感想:『姫様“拷問”の時間です』4話はエクス役・小林親弘さんの熱演に腹筋崩壊。撮影シーンのこだわりも半端ないのでじっくり見返してほしい(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年1月29日に放送されたTVアニメ『姫様“拷問”の時間です』第4話の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『姫様“拷問”の時間です』4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

拷問が終わった後の姫様とエクスのやりとりが尊い

 これまでトーチャーが姫様から手に入れてきた情報を「どれもまったく使えぬ」と切り捨ててる魔王様。どれも本来ならめちゃくちゃ役立つ情報だろうと、誰もがツッコミを入れたくなるところですが、4話ではトーチャーの腕が落ちていないか確かめるため、魔王様が自ら拷問を受ける珍しい展開に。

 自信満々な魔王様でしたが、もう最初の缶ビールのタブを開けた時の音ですでに陥落しかかるのは姫様と同レベルといってもいいチョロさ。自分は家でビール飲むことはそんなにないのですが、あの音の心地よさは分かるのでちょっと気持ちがわかります。

 いわゆる二度注ぎで注がれたクリーミーな泡でさらに攻め立てられる魔王様でしたが、その震えだけで魔王城が振動するほど。普段のかわいい言動からは想像もできませんが、戦ったら間違いなく最強の存在なのでしょう。浄化されるシーンでは、魔王様の消え方がビールの泡のようになっていて、細かい演出に感心させられます。

 なお今回登場したビールは早くも商品化が決定したとのこと。味も気になりますが、魔王様ファンとしては純粋にグッズとしても欲しくなりますね。

 さらに今回は、姫様自身ではなくエクスが初めて拷問の対象に。

 普段は姫様のちょろさにツッコミを入れているエクスですが、最初のヤスリ掛けの時点でほぼ絶頂しかけているのはさすがに敏感すぎでは。言い訳している時の早口台詞、表面を削る際のタイミングにばっちりあった喘ぎといい、小林親弘さんの熱演に思わず腹筋が崩壊させられます。

 ただ、一応エクスは伝説の聖剣らしいので、もし刃こぼれすることもなかったのなら、王国ではほとんど手入れというものを受けたことがなかった可能性もあるのかも。もし剣としての手入れが初めての未知の体験だったとするなら、あの速さで堕ちるのも結構納得できるかなと。

 しかし何より良かったのが、拷問が終わったあとの姫様とエクスの会話シーン!

 拗ねてるフリをする姫様もかわいいですし、素直に謝るエクス、拷問に耐えるように頑張ると宣言する姫様の二人のやりとりが最高に尊い。拷問されている時以外のシーンは貴重なので、こうした形でずっと一緒に戦ってきた二人の関係性が感じ取れたのはテンションが上がりましたね。

マオマオちゃんを撮影するシーンへのこだわりがすごい

 後半ではクロルが再登場し、4話では初の姫様への拷問が行われましたが、姫様にまったく通用せず、逆にクロルが秘密を話すというまさかの展開。

 筆者も犬を飼っていたことがあるので、その可愛さには目がないところがあるのですが、拷問内容に対しては姫様同様に「マニアックすぎでは?」と思うとともに、彼女と同じ表情になっていました(肉球をよく触ってはいましたが)。4話を見終わった後に、試してみる人が続出しそうな予感がします。

 最後の肉球パーティのシーンでは、猫の爪研ぎに使われていたエクスが微妙に震えていましたが、前半の敏感さを考えると、気持ちよさに耐えていた可能性が高そう。

 一応、拷問自体には初めて姫様も耐えられたので、その前のエクスの前での宣言が無駄に終わらなかったのもよかったです。

 そして4話のラストは、ある意味姫様にとってもっとも分が悪い相手ともいえるマオマオちゃんによる拷問でしたが、ここはとにかく作画・演出が凄まじかった。

 とくに姫様がマオマオちゃんを撮影している最初のシーンは、ハンディタイプのビデオで撮影している時の手ぶれ、身体全体を使っての生き生きとした感情表現、そこから満面の笑顔で振り返って走り出すアニメーションと、短いシーンの中に込められた演出のこだわりがヤバすぎました。見返せる環境にある方は、是非ともじっくりと見返していただきたいです。

 また、今回の姫様は、マオマオちゃんが何もしていないにも関わらず、過去のトラウマを思い出し勝手に自爆する新しいパターンも披露して楽しませてくれます。途中で陽鬼たちも合流していましたが、連絡先を交換していた姫様が呼んだと推測すると、もう完全に普通の友達同士になっていますよね。

 ここでも地味にエクスがいい味を出していて、固定のため砂場に作った小さな山に突き刺さっていたり、だるまさんが転んだで踏ん張りきれずに倒れたり、帰り道でダターマのバッグの中に収まっていたりと、ちゃんとメンバーの一人として扱われているのも良かったです。

 最後に皆で揃って魔王城に帰宅(?)するシーンは、もうこの回が最終回でもいいんじゃないかと思えるくらいのいい雰囲気になって、温かい気持ちにさせてくれました。

 今回はとくに顕著でしたが、視聴者を飽きさせないよう、1話の中でもいろいろなパターンが見られるように構成が工夫されていて、改めてスタッフに恵まれた作品だと感じさせてくれるエピソードだったと思います。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©春原ロビンソン・ひらけい/集英社・国王軍第三騎士団

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