『バーンブレイバーン』3話感想。勇気ではなく怒りを爆発させるイサミ。謎の少女・ルルが急にスミスに懐いた理由は?(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年1月25日(木)に放送された、『勇気爆発バーンブレイバーン』。第3話“ルル……それが、彼女の名前だ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『勇気爆発バーンブレイバーン』3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

イサミさえ関わらなければまともなブレイバーン

 第2話のラストで、海岸に打ち上げられた謎の少女を発見したスミス。第3話ではその続きからスタートしましたが、いきなりゲ◯のようなものをぶっかけられても、嫌な顔も見せずに避難所まで連れていってあげるのが紳士です。

 視聴者の多くは、スペルビアの中身がこの謎の少女だと考えていると思うのですが、スミスもかなり早い段階でそれに近い予測を立てている察しの良さに驚きました。

 デスドライヴスの中に人間のような存在がいるという発想は普通はなかなか出てこないと思いますが、ロボットアニメにおける一種のお約束ではあるんですよね。今までの感想でも触れてきた通り、スミスはロボットアニメが好きなので、そちらの知識から予想を立てた可能性はありそうな気がします。

 一方のイサミは、2話のラストからずっとブレイバーンの中で閉じこもったまま出てきません。ただでさえ心が折れかかっているところに、全裸でいることを知られてキモがられる追い打ちはなかなか酷い。

 イサミの担当オペレーターだったホノカが声をかけた時には、少し心を開きかけてはいたのですが、直後のトイレの話題で心の傷を負ってしまい、再び引きこもりモードに。ブレイバーンもすっかり周囲と打ち解けており、自分一人だけ蚊帳の外で盛り上がっている時の居心地の悪さは、妙なリアルさがあって微妙に心が痛くなりました。

 その後には、ホノカがイサミに想いを寄せていることも明らかになりましたが、どんどんやさぐれていくイサミの精神状態をまったく気にしていないあたり、性別:女性のブレイバーンが一人増えたという印象。イサミのメンタルをケアする役割にはならなさそうです。

 そのブレイバーンはというと、今回も相変わらず楽しそうに立ち回っていますが、イサミが絡まない時は結構まともでしたね。スタミナを付ける訓練はともかく、敵が展開するバリアの対策はかなりまっとうでしたし、イサミ以外の面々にもしっかりと仲間として接していたのも良かったです。

 とうとう怒りが爆発したイサミと、メンヘラな恋人のようなブレイバーンの痴話喧嘩シーンも面白かったですが、1話で「まだ早い」と言われていたレバーをイサミが何度も引いても、何も起こっていなかったのが少し気になりました。

 単に何らかの条件を満たしていないからという可能性もありますが、実はレバー自体には大した意味はなく、ブレイバーンが自分の気分を盛り上げるためにつけた可能性もあるんじゃないかなと。それ以外のコクピットの機器に関しても、必殺技の音声入力以外でイサミが操縦している感がほとんどないので、本当に必要なのかという疑問も浮かびました。

映画にまで詳しい、人間を熟知しすぎているブレイバーン

 後半からは、謎の少女を介抱するスミスと、出現した敵と戦うイサミ&ブレイバーンの2つの視点が同時に進行。

 ブレイバーン側で気になったのは、識別信号がすでに人類側に登録されていたこと。ブレイバーンなら軍のネットワークにハッキングをかけて、勝手に登録しかねないとは思いますが、これは識別信号を登録すれば人類から攻撃されないという事前知識をもっていたということでもあります。

 また、水圧に押しつぶされないようにするため、液体でコクピットを満たすシーンでブレイバーンが「アビスのみたいなもの」と口にしていたのはジェームズ・キャメロンの同名の映画を指していると思われます(ロボットアニメ的には『エヴァ』のLCLを思い浮かべる方が多いと思われますが)。

 さりげないシーンではあったのですが、ブレイバーンが地球の映画の知識まで持っているという描写でもあり、宇宙から来たはずのブレイバーンがここまで人間社会に詳しいのは、何らかの理由が用意されている気がします。

 一方のスミスはスミスで、決死の蘇生措置を行ったにも関わらず、勘違いされ殺されかけるという散々な目にあっていましたが、急に少女のスミスを見る目が変化しています。

 スミスが少女を抑え込もうと顔を近づけて目を合わせた瞬間、その変化が起きているようなので、生まれたばかりの雛が初めて見たものを親として認識するように、“目を合わせる(もしくは顔を認識する)”ことが、何らかのトリガーになった可能性が十分あるかなと。

 また、最後には、ルルという単語が少女の名前を指すことをブレイバーンがスミスに教えるシーンも。スペルビアとブレイバーンは旧知の間柄のようだったので、やはりスペルビアとルルには何らかの関係性がありそうです。

 ルルが岸に流れついたときに付着していた紫の粘着物が、3話での戦闘時にブレイバーンがコクピットを満たしていた液体の色違いにも見えるなど、ブレイバーンとスペルビア(ルル?)との共通点も結構あるんですよね。

 もしブレイバーンがルルと同じような存在で、イサミを親のような存在と認識した過去があったと仮定すると、現在のイサミに対する異常な執着の背景も見えてくる気がしています。

 しかし、結局今回のイサミは、最後まで一度も服を着られませんでした。その上、自分が周囲から蚊帳の外にされながらも必死に戦っていた間、ある程度友情を感じていたであろうスミスが美少女とイチャイチャしていたと勘違いしたわけですから、さらにやさぐれが加速しそう。まだまだ来週以降も、イサミの苦難は続きそうです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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