『The Last of Us Part II Remastered』感想。ローグライクモードや未公開ステージなど、新たな楽しみが追加された決定版

hororo
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 世界で300以上のアワードを獲得し、重苦しく胸を刺すようなストーリーが話題を呼んだ『The Last of Us Part II』。そのリマスター版『The Last of Us Part II Remastered』がPS5で1月19日に発売されます。

 SIEから本作の製品コードが届いたので、事前にプレイしての感想レビューをお届けします。

 『The Last of Us』シリーズは、謎の寄生菌のまん延によって世界が荒廃してしまったのちの時代を描くサバイバルホラー作品。1作目では、主人公のジョエルと、彼が送り届けることになった少女・エリーの道程が描かれ、危険な旅路のなかに徐々に深まっていく2人の絆が描かれました。

 2作目となる本作では、ジョエルからエリーへと主人公が移行。そして新登場のキャラクター・アビー(アビゲイル)という女性の2つの視点から物語が描かれます。

 人の心に響く物語は高い評価を獲得し、寄生菌によって変貌した感染者たちから隠れ、切り抜けるスリルある戦闘、同世代のタイトルと比較しても圧倒的に美麗なグラフィックなど、あらゆる面で名を遺した名作となっています。

ゲーム史上最大級の苦しさすら感じる、2人の主人公の立場で追体験する復讐の物語

 本作の物語は内容がややショッキングなものであったため、発売当時に大きな話題を呼びました。また、物語に込められたテーマに触れるうえで、序盤のネタバレに触れる必要があるため、これから本作をプレイしようと思っているかたはご注意ください。なお、本作の性質上、前作をプレイしていない場合は、先にそちらをプレイすることを強くおすすめします。

 まず本作の概要ですが、冒頭でも触れたように、人に寄生し、ゾンビのような凶暴な感染者に変えてしまう菌がまん延し、文明が崩壊したアメリカが舞台となります。

 主人公となるのはエリーという名の女性。前作では、娘を寄生菌のまん延による混乱で亡くし、失意の底にあったジョエルとともに旅をしていました。前作のエンディングから5年が経過した本作では、ジョエルとともにジャクソンという集落に定住しており、そこで多くの仲間とともに生活を送っています。

 そして本作にはもうひとり、別の主人公が登場します。アビーというなの屈強な女性で、彼女はとある目的のためにジョエルを探し、仲間と共に旅を続けていました。このアビーとジョエルの出会いが、本作の物語の幕開けとなります。

 じつはアビーは、前作でジョエルが殺した、ファイアフライという名の組織にいた男の子供。前作をプレイした方は、エリーを犠牲にすることで作れるワクチンか、エリーの命かという選択を迫られたシーンが記憶に焼き付いているのではないでしょうか。

 最終的にエリーの命を選んだジョエルが手術室に踏み込んだ際、その執刀医をしていたのがアビーの父親だったのです。そしてジョエルは施設の警備を軒並み殺すことで、エリーを連れて脱出しました。

 このことでジョエルを復讐の対象として探していたアビーは、ジャクソンに訪れた際に偶然にもジョエルに出会ってしまいます。そして仲間たちとともに、ジョエルを拷問し、撲殺します。それもエリーの目の前で。

 復讐を成し遂げたアビーでしたが、今度はエリーがジョエルの復讐のためにアビーを追うことになります。復讐を果たした者のその後と、新たに復讐に狂う者という2名の視点で物語を描かれていくのが本作の特徴で、両者の心理描写こそが最大の見どころとなっています。

 このような凄惨な物語であるため、本作のストーリーはかなり人を選ぶことは間違いないでしょう。ですが、あらゆるものを諦めて復讐を成し遂げたからといって報われることはなく、そのせいで犠牲にしてしまったものに想いを馳せる、もの悲しい後味は本作でしか体験できない味わいでもあります。

 また本作では、PS5の特徴であるDualSenseのハプティックフィードバックも生かされているため、状況ごとの触覚で感じる感覚が振動で伝わってきて、臨場感をさらに感じられるようになっています。

 後述する新モードなどに比べれば微々たる変化ではありますが、これによって没入感が一段階増しているので、PS4版をプレイした方でも一度試してみてほしいです。

戦闘の楽しさを堪能できる新モード追加! その他の追加コンテンツも

 リマスター版の新要素のもっとも大きいものが、“NO RETURN”というローグライクサバイバルモード。

 ステージごとに決められたミッションをクリアしながら先に進んでいくモードで、ステージの合間に武器やアイテムの購入や強化を行っていきます。

 ミッションには、ウェーブ形式で出現する敵を全滅させるものや、時間まで敵の襲撃を生き延びるものなどがあり、プレイを重ねるとルールも増えていきます。

 本作の戦闘は、敵から見つからないように進めるステルスと、アクティブに動き回る“静と動”のメリハリがついていて非常に気持ちいいので、本編クリア後に本作の戦闘部分だけを楽しみたい人にとっては、まさに待ち望んでいたコンテンツではないでしょうか。

 通常の人間の敵が出てくることもあれば、感染者たちが出てくることもあるため、ステージと敵、そして現在の物資などの状況に合わせた戦術を即興で考えていくのが楽しいです。ステージによってはMODという特殊効果が発生することもあり、本編とは異なるプレイ感を味わえます。

 ステージの合間では隠れ家に戻り、手に入れた素材や報酬で得たリソースを使い物資を補充。またこのタイミングで買い物を行い、武装を充実させていくことができます。しかしそこはローグライク。ほしい武器が買えるとは限りません。

 今ある装備を強化して挑むか、妥協して装備を買うか、それともリソースを残して次のタイミングを待つか……。そのときそのときの強化プランで悩むのは、まさにローグライクならではのおもしろさです。

 逆に、一度死んでしまうとその周回で手に入れたものはすべてリセット。また最初から再プレイを行うことになってしまいます。

 ですがキャラクターごとに特性が用意されていたり、チャレンジをクリアすることで新たなプレイアブルキャラクターが解放されたりするため、周回が苦になりません。難易度も6段階(+自分でカスタム)に分かれていて、自分の腕前にあった歯ごたえを選べるのも嬉しいですね。

 別の追加要素としては、本編でカットされた未公開ステージを遊べるというものも。

 ステージは3つ用意されていますが、音声がなかったりオブジェクトが仮のものだったりと、開発中のテストビルドに近いものも。その分ふだんユーザーが触れられないものともいえるため、逆に目新しさすら感じます。

 ステージ中には開発者によるコメンタリーが設置されており、演出の意図やカットされた理由などを聞くことが可能。これによって、さらに本編でのキャラクターの行動への理解が深まることもあって、本編プレイ後に遊んでみるといっそう楽しめます。

 さらにミニゲーム的な要素として、ギター演奏モードも追加。作中でギターを弾くシーンが何度か訪れますが、ここでは心の赴くまま、自由にギターを奏でられます。

 残念ながら私は楽器はからきしなので、その魅力を十分にお伝えすることはできませんが、出せる音の幅は広く、精通している人であれば実際に曲を弾けるのではないでしょうか。

 また演奏者や背景、楽器も複数用意されており、自分の好きな組み合わせで遊ぶことができます。ジョエルにバンジョーを弾かせることだって可能!

 このように数々の追加要素が加わり、改めてプレイしてもかなり楽しめたので、『The Last of Us』シリーズが好きな人は今一度プレイしてみてはいかがでしょうか。

 もちろんまだプレイしたことがない人にもおすすめ。その場合はぜひ一作目から遊んでみてください。

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