『即死チート』5話感想。ついに明らかになった夜霧の過去。不幸で詫び石ガチャが回せる能力はちょっと楽しそうでうらやましい(ネタバレあり)

米澤崇史
公開日時

 2024年2月1日(木)に放送されたTVアニメ『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』第5話“AΩ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』5話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

人類の存亡が掛かっているのにノリが軽すぎる朝霞の職場

 第5話のAパートでは、1話の冒頭でも少し描かれていた、“AΩ”と呼ばれていた頃の夜霧の過去が明らかになりました。

 最終面談をくぐり抜けたと思ったら、いきなり死亡の可能性込みの就業規則についての同意書を不意打ちで書かされる会社、あまりにもブラックすぎます。コミカルに描かれてこそいますが、内定辞退すら認めてもらえないのはさらにヤバい。

 朝霞自身、最終面談まで進んでいるにも関わらず仕事内容をよく分かっていない状態みたいでしたし、表向きにはどういった募集要項で人を集めていたのかも気になるところ。

 夜霧のいる区画までたどり着くのに、エレベーターだけでも3回くらい乗り換えており、朝霞を採用する立場にある白石ですら、夜霧と「会ったことがない」と発言しています。この時の夜霧が、どれだけ警戒して地下深くに隔離されていたかが分かります。

 直前に「人類が滅ぶかもしれない」と自分で言っているのに、教員免許持ちが応募してきたからちょうどよかったとか、気楽に頑張ってとか、送り出す白石のノリがあまりにも軽い。

 ただ、結果として人類は滅んでいないので、白石の人選は正しかったことにはなるのですが、それこそとんでもない人間が夜霧を教育役になっていたら、この世界の人類は滅んでいたかもしれないですね……。

 一方の朝霞は、それまで即死能力にビビりまくっていたのに、一人で閉じ込められていた子供の姿を見た瞬間、怒りで恐怖が全て吹き飛ぶあたりメンタルの強さがすごい。

 夜霧が勝手に同じ名字を名乗ったときには、親子みたいだとをツッコミを入れていましたが、“朝霞”に対する“夜霧”という名付けの時点で、既に親子とか姉弟っぽさがあるんですよね。化け物とまで呼ばれて厳重に管理されていた存在に対して、短時間でそこまでの情を抱けるあたり、朝霞もなかなかに特異な存在だと感じました。

 ただ、料理だけは壊滅的だったようで、その日の晩飯はカップラーメンで済ませることに。部屋には凄まじい数の食材が備蓄されていたようでしたが、あの量の野菜や果物は、食べきる前に絶対に痛むだろうな……というどうでもいいことが気になってしまいました。

ソーシャルゲームの主人公を傍目から見た時のシュールさが面白い

 夜霧が目覚めたあとは、賢者シオンに会うため王都を目指す現在の時間軸へと戻りましたが、大量のドラゴンが虫のようにボトボト地上に落下していくのは、なかなかシュールな光景でした。深い谷のような場所なので下に人はいないでしょうが、あの数と大きさのドラゴンが一斉に落下したとなると、下は地獄絵図のような光景になっていそうです。

 意図せぬ形で騎士選抜の試練に巻き込まれてしまった夜霧たちでしたが、「ちょっとお使いに行ってこい」みたいな軽さで殺し合いを命じられ、何の躊躇いもなく即殺し合いが始まるあたり、つくづくこの世界の人間の命の軽さを感じます。

 夜霧たちを助けてくれた騎士・リックは、他の作品だとちょっと変なキャラくらいの扱いを受けそうですが、倫理観を捨ててしまったキャラクターが多い本作だと輝いて見えてきます。夜霧の即死に気づかず剣聖のおかげだと勘違いするあたり、察しはあまりよくなさそうですが。

 また、いろいろなチート能力を授かってきたキャラクターが登場してきた本作ですが、5話では不幸な目に会うたびに“詫び石”がもらえるという、色んな意味でぶっとんだ能力をもつライニールも登場。

 詫び石は主にガチャに使うためのものらしいですが、むしろそれ以外の効果がかなり優秀そう。内蔵が飛び出している瀕死状態から復活できたのは、いわゆる“石コンティニュー”的な力だろうなとか、だいたい想像できてしまうのが面白いですね。

 自分自身に戦う力がほぼないというのもそれっぽく、多くのソーシャルゲームの主人公も、その世界の住民から見るとこれくらい変なことをやっているように見えるのかも。

 今回ガチャで引いたのは、“たわし”という明らかなハズレアイテムだったにも関わらず、ライニールが微妙に嬉しそうな反応を見せているあたり、普段はもっといらないものが排出されていた可能性もありそうです。「0時のログインボーナスで毎日詫び石をくれるのはなかなか優しい運営だな……」とか、「10連で回したらSR以上レア確定はあるのかな……」とか、思わず現在遊んでいるゲームと比較してしまったのは自分だけではないはず。

 めちゃくちゃうらやましい……といえるほどではありませんが、あったらあったで結構日々が楽しくなりそうな能力だなと思いました。

 また、リックとの話の中で、魔神の復活を目論んでいる勢力が存在していることも明らかになっていましたが、魔王、アグレッサー、クラヤミ、そして魔神と、あまりにも人類の脅威が多すぎる。これだけの敵に狙われながらもある程度秩序が維持できているのは、賢者たちは人格はアレでも優秀なのはやはり間違いないのでしょう。

 ラストでは、珍しく夜霧が気まずそうに何かを打ち明けていしたが、夜霧の態度が挙動不審になっていたのは、急に瘴気がなくなったタイミングの直前からなんですよね。瘴気の影響を受けたのは、魔神が封印されている場所に近づいたからだと考えると……今回夜霧が何をやってしまったのが、概ね想像がつく気がします。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©藤孝剛志/アース・スター エンターテイメント/即死チート製作委員会

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