『グラブル リリンク』ストーリークリア済みレビュー。王道だからこその満足感が得られる物語+クリア後の育成&収集要素に騎空士も大満足です(ネタバレあり)

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 ついに正式な発売日を迎えた新作アクションRPG『グランブルーファンタジー リリンク(以下、リリンク)』。その追加ストーリーをクリアし、エンドコンテンツを現在プレイ中の筆者視点から本作の感想をお届けします!

3Dビジュアルや豊富なセリフや掛け合いで『グラブル』の世界を楽しめる【『グラブル リリンク』レビュー】

 『リリンク』は『グランブルーファンタジー(以下、グラブル)』を原作とするアクションRPG。『グラブル』では2Dイラストで描かれているキャラクターや世界を、3Dで楽しむことができます。

 ラカムやカリオストロなど、おなじみのキャラクターたちを実際に操作して街を歩いているだけでも楽しく、バトルでアビリティや奥義を駆使して戦える気持ちよさも最高!

 ターン制RPGである『グラブル』とアクションRPGの『リリンク』を比較するのはナンセンスですが、奥義チェインからチェインバーストまでの流れをリアルタイムのアクションとともに見られるのは、『リリンク』の大きな魅力でしょう。

 そして3Dで描かれたことでとくに目を引いたのは、種族ごとの身長差。ドラフという種族の男性が200cmを超える一方で女性は140cmもあれば高身長、ハーヴィンという種族の身長はほぼ100cm未満と、『グラブル』の世界の人々の身長差は現実よりも極端です。

 この身長差を『グラブル』内で実感できる機会は一部のイベントのCGなどに限られていましたが、『リリンク』では街中やフィールド上でのよくある光景として、自然と目に入ってきます。

 正直なところ、「ドラフとハーヴィンが同じ街で生活できるのか」「ドラフ同士のカップルは身長差がありすぎて、一緒に暮らすのは大変なのでは」という疑問を持っていたのですが……『リリンク』でこうして共に生きているのを見た直後、その疑問は溶けてなくなっていきました。違和感がない、と表現するのがよいのでしょうか?

 そういった3Dビジュアルに加えて、セリフや掛け合いがとにかく豊富なのがポイントです。

 例えば、新しい地域を初めて訪れた際にその地域への印象をキャラクターが語るという、RPGではよくあるシーン。物語上では仲間全員が同行しているので、「ここは暑い」などの感想を誰が言ったとしても不自然ではありません。ですが、こういったセリフがプレイアブルキャラクター全員分に用意されており、そのとき編成しているキャラクターがセリフをフルボイスでしゃべってくれます。騎空士にとって嬉しすぎる部分です。

 さらに、各キャラクターの奥義を続けざまに繰り出す“奥義チェイン”や、キャラクターが大ダメージを受けたときなど、バトル中のさまざまなシーンで個別にボイスが収録。相手の名前がセリフに含まれているので、プレイアブルキャラクター全員分ではなく“プレイアブルキャラクター同士の全組み合わせ分”のボイスが用意されているんですよ。

 バザラガの戦い方をラカムが「相変わらず」と言いながら気遣ったり、ゼタがシャルロッテのことを「シャル姉」と呼んでいたり、20人近いキャラクターの掛け合いのなかには『グラブル』でも見ない関係性を感じられるものも。新鮮です。

 さすがに全ての組み合わせ×全シチュエーションは聞ききれていませんが、まだ聞けるものがあるのだと思うとワクワクします。

 そのほか、細かいところに原作『グラブル』を知っていると気づける小ネタもあり。例として、ゲーム中ではオイゲンが過去にカニ漁に行き、苦い思い出を作ったことが示唆されています。セリフとしてはほんの一言二言……『グラブル』を知らない方は「そんなことがあったのか~」と、少し気にかけるくらいかもしれません。

 ただ、『グラブル』を知っている人は、ストーリーイベント“カイオラ”のことだと気づくのではないでしょうか。本作内で“カイオラ”について話を膨らませるわけではないので、気づいたところでなんてことはないのですが、そういった小ネタにちょっと嬉しくなりました。そのほかにも、月並みな表現ですが、ニヤリとできるシーンがいくつも用意されています。

 そんな中で、ニヤリでは済まなかったのがマギラフリラという『リリンク』オリジナルキャラクター。魔剣を自在に操る一族の長で、その戦い方は原作『グラブル』を知らない人から見て「魔剣使いの長ならこのくらいはするだろう」と納得のいくものになっています。

 ただ『グラブル』を遊んでいると、そのバトルシーンがまた違った見え方をしてきます。初めて見たときの感想は「それを!?」と「まじかよ」が半々。

※理由を書くと興がそがれてしまう可能性があるので、ぜひ自分の目で確認してほしいです!

 そういったオリジナルキャラクターも含めた物語は、敢えての表現にもなりますが、とにかく王道。冒険者があるとき訪れた地域でちょっとした事件にかかわり、そこからしだいに世界を揺るがすほどの……といったところです。

 これはおそらく『リリンク』から『グラブル』に触れる人を意識したもの。幽世やパンデモニウムや枝など、約10年サービスを続けている『グラブル』の設定は豊富なので、『リリンク』にそれらがガッツリ入っていた場合、ここから始めたプレイヤーが混乱してしまうかもしれません(個人的には、メインクエストの最新章あたりのあのボスとこのシステムで戦ってみたいですが……)。

 ただ、ベースは王道ながら『グラブル』らしい味付けがされていて、メインストーリークリア後の読後感は格別です。“劇場版グランブルーファンタジー”を見た、とでも言うべき満足感が得られました。

 『グラブル』を遊んでいる人は知ってのとおり、空の世界の物語は、ありとあらゆるものが可能性。本作もまたグランやジータのたどったひとつの可能性なのでしょう。

メインストーリークリア後がある意味本番。育成やハック&スラッシュ寄りの要素が超充実【『グラブル リリンク』レビュー】

 さて、改めてになりますが、本作は大きく分けてメインストーリー、追加ストーリー、エンドコンテンツの3つに区分けされています

 それぞれの想定プレイ時間はメインストーリーと追加ストーリーがそれぞれ20時間程度、エンドコンテンツは60時間以上とのこと。

 実際プレイしたところ、『リリンク』のような視点のアクションやアクションRPGは比較的得意で、ひとまず脇道のクエストをあまり遊ばず、終盤は状況しだいで敵の攻撃1発で力尽きるというやや駆け足気味の進め方で、メインストーリークリア時点のプレイ時間は13時間30分でした。

※こんな生き急ぐ(?)必要はないので、RPGをじっくりプレイされる方ならばここからプラスで5時間以上はかかると思います。

 また、アーリーアクセスでメインストーリークリアまで到達した方は、おおよそ19時間40分でした。20時間という想定プレイ時間は、大げさなものではありません。

 そして、ここからが本題。このメインストーリー後に、ゲームフローが自然でありながら大きく変わるのも本作の特徴です。

 メインストーリークリアまでは、メインストーリーとクエストを好きなように切り替えながら遊ぶゲームフローです。メインストーリーとクエストは並列な位置づけですが、常にメインストーリーを進行させるのに必要な場所がガイドで示されているため、ゲームの主軸がメインストーリーで、クエストはサイドコンテンツとして目に映ります。

 これが追加ストーリーに入ると、クエストを遊んでいくとストーリーが進むという流れに変わります。

 書き方を変えると、メインストーリークリアまでは物語を進めるのにクエストを遊ぶ必要はなく、メインストーリークリア後はクエストを遊ぶと物語が進む。つまり、クエストの位置づけが遊ばなくてもいいコンテンツから遊ばないと物語が進まないコンテンツにガラリと変わります。

 それでいてクエスト自体は序盤からいつでも遊べるコンテンツとして用意されているので、ゲームフローが変わることに対する違和感が少なめです。構造が上手い! と思わざるを得ません。

 また、本作は“キャラクターのレベル”、“MSPを消費しての強化(スキルツリー的なもの)”、“武器の生産/強化”、“ジーン(装備するとキャラクターにスキルを付与できるアイテム)”、“加護の晶石(武器にセットして追加でスキルを発動するアイテム)”とさまざまな育成要素があります。

 これらの育成要素はメインストーリーを楽しむだけでもある程度進められますが、クエストも遊んだほうが当然キャラクターをより強化することができます。ですが、メインストーリークリアまではクエストがサイドコンテンツに見えることにあり、武器の生産や強化にジーンの強化といった要素は少なくともゲームを進めるのに必須のものとは感じられません。

 そもそもメインストーリークリアまでは生産できる武器が少なく、武器の生産に必要な素材も潤沢には手に入らないので、武器の生産や強化の必須感が薄いと感じられるのは、意図的なものでしょう。実際、メインストーリーの進行に詰まったとしてもレベル上げやMSPによる強化くらいで十分すぎるほど戦力を高められます。

 一方で、追加ストーリーのクエストは育成をせずに進めていくと、敵の攻撃1発で力尽きたり、一定時間内に与えなければいけないダメージがどうしても足りなかったり……といった、非常に厳しい展開になることも。自然と育成の必要性を感じるようになっていきます。

 ですが、必須ではなかったと言っても各種育成要素の存在は知っており、メインストーリーを通じてある程度の素材は手に入っているので、武器やジーンに使った育成を始めやすくなっています。これらを踏まえて、本作はゲームフローの変化と難度の上昇の両者から、自然にメインストーリー後はクエストとその報酬による育成を中心としたものにプレイヤーの遊び方がシフトしていけるようになっている印象です。

 “武器を強化するための素材が落ちるクエストを周回する”、“〇〇のジーンが出る前、あのクエストを周回する”といったハンティングアクション的な楽しみも強くなり、しかもランダムで2つ目のスキルが付与された強力なジーンや特定のキャラクター専用のジーンも手に入るようになり、戦って集めて強くなる過程を存分に楽しめます。

 さらに、追加ストーリー後のエンドコンテンツは半端な育成や装備では、戦闘中にただ立っていることさえ危うい難度。普段からアクションRPGを遊んでいる人や、本作でアクションRPGの楽しさに取りつかれた人に向けた作りになっています。

 進行とともに語られるストーリーもなく、敵と戦って、素材を集めて、装備を強化して、また次の敵に挑むというローテーションに特化した楽しみが待っています。

 ちなみに自分は今、“ダメージ上限V”というジーンを狙っていますがなかなか出ません。ですが、なかなか手に入らないことも含めて楽しさにつながっているのは、言うまでもないことでしょう。

 また、こういった素材を集めるゲームでは、ジャンルを問わず終盤に素材が余りがちになるというケースがありますよね。ですが、不要なアイテムはランダムでジーンや加護の晶石が手に入るチケットに交換可能。ハンティングアクションやハック&スラッシュ系のゲームで欲しい要素がとことん詰め込まれています。

 そのほか、メインストーリー後はファストトラベル機能の解禁や、ラスボスを含めた、物語を踏まえると二度と戦えないであろうボスたちと戦えるクエストもあります。自分はもうすぐエンドコンテンツの終盤までたどり着きそうですが、武器の素材にジーンに加護の晶石にと目の前に欲しいものが多すぎて目移りしっぱなし!

 『グラブル』ファンはもちろんのこと、ファンタジー系のアクションRPGを遊びたいや集めて強くなる過程を楽しみたいといった人も間違いなく楽しめるタイトルになっています。王道のRPGを遊びたい、というゲーマーにとっては見逃せない完成度です!

『グランブルーファンタジー リリンク』製品概要

作品名:グランブルーファンタジー リリンク(GRANBLUE FANTASY:Relink)
ジャンル:アクションRPG
プレイ人数:1~4人(オンラインの場合)
オンライン:対応
価格:【PlayStation5/PlayStation4 パッケージ版】
「通常版」8,778円(税込)
「デラックスエディション」14,300円(税込)
「コレクターズエディション」27,500円(税込)

【PlayStation5/PlayStation4 ダウンロード版】
「スタンダードエディション」8,778円(税込)
「スペシャルエディション」11,770円(税込)
「デジタルデラックスエディション」13,860円(税込)

【Steam ダウンロード版】
「スタンダードエディション」8,778円(税込)
「スペシャルエディション」11,770円(税込)
発売日:2024年2月1日(木)
プラットフォーム:PlayStation(R)5/PlayStation(R)4/Steam
レーティング:CERO:B(12歳以上対象)
開発:株式会社Cygames

(C) Cygames, Inc.

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