『FF7リバース』野村哲也氏インタビュー。今の悩みは次回作の飛空艇。自身がデザインしたキャラクターやその見どころも語る

スズタク
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 スクウェア・エニックスより2月29日発売予定のPS5用RPG『FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)』。その開発者インタビューを掲載します。

 本作は『FFVII』のリメイクプロジェクト3部作の第2作。前作『FFVII REMAKE』でミッドガルを脱出したクラウドたちの旅の続きが描かれ、オリジナル版における忘らるる都までのストーリーが収録されています。

 インタビューのお相手はクリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏。『FFVII REBIRTH』で手掛けた作業や、野村氏がデザインしたキャラクターなどをうかがいます。


【野村 哲也(のむら てつや)】
『FFVII REBIRTH』クリエイティブ・ディレクター。『FF』シリーズには『FFV』から参加し、『FFVII』ではキャラクターデザインを担当する。『FFVII REMAKE』ではディレクターとして参加。


 なお、電撃オンラインではプレビューのレポートや、YouTubeで複数の動画も公開中です。ぜひ、こちらもあわせてチェックしてみてください!

【FF7R動画②】グラスランドエリア探索/プレビュー紹介『ファイナルファンタジーVII リバース』

【FF7R動画③】ワールドレポート/プレビュー紹介『ファイナルファンタジーVII リバース』

【FF7R動画⑨】ミドガルズオルム戦/プレビュー紹介『ファイナルファンタジーVII リバース』

※記事内の画像はプレビューから撮影したものであり、製品版とは異なる場合があります。

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ワールドマップに満足しつつも、頭のなかはすでに次回作の飛空艇の悩みに!?

――野村さんは本作ではクリエイティブ・ディレクターという立場ですが、具体的にどのような作業をしたのかあらためてお聞かせください。

野村哲也氏(以下、敬称略):やるべき作業も多々ありますし、実際にやっていることは前作とそれほど変わりません。『FFVII REMAKE』で土台はできていたので、新たに追加するシステムに関しては現場や浜口(ディレクターの浜口直樹氏)に任せています。

 『FFVII REMAKE』シリーズとして『FFVII EVER CRISIS』も始まっていたり、関連事業も広がっているので、全てを統括して見るという立場になっています。

――オリジナル版に携わった身として、『FFVII REBIRTH』の生まれ変わったワールドマップを見ていかがでしたか?

野村:前作『FFVII REMAKE』を作っているときから、次回作はワールドマップが必要でこれくらいの規模感を求められるだろうと話していました。その頃の思いを考えると、よくここまでのボリュームを成しとげたなと。純粋に開発スタッフ一同ががんばったなと感じます。

 ただ、『FFVII REBIRTH』がこのクオリティになると、次回は飛空艇がまた大きな難題になると考えています。『FFVII REMAKE』のときは『FFVII REBIRTH』のワールドマップ、『FFVII REBIRTH』のときは次の作品の飛空艇やウェポン等、いつも先の内容に気が行っています。

――実際にプレビューでワールドマップを体験し、圧倒的な遊びごたえが伝わりました。あの作り込みは想定内でしたか? それとも予想を超えるものに?

野村:ただ広いだけのフィールドを提供しても、ゲームにはなりませんからね。そのワールドマップを隅々まで歩きたくなるようなモチベーションを散りばめるのが重要で、そういう意味では期待に応えられる内容になったと思います。

 チャドリーとワールドレポートを絡めた探索の企画は、開発初期から軸になるアイデアとして聞いていました。その方針は完成するまでずっと変わりませんでしたね。広い世界を旅する動機づけにもなるので、良い企画だなと思っていました。

――ジュノンがかつては共和国だったり、魔晄を届けるための魔晄パイプがあったりといった世界観の設定にも目を通しているのでしょうか?

野村:ジュノンや魔晄の供給に関しては、今回のシナリオ会議当初から、野島(ストーリー&シナリオ担当の野島一成氏)さんが気にしていたポイントでした。ミッドガルとウータイの関係を中心とした、それ以外の地域の立場。魔晄はどの様にどの範囲まで供給されているのか? 世界のディティールが詳細になったことで、これまでの設定だけでは補えない部分を、しっかり設定したいとのことでした。

 それらの打ち合わせでは自分も意見はしていますし、その場で話し合われた内容を元にシナリオは書かれていますので、当然そういった設定には全て目を通しています。

――シナリオについてはおそらくオーダーした部分が多かったと思いますが、いかがでしたか?

野村:そうですね、今回は特に。ある意味前作『FFVII REMAKE』より『FFVII REBIRTH』のなかに自分がこのシリーズで表現したかったものが多く、シナリオに関してはけっこう自分の意向を通させてもらってます。

お気に入りはダインのシーン。津田健次郎さんの演技とフェイシャルモーションが渾身の感動を生み出す!

――今回のプレビューにはミドガルズオルムも登場しました。ミドガルズオルムといえば『FFVII』ユーザーにとって印象的なエネミーですが、この敵とのバトルや串刺しシーンを見せるうえで意識したことはありますか?

野村:あのあたりの演出は、現場のスタッフがやりたがって形にした結果です。オリジナル版で味わったミドガルズオルムの印象をリメイクで描くなら、バトルも串刺しシーンもこうなるだろうと。

 ただ、欲を言えばミドガルズオルムのサイズをもっと大きくしたかったかな。“大地を支えている巨大な蛇”という神話の蛇なので、オリジナル版の頃からサイズに関して言っていたような気がします。個人的にはあの10倍はデカくしたかったです。

――カードゲームの“クイーンズ・ブラッド”も、現場の方々の意見で入れた要素ですか?

野村:はい。『FFVIII』のカードゲームがとても人気が高かったので、リメイク作品にも入れたかったんでしょう。カードゲームは収集要素になるし、対戦を通じてあの世界の住人と積極的に触れ合うモチベーションにもなります。いろいろな意味でバランスのいいミニゲームだと思っています。

 “クイーンズ・ブラッド”は単なるミニゲームに終わらず、サイドクエストとひもづいてストーリーが描かれるところも見どころです。

――グリングリンやクリン、プリシラといった子どものサブキャラクターは、オリジナル版から少し年齢が高めのデザインになっていますか?

野村:そうですね。プリシラなどもわかりやすいと思います。グリングリンもフェラーリ(キャラクターデザイン担当のフェラーリ・ロベルト氏)が担当しています。

 できればグリングリンはもう少し幼くしたかったのですが、そうすると妹のクリンも合わせて年齢を下げないといけなくて。落としどころとしては諸々考慮した結果、今回のものになります。

 というのも、あまりにもキャラクターを幼くすると子役のキャスティングに悩むことになります。今くらいなら成人でキャスティングできますが、もう少し下だと子役になり、次回作で同じキャラクターを出すときにはもう声変わりでリキャストになってしまうので。

――グリン農場ではチョコボ・サムの存在も匂わされていましたが、前作のサブキャラクターは本作にもだいたい登場するのでしょうか?

野村:ほとんど登場します。それ以外にも今作で新たに出るサブキャラクターもたくさんいます。

――ちなみに、本作で野村さんが新たにデザインしたキャラクターはいますか?

野村:自分は完全新規のキャラクターはデザインしていませんが、たとえばゴールドソーサーのディオ園長は率先してデザインしました。「なぜわざわざあのキャラクターを?」と思うかもしれませんが、たぶん僕が描かないと遠慮したデザインになると感じたので。

  • ▲ゴールドソーサーのカリスマ園長・ディオ(声:山寺宏一さん)。

 すでにディオの姿は公開されていますが、見てわかるとおり意気込みにあふれているかと。あとは、ダインなども僕が担当しました。

――ディオ役は山寺宏一さん、ダイン役は津田健次郎さんと豪華ですが、このあたりのキャスティングは野村さんが?

野村:はい、元々国内、英語版共にキャスティングは全部僕がやっています。国内はずっとお世話になっている清水さんという音響監督と相談してキャスティングするのですが、「このキャラクターはあの声優さんみたいなイメージです」と伝えると「じゃあ、その人にしましょう」ととんとん拍子で決まっていきました。

 ダインのシーンは個人的にかなりお気に入りで、注目してもらいたいところです。津田さんの演技力とキャラクターのフェイシャルモーションが素晴らしくハマって、とても胸を打つシーンになっています。

  • ▲バレットのかつての親友・ダイン(声:津田健次郎さん)

――最後に発売を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

野村:長くお待たせしましたが、続編の『FFVII REBIRTH』をようやくみなさんにお届けできます。遊んだ人の感想を見てから購入を考える人もいるかと思いますが、できればまっさらな状態で遊ぶことをオススメします。

 本作はとくに、誰かから見聞きしたりプレイ動画を観るだけですませるにはもったいないゲームとなっています。それだけの満足感を得られる作品に仕上がったと自負しているので、ぜひご自身の手で体験していただきたいです。


スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。


※記事内の画像はプレビューから撮影したものであり、製品版とは異なる場合があります。
© SQUARE ENIX
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:© YOSHITAKA AMANO

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FINAL FANTASY VII REBIRTH(ファイナルファンタジーVII リバース)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS5
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2024年2月29日
  • 希望小売価格: 9,878円(税込)

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