僕です。モブのセリフやカメラ演出などの細かい部分は手伝ってもらいました。比治山編の小銭を探す仕組みや、焼きそばパン食べ放題も僕ではなく、スタッフの西村寛史さんによるものです(笑)。久々に比治山と沖野の会話を見直した時、クラウドシンクが焼きそばパンだらけになるシーンが足されてて大笑いしました。
比治山を作ったのは開発後半で、沖野と2人である謎を解く冒険譚の予定だったのですが、時間がないので謎ごと削った結果……比治山は愛(と小銭)に奔走する話になった経緯があります。まさかこの2人の人気がでるとは思いませんでした(笑)。
――究明編のテキストは真相への手掛かりになるので読み込みましたが、引き込まれました。また「え? こんな説明も!?」なんてキーワードもあったり(笑)。
神谷:究明編のテキストはスタッフの西村芳雄さんの手によるものです。本当に秀逸ですよね。
(この続きは2019年12月28日発売の電撃PlayStation Vol.683でご確認ください!)
メインテーマは全体の
方向性を固める重要なカギに
ヴァニラウェア作品をサウンド面で支えてきた重要パートナー・崎元仁氏が率いるベイシスケイプ。本作でも重要な役割を果たした崎元仁氏と金子昌晃氏に、お話を聞きました。
今回の公開範囲には金子氏の語りはありませんが、インタビュー中盤以降は金子氏のこだわりも爆発。没入感を高めるための仕組みやパトカーのサイレンの音がじつは……など、制作の裏側を存分に語っていただきました。2019年12月28日発売の電撃PlayStation Vol.683をどうぞご覧ください。
――『十三機兵防衛圏』のお話をヴァニラウェアさんからいただいたのは、どういった経緯だったのでしょうか。
崎元仁氏(以下、敬称略):最初にお話をうかがったのはとても昔で、もう7~8年前のことだったと思います。年賀状で『十三機兵防衛圏』のイメージをいただくよりも前ですね。
当時は『ドラゴンズクラウン』を作っていた頃だと思いますが、そういった時期に現実逃避のように次の作品、次の次の作品の構想を話すのはよくあることで「今までのファンタジー路線ではなくて、現代を舞台としたジュブナイル作品を作りたい」と盛り上がっていたのを憶えています(※2013年のヴァニラウェアからの年賀状で、『十三機兵防衛圏』の制作・構想が明かされた)。
ですが、その着想をどうゲームへ落とし込むのかは想像がつきませんでした。そうこうしているうちに『十三機兵防衛圏』の開発が進み、アドベンチャーシーンやバトルシーンの内容が明らかになっていくにつれて、ようやくゲームとしての全貌が見えて来た感じですね。
――全貌が見えて来たのはいつ頃のことですか?
崎元:ここ1~2年です(笑)。ゲームの音楽を制作する際には、まず指針となるような曲を作り、大抵それはテーマ曲となりますが、本作でも2015年の東京ゲームショウに合わせて作った”Brat Overflow”がテーマ曲になっています。音響制作に本腰を入れたのは、それからまた間が少し空いてからになります。
――本作では、どのような楽曲の方向性にしようと決められたのでしょうか?
崎元:今回はイベントシーンでの音数を少なくして、いわゆる”劇伴”寄りに作っていますが、音源ではなく音符で特徴を出すようにしています。その点で今までのヴァニラウェアさんの作品と比べると、作曲チームの意思統一に長めに時間を費やしました。最初のうちはその許容範囲を確認しながら作曲を進めて、あとはもうみんな、自由に曲を作ってもらっています。そのほうがみんな、おもしろい楽曲が作れますから。
――今回は『ドラゴンズクラウン』などのファンタジーから一転した、洗練されたテクノといった印象でした。
崎元:もともと僕はテクノ音楽出身の人間なんです。これは僕の認識ですが、テクノは音楽理論に頼ることができず、野生の感性だけで作っていく音楽だと思っています。そんななかで、今回はあえて”作曲家が作ったテクノを目指す”と方針を決めました。たとえば、旋律がきちんと立っているか、コード展開や構成が成立しているか、ということを意識しつつ、テクノのアグレッシブな感じもきちんと残すという、そんなことを試みています。
(この続きも2019年12月28日発売の電撃PlayStation Vol.683でご確認ください!)
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