レビュー:『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は軽快なアクションと軽口の応酬が想像以上に小気味いい、アメコミ好きにオススメの良作

hororo
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※『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。

 WB Gamesから発売中のPlayStation®5 / Xbox Series X|S / PC用ゲーム『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』。本作は、スーパーマンやバットマンといったヒーローたちを擁するDCコミックスの世界観を用いたアクションゲームです。

 開発は世界中で高い評価を得た『バットマン・アーカム』シリーズを手がけたRocksteady Studios。同シリーズはタイトルの通り、バットマンを主役としたアクションゲームでした。

 しかし本作で描かれるのはヒーローではなく、彼らと対峙したヴィランたち。頭に爆弾を埋め込まれてしまったことで仕方なく任務に従事することになったヴィランたちの特殊部隊“スーサイド・スクワッド”こそ、本作の主人公です。

 Rocksteady Studiosならではの高水準のアクションや、ヒーローたちとは異なる視点で描かれる物語など、本作ならではの魅力を紹介していきます。

キャラクター固有のアクションで街を駆け、敵を叩き潰すのが爽快!

 本作のスーサイド・スクワッドに所属するヴィランたちは、ハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャークの4人。

 ボタンに割り当てられた基本的な操作方法こそ同じものの、それぞれアクションや操作感が大きく異なっているため、使用するキャラクターによって手触りが大きく違うのが特徴となっています。

 例えばハーレイ・クインの場合、追従してくるドローンにグラップリングフックを引っかけてスイングすることができます。また建物に直接フックを引っかけることで自分を引き上げることもでき、ビルの合間などを自在に動き回ることが可能です。

 これがデッドショットだと、背負ったジェットパックによる自由飛行に変化。上下左右自在に動くことができ、文字通り空中を飛び回ることができます。常時飛びっぱなしというわけにはいかないものの、着地すればすぐにゲージが回復するため、自由度の高い空中戦が行えるのが魅力。

 キャプテン・ブーメランは、投げたブーメランの先にテレポートするというテクニカルな動きが可能です。挙動が特殊なので慣れるまでが大変でしたが、一度馴染んでしまえばほかのキャラクターでは味わえないスタイリッシュな動きができるように!

 キング・シャークは、その巨体にふさわしいパワフルなアクションが持ち味。建物をがしがしと登ったり、ジャンプしていく姿はまさに超人といったイメージにふさわしく、ヒーローもの(ヴィランですが……)のACTとしての魅力を存分に味わえます。

 ミッションの途中でなければいつでも操作キャラクターを切り替えられるため、ずっとお気に入りのキャラクターを使い続けることもできますし、気分で“味変”をすることも可能。かなり操作感が変わるため、長時間プレイしていてもマンネリを感じません。

 移動面は個性が強調されている一方で、攻撃は統一されている印象。基本的には銃による遠距離攻撃と、キャラクター固有の近接攻撃の2種類があります。もちろんアサルトライフルとショットガンのように、使う銃の種類によって得意な戦闘距離が変わるなどの違いはありますが、基本は同じ。ですがこれをマイナスだとは感じませんでした。

 というのも、本作の戦闘はハイスピードかつ立体的な動きが魅力。上でも触れたように、移動アクションがキャラクターごとに大きく異なるため、攻撃面の操作が統一されていることで、立ち回りに意識を割く余裕ができるからです。

 加えて本作ならではのシステムが、さらにバトルのおもしろさを底上げしています。とくに敵を近接攻撃で倒すことで自分のシールドが回復するという“シールド剥奪”という要素。シールド剥奪を発生させるには敵の脚部を撃って、剥奪可能な状態にしなければなりませんが、うまく使うことで敵の集団へ飛び込んで暴れまわることができる設計になっています。

 多数の敵との乱戦になりやすい本作では、射撃のみで敵を倒そうとすると十字砲火を受けて体力が削られがち。シールド剥奪を意識することで、単純に生き延びやすくなるだけでなく、自然とアグレッシブな戦闘スタイルになるようになっているのが、ゲームデザインの妙を感じさせます。

 また、敵は強力な攻撃を行おうとする直前にマーカーが表示されます。ここでカウンター攻撃をヒットさせると、敵をひるませて一定時間無防備な状態にすることが可能。“危険な攻撃を察知して素早くつぶす”という動作が一騎当千のヴィランらしさを感じさせますし、アクションゲームとしても気持ちいい瞬間になっています。

 もちろん“トラバーサル・アタック”という、キャラクター固有の必殺技のようなものも用意されており、固有の演出とともに敵に大ダメージを与えることが可能! ゲージを溜める必要こそありますが、割と手軽に出すことができて、敵を蹴散らしていくのが最高に楽しいです。


 そしてキャラクターの成長要素も本作の魅力。敵を倒したりミッションをクリアすることで経験値を得て、キャラクターのレベルが上昇していきます。レベルアップ時に入手できるポイントでタレントを習得し、キャラクターを強化していくことが可能です。

 タレントのツリーはキャラクターごとに固有のものが用意されており、複数のなかからひとつを選んでセットするものも。自分のプレイスタイルに応じてカスタマイズすることで、成長が実感できるようになっています。タレントの振り直しも自由にできるため、気軽に効果を試せるのも嬉しいですね。

 また装備には多彩な効果が付与されており、いわゆるトレハン的な要素も存在。ミッション達成のたびにランダムな装備が手に入るほか、工房で素材を消費して作ることも可能です。レアリティもあり、気に入った装備は改造して能力を強化できるなど、理想の装備を追求することも楽しみかたのひとつとなっています。

ヴィランたちならではのデコボコの掛け合いを楽しめるストーリーがおもしろい!

 本作はアクションゲームとしての手触りだけでも一級品ですが、強力な個性を持つキャラクターたちも、アクションに負けず劣らず魅力的。

 かつてRocksteady Studiosが手がけた『バットマン・アーカム』シリーズは、バットマンのゲームだっただけに完全にシリアス路線かつダークな雰囲気でした。一方で本作は、さまざまな作品のヴィランたちを終結させたチーム“タスクフォースX”……通称スーサイド・スクワッドが主役。

 収監されていたハーレイ・クイン、デッドショット、キャプテン・ブーメラン、キング・シャークの4人がチームを組み、事件に挑むことになります。彼らは政府高官のアマンダ・ウォラーによって頭に爆弾を埋め込まれ、命令に従わざるをえない状況にあり、さまざまな無理難題を押し付けられていきます。

 彼らからすれば悲壮感溢れる状況ですが、そんな中においてもヴィランならではの軽口の応酬や仲間との連係の取れなさなど、デコボコな関係がコミカルに描かれていくのが特徴。

 それぞれが個性強めで見ていて楽しいのですが、個人的にお気に入りなのがサメ人間のキング・シャーク。凶暴な見た目に反して、人間の文化に興味を持っていたり、哲学的な考えをしていたりと見た目と中身のギャップが激しいキャラです。

ほかのヴィランたちが軽口や悪態、皮肉などを織り交ぜて軽快にしゃべるなか、キング・シャークはそれらのセリフをまともに受け取って真面目に返したりと、周囲との“噛み合わなさ”が絶妙で、チームの癒し役といってもいい存在。

 そんな彼らが挑む事件というのが、ブレイニアックというヴィランによる地球侵略。ブレイニアックは地球人を誘拐して兵士へと作り替えるだけでなく、さまざまなヒーローの精神を支配し、攻撃の尖兵として使っています。

 ゲーム序盤でも、グリーンランタンやバットマン、フラッシュといった有名なDCヒーローたちが現れ、人々を攻撃する光景を見ることができるのですが、これがなかなかショッキング。頼もしさを覚えていたヒーローのスーパーパワーが、悪意を持って使用されるとこんなことになるのかという現実を見せつけられます。と同時に、ヴィランたちはこんな力を持つ相手によく何度も戦ったなと感心してしまいます……(笑)。


 ちなみに操られたバットマンに襲われるシーンでは、『バットマン・アーカム』シリーズファンにとって嬉しい要素も。戦いの舞台となるバットミュージアムの展示物が『バットマン・アーカム』シリーズのストーリーに沿ったものとなっており、過去作の物語の復習ができます。アメコミヒーローの世界は作品ごとに分離していることが多いですが、本作の世界は『バットマン・アーカム』シリーズと同じ世界なのかもしれませんね。


 なお、このステージは照明が消された屋内で人知れず仲間が襲われていくという、まさにバットマンを相手にした際の敵のような演出がされており、「バットマンと戦うときってこんなに怖いのか……」と恐怖しました。さながらホラーゲームをプレイしているかのよう。

 そしてゲームが進むと、さまざまなヒーローやヴィランが登場していくのもDCユニバースファンには嬉しい要素ではないでしょうか。正直私はそこまで詳しいわけではありませんが、ペンギンやポイズン・アイビー、レックス・ルーサーといった有名ヴィランたちが登場するとテンションが上がってしまいます。


 普段は敵としての側面しか見れなかったヴィランたちが、仲間(と言えずとも、ひとまず友好的な相手)に対して見せる態度は新鮮です。

 過去作『バットマン・アーカム』シリーズはバットマンをテーマにした、重く重厚感のある作りでしたが、本作は作品のノリに合わせた軽く気持ちのいい作り。テンションこそ違いますが、過去のノウハウを存分に詰め込まれた、遊んでいて気持ちいい作品にしあがっています。

 DCヒーローやヴィランを知っていたほうがより楽しめるのは間違いないものの、私のように「ヒーローの名前くらいなら知ってるかな……」という人でも問題なく遊べましたし、楽しむことはできたので、良質なアクションを遊んでみたい方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。

SUICIDE SQUAD KILL THE JUSTICE LEAGUE software © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. Developed by Rocksteady Studios. SUICIDE SQUAD, JUSTICE LEAGUE and all related characters and elements © & ™ DC Comics and Warner Bros. Entertainment Inc.

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