『ペルソナ3 リロード』クリア済レビュー: なぜ18年経ったいま『P3』を再装填(リロード)したのか? フルリメイクした意義をガッツリ見せつけてくれた約90時間のプレイを語る
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2006年にオリジナル版が発売され、以降は『ペルソナ3 フェス』『ペルソナ3 ポータブル』『ペルソナ3 HDリマスター』など、時代やハードに合わせてさまざまな形で拡張し続けてきた『ペルソナ3(以下P3)』。そんな人気タイトルが集大成とも言うべき形でフルリメイクを施され、2月2日に『ペルソナ3 リロード』として発売されます(※)。
そこでシリーズファンから熱い視線を集める本作の魅力を伝えるべく、『P3』から大きく変わった部分や新規要素を中心に、ファンが気になるポイントを約90時間プレイしたクリア済のレビューでお届けします。なお、ネタバレについては抑えてあるので、安心して最後まで読んでいただけると幸いです。
※対応プラットフォームはPlayStation5、PlayStation4、Xbox Series X|S、Xbox One、Windows/PC(Steam)
フルリメイクでよみがえった『P3R』の魅力が、90時間以上のプレイで見えてきた!【ペルソナ3リロードレビュー】
これが見たかった! 学生寮で育まれる特別課外活動部の絆
ネタバレについて抑ええるとは言いつつも、語っておかなくてはいけないのがオリジナル版とどこまでシナリオが違うのかという点。そこは『P3』とタイトルにあるだけに、軸となる物語は改変されずに“『P3』で伝えたテーマ”はしっかり守られていることを、まずはお伝えしておきましょう。
ですがそう聞くと、コアファンであるほど「変わらないならばフルリメイク版を遊ぶ意味はある?」と思われるかもしれません。発売から18年という歳月が経っているので、「なつかしむという意味でぜひプレイすべき!」と推したいところですが、それだけでは理由として弱いのも正直なところ。
そんな疑念を抱く方に強くお伝えしたいのが、本作はもともとの物語に『P3フェス』『P3P』で追加されたシステムや一部展開を盛り込みつつ、さらに夜の学生寮で特別課外活動部と主人公との交流が用意されているという点です。この交流ではキャラクター個々の心情が深堀りされて、さらには特別課外活動部のメンバーとも会話がなされます。
よく「『P3』って『P4』や『P5』よりメンバー内の距離感が遠いよね」みたいな話がされると思います。自分もかつては正直そういう印象でした。でも、学生寮での交流を味わってみるとその評価は見事に覆され、ほかのシリーズとそん色ない距離感に変わったんじゃないかなと感じました。
もしかしたら「ちょっと違う」と感じる方がいるかもしれませんが、自分はこの追加はとても前向きに捉えて楽しめましたし、きっと多くのファンも「これが見たかった!」と納得できるんじゃないかなと。しかも、キャラクターと交流を重ねると戦闘能力が強化されるので、ファンとしては一粒で二度おいしい感じでした(笑)。
さらに、特別課外活動部だけでなく、彼らに敵対するストレガ陣営もしっかり深堀りされているのも高ポイントかなと。ストレガの行動理念がより明確になり、シナリオの解像度が高くなっているので、これらも含めてフルリメイクの意義を感じ取れました。
ゲームサイクルはそのままに遊びの手触りがグンと向上
次に語るのはゲームサイクルです。ここについては『P3』から変わっていないので、プレイ済みならば違和感なく進められるでしょう。ですが、昔のままだとさすがにUI周りや画面レイアウトなどが古い感じなので、そこは2024年に合わせた最新のデザインへと変更されていて、とても遊びやすいという印象を受けました。
個人的に便利だと感じたのは、□ボタンで呼び出せるメール機能です。これはコミュ(仲間や学友たちと紡ぐ絆)が進展しそうなキャラクターから携帯に連絡が来るシステムで、これを使えば相手の場所まで直接移動できるため、とても使い勝手がよかったですね。
なかでも便利だったのが、リンクエピソードでの呼び出し。本作は特別課外活動部の男性キャラクター(コロマル含む)のコミュがないため、その代替としてこのリンクエピソードが用意されています。こちらはシナリオに紐づいた時限式となっていて、見逃すとその後が展開しなくなるんですね。だから、発生を見逃さないこのメールはとても助かりました!
単調になりがちだったタルタロスの探索が大きくテコ入れ
『P3』のメインコンテンツでもあるタルタロス。影時間に攻略する多階層のダンジョンですが、こちらは遊びの勝手がだいぶ変わった印象を受けましたね。シナリオに合わせて階層が解放されていく流れは変わりませんが、道中にさまざまな要素が追加され、登り続けるというちょっと作業感が強かった『P3』と比べて、かなりおもしろく味付けされています。
まず大きな点として『P3フェス』から追加された深層モナドという要素が、モナドの扉やモナド通路という要素として登場。モナドの扉はランダムで、モナド通路は特定の階層で出現する形になっており、こちらは強力なシャドウと戦うことが可能です。
ここは腕試し的な意味合いもありますが、クリアすることによりシャッフルタイムでいい効果の大アルカナ(探索中に経験値が増えたり、ステータスUP効果が得られたりする)を引きやすくなり、さらには大アルカナの種類や所持数を増やせるなど、かなりのメリットがあるんです。
2つ目は薄明の欠片を使った宝箱の解除や回復手段の追加。薄明の欠片は本作から登場するアイテムで、こちらはコミュを進めてエリザベスからもらったり、街中で拾ったりすることで手に入ります。宝箱で使用する機会が多いのですが、特定の階層で開けられる宝箱にはいい装備が入っているため、ある程度は確保しながら進めるといい感じでした。
なお、薄明の欠片を使い込むと、主人公とレベル差がある仲間の経験値を獲得できる大時計が出現。待機メンバーに経験値が入らない本作では、とてもありがたいシステムでした。
そして3つ目は巨大な希少種が登場すること。希少種とは黄金に輝く手の姿をしたシャドウで、『ペルソナ』シリーズでは大量の経験値&金が手に入るいわゆるボーナスキャラです。それが今回は超巨大なバージョンが追加され、出会ったら追いかけっこをする展開が用意されています。外観のインパクトがかなりのものなので、ぜひその目で確かめてみてください。
ちなみに、出会った当初は選択肢をミスって逃げられる可能性もありますが、風花が“タルタロスサーチ”を習得すれば確実に追い詰められるようになりますのでご安心を。あと、コロマルがパーティにいると、匂いを追って追跡できる点もお見事。
テウルギアの追加で1Moreバトルに新たな戦略性が生まれた
最後はバトルシステムについて。こちらも1Moreバトルという弱点を突いてダウンを奪い、全員ダウンさせて総攻撃を狙う『ペルソナ』シリーズの核とも言える流れは健在。なので、バトルが始まったらまずは弱点探しに奔走するわけですが、今回のポイントは弱点がない相手と戦うシーンです。
その対応策として登場したのが、テウルギアと呼ばれるテウルギアゲージを溜めて使う必殺技のような攻撃。ポイントは相手の耐性を無視してダメージを与えられる点。耐性がある敵との戦いは消化試合的に殴り合いが続くことが多かったので、この切り札はありがたかったですね。
大ダメージ&敵全体を巻き込むことが可能なので、とにかく頼りになるという印象でした。また、演出に関しても見ごたえバツグンで、個人的にはグラフィックの向上の恩恵をいちばん受けているんじゃないかなと。
というわけで、『P3R』の大まかな変更点をまとめつつ遊んだ手応えなどをお伝えしましたがいかがだったでしょうか。これこそフルリメイクのお手本だと断言できるくらい、すべてにおいて愛が込められた作品になっていると感じました。
これ以外にもエリザベスの依頼をこなしたり、ペルソナ全書をコンプリートしたりと、やり込み要素もオリジナル版同様に充実しているので、正直ボリューム感はハンパないです。ただ、今回のプレイでは残念ながらどれも終わらなかったので、こちらは2周目でじっくり楽しみたいと思います!!
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【発売日】
2024年2月2日
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