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【ネタバレあり感想】アニメ『即死チート』3話。チートで作り上げた美少女ハーレムも、夜霧の前には形なしだった。すぐに再洗脳されたエウフェミアはただただ不憫

米澤崇史
公開日時

 2024年1月18日(木)に放送されたTVアニメ『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』第3話“一方的に攻撃できるほど世の中甘くない”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

再会したクラスメートは、チート能力で美少女ハーレムを結成していた

 異世界からの侵略者・アグレッサーの協力も得つつ、クラスメートと合流するためにハナブサの街に立ち寄った夜霧たち。

 高層ビルが立ち並ぶほぼ現代日本のようなハナブサの街で、夜霧たちは独自で行動していた元クラスメートの一人である橘裕樹と再会します。

 裕樹は他人を支配して奴隷にする力をもつドミネーターのギフトを使って、美少女だけの親衛隊を結成していましたが、ツンデレや無口っ子、お姉様系と、異世界ハーレム系作品にヒロインとして登場しそうな個性的なメンバーです。

 格下しか配下にできないという制約こそあるドミネーターのギフトですが、恐ろしいのは配下にした奴隷が得た経験値はすべて自分が得られるという隠された性質。寝ていても奴隷たちが経験値を稼いで強くなり、支配できる対象が増えていくというシステムは、かなり完成されているなと。

 クラスメートたちと別れてからそこまで長い時間が経過しているわけではないように見えますが、すでに地下100層にいる魔物を一方的に虐殺できるあたり、その強さはかなりのレベルに達していたのは間違いないでしょう。

 おそらく今の裕樹のレベルであれば、あの場で知千佳を強制的に支配することも十分できたと思うのですが、なるべく知千佳自身の意思で奴隷になることを懇願させたいそう。ナルシストな側面がそれをしなかったのかなという印象です。

 裕樹はこの手のナルシスト系キャラクターにありがちな、プライドを傷つけられたことを根に持って、ヒロインに執着するタイプではないのは面白かったです。親衛隊のエリカの暴走から成り行きで夜霧たちと事を構える形になってしまったので、ほんの少しだけですが同情の余地もあります。

 本来は夜霧たちも裕樹と敵対するつもりはなく、夜霧がエリカの姿を視認できていなかったが為に起こった、ある種の不幸な事故から起こった戦いと言えるかもしれません。

 ただ、2話でミレイユが死んだ時には、演出も相まってちょっと悲しかったのですが、今回のエリカの死は悲しさのようなものは沸かず。死体をみて動揺しなくなっている知千佳と同様、視聴者側の感覚も段々麻痺してきているなと感じました。

 ちょっと気になったのは、裕樹は夜霧に対して「男は受け入れていない」と言いながら、ダンジョン内でゴキ◯◯こと“G”の魔物を支配下にしていたこと。奴隷にするのを躊躇っているような素振りも一切なかったですし、意外と器が大きいのかもしれませんが、“G”はOKで男がダメというのは、どんなセーフラインなんだとツッコミたくなりましたね。

夜霧に対して“殺意”を抱いてしまったという最大の敗因

 エリカと連絡がとれなくなったことで、すぐに親衛隊を使って知千佳を確保しようとする裕樹でしたが、結局一度も夜霧たちと直接再会することなく、遠く離れた場所で死亡するというあまりにも呆気ない幕切れを迎えました。

 それまで非常に厄介な能力の持ち主として描かれていた敵が、主人公たちの目が届かないところでアッサリ死ぬというのは、本作ならではのぶっとんだ展開。

 ただ、3話でのバトルは夜霧の能力の不便さも同時に分かる作りになっていて、途中までは居場所が分からない裕樹に手出しすることができなかったんですね。即死スキルの全貌がまったく見えていなかったにも関わらず、夜霧に対して明確な殺意を向けてしまったのが裕樹の運の尽きでした。

 とはいえ、親衛隊序列2位のエウフェミアから制止されたにも関わらず、ドミネーターの力に溺れて強硬策に出た結果なので完全な自業自得。

 即死して倒れるまでのアニメーションが無駄になめらかで、映像的にちょっと美しい最期になったのは、ナルシストとしてはせめてもの救いと言えるのかも(笑)。まさにタイトル通り“一方的に攻撃できるほど世の中甘くない”ということですね。

 また3話のバトルでは、魔法のつららの中に閉じ込められた時に、つららそのものを殺して脱出に成功したり、もっている杖だけを殺して折ったり、夜霧の即死チートが命をもたない無機物も対象にできることが明らかになっていました。

 ただの即死魔法とは明確に違う、特殊な性質をもつ能力。筆者は世代的に『〇の境界』や『〇姫』の“某魔眼”を連想しました。

 裕樹が死んだことで、エウフェミアたち奴隷も解放されますが、せっかく自由の身になったと思ったのもつかの間、今後はレインの眷属として再度洗脳されてしまったのはあまりにも気の毒でした。それまでアグレッサーと戦っていたレインがエウフェミアに興味をもったのは半ば偶然ですが、結果としてレインは夜霧たちについての情報を得られることになります。

 一方、ホテルから脱出した夜霧たちが見たのは、レインの配下であるマサユキによって、ゾンビ映画の舞台のように変わり果てたハナブサの街。「異世界ファンタジー的ななにかかと思ったらゾンビパニック化してるんだけどー⁉」には完全に同意しました(笑)。

 今回のハナブサの街がほぼ現代だったのもそうですが、異世界ファンタジーの枠に囚われない展開が待ち受けているのも本作の魅力。4話でもまたぶっ飛んだ展開で楽しませてくれそうです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©藤孝剛志/アース・スター エンターテイメント/即死チート製作委員会

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