『バーンブレイバーン』4話感想:ブレイバーンがカッコいい…だと!? 心温まるエピソードと、ドシリアスな展開に度肝を抜かれた(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年2月1日(木)に放送された、『勇気爆発バーンブレイバーン』第4話“イサミ、キミはまだ、人というものを分かっていないようだ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『勇気爆発バーンブレイバーン』4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。


ついに全裸から解放されたイサミ。ブレイバーンをスミスと呼び続けたルルが気になる

 第4話では、オープニングでずっとチラ見せされていた、イサミのパイロットスーツがついに登場。3話では1話丸々全裸で通すという主人公として前代未聞の扱いでしたが、2話のラストから数えると2週間ぶりに服を着ることができました。

 デザインがド派手で色合いもブレイバーンに合わせているので、てっきりブレイバーンがイサミのために用意するのかと予想していたんですが、まさかミユのお手製だったのはかなり意外でした。おそらくブレイバーンの原理もよく分かっていないのに、必殺技使用時のエネルギーを背中から放出した上、エアバッグまで仕込んでいるというハイテクさは普通にすごい。

 デザイン面でヒビキに爆笑されていましたが、スミス、ミユ、ブレイバーンとメインキャラに似た価値観のキャラが多いので、本作においては意外とヒビキの感性がマイノリティ側なんじゃないかという気もします。

 一方、3話での誤解を解こうとしたスミスでしたが、逆にイサミをキレさせてしまう羽目に。スミスにはまったくもって非はないのですが、傍目に見てもルルとのやりとりはどうみてもバカップルなので、恥ずかしいスーツを着て笑われた直後のイサミが見せられたらそりゃイラっとしますよね。

 そんな苛立ちを露骨に見せたところ、ルルに見事にぶん殴られましたが、回転しながら吹き飛んでいくイサミの作画が良すぎる。今回は戦闘シーンがないので、その分の力をこのシーンに注ぎ込んだのではないかと思えるほど。

 しかしそんなギャグシーンのあとにブレイバーンが口にした「この世界には無駄なことなんてない。すべては収束していく」という言葉は、まるでこの先世界がどうなるかをブレイバーンが知っているかのようでかなり気になりました。

 また、ルルがブレイバーンを指さして「スミス!」と連呼していたのも気になります。このシーンでは、イサミやルル自身のこともスミスと呼ぶ瞬間もありましたが、スミスに教えられてすぐにスミスではないことを学んでいます。

 しかしブレイバーンへの指摘に対しては、スミスから間違いを指摘されてもスミスと呼び続けています。さらにブレイバーン自身も、それをとくに否定していないんですよね。ブレイバーンがルルの間違いを受け流しているだけととってもよいのですが、なにか理由がある気もしますね。

 また、3話ラストから繋がる回想シーンも描かれましたが、裸のイサミを見つけたニーナの目があまりにも冷たすぎて怖い。おそらくイサミの顔を見ていると思われるヒビキとは、明らかに違う方向に視線が向けられているような気がします。一体何を見ていたんだ……。

 そのニーナの調べで、普通の人間よりも消化器官が未発達だったことが分かったルルですが、一度食べたカツカレーを再びリバースしてしまいます。

 ただ食事自体はできており、お腹も空くみたい様子。今までは液状のもので栄養を補給していたのか、それとも栄養を補給する必要さえなかったのか……。ブレイバーンについては少しずつ見えてきた気がするんですが、ルルについては、まだどういう存在なのか推測が難しいですね。

明るい雰囲気はブレイバーンのハチャメチャさで維持されていた

 そんなルルの長すぎてボサボサになっていた髪を、ホノカとカレンが整えるシーンも。ただ、まだキービジュアルのルルらしき人物とは髪型が違うので、今後さらに変わってきそうな気がします。3話でホノカを見た時、ブレイバーンと張り合えるヤバそうな奴が出てきたと思ったんですが、今回はすごくいいお姉さんをしていて、ごめんなさいと謝りたくなりました(笑)。

 そして後半では、ブレイバーンがやたらスミスのことを気にかけるシーンが多かったのも注目ポイント。とくにイサミからスミスが「まったく(気にならない)」と言われた時は、ちょっと落ち込んでいるかのようなリアクションにも見えます。

 スミスとブレイバーンは馬が合っているように見えますし、今回でスミスを嫌っているわけでないことが分かったので、2話の「生理的に無理」発言の意味がいろいろ変わってきそうなんですよね。スミスとブレイバーンの関係性も、今後の物語の鍵を握っているような気がします。

 また、これまでの感想でも度々触れてきた“ブレイバーンが人間に詳しすぎる”問題ですが、今回もまたその理解力の高さを感じさせる流れ。今までイサミの心を誰よりもかき乱してきたブレイバーンが、ここで適切なメンタルケアをするとは完全に想定外でした。

 人間(イサミ)に対して「キミはまだ、人というものを分かっていない」と断言してくるロボットは史上初ではないでしょうか。

 途中からブレイバーンの頭になんか引っかかってるなと気になっていたんですが、見返すとバーにいた兵士が「相棒にウィンナーを届ける」と言っていたのに気付きました。こうした細かい部分をしっかりと描写してくれているのがいいですね。心なしかブレイバーンも嬉しそうに見えました。

 そんな今までのブレイバーンの流れからは想像できない、心が温まるようなエピソードが続いていた4話でしたが、ラストでは壊滅状態に陥っている日本が映し出されるというドシリアスな展開。

 報告を聞いて悔しげに拳を握り締めるブレイバーンがただただカッコよく、少し前まで視聴者に「気持ち悪い」と言われていたのと同じ人(ロボ)とは到底思えません。

 ただ、今回改めて気付いたのは、本作の明るい雰囲気はブレイバーンのハチャメチャさで保たれていたんだなということ。登場人物のほとんどがプロの軍人で、人類が置かれている状況もかなり深刻なので、ブレイバーンが真面目になるとそりゃストーリーもシリアスになっていきますよね。

 4話の冒頭でめちゃくちゃな強引さで日本に行き先を決めた時も、ブレイバーンがいなければ、どの国を優先して救助に向かうかで相当揉めていたでしょう。2話で米軍に対する不信感を払拭したのもそうでしたし、人間が足の引っ張り合いをして自滅するのを防ぐため、あえて道化を演じたようにも見えます。

 そうなると「ブレイバーン、実はもの凄く考えた上で行動してる奴なんじゃないか……?」という気が今更ながらしてくるんですね。考え過ぎかもしれませんが。

 無人偵察機を安全圏ギリギリまで戦闘機が随伴して護衛していたり、さりげない描写がリアリティを感じられるようになっていて、1話前半のミリタリー的な世界観がただの1発ネタじゃなかったと分かり始めたのも嬉しいポイント。この作品、見進めるほどネタに思わせてかなり丁寧に作られているな……という確信が自分の中で固まりつつあります。

 果たして来週は、今週のシリアスを引き継ぐのか、それもまたギャグテイストに戻っているのか。今後のストーリーがどういう方向性で展開されるか気になります。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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