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感想:『キングダム』アニメ第5期3話で羌瘣が無謀な単独作戦を決行!? 飛信隊への想いの深さが思わぬ方向に……(ネタバレあり)

タダツグ
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 ファン待望のTVアニメ『キングダム』第5シリーズ3話“黒羊の夜”が放送されましたので、視聴しての感想をお届けします。

【注意】この記事ではアニメ『キングダム』の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

TVアニメ『キングダム』第5シリーズ 第3話“黒羊の夜”感想

 桓騎(かんき)率いる秦軍と慶舎(けいしゃ)率いる趙軍による“黒羊丘の戦い”が描かれるTVアニメ第5シリーズ。秦軍は初日にして右翼の飛信隊、左翼の雷土(らいど)・ゼノウ隊がともに趙軍に出し抜かれ、早くも劣勢に追い込まれてしまいました。展開はえー!(汗)

 函谷関の戦いでは合従軍すら手玉に取った桓騎の策が、現状ではすべて慶舎の後手に回ってしまっているのが意外ですね。雷土をして「あのお頭がここまできれいに敵にハメられたのは初めて」と口にするくらいですから。敵を欺くためのブラフなどではなく、桓騎軍が本気で苦戦しているのがわかります。

 見ものだったのはその窮地の打開法。まさかのガン逃げとは! ここらへん、さすがは元・野盗の集まりである桓騎軍とでもいいますか、雷土やゼノウが撤退を知らせる笛を吹いた瞬間、各人が一斉に逃げ出す様がすごかったです。

 敵に背を向け、殿(しんがり)を務める者もなく逃げる桓騎軍の姿は、趙軍から失笑を買うほどの無様さ。しかし、我先にと仲間すら踏みつけて逃げる彼らに趙軍はしだいに追いつけなくなり、ついには雷土やゼノウといった将たちですら取り逃がす有様。

 目の前で大物を取り逃がしてしまった趙軍の将・岳嬰(がくえい)の怒った顔は見ものでしたね。結果的に、ここで彼らを逃がしてしまったことで、中央の丘を砦化するために作り始めていた趙軍の土塁や木の柵が雷土たちの手で燃やされてしまうわけですから。岳嬰からすればまさに踏んだり蹴ったり。ちょっと溜飲が下がる想いでした。

 撤退用の笛に“火兎(かと)”と名付けるネーミングセンスも大好き。まさに脱兎のごとくな逃げ足でしたからね。趙軍の砦化の邪魔までしてしまうあたり、転んでもタダでは起きない桓騎軍にはやはり凄みを感じます。

 左翼が善戦したぶん、右翼で失態をおかした飛信隊へのプレッシャーも強まりますが、将である信や軍師の河了貂がまだまだ動じていないのは安心材料。信に至っては「失態の代償として右腕を斬り落とす」と伝えてきた桓騎の伝令に対し「しょうがねぇ」と口にしつつ、自分ではなく伝令役の右腕を斬り落とそうとする茶目っ気すら見せてくれて、思わず笑ってしまいました。その後の痛快な檄も含め、最近の信はだいぶキモが座ってきたというか、兵を束ねる将としての器が大きくなってきているのが見て取れて、ついつい感情移入してしまいます。

 結果的に初日の戦いは趙軍優勢で終わった黒羊丘の戦い。2日目以降の巻き返しを図る秦軍はどのような手を打つのかは見ものです。とくに、もう後がない飛信隊としては失敗は許されませんからね。なんとか踏ん張ってもらいたいところ!

注目ポイント1:趙軍の陣に夜襲を決行する羌瘣! 飛信隊への想いの深さにグッとくるが……

 では、ここからは自分が気になったポイントをいくつか列挙していきます。なんといっても、最大の焦点は羌瘣(きょうかい)の動向でしょう。飛信隊の斥候として前線のさらに先を行っていた彼女の隊は、結果的に趙軍の後ろを取ることに成功。しかし、孤立した数騎では何をするにも危険を伴う形に。ここで羌瘣が選んだのは、まさかの趙軍への夜襲。羌瘣自らの手で趙の将軍を暗殺するという策でした。

 これはさすがに脳筋すぎるだろうとハラハラしましたし、事実、周りの兵たちは羌瘣の暴走を止めようとしますが。そんな彼らに告げた羌瘣の「劣勢である飛信隊のために動く」という決意の強さには、思わず心を打たれました。

 一度は飛信隊を離れ、ともに育った羌象(きょうしょう)の仇を討つという目的を果たした羌瘣。その後、万感の想いで隊に復帰した彼女にとって、もはや飛信隊は失うことができない大切な居場所であることが伝わってくる名シーン。彼女の澄んだ瞳に、ついつい見入ってしまった人も少なくないハズ。

 暗殺者の家系に生まれ、蚩尤(しゆう)になるための訓練に明け暮れた羌瘣からすれば、勝機はあるとの算段でしたが……この夜襲の結果はどうなったのか? 結論から言うと、羌瘣がとてつもなくヤバイ状況に追い込まれたところで3話は終わってしまう形に! イチ羌瘣好きとして、来週が気になって仕方がないです。

注目ポイント2:信のフォローに回った那貴。飛信隊に感化され始めている?

 桓騎からの無茶ブリを軽くあしらい、2日目での巻き返しを力強く宣言する信。そんな彼の姿を見て、桓騎軍から参加している那貴(なき)も感じ入るものがあったのか、信のフォローに回ってくれたのも印象的です。

 桓騎軍とは違って居心地がよさそうというか、ぶっちゃけ那貴が飛信隊のことを気に入り始めているのが見て取れて、自分としてはちょっとうれしくなりました。そんな那貴の心の動きに、肝心の信はまだピンときていないようにも見えますけどね。まぁ、今はそれどころではない状況か……(苦笑)。

 とはいえ、2日目からの那貴の動きが窮地に追い込まれた飛信隊に好影響をもたらす可能性はありそう。これも3話以降で楽しみなポイントと言えるでしょう。

注目ポイント3:いまだ底が見えない慶舎。蜘蛛に喩えられる彼を出し抜くにはどうすればいいのか……

 桓騎ですら出し抜き、初日から秦軍に大打撃を与えた慶舎。糸を張って敵を待ち構え相手を絡め捕っていくその天才的な手腕は、まさに蜘蛛そのものです。あの李牧(りぼく)ですら一目置いている慶舎からは、強敵の匂いしかしませんね。

 ぶっちゃけたところ、彼を超えないことには黒羊丘の戦いに勝利できないことは必至。桓騎が……そして信がどのような手でこの猛者を出し抜くのかは、この戦いの最大の焦点になってきそうで楽しみです。

 ということで、ますます目が離せない『キングダム』第5シーズン。2日目の攻防では、飛信隊に気持ちよく戦功をあげてもらいたいところですが、いったいどうなることやら……。羌瘣が窮地をどう乗り越えるのかも含めて、期待と不安が入り混じりつつ。それでは、今回はこのへんで!

©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

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