感想:『キングダム』アニメ第5期5話は飛信隊が起死回生の逆転劇を見せる! 一方で深手を負ってはぐれた羌瘣は……(ネタバレあり)

タダツグ
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 ファン待望のTVアニメ『キングダム』第5シリーズの第5話“執念の渡河”が放送されましたので、視聴しての感想をお届けします。

【注意】この記事ではアニメ『キングダム』の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

TVアニメ『キングダム』第5シリーズ 第5話“執念の渡河”感想

 2日目に突入し、激しさを増していく“黒羊丘の戦い”。初日の失態による進軍の遅れを取り戻さなければならない飛信隊は、川を前にして鉄壁の陣を組む趙の将・馬呈(ばてい)の部隊に決死の突撃を決行します。

 上流では河了貂(かりょうてん)たちが、下流では信たちがそれぞれ敵の目を引き付けているうちに、さらなる下流から突撃部隊が渡河を図るこの作戦。重要な役どころとなる突撃部隊の指揮を執るのは、副長の渕(えん)さんでした。

 渕さんたちが渡ろうとしている場所、めちゃめちゃ流れが急すぎて、見ているこちらもゾッとしましたよ。おまけに川の向こう側も絶壁ということで、普通の人間であればまずここから渡ろうとは思わないでしょう。そりゃあ敵がまったく無警戒なのも当然だ(苦笑)。

 失礼ながら武力も智謀も抜きんでているわけではないものの、その責任感の強さゆえ、大事な渡河作戦の主軸を任された渕さん。彼が文字通りあっぷあっぷしながらも仲間を鼓舞し、死に物狂いで前に進もうとする姿には、思わず拳を握ってしまった人もいるのでは? もちろん、僕もその1人です。

 進むスピードは流れに足を取られて遅く、張り上げる声は甲高くて余裕は一切なし。どう見てもいっぱいいっぱいなんですよ、渕さん。でも、信や羌瘣(きょうかい)のような怪物ではなく、“平凡”の代表のような彼がその身をもって道を切り拓いていくからこそ、兵士たちも後ろに続くことが出来たんじゃないか……そう思うんですよね。

 「あの人があんなに頑張っているんだから、俺もやってやる!」という共感を得られるのも武将としての才覚。ここらへんは渕さんならではの魅力といえそうです。

 そんな渕さんが、とりわけ流れが急なところで信のまなざしを思い出し、「信殿、あなたはアホそうに見えて意外と策士だ」と口にするシーンにはグッときましたよ。出撃の際、今や敵味方問わず注目を集める気鋭の五千人将となった信が、渕さんに全幅の信頼を寄せていることを宣言してくれたわけですからね……。渕さんがなんとしてもその信頼に応えたくなるのも、わかる気がします。

 かくして敵の目をかいくぐって川を渡り切った渕さんの部隊。彼らの突撃を足掛かりに飛信隊は一気に趙軍を押し込むことに成功しました。胸アツ!

 思いもよらぬ形で必勝の陣を崩された馬呈がたまらず森の奥へと退却したことで、飛信隊はますます勢いに乗り、その追い風は桓騎軍右翼の将・黒桜(こくおう)の部隊にも伝播していきます。

 秦軍右翼がまさに破竹の勢いになりかけたその時、水を差すかのように鳴り響いたドラの音。劣勢となった趙軍のピンチに駆け付けたのは、趙の総大将・慶舎(けいしゃ)も一目置く男・紀彗(きすい)でした。

 彼の出撃で形勢は逆転し、後退を余儀なくされた黒桜の部隊。秦軍にとって紀彗は、かなり厄介な相手となりそうで、個人的には戦々恐々としております。

 結果、戦局はほぼ五分五分の状況で終了することになった黒羊宮の戦い2日目。中央の丘の覇権をめぐり、さらなる戦いが繰り広げられるであろう3日目の戦いはいったいどうなってしまうのか……。なかなか先が読めませんね。

注目ポイント1:羌瘣の生存確認! ……しかし受けた傷は相当深そうで心配

 第3話で趙軍に単身で夜襲を仕掛け、敵の将である劉冬(りゅうとう)と戦った羌瘣。相手に深手を与えたものの、自らも深刻なダメージを追った彼女はいまだ行方不明となっており、信がやきもきしている姿も描写されました。

 かくいう僕も、この一週間ずっと羌瘣のことを心配していたのですが。どうやら彼女、なんとか一命はとりとめ、今はとある集落に運び込まれて眠っている様子。よ、よかった! ……と言っていいのかはまだわからないものの、ひとまず生存確認ができたのはイチファンとして朗報でした。

 思えば今回の飛信隊の作戦成功には、羌瘣の無謀な夜襲が間接的に役立っているんですよね。だって、頭脳派である劉冬が現場指揮に立っていたら、河了貂の作戦は見破られていた可能性も否定できませんし。

 何より渡河には成功したものの、そのままでは川を背負っての戦い(=背水の陣)を強いられるところだった飛信隊。幸いなことに馬呈は大人しく引いてくれましたが、もし劉冬がいたらどうなっていたものやらって考えると、やっぱりゾッとしてしまいますよ(汗)。

 夜襲の時点では蛮勇にしか思えなかった羌瘣の策。まわりまわって信たちの窮地を救ってくれたと思うと、熱いものがこみ上げてきます。早く目を覚ましてくれ、羌瘣。そして信と合流してくれ……。そう願わずにはいられませんね。

注目ポイント2:まるで主人公? もはや英雄のような扱いを受けている敵将・紀彗の不気味な存在感

 飛信隊の躍進で前線を押し上げた秦軍の右翼。その勢いに乗って、一気に攻勢をかけようとした桓騎軍の黒桜でしたが、突如現れた敵将・紀彗の奇襲により、却って後退を余儀なくされてしまいました。

 敵にとっては最大の窮地という局面で、鳴り響くドラの音とともに颯爽と登場した紀彗の姿は、正直めちゃくちゃカッコよかったんですよね。「アレ、こいつが主人公だったかな?」と、一瞬混乱してしまったほどに(苦笑)。

 元・野党として、悪党としての顔がちらちら見える桓騎とその軍団に対し、どう見ても“正義は我にあり”って感じの紀彗。その威風堂々とした立ち振る舞いはある意味、桓騎と正反対に思えます。もしかするとこの紀彗、敵の総大将である慶舎にも引けをとらないほどの武将なのでは……? 事実、あれほど優勢だった黒桜の軍を一気に押し返した手腕は相当なものですからね。

 もっと正直にいうと、武将としての戦闘力や指揮能力といった“パラメータ”では決して測れない、不可思議なオーラが漂っているんですよね、この紀彗という武将には。その場にいるだけで兵士たちに勇気を与え、力をみなぎらせている……そんなバフ効果を感じました。どういうこと……?

 おそらく、紀彗のバックボーンについてはここから掘り下げられていくことでしょう。キーワードになりそうなのは、戦場に姿を現したときに彼が口に出した“離眼(りがん)の兵よ”という言葉な気がしますね。紀彗は、黒羊宮からほど近い場所にある離眼城の城主であることは明かされていますが……はてさて? いったい何がどうなっているのか、まだ公開されている情報が少なすぎて何もいえませんけども。紀彗の掘り下げ、今から楽しみで仕方ないです。対する桓騎がどのような攻略策を考えるのかも……ね。

 なんにせよ、飛信隊が初日の遅れを取り戻し、面目躍如な活躍を見せてくれたのは胸がすく想いでした。羌瘣がひとまず無事なこともわかり、心からホッとした第5話といえるでしょう。一方、紀彗の前線出撃で戦いはここから加速していくことも間違いなさそうです。来週以降も見逃せませんね。それでは、今回はこのへんで!

©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

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