『ハイキュー!!』には青春がぎっしり! 2/16の劇場版公開直前の今こそ見ておきたい珠玉のバレーボール作品(ネタバレあり)【サブスクアニメ道】

タダツグ
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 さまざまなサブスクリプション動画サービスにより、最新のアニメから往年のアニメまで多くの作品が定額制で見放題になっている昨今。なかにはあまりに数が多すぎて「どれを見たらいいのかわからんッ!」とお嘆きの方もいるのでは? そんな方に“サブスクで視聴できるオススメアニメ”をレコメンドしていくのが本コラムの趣旨となります。

 今回オススメするのは、現在第4期まで制作されているTVアニメ『ハイキュー!!』シリーズ(U-NEXTにて配信中)。2月16日には劇場版も公開予定となっている人気作品の見どころについて語っていきます。

  • ▲アニメ『ハイキュー!!』第1期オフィシャルビジュアル。

 ストーリーの核心的な要素はできるだけ伏せて書くつもりですが、企画の構成上、どうしても難しい部分はあると思うので、少しのネタバレも気になるという方はご注意ください。

アニメ『ハイキュー!!』:クセ強なキャラたちが躍動する青春バレーボール巨編

 アニメ『ハイキュー!!』は、週刊少年ジャンプに連載されていたバレーボールマンガ(作者は古舘春一氏)をアニメ化した人気シリーズです。前述のとおり、TVアニメは4期まで制作されており、この春には原作の人気エピソード“ゴミ捨て場の決戦”を描く劇場版の公開も予定されています。

 ファンの誰もが見たかった夢のマッチを描くこの劇場版、僕も心から楽しみにしておりまして。今回のコラムに『ハイキュー!!』をチョイスしたのも、劇場版を前にまだシリーズを知らない人がこの作品に触れるきっかけになれたら……もしくはシリーズファンにとって「劇場版をやるなら、事前にTVアニメシリーズを振り返っておくか!」というきっかけになれたら……そんな想いがあったからこそです。

  • ▲『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』オフィシャルビジュアル。

 ではまず、おもにシリーズを知らない方へ向けて、簡単にストーリーラインのご紹介から参りましょう。

 主人公は身長こそ小柄なものの、類稀なる運動神経を誇る高校生の日向翔陽(ひなた しょうよう)。彼が烏野(からすの)高校のバレーボール部に入部し、天才セッターであり因縁のライバルでもある影山飛雄(かげやま とびお)と出会うことから、壮大なストーリーが始まります。

 烏野高校はかつて全国大会への出場も果たした名門ながら、現在は低迷していて“落ちた強豪”やら“飛べないカラス”と揶揄されるチーム。しかし、日向や影山をはじめとする新たな1年生メンバーが加わったことで大きな化学変化を起こし、メキメキと頭角を現していくことになります。

  • ▲劇場版『ハイキュー!! FINAL』公式Xより。

 ……この“化学変化”部分がもう純粋に面白くて。単純な仲良しこよしでは決してなく、強くなるためにあえて仲間同士でぶつかり合うなど様々なアオハルが展開しますので、観ていてアツくなれます。

 ちなみに、主人公は間違いなく日向であり、そのパートナーである影山でもあるのですが。作品の描き方としては群像劇に近い印象。チームメイトはもちろん、監督やコーチ、ライバルチームの面々など、様々な登場人物たちが掘り下げられていきます。

  • ▲劇場版『ハイキュー!! FINAL』公式Xより。

 いずれのキャラも個性的というか、ぶっちゃけかなりクセが強いのも個人的なお気に入りポイント。意外な局面で予想外のキャラにスポットが当てられることも珍しくなく、それが物語をよりドラマチックに演出していくので、グイグイ引き込まれていくこと請け合いです。創作のキャラでありながら人間味を感じるというか、強さと同時に弱さや脆さなんかもしっかり描かれていくところが好きなんですよね。

 エンタメ作品である以上、主人公たちには突出した強みが最初から与えられています。その名も“変人速攻”。日向のマイナス・テンポの飛び出しに影山がトスを合わせるという神業コンビネーションです。しかし……チームが勝ち進んで行くことで相手も強くなっていくのは、トーナメントの常。時にはこの変人速攻すら通用しない局面も出てきたりして、それがものすごくリアルであり、残酷だったりもします。

 何度も挫折を味わい、絶望に向き合いながら、それでも歯を食いしばって前を向き、少しずつ成長していく。そんな日向たちの姿は本当に眩しくて、思わず涙がこぼれたことも1度や2度ではありません。我ながら単純ですが「日向たちがこんなに頑張っているんだから、僕だって」と、観ていてパワーをもらえる作品。踏ん張るエネルギーをもらえる作品なんですよね。

  • ▲劇場版『ハイキュー!! FINAL』公式Xより。

 バレーボールはサッカーや野球に比べて競技人口が少ないですし、TV中継などもあまりされないことを鑑みると、もしかしたらルールをよく知らない人もいるかもしれません。でも、それが作品を楽しむにあたって障害になるかというと、全然そんなことはなく。前述したとおり、物語はバレーボールを通して若者たちが友情を育みつつ成長していく人間ドラマにスポットが当てられているので、観始めればすぐに世界観に没頭できると思います。

 実際、僕もバレーボールは中学時代の体育の授業でちょっとかじった程度。なんならその時代からルールそのものが大きく変更されてもいるのですが、とくに疑問を感じることなく物語を楽しめました。アニメを観ていれば自然とバレーボールへの知識も深まっていく、そんな構造になっています。バレーボール初心者もそこまで構えることなく、この素晴らしいシリーズ作品に触れてみてほしいなと思います。

個人的にイチオシとなるエピソードを3つご紹介!

 それではここからは、現在U-NEXTで配信されている第1期~第4期までを通じて、自分がとくに気に入っているエピソードを3つ紹介させてもらいます。ネタバレもアリな内容になりますので、まだ未視聴の方はよければアニメをご覧になったあとで振り返ってみてもらえれば!

オススメエピソードその1:「ハーケン」(第4期 #22)

 スポーツマンガというとどうしても“バエる”攻撃面に見せ場が偏りがちですが、この作品ではディフェンスの大切さもしっかり描かれていくところが好きな部分。とくにこのエピソードでは、長らくレシーブを苦手としてきた主人公の日向が地道な訓練によって弱点を克服し、相手の決定機にナイスレシーブを決める瞬間が描写され、思わずグッときてしまいました。長く続くバレー人生のなかで決めた1本のレシーブ……その成功体験を、登山で使用する“ハーケン”に喩える演出がまた泣かせるんですよね。

 日向のレシーブで攻撃を止めたにも関わらず、その後のラリーのすえ、最終的には相手に点を取られるところもじつに生々しくて好き。結果的に、試合はこれで相手側のマッチポイント(あと1点取られたら負け)となって、烏野メンバーは精神的に追い込まれるんですけど。そんな重たい空気などお構いなしに、渾身のレシーブを決めたことをドヤ顔で自慢する日向には、思わず感心してしまいました。

 だってマッチポイントですよ? 「このピンチになんちゅう強メンタルしてんだコイツ」ってビビりますって! でも、同時にその空気の読まない明るさがチームメンバーに力を与えもするわけで……ああ、いいなあ。日向みたいなやつがいるって最高だなって思えました。

オススメエピソードその2:「極限スイッチ」(第2期 #24)

 宿敵である青葉城西高校(青城)との決着が描かれる第2期のクライマックスエピソード。この試合のなかだけでも名場面はいくらでもありますが、やっぱりラストのラリーが忘れられません。

 普通に考えて、宿命のライバルとの決着のときって主人公サイド、つまりは烏野が中心になってエピソードが進むものじゃないですか。でも、この24話はちょっと違ってて。もちろん烏野にも光は当たりつつ、どちらかというと青城、とくにその中心選手である及川 徹(おいかわ とおる)にこそ強くスポットが当てられるんですよね。

  • ▲劇場版『ハイキュー!! FINAL』公式Xより。

 及川という人物は、影山の中学時代の先輩で互いに負けられないライバルとして描写される超強敵。影山は少なからず彼に対してコンプレックスがあるのですが、及川には及川なりの葛藤があり、それを戦いの決着シーンで描写してくる演出の妙がたまりませんでした。

 クライマックスで及川が口にする「(バレーは)6人で強いほうが強い!」という言葉は、この『ハイキュー!!』という作品の根幹を成す名ゼリフ。演じる浪川大輔さんの演技もあって、めちゃくちゃグッときます。これはアニメならではの素晴らしさ! 彼がファンの間でトップクラスの人気を誇るのも頷けるというものです。

オススメエピソードその3:「コンセプトの戦い」(第3期 #10)

 最後に紹介するのは白鳥沢対烏野の一戦、そのクライマックスシーンです。全国トップ3に入る剛腕アタッカー・牛島若利(うしじま わかとし)が率いる“王者”白鳥沢との戦いは、最終セットまでもつれ込む大激闘。互いに超攻撃型のチーム同士の戦いだけあって「殴り合いを制す!」を地で行く激アツ展開となります。

 このシーンに限らず、アニメ『ハイキュー!!』では大事な局面で映像と劇伴(BGM)をフレーム単位でシンクロさせて描くという、じつにヤバヤバな演出を盛り込んでくるのですが。ハッキリ言ってこのシーンの演出はズルい。最後まで絶対エースである牛島の“個の強さ”で圧し潰そうとしてくる白鳥沢に対し、コート上の全員で立ち向かう烏野。この“全の強さ”な心意気に音楽と映像がガッチリ噛み合い過ぎていて、観ていて涙が止まらなくなるんです。

  • ▲劇場版『ハイキュー!! FINAL』公式Xより。

 最終盤、全員がスパイクを打つために飛び上がるなかで、影山がトスをあげたボールは誰の手元に向かうのか? 絶妙に計算されたカメラの回転とアングルにより、スパイカーがアタックを打つその瞬間までボールの行方がわからない仕掛けには完全にやられました。音楽演出といい、カメラ演出といい、これは絶対にアニメでしか表現できない盛り上げ方なんですよね。最高に大好きな神演出、絶対に観てみてほしいです! 

 ほかにもまだまだ語りたいシーンはたくさんあります。ツッキーがバレーにハマる瞬間となったドシャットシーン、ピンチサーバーである山口の覚醒シーン、コーチである烏養くんの「下をむくんじゃねえーッ!」のシーンとか、ほんとに色々ありすぎて困るレベル(苦笑)。劇伴の素晴らしさは先にお伝えしたとおりですが、SPYAIRやスキマスイッチ、BURNOUT SYNDROMESなど、そうそうたるアーティストがOPやEDの楽曲を担当していることもお伝えしておきたい魅力です。

■『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』予告映像②

 あえてもう1度書きますが、2月16日からは劇場版FINALシリーズの1作目となる『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』も公開されます。まだこの素晴らしい青春アニメをご覧になっていない方は、これをきっかけにぜひシリーズ作品に触れてみてください。きっと後悔はしないと思いますよ。それでは、今回はこのへんで!

©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
©2024「ハイキュー!!」製作委員会 ©古舘春一/集英社
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