【ネタバレあり感想】『バーンブレイバーン』2話。ブレイバーンに振り回されっぱなしのイサミがひたすらかわいそう。衝撃の出会いを果たしたルイスの今後が気になりすぎる

米澤崇史
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 2024年1月18日(木)より放送開始された勇気爆発バーンブレイバーン』。第2話“待たせたな、イサミ!”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『勇気爆発バーンブレイバーン』2話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

イサミの話をすると止まらなくなるブレイバーンが怖すぎる

 ミリタリー色の強い世界観に、突如『勇者』シリーズを思わせるスーパーロボットが登場するという衝撃的な展開が大きな話題を呼んだ『バーンブレイバーン』。

 第2話は、1話の戦いで命を落とした兵士たちへの追悼、ブレイバーンという正体不明の機体に搭乗していた疑いからイサミがCIAに拷問を受けるというハードな展開でスタートしますが、その後に流れる王道熱血ロボットアニメ感に溢れるオープニングとの落差が凄まじい。

 歌っているのもブレイバーンですし、このあたりからも、空気を読まないブレイバーンのキャラクター性が表現されている感じがします。

 ブレイバーンによって、“デスドライヴス”と呼ばれる宇宙からの侵略者によって地球が狙われていること、ブレイバーンはデスドライヴスと戦うためにやってきたという事実が明かされました。最初の頃は比較的まともに受け答えをしていたブレイバーンですが、こと話がイサミに及ぶと一気にボルテージが上がって止まらなくなっています。

 本作を語る上でよく話題にされる『勇者』シリーズでは、意思をもつロボットと主人公が交流し、少しずつ信頼関係を築いていくのがお馴染みの流れだったのですが、本作だと物語の開始前からブレイバーンのイサミに対する感情がカンストどころか、信頼とか友情の域を越えちゃっているようなんですよね……。1話からその片鱗はありましたが、ブレイバーンのヤバさがどんどん浮き彫りになっていってます。

 その一方で、人間側の事情にも妙に精通しているのも気になるところ。ブレイバーンをアメリカ軍の新兵器と疑うドイツ語の密談を聞き取ったらすぐにドイツ語でそれをとがめるなど、自分という存在に対して軍がどういう行動を取るかというところまで理解しているように見えます。ブレイバーンについては、何かまだ大きな秘密が隠されているのかなと。

 また、ブレイバーンのインパクトが強いのでそれに持っていかれがちですが、登場するヒロインたちがかわいいのもポイント。とくに、1話でも登場していたTSの整備を担当するミユは、三つ編みの女の子らしいビジュアルとメカオタクというキャラのギャップもあって印象的でした。ブレイバーンについての話では“ハンサムだった”という点でルイスと意気投合していましたが、これはルイスも巨大ロボット好きだからでしょう。

 ブレイバーンの高速移動形態であるブレイサンダーへの変形シーンも初お披露目になりましたが、巨大ロボットが乗り物に変形するギミックは、『勇者』シリーズのお約束でもあったので、シリーズファンとしてテンションが爆上がりました。大張監督によると、このシーンのBGMもブレイバーンが自分で流していたのだとか。

 すでにグッドスマイルカンパニーさんから、『ブレイバーン』の商品企画が動いていることが発表されていたのもあって、きっと立体物でもこの変形機構が再現されるだろうとか、形状的にさらに別のものと合体してもおかしくなさそうとか、ロボットオタクとしての勝手な妄想が広がりまくっています。

情けないイサミとカッコいいルイスの対比が印象的

 後半では、デスドライヴの刺客であるスペルビアが登場。スペルビアはブレイバーンとはかなりデザイン的な印象が違うのですが、思い返すと1話で初登場した時のブレイバーンは、スペルビアに近い悪のメカみたいな顔をしてたんですよね(すぐに目と鼻と口のある、いわゆる『勇者』ロボ系の顔に変わりましたが)。

 ブレイバーン自身がすでにスペルビアの存在を知っていたようですし、「お前を変えてやろう」という以前の関係性を匂わせる台詞も口にしていましたから、ブレイバーンとデスドライヴスが、かつては仲間同士だったという線は結構あるんじゃないかなと。

 ただ、今のブレイバーンはイサミがいないと本当の力を発揮できないようで、スペルビアとの戦いは終始劣勢に。イサミが来ると信じながら戦いを続ける姿には胸を打たれましたが、途中で本当に来るのか不安になり始めた時は爆笑しました。

 イサミを待ち続ける姿に、尋問を行っていたボブがドン引きする一方、ルイスはすぐ状況を理解して行動に移しているあたり、日頃ロボットアニメを見て鍛えられて(?)いた成果が出たのでしょう。

 また2話では、そのルイスとイサミの対比も印象的に描かれていました。颯爽とイサミを助け出し、戦いから逃げ出そうとするイサミを“修正”し、イサミの代わりに戦おうとするムーブは紛れもなくヒーローそのもの。ブレイバーンから「生理的に無理」と搭乗を拒絶されたのはかなりショックだったはずですが、すぐに気持ちを切り替えてイサミに戦うよう促したあたり、本当にカッコいいキャラとして描かれています。

 対するイサミは、1話のクールな凄腕パイロットっぽい雰囲気は完全に崩壊し、情けないシーンの連発。終始怯えきった状態で尋問を受け最後は自白する、ブレイバーンの元に連れて行こうとするスミスにキレる、車両が横転した隙に逃げ出そうとするなど、軍事訓練を受けたロボットアニメの主人公とは思えない醜態を晒しまくっていました。

 ただ、10代が多いロボットアニメの主人公としては、24歳って結構大人の部類に入りますが、現実社会の24歳なんてまだまだ若手の新人なんですよね。例え訓練を受けていたとしても、その年齢で自分の意思を完全に無視して、これだけの目にあわされ続けたら、そりゃこうもなるよなと。

 それでもイサミは、最終的にはスペルビアとの戦いに挑み、見事撃破することに成功します。しかしこの時も、ようやく気持ちを立て直して口にした必殺技の口上をブレイバーンに否定されたり、やっと敵を倒したと思ったら着ていた服が消し飛び全裸にさせられるなど、まさに泣きっ面に蜂の展開。

 最後は完全にメンタルが折られ、自分の殻に閉じこもった状態になってしまいました。

 イサミの視点からみると、いきなり謎の侵略者に攻撃されて基地は壊滅、敵を倒したと思ったら味方のはずの人類側からの尋問にあい、ようやく助けが来たと思ったら有無を言わさず即座に戦いに駆り出され、それでも戦ったら全裸になっていた……という理不尽しかない流れなので、ただただ気の毒でかわいそうという印象です。

 今後人類が戦っていく上で、イサミのメンタルをケアする存在が重要になってくるような気がします。あまり他人の話を聞かないブレイバーンは絶対にやってくれないと思うので。

 また本作がすごいと思うのは、あれだけブレイバーンが喜々としてイサミとの思い出を語り、イサミも自白していたのに、イサミとブレイバーンの関係性が視聴者にまだ明かされていないこと。

 イサミの自白シーンを聞き返すと、「あの戦いで何もできなかった」といった類のことを言っているのですが、これが1話の戦いを指しているのか、もっと前のブレイバーンとの出会いの出来事を指しているのか、どちらともとれるようなタイミングでシーンが切られているのが上手いですよね。

 素直に捉えれば前者なんですが、何度も拷問されて隠すような話ではないと思いますし、1話でのイサミの普通じゃない怯えようを見ると、過去に何かトラウマを抱くようなきっかけになる出来事があった可能性は結構あるんじゃないかなと。

 ただ、そうなるとなぜイサミがブレイバーンの存在を知らないように振る舞っていたという別の謎が生まれてきますし、やっぱり素直に1話の出来事を話していたのかも……といろいろ考えが堂々巡りしてしまいますが、少なくとも今のタイミングで明かさなかったということは、二人の過去は本作のストーリー上かなり重要な位置づけになってくるんじゃないかと個人的に予想しています。

 そして忘れてはいけないのが、Cパートで描かれた、ルイスと海岸に打ち上げられていた謎の少女との出会い。ブレイバーンがスペルビアを撃破した時、小さいUFOのようなメカが射出されていたのが気になっていたのですが、このシーンを見た時にいろいろと合点がいきました。

 仮にスペルビアの中にいたのがあの少女だとするなら、近い存在であろうブレイバーンの方はどうなんだろうとか、これからルイスはどうなっていくのかとか、今後の展開があまりにも気になりすぎます。
 
 2話も1話のインパクトに負けない面白さでどんどん話に引き込まれましたし、Xでも「イサミかわいそう」をはじめとした関連ワードがトレンド入りするなど、SNSでも大きな盛り上がりを見せています。この令和の時代に、今まで見たことがないとんでもないロボットアニメが出てきたという感覚もあり、今後も目が離せない作品となりそうです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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