感想:『キングダム』5期4話で劣勢の飛信隊が起死回生の作戦を決行。カギを握るのは信でも羌瘣でも河了貂でもなく…(ネタバレあり)

タダツグ
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 ファン待望のTVアニメ『キングダム』第5シリーズの第4話“副長の責任”が放送されましたので、視聴しての感想をお届けします。

【注意】この記事ではアニメ『キングダム』の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

TVアニメ『キングダム』第5シリーズ 第4話“副長の責任”感想

 桓騎(かんき)率いる秦軍と慶舎(けいしゃ)率いる趙軍による“黒羊丘の戦い”も、いよいよ2日目に突入しました。初日は飛信隊が失態を犯したこともあり、劣勢気味の秦軍。ここから戦局を打開するため、中央の丘を奪取すべく動き出します。

 早朝から、飛信隊への使者として桓騎の参謀格である摩論(まろん)が登場。2日目の作戦は、飛信隊が担う右翼の攻勢が重要であることをあらためて信たちに告げつつ、恐ろしい懲罰まで匂わせてくるあたり、桓騎の用心深さが見て取れます。暗に「桓騎たちはあまり飛信隊の実力を信用してないんだろうなあ」と察してしまうところでもあり、信たちには早々に名誉挽回してほしいところなのですが……はてさて。

 2日目も飛信隊の前に立ちはだかるのは、相変わらず馬呈(ばてい)の軍。なんと馬呈、川を挟む形で守備を固めるという、地味ながらめちゃくちゃ効率的な作戦を展開し、信たちを絶望の淵へとたたき落してくれました。なんとこしゃくな!(戦術としてすこぶる正しいけど)

 ちなみに、河了貂(かりょうてん)の軍略の師匠である昌平君(しょうへいくん)いわく、川の向こうに陣を敷いた軍を落とすには、舟か橋が必須とのこと。無論、このどちらもないこの状況で、どうやって右翼を制圧しにいけばいいのか? 川辺を馬で駆け回り、必死に策を考える河了貂ですが、なかなかに絶望的な状況ですよこれは。

 一度は諦めそうになる河了貂。しかし、「どれだけ絶望的な状況でも信ならきっと諦めない」と、頼れる隊長の背中を思い浮かべて発奮する彼女の姿に、不覚にも目頭が熱くなりました。結果、昌平君ですら思いつかないような奇策を考え出しちゃうんだから、天才だろ河了貂……。軍師としての成長速度を考えると、マジでとんでもない娘さんだと思います。

 しかし、この策がもう本当にエゲつないというか、なんというか。要点をまとめて書くと

・主力部隊が川に突入。敵軍が有利な地形にあえて敵の目を引き付ける
・同時に少数精鋭の舞台が秘かに上流から進軍
・ただし敵も上流の動きに気が付いて兵を回してくるはず
・そのスキに敵の目が届かない下流(ちなみに対岸は断崖絶壁なうえに超激流)から突撃部隊が進軍
・渡河に成功したら敵を背後から強襲して上流の軍をバックアップする

 ……という具合。いやはや、どうにも猪突猛進ですね(汗)。

 この作戦のカギを握るのは下流から渡河を図る突撃部隊。しかし、この大事な局面でその部隊を任されたのは、信でも河了貂でもなく、まさかの渕(えん)さんでした……え、渕さん!?

「副長とはいえ、これまで目立った戦果のない渕さんで本当に大丈夫なのか?」

 そう思ってしまったのは、きっと僕だけではないはず。事実、飛信隊のなかでもかなり現実派かつ毒舌家な我呂(がろ)からも、渕さんで大丈夫なのかとツッコミが入りましたからね(苦笑)。

 ただ、そのやり取りのなかでの信や河了貂の言葉には胸を打たれました。青臭いことを書きますが、仲間っていいなあ~と痛感しましたよ。そしてやっぱり信は漢気があるなあ~、ともね。ここらへんが、恐怖で部隊を統率しているである桓騎と信が、決定的に異なる部分といえるでしょう。

 一見無謀とも思える河了貂の策を遂行する飛信隊。命運を握る渕さんは、見事大任を果たすことができるのか? かなりアツい展開になってきたこの第4話、未見の方はぜひお楽しみに!

注目ポイント1:朝になっても消息不明な羌瘣。そんな彼女の身を案じる信の姿にグッとくる

 ここからは自分が気になったポイントをいくつか列挙していきます。最も注目しているのは、第3話で趙軍に単身で夜襲を仕掛け、敵の将である劉冬(りゅうとう)と戦った羌瘣(きょうかい)の行方。相手に深手を与えたものの、自らも深刻なダメージを追った羌瘣は、暗闇の中で敵に追い詰められてしまい……というところで終わった3話。どうなることかとハラハラしながら1週間を過ごしたというのに、第4話では消息不明になったままというこの仕打ち! 悶絶しそうな羌瘣ファンも少なくないのでは……。

 そんななか、朝方になってウトウトしていた信が、味方からの伝令を受けてすぐに「羌瘣が戻ったのか?」と口にしたシーンにはちょっとグッときました。羌瘣のこと、めちゃくちゃ心配してるじゃん……。個人的に、この2人の距離がもっと縮まればいいのにと考えている自分としては、信のこの言動についついニヤリとしてしまいましたね。さておき、どこに行ったんだろう羌瘣。まさかあのまま敵に捕縛されたりはしてないと思うのですが……。

注目ポイント2:独特なマイペースっぷりがいい味出してる? 信たちの元に現れた摩論という男

 桓騎からの使者として、信たちの前に現れた摩論。イライラした様子を見せる信を意にも介さず、しれっと温かいお茶を要求してくる彼のユルさには、ついつい笑わされてしまいましたよ。マイペースすぎるだろ……。

 信と同様、ややイライラしている河了貂が冷たいお茶を差し出しても(しかもお椀に指まで突っ込んでいるという非歓迎モードで)、これまた悪びれもせずにそれを飲んだうえに「美味!」と喜んでみせるというこのおじさん、正直キライになれない!(笑)

 桓騎の側近たちのなかでは、かなりの頭脳派である摩論。意外と信や河了貂との相性は悪くなさそうに見えるのですが、はてさて。彼が今後、飛信隊とどのようにかかわることになるのかも楽しみになりました。

 物語的に、そして戦局的なところでいえば、来週一気に動きが出てくると予想しています。今のところは劣勢も劣勢の飛信隊。渕さんの渡河作戦がすべてを握っていると思うとドキドキしますが、いったいどうなることやら……。桓騎の考えや羌瘣の行方も含めて、今から第5話が楽しみです。それでは、今回はこのへんで!

©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

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