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関羽、逃避行中に地名を作る!? 梅のおかげで敵陣を突破!? “麦城”における関羽最後の逸話【三国志 英傑群像出張版#27-2】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 英傑群像出張版では、わたしが中国各地で集めた三国志武将の民間伝承の古書から、日本で知られていないものを厳選して文章をまとめて紹介しています。

 今月は荊州の当陽という場所でのお話を選んで紹介しています。先週は趙雲を紹介しました。今週は予告した通り、関羽のお話。

 三国志のお話でも皆が涙した関羽最後の城“麦城(ばくじょう)”での民間伝承などをご紹介いたします。

 ちなみに民間伝承で“麦城”は古代に、豊臣秀吉の一夜城のように麦わら製で一夜作りの城が元といわれているそうです。

関羽の逃避行中についた地名三選

 当陽、荊門、江陵からの道の交差する場所に当陽がある。そこに緑の丘があり“三界冢(さんかいちょう)”と呼ばれている。

 関羽は不注意で荊州を失い当陽に移動した。関羽一行が三界冢まで進軍してくると、突然突風が吹いて関羽の帽子が吹き飛ばされた。

 周倉に関羽がここはどういう場所かと聞いた。周倉は知らなかったので考えながら「ここは【落帽冢(らくぼうちょう)】ですね。」と答えた。

 関羽はそれを聞いて、悪い兆しであると思った。予想通り、呉軍は荊州側から攻めてきて逃げる事となった。

 関羽は兵を率いて右往左往しなんとか包囲網を突破した。戦いの混乱の中、関羽は帽子をかぶる暇もなく馬に乗って駆け出した。三~五里走ると、小川と崖が行く手を阻み、小川の上には寺が建っていた。

 関羽が周倉にどんな寺かと尋ねた。周倉は「蓋渓寺です。」と答えた。関羽ははっきり聞こえず、周倉が「帽子をかぶってください」と言ったのかと思った。

 関羽は周倉から帽子を受け取って急いで頭にかぶった。それ以来、“蓋渓寺”は【戴起帽(たいきぼう)】ともいわれることとなる。

 また三~五里離れたところに三つの連続した山があった。関羽はこの山はどこかと周倉に尋ねた。周倉は「断頭山と……」と答えかけた。

 しかしまずいと思ったのか周倉はすぐに言葉を変えて「いやいや、この場所は【連三包(れんさんぽう)】と呼ばれています。」と言った。

 話している間に、呉軍は追撃し関羽の兵馬は【連三包】に包囲された。関平は父に「兵は疲弊しています、我々は都市にとどまって援軍を待たなければなりません。私の考えでは、麦城は小さいけれども、私たちが留まるには十分な場所です。」と言った。

 関羽は関平の助言に従い、残りの五百~六百人の兵を率いて麦城に向かった。

 いまもこの地方では、関羽が帽子を落とした所は【落帽冢】、帽子を被り直したところを【戴起帽】、三つの連続した山【連三包】とも呼ばれている。

関羽の梅林

 当陽の黄林崗(こうりんこう)では、緑、黄、赤の玉皇梅を生産しており、中でも赤い玉皇梅が最も有名である。

 人々はこの赤い玉皇梅を【関公梅】と呼ぶ。すべては麦城の苦い梅と赤い水の井戸から始まった。

 麦城に苦梅の木があり三月になると雪のように白い花を咲かせ、緑色の梅の実をつけ種は大きく苦く酸っぱく渋かったので、地元の人々は食べずそのまま大きくなって落ちるに任せたという。

 三国時代、関羽は荊州を失い麦城に逃げ込んだ。食料も草もなく飢えていた彼らは苦い梅で空腹を満たすしかなく兵士たちはそれを食べて辛酸をなめた。

 ある日、関羽は麦城に赤い水の井戸があり、その井戸の水を飲むと毛まで赤くなると言われていることを知った。誰も試した者はいなかった。

 関羽は考えた。赤井戸の水は人の毛を赤く染めることができるのだから、苦い梅の色と味を変えるのに使えないだろうか?

 試しに麦城の梅を赤井戸の水に浸してみると、青梅は赤紫色に変わり、酸っぱい梅の味は甘く美味しくなった。

 関羽は早速、兵士たちに苦い梅を摘んで赤井戸の水に浸すように教え、携帯して包囲網を破る準備をさせた。

 関羽は城の北門から抜け出し、夜、西川に走った。道路を通らず、小道を通ったが、これはまさに呂蒙の計画通りだった。

 呂蒙は関羽が本道を通って四川河口に入らず、麦城の北の険しい山道を通って逃げることを予想した。山道に沿って三つの防衛線を設置し、最初の防衛線は麦城から三十里以上離れた黄林崗にあり、朱然は五千騎を率いて関羽を待ち伏せし、捕らえるのを待った。

 関羽は二百人余りの残党を率いて山道を進んでいたが、突然、黄林崗で太鼓の音が聞こえ、喚声が聞こえた。関羽は馬を操り青龍偃月刀で朱然を迎え撃った。

 一方、関羽は部下らに急いで防衛線を突破し西へ逃げるように言った。混乱に陥った関羽の兵たちは携帯していた梅の実をあちこちに撒き散らしてしまった。偶然にも落ちた梅の実が飛び跳ね回り、呉の兵士とその馬に当たった。

 関羽たちはこの状況を利用して敵陣を突破し、包囲網を突破して先に進むことができた。関羽は空を見上げて言った。「これは神の助けだ!」と。

 いかがだったでしょうか? いずれも関羽の麦城の戦い前後の逸話でした。

 関羽の最後の逸話が少しでも増えて、それを知れた事は史実かどうかは別としても私は幸せでした。皆さんはいかがでしょうか?

 関羽最後の城“麦城”の地であり、“長坂の戦い”の場所でもある当陽。こんな大事な場面が片田舎の場所に集中するというのも奇遇な話です。

 ちなみに臨沮(りんしょ)で捕まったとされる関羽。麦城から臨沮がどのくらいの距離かというと50㎞ぐらいです。

 東京~鎌倉間、大阪~京都間でも50㎞足りない位なので、結構な距離を関羽一行は頑張って逃げたのだとわかります。

 十数年前になりますが当陽を訪れたことがあります。どこから行くにしても地理的に不便な場所で、到着した時間はすでに16時を回っており急いで名所を回ってゆっくりする時間がありませんでした。

 またいつかゆっくり訪れて英雄たちの勇姿に思いを馳せたいと思う場所の一つです。

 日本でもそうですが、現地の史跡にいくと民間伝承でしか伝わっていない場所って結構あります。そういう場所の逸話を知りつつ現地を感じる事は、旅の醍醐味の一つといえると思います。

 次回もお楽しみに!

KOBE鉄人三国志ギャラリー【春の三国志会】開催のお知らせ

 3月30日(土)11時~17時、三国志講座やイベントなどいろいろ行います。

 今年で11回目となる春版の“ミニ三国志祭”です。

第11回「春の三国志会」イベント予定

時間:11時~17時
場所:KOBE鉄人三国志ギャラリー内外
※当日、先着順 各回定員になり次第締切。当夜祭は事前予約が必要

★体験ブース
特設「関帝廟」登場!※願いを書こう用紙設置
三国志プラモデル制作※要材料費
三国志的中国将棋  ※無料 13時~
殷代甲骨ト占 占い師:須藤聡爾先生  ※有料
関羽コスプレ撮影ポイント(子供用)設置 ※無料
関羽占い       ※有料
三国志アナログゲーム ※有料
横山三国志<関羽ビンゴ>大会 15時~
※1000円以上購入者にカード配布。ハズレなし

★販売ブース
オリジナル武将飾り(当日限定)
孔明の秘策袋(春&秋限定)
関羽グッズ

★三国志テスト
横山光輝三国志マニアック関羽テスト  ※無料
100問テスト2024版正史演義8種 新登場 ※有料

★映像上映(当日限定)※随時上映
俳優鎌倉太郎氏三国志入門紙芝居動画(新作)「関羽千里行」上映
神戸電子専門学校 三国志テーマの漫画舞台「太陽の黙示録」上映

★講演・講座
13時  講談 「泣いて馬謖を斬る」 菊花亭いっしん氏
13時半 朗読(新作)「聞けや雷」顔良物語 樹リューリ氏
14時  兵法講座 曹操編纂孫子兵法で読解く危機管理
    「日本の危機予兆考」 菅澤博之氏

★展示
関羽民間伝承パネル展
※コラムで未紹介の伝承も紹介!
そろばんの町小野市とコラボ
関羽発明「そろばん展示」

★当夜祭
孔明発明の肉まんなどを食べながら三国志交流会
・三国志推し新聞作り
・三国志お面づくり
・三国志ゲーム
17時半~20時頃 2000円 要予約

三国志ボードゲーム“三国志ドラフト会議”販売中

 “三国志ドラフト会議”は、長時間にならず、多めの人数で遊べて、難しすぎない三国志というコンセプトで作成した三国志ボードゲームです。

 簡単にルール説明すると君主(劉備、曹操、孫権など)となり、人材登用してそのメンバーでバトルを行って勝ち抜いた人が勝利のゲーム。プレイの模様をyoutubeでもアップしておりますので、参考にしてくださいね。

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岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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