『キャプテン翼 たたかえドリームチーム』2019年における海外展開から見えてくるKLabの世界戦略とは?
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KLabが配信している、スマートフォン向けアプリゲーム『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』。この1年での展開を振り返っていく。
本作は、高橋陽一先生原作の『キャプテン翼』を題材とした対戦型サッカーシミュレーションゲーム。簡単な操作で奥深いサッカープレイが可能で、原作を追体験できるシナリオモードに加えて、リーグモードやオンライン対戦が用意されている。
2019年3月下旬に行われたAnimeJapan2019にて、全世界のユーザー向けイベント“DREAM CHAMPIONSHIP 2019”の実施が発表され、そこから約半年をかけて、オンラインとオフラインのイベントがそれぞれ実施された。また、アプリゲーム内でも、このイベントに連携したさまざまなイベントやキャンペーンが行われた。
この1年での展開を振り返りながら、このアプリゲームの特徴や、同社KLabの強みについて掲載していく。
“DREAM CHAMPIONSHIP 2019”を中心に展開した2019年
AnimeJapan2019での発表
今年3月のAnimeJapan2019。そのKLabGamesブースのステージイベント上で、“DREAM CHAMPIONSHIP 2019”の実施と、その概要が明らかに。
全世界4都市でオフラインでの予選大会が行われ、さらには世界中のユーザーが参加できるオンライン予選も合わせて実施されるといった内容であった。『キャプテン翼~たたかえドリームチーム~』(以下、『たたかえドリームチーム』)では初めての試みで、ゲーム大会としてここまでの規模と対象範囲の広さものは珍しく、注目されることになる。
『キャプテン翼』というコンテンツの知名度、サッカーという人気スポーツのパワー、そして全世界155カ国でプレイできる『たたかえドリームチーム』だからこそ実施できる内容であった。
同社はゲームを楽しむユーザーに向けて、動画番組“KLab Games Station”を、各言語ごとに週に1回配信している。これまで日本語と英語・フランス語で行われていた本放送だが、3月からアラビア語版が追加されることに。10月にはタイ語版、12月には広東語版がさらに追加されて、より多くの海外のユーザーが、同じタイミングで同社のゲーム内の情報を得られるようになった。
ドバイラウンドについて
KLabによると、MENA(Middle East North Africa、中東・北アフリカ)地域は、『たたかえドリームチーム』のプレイヤーが多いエリア。
どのようなユーザーが、どのような気持ちで同社のゲームをプレイしているのかを肌で感じたい、という狙いから、同地域内のアラブ首長国連邦のドバイで最初の予選大会が実施された。ドバイは観光やスポーツに力を入れていることもあり、展示会も比較的多く開催されている。
とはいえ、日本のゲームパブリッシャーがMENA地域でイベントを実施した実績は、ほぼないという。
現地の正しい情報を得られずに苦労することも多々あったとのこと。中でも、宗教や習慣、インフラ環境の把握はイベント実施においてとても重要で、かつ気を遣うポイントだ。
そんな中で大きな力を発揮したのは、同社で海外マーケティングを担当するスタッフ陣。日本語で各々の母国語を巧みに扱う彼らが中心となって、現地との連絡や調査をしつつ、日本国内との連絡を進めていった。彼らの尽力もあり、2019年年明け早々から準備を進めたドバイラウンドは見事に成功を収めた。
この点が同社の大変ユニークな特徴であり、他社と比べた際の優位性だろう。
東京ラウンドについて
6月には、都内にあるJFAハウス(日本サッカー協会ビル)内“日本サッカーミュージアムヴァーチャルスタジアム”にて東京ラウンドが行われた。
強豪選手がひしめくトーナメントで注目を集めたのは、GKの森崎有三の活躍で決勝まで進んだ“KOJI”選手と、ダークホースと言われつつ決勝まで残った“田中さんDL”選手。先制した“KOJI”選手のゴールを奪えなかった“田中さんDL”選手だったが、試合終了間際に葵新伍の執念のノンストップロベッシャータで追いつき、延長戦に突入する。
決着は延長戦でも決まらずに、勝敗の行方はPK戦に。どちらが勝ってもおかしくない試合終了後には、両選手に大きな拍手が送られた。
会場にはゲームのユーザーだけでなく、『キャプテン翼』やサッカーを愛するファンが集結。親子連れも見られ、一緒になって、日本人プレイヤーの一挙手一投足を見守った。
日本サッカーミュージアムにてイベントを行うという粋な計らいに、海外での展開だけでなく、日本ユーザーもしっかりと盛り上げたいという同社の意気込みを感じることができた予選大会であった。
パリラウンドについて
パリラウンドは、Japan Expoでのブース出展のステージで開催された。同社がJapan Expoに出展するのは、2018年に続けて2回目。フランスの地元メディアだけでなく、『キャプテン翼』を愛するヨーロッパ中のファンとユーザーが集まることになる。
集まったファンに向けて、ゲーム音楽を制作しているサウンドチームによるミニライブが行われ、こちらも大きな反響があったという。ゲーム体験だけでなく、ゲームに関連したエンタテインメントの切り口を通じて、海外のユーザーとコミュニケーションできる場所と機会を演出するのは、KLabならではの催し物だったと言えるだろう。
実はKLabは、現地フランスやヨーロッパに支社やパートナー企業を持っていない。にもかかわらず、これほどまでのコミュニケーションを実現できている理由には、彼らが事業戦略に掲げる“Japanese IP’s”と”Global Growth”が社内に浸透してきたことが考えられる。日本のアニメやゲームに対しての海外のファンやユーザー心理を理解し、日本国内に限定せずに、つねに海外市場を視野に入れてビジネスを立案し推進できているのは、同社の強みの1つだ。
香港ラウンドについて
アジアの中でも、『たたかえドリームチーム』の熱いユーザーが多いことで知られる香港地域。それが証拠に、オンライン予選を勝ち抜き“決勝大会”の参加権を獲得したプレイヤー12人のうち、半数にあたる6人が香港のプレイヤーである。
第1試合から、レベルの高い試合が連発。1点をめぐり、スコアレスでの展開が続く試合や延長戦まで突入する白熱した試合がとても多かった。
さらに語るうえで外せないのは、プレイヤーを応援するメンバーの熱。『キャプテン翼』のユニフォームを着たファンが最前列にずらっと並び、モニターに映し出された試合に一喜一憂しつつ、声援を送っていた。
決勝ラウンドについて
4会場でのオフライン予選と、世界155カ国から参加可能なオンライン予選を勝ち抜いた16人が集結した決勝ラウンド。さらに決勝ラウンドには原作者である高橋陽一先生も来場し、イベントの盛り上がりと勝敗の行方を見守った。
会場となったのは東京ラウンドと同じく、JFAハウスであったが、日本サッカーミュージアムの全面協力により、決勝ラウンドが行われた9月14日の前後3週間が『たたかえドリームチーム』一色で染まる、6月の東京ラウンドよりもさらに粋な演出が実現。『キャプテン翼』キャラクターの日本代表限定ユニフォームが展示されるなど、今回はよりリアルのサッカーと『キャプテン翼』の世界観がマッチした構図となり、どちらのファンにも自然に楽しめる演出が用意されていた。
また、入場時や対戦前の映像紹介などで、全体的にeスポーツのような没入感を高める見せ方を取り入れているのも特徴であった。こちらについては、まだいろいろと模索している最中のようにも感じられたが、ユーザーの参加する大会を一緒に盛り上げたいという運営チームのこだわりが出ていた。
PK戦までもつれ込んだ決勝戦を制したのは、ドバイラウンドを勝ち抜いたWillOFD選手。同選手はパリラウンドの優勝者、香港ラウンドの優勝者、東京ラウンドの優勝者、そしてオンライン予選を勝ち抜いた選手を撃破して優勝するという、劇的な展開も見逃せないポイントであった。
緊張で食事がノドを通らなかったという、WillOFD選手による喜びのコメントと、今後のアップデート内容が発表され、イベントは終了した。
タイランドゲームショーでのステージ出展
10月18日にはグローバル版の『Captain Tsubasa: Dream Team』にタイ語が追加された。それにあわせて、10月25~27日にバンコクのサイアムパラゴンで開催された“タイランドゲームショー2019”に、スペシャルステージが登場。
東南アジア地域は、経済発展と通信系インフラ環境の改善に伴い、オンラインゲームやアプリゲームのアクティブユーザー数が目まぐるしく伸びている。同社は東南アジア地域の中心都市であるバンコクでの出展経験を生かし、今後の同地域での戦略の試金石にしていく考えがあるようだ。
さらに、10月末のタイミングから“KLab Games Station”にもタイ語版が追加されることとなる。
グローバル展開をスムーズに実現できる組織作り
本アプリは、日本版アプリとグローバルアプリで同一のイベントが行われている。そのため、配信言語が増えれば増えるほど、画面素材が増えたり、ロゴを用意したりと、作業量が当然増えていく。
また、他社や関連会社が運営しているのであればユーザーサポートを任せることができるが、すべて自社で展開しているために、それらも担当する必要がある。
同社は、事業戦略の1つとして“Global Growth”を掲げている。その実現のために、マーケティング部だけでなく、ゲームの企画開発、運営する部門、ローカライズチームにも、日本語と外国語が堪能なスタッフが豊富に在籍している。
日本人スタッフと外国籍のスタッフが自然な形で融合し、組織として各々の能力や強味が、目標実現のためにバランスよく機能しているからこそ、10以上の多言語対応での日本からの直接のゲーム運営や海外でのイベント実施がうまくいっていることが考えられる。海外市場での苦戦が伝えられる日本のアプリゲームパブリッシャーの中でも、同社は成功している事例といえるだろう。
“DreamChampionShip2019”が盛況だったことからも、来年2020年にも、同様なイベントが実施されることや、さらなる国や地域を拡大してのゲーム運営が予想される。来年も同社ならびに『たたかえドリームチーム』の展開に注目しておこう。
(C)高橋陽一/集英社
(C)高橋陽一/集英社・テレビ東京・エノキフィルム
原作「キャプテン翼」高橋陽一(集英社文庫コミック版)
(C)KLabGames
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キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~
- メーカー: KLab
- 対応端末: iOS
- ジャンル: SLG
- 配信日: 2017年6月13日
- 価格: 基本無料/アイテム課金
■iOS『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』のダウンロードはこちら
キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~
- メーカー: KLab
- 対応端末: Android
- ジャンル: SLG
- 配信日: 2017年6月13日
- 価格: 基本無料/アイテム課金