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感想:実写映画『カラオケ行こ!』が大傑作だったので布教したい。息子は『紅』を覚えて音叉を欲しがりました(ネタバレあり)

やすちか
公開日時

 (前奏42秒)

「紅だあああああああああ!」 

 映画『カラオケ行こ!』を観て感動のあまり布教したい気持ちが抑えられなくなった、原作ファンによるおすすめポイントを語ります。

※この記事には『カラオケ行こ!』のネタバレが含まれています。

『カラオケ行こ!』とは

 和山やま先生による漫画『カラオケ行こ!』は、変声期に悩む合唱部の部長・岡聡実(おかさとみ)くんが、組長主催のカラオケ大会で罰ゲームを回避したいヤクザの若頭・成田狂児(なりたきょうじ)に無理やりカラオケに連れて行かれ、歌唱指導を依頼されることから始まる作品です。

 和山先生の作品はコメディ色が強く、日常的な会話が楽しいものが多いですが、『カラオケ行こ!』はそこに感動も含まれていて、初めて読んだ時は目頭が熱くなりました。現在は続編『ファミレス行こ!』も刊行されていますが、『カラオケ行こ!』の発売当初は、1冊で美しく収束・完結するストーリーに「凄い漫画を読んでしまった!」と興奮した事を覚えています。

 中学3年生の聡実くんと、39歳のヤクザの狂児の奇妙な友情に、心を奪われる事請け合いです。

原作ファンも安心して観に行って欲しい! 実写映画化の大傑作である

 実写映画化決定のニュースを見た時は、原作の持つ絶妙なテンポや、読者それぞれの持つキャラクターのイメージとの乖離など、原作ファンとして不安に思う事もありました。大好きなタイトルを掲げた作品でがっかりしたくない…。同じ理由で興行収入が振るわないのも悲しい…。

 そんな複雑な気持ちを抱きつつ、公開後に観に行ったのですが…。大傑作でした!!

 すぐさま家族や知人に観に行く事を薦め、そこでは飽き足らずこうして少しでも多くの方に観ていただきたく、この記事も書かせていただきました次第です!

映像化する事によって広がる世界がそこにあった

 まずは本予告をご覧ください。観終わった今ならこの時点で既に素晴らしいのですが、実写化に懐疑的な筆者は「良い所だけ集めた神編集予告なのでは…。」と、まだ不安でした。

■映画『カラオケ行こ!』本予告(90秒)【2024年1月12日(金)公開】

 不安だった筆者を映画館へ誘った決め手はこちらの映像です。

■映画『カラオケ行こ!』ヤクザカラオケ練習映像

 あああーーっ!! 聡実くんが評したヤクザ達の声が…“わかる”! 歌声は漫画や小説での表現には限界があります。それを見事に表現していたのです。これは…映像化によってこそ深められる理解…!

 実際映画を観に行き、狂児が歌う『紅』を聴いた時も同じ感動がありました。更にコミカルな動きが加わり、笑いをこらえるのに必死になる程でした。ヤクザのカラオケ練習のシーンでは限界が来て肩を震わせて泣きました。

 原作では主に聡実くんと狂児の2人で進んでいくストーリーですが、映画で追加されたシーンでは聡実くんの中学校生活を沢山覗くことが出来て、作品の中の世界の広がりを感じる事が出来ました。それによってヤクザと関わる非日常がより強調されたように思います。

 また、漫画の聡実くんは心の声でのツッコミが面白いのですが、映画では心の声やモノローグが無しで話が進むのも感服しました。それらは時には声に出したり、時には俳優さんの演技で見事に表現されていました。

 オリジナルシーンの会話等も、原作にあったっけ? と迷う程に違和感がなかったですし、オリジナル要素に「そうきたか!」と膝を打つ事も多々ありました。

 見終わった後は、爽やかな気持ちと与えられた“愛”が溢れてたまらない気持ちになりました。見た目などに左右されない、紛れもない聡実くんと狂児が映画の中には存在しました。これが実写映画化というものか…。

 原作ファンも安心して観てね! とお伝えしましたが、未読の方にこそお薦めしたい映画でもあります。結末を知らずにこの作品を映画から楽しめるのは本当に羨ましいです。ヤクザは出てきますが、狂児をはじめキティの兄貴など、可愛いファンタジーヤクザ達ばかりなので、カラオケ好きな家族なら楽しめる内容だと思います。同じく原作好きで一緒に観に行った小学校高学年の息子は『紅』を覚えて音叉を欲しがりました。

原作への愛情を感じるキャスト・スタッフの皆さんに感謝して応援するしか出来ない

 そんな訳で、こんな素晴らしい映画に懐疑的だった自分を恥じ、今は映画のリピートや関連書籍を買いあさり応援する日々です。

 聡実役の齋藤潤さんは撮影時は実際に変声期の中学3年生だったと知り、奇跡のようだと思いました。狂児役の綾野剛さんも原作がお好きで、インタビューでの狂児の人物像への理解の次元が物凄い事になっていましたし、とにかく齋藤さんを大切にしていらっしゃるのが伝わり、リアルに聡実くんを見守る狂児やん…と笑ってしまう程でした。

 もう観たよ! という方にはビジュアルブックとシナリオブックもオススメです! ビジュアルブックはキャスト・スタッフインタビューと、つづ井先生による和山先生とご一緒された撮影現場レポ漫画が最高です。

 シナリオブックは脚本の野木亜紀子さんのインタビューをとにかく読んで欲しい! オリジナル要素が何故そうなったのか、という原作ファンの疑問に全て答えてくれたかのような内容でした。原作ファンとして涙してしまうような言葉もあり、愛情と敬意をもって誠実に映像化された作品なのだと感謝の念が堪えません。

 映画から入って楽しめた方には勿論、聖典であるところの原作漫画は必見です!

 2月3日からは第2弾の入場特典も決まり、2月4日には応援上映も決定していますので、この機会に是非劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか! 

 見た後はきっとカラオケに行って「紅だああああああああああああ!」と歌いたくなる事間違いなしです。


©2024『カラオケ行こ!』製作委員会
©和山やま/KADOKAWA

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