【ネタバレあり感想】アニメ『即死チート』2話。新しいヒロインかと思ったら即退場する悲しみ。情報なしで夜霧に遭遇した敵には少し同情したくなる

米澤崇史
公開日時

 2024年1月11日(木)に放送されたTVアニメ『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』第2話“私の守護霊が最強すぎて、異世界だって楽勝です!”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』2話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

強力すぎる即死チートには、手加減が難しいという弱点も

 第1話では、異世界で賢者候補生に選ばれたクラスメート達に見捨てられ、襲ってきた東田たちを即死チート能力によって返り討ちにすることに成功した夜霧と知千佳。

 第2話で最初に訪れた街では、日本語が通じず、領主であるマサヒコという男が夜霧たちの対応を行っていました。

 アニメだと少し台詞が変更されてるので、なぜマサヒコには言葉が通じたのか分からなかった方もいるかと思うのですが、原作のマサヒコは、夜霧たちと同じように日本から召喚された賢者候補だったという設定になっていました(名前が日本名なのもそのため)。

 本作の世界では夜霧たち以外にも多数日本人が召喚され、賢者を始めとした要職についているので、日本語もある程度普及しています。以降、2話では言葉についての描写はなかったのですが、アニメもこの設定は踏襲しているのではないかと思われます。

 街の中では、語尾の「にゃ」が特徴的な獣人の少女・ミレイユが登場。1話ではどう見てもメインヒロインな賢者シオンのデザインの素晴らしさについて語りましたが、このミレイユもめちゃくちゃかわいいデザインで描かれており、これは新しいヒロインとして仲間入りは間違いなし……と思かけた矢先の、あまりにも早すぎる裏切り&死。

 ここでの夜霧は、身体の一部の部位だけを即死させ、極力命を奪わずに敵を無力化してやりすごす実験をしていたようですが、眼球だけを殺した獣人を除く全員が死亡しており、結果はほぼ失敗に終わったようです。このあたりが夜霧の即死チートの不便な部分で、少しでも力を行使すると相手は死んでしまうので加減ができないんですね。

 なお、ミレイユが命乞いをするシーンのセリフを聞き返すと、特徴である「にゃ」の語尾がなくなっており、これまでは演技で「にゃ」の語尾をつけていたことが分かります。「にゃ」をつけてあざとく喋ることで、日本から召喚されてきた人間の油断を誘えるということを誰かに教えられたのかもと思っているのですが、なかなかいいセンスをしていると言えるでしょう。

 1話どころか、10分ももたずに退場するキャラにはまず見えない可愛らしさでしたが、この理不尽な死が平等に訪れるのが本作ならでは。自業自得とはいえ、能力の実験に使われたのは多少かわいそうな部分もあったので、アイキャッチのイラストでかわいい姿で描かれていたのは良かったですね。

 知千佳の守護霊である“壇ノ浦もこもこ”も登場しましたが、とにかく金田朋子さんのぶっとんだ演技のインパクトが凄まじく、ひたすら圧倒されました。やはりこういったハイテンションなキャラを演じると金田さんの右に出る人はいないなと。

 またこのシーンでは、知千佳が“壇ノ浦流弓術”と呼ばれる武術の使い手であることもさりげなく明かされていましたが、ここまでの戦いは夜霧の即死チートによる瞬殺だけで終わっていたので、知千佳が戦う必要が一切なかったんですよね。

 ただ、ミレイユとの買い物が終わったあとのシーンで、袋の中に弓らしきものが入っており、知千佳が自分用の武器を買っていたことが確認できます。呑気そうに見える知千佳ですが、やはり夜霧にすべてを任せっきりにするのは……という想いもあるのでしょうね。

モブキャラ同然に即死させられる、賢者サンタロウの不幸

 後半では、あまりにも有能すぎるコンシェルジュ・セレスティーナの協力を得て、クラスメート達の後を追いかけて王都を目指すことに。

 夜霧のゲーム機の規格に合う充電器を一晩で作ってしまうセレスティーナの技術力の高さも驚きですが、夜霧がゲームをしている間ずっと手回しで充電してくれる知千佳の優しさの方にも目が行きました。当の夜霧の方はそんなことは気にせずゲームに熱中していている姿とあわせて、手のかかる子供の面倒を見ているお母さんみが溢れているなと。

 その後は夜霧たちが乗った列車が“アグレッサー”と呼ばれる侵略者と、賢者サンタロウの戦いに巻き込まれ、周囲への被害を気にしないサンタロウの攻撃で、夜霧たち以外の乗客は犠牲になってしまいました。

 そんなサンタロウも、夜霧と敵対した瞬間にさくっとやられてしまうわけですが、一応は賢者なので、シオンや2話で登場するレインと立場上は同格の存在でもあります。そんな最強格の存在ですら、戦いになる前にモブキャラ同然に殺せてしまうのが夜霧のぶっとんだ強さ。手に入れた力に溺れて調子に乗っていた上、完全な事前情報なしで夜霧に遭遇してしまったのが、サンタロウの運の尽きだった感があります。

 一方、もうひとりの賢者であるレインは、盗賊たちの唯一の生き残りを調査して夜霧の能力の片鱗を掴み始めます。

 容赦なく目玉をえぐり出した上、有無をいわさずアンデッド化して眷属にしたり、必要なところでは容赦ないですが、自分を殺そうとした勇者を殺さなかったり、街を容赦なく滅ぼそうとする部下に眉を潜めたり、同じ賢者でもシオンやサンタロウと比べると大分良識をもっている存在として描かれていますね。できれば敵対はしてほしくないところなのですが……。

 そんなレインは、勇者の攻撃を受けても一瞬で再生する“不死”の存在でもあります。異世界ものの定番でもある“不死”という一種のチートに対して、夜霧の即死チートが通用するのかというのも今後のポイントとなってきそうです。

 2話で感じたこととして、アニメはとにかくテンポよくハイスピードに話が進んでいますね。元々原作もテンポがいい作品ではあるのですが、アニメは一部設定の説明が端折られていたりもするので、さらにテンポアップしているという印象です。

 ただ、今回の感想でも言及した言語の違いや、知千佳が武器を買っていたことなど新しい発見ができるのも面白いです。セリフで説明されるのではなく、映像側に盛り込まれた情報を見つけ出すのも、アニメ版の楽しみの一つになりそうです。

 テンポアップしているのは、山場となる展開を早めにもって来たいという理由もあるでしょうから、とくに3話ではストーリー的にも大きな動きが起こるのではないかと期待しています。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©藤孝剛志/アース・スター エンターテイメント/即死チート製作委員会

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


関連する記事一覧はこちら