『即死チート』7話感想。魔神の封印が解かれた瞬間明らかになる夜霧のやらかし。想定外の事態に呆然とするシオンの表情にちょっとときめく(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年2月16日(木)に放送されたTVアニメ『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』第7話“第一門の常時開放を確認”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』7話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

世界を滅亡寸前まで追い込むライニールの不幸っぷりがすごい

 ようやく試練も終わったかと思ったのも束の間、封印されていた魔神の眷属が次々と復活するという最悪の場面に遭遇してしまう夜霧たち。世界が滅亡しそうな事態になっているのをよそに、そんなの関係ないとばかりにその場を後にするのは、テオディジアに協力すると決めたとはいえ主人公として前代未聞すぎます(確かに関係ないのも事実なんですが)。

 そのテオディジアの同族である半魔たちは、地下で無惨な末路を遂げていました。剣聖の所業が非人道的なのは間違いないですが、膨大なエネルギーがなければ魔神の封印を維持することはできなかったと思われるので、一概に悪党と断じられるかは難しいところ。

 夜霧の力を知っているテオディジアが、剣聖殺しを夜霧に頼まずに自分の手で始末をつけたいと望んだのは、正義や悪ではなく、あくまでも自分の中のケジメとして仇を討ちたいという想いがあったからかもしれませんね。

 一方、魔神の眷属には人類最強クラスと思われる剣聖すらうかつに手出しができないほどで、これまで出てきた敵のなかでもかなりの上位の強さをもっているようです。リュートを殴りつけようとしたフレデリカの腕が杖ごとお菓子にされてしまうシーンは、妙にホラーチックな怖さがありました。

 一か八かで残った詫び石を注ぎ込んでUR確定ガチャで女神ヴァハナト本人を召喚することに成功したものの、そもそも女神は魔神側の存在で、ライニールは魔神復活のために利用されていただけという事実も判明。あまりにもクソガチャすぎて、これがゲームなら即座に引退不可避です。

 普通のやり方では剣聖を殺すのは無理だから、足を引っ張る超不運な味方を送り込んで倒そうというヴァハナトの逆転の発想にはなるほどと感心させられますが、ライニールがただただ気の毒すぎますね……。

 “運命力”という単語が何回か出てくるようになりましたが、おそらく前回夜霧たちが殺してしまったイグレイシアやマサキたちは、剣聖がこれまで女神の刺客から生き残ってたのと同じ運命力によって、魔神復活阻止のために導かれた存在だったのでしょう。

 一方で、ライニールの不幸によって呼び寄せられたと思われる夜霧たちによって、その魔神復活を阻止するための存在もあっけなく死んでしまうというのだからたまりません。ただ、呼び寄せるにしても、運命力ももうちょっと性格がマシな人たちを呼んでくれていれば……とも思ってしまいますね。

やっぱり魔神はとっくに死んでいた。ライニールの不幸を過小評価した女神の自業自得が招いた結果

 そんなライニールの不幸によって事態がどんどん悪化の一歩を辿っていってはいたのですが……これだけお膳立てして復活させた魔神が、5話の時点でとっくに死んでいたというのがあまりにも面白すぎる。

 実は原作だと、夜霧が魔神を殺してしまったことは塔についた時点ですぐ読者に明かされるのですが、アニメではここまで真相を引っ張ったのが、最後のオチとして効果的に働いているなと。魔神が死んでいること自体には既に気づいていた人も多いとは思うのですが、水中に落ちた後、魔神の水死体が上がってくる絵面のシュールさも手伝ってギャグシーンとしての破壊力がかなりのものになっていました。

 もしライニールの不幸が夜霧をこの地に呼び寄せていなかったら、魔神が死ぬことはなかったでしょうから、完全に女神の自業自得とも言えます。夜霧の存在も規格外ですが、ライニールの不幸っぷりも完全に女神の想定を越えていたということでしょう。

 途中には夜霧を探していたアオイも合流し、なんだかんだ事態の解決に手を貸してくれるあたり、意外と人がいい一面も見せてくれましたが、夜霧を目の当たりにした瞬間、半泣きになりながら嘔吐する悲惨な目に合うことに。すでに夜霧の恐ろしさを十分なほど知っている花川とお互いに責任をなすりつけようとするシーンはもはや微笑ましさすらあり、結構いいコンビだなと思ってしまいました。

 能力を無効化する以前に、夜霧が戦っていけない相手だと即座に判断して逃げるあたり、今まで登場してきた賢者の中ではもっとも賢いと言えるのかもしれません。土下座スタイルから真後ろにスライドしていく動きもなかなか人間離れしています。

 ラストでは、エンディング曲が流れるタイミングが完全に花川メインの特殊エンディングのようになっているのには笑いましたが、Cパートではまさかの衝撃展開が待っていました。

 相変わらず、自分の都合だけで召喚される側の事情を一切考慮しないシオンですが、眼の前で爆死するのはさすがに驚いたようで、返り血を浴びながら呆然とする今まで見せなかった表情に、ちょっとときめいたのは自分だけではないはず。

 夜霧というとんでもない存在を世界に招いてしまうという、事の重大さに少しずつ気づき始めたシオンがどんな行動に出るのか、今後の展開も楽しみです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©藤孝剛志/アース・スター エンターテイメント/即死チート製作委員会

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