『ユニコーンオーバーロード』先行レビュー:マニアに刺さる沼ゲー、でも初心者でも安心。戦略的バトル×遊びやすさ×自由度の高さを満たす良質な群像劇
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アトラス×ヴァニラウェアが手掛ける新生シミュレーションRPG『ユニコーンオーバーロード』(Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S)が、3月8日に発売されます。
本作は新生ゼノイラ帝国皇帝を名乗って大陸を制覇したガレリウスによって、故郷“コルニア王国”と母を失った王子・アレインとなり、多彩な仲間たちと共に運命に抗う、王道のファンタジー冒険譚を体験することが可能です。
シミュレーションRPGといえば、個性的な能力を持つユニットキャラクター、地形や拠点を意識した配置・進軍、効果的なスキルの活用タイミングなどなど、戦略性が高いバトルを楽しめるのが魅力です。効率をトコトン重視したり、好きなキャラを最強に育てたり、軍記小説の軍師気分を味わえるのが最高におもしろいんですよね。
そのぶん、「難しそう」や「時間がかかりそう」なんて、イメージを持っている方もいるのではないでしょうか。
『ユニコーンオーバーロード』は、そんな初心者が躓きそうなポイントをていねいにサポートしつつ、古きよき骨太なバトルも楽しめ、登場人物や物語も魅力的と、幅広いゲーマーにオススメしたい作品です! 今回は剣と魔法の世界と、シミュレーションRPG好きなライターが、物語やシステムなどの魅力をレポートしていきます。
3月8日発売『ユニコーンオーバーロード』先行レビュー。物語やキャラクター、システムから本作の魅力に迫る
心が躍る、王道ストーリーが熱い!
本作でまずオススメしたいのが、個性豊かなキャラクターたちが暮らす世界と、そこで紡がれていく王道の物語です。
舞台は、かつて“コルニア王国”、“ドラケンガルド王国”、“エルヘイム“、“バストリアス”、“アルビオン教国”という5つの国が存在した“フェブリス大陸”。
緑に覆われた“エルヘイム“はエルフ・ダークエルフの国、宗教国家の“アルビオン教国”は天使と呼ばれる有翼人など、国ごとに違った文化を持ち、多彩な種族が暮らしています。
しかし新生ゼノイラ帝国皇帝を名乗るガレリウスが、大陸の侵攻を開始。“コルニア王国”の国王・イレニアは、幼い息子・アレインを聖騎士・ジョセフに託して迎え撃つも、善戦むなしく全滅するのでした。
物語の序盤に出てきたイレニアは、王としての威厳と、母としての優しさを兼ね備えていて、アレインと一緒の時間をもっと過ごさせてあげたかったと思える人物。それだけに、ガレリウスや帝国憎しという気持ちがより高まります。
アレインはジョセフによって、帝国の手が届かぬ“アルビオン教国”領のパレヴィア島へと逃れます。そこで剣や戦術を学び、17歳に成長した彼は、解放軍を率いてガレリウスに挑むことに……。
過酷な戦いに身と投じたアレインですが、母の代から仕えているジョセフ、幼なじみのスカーレット、レックスなど、信頼出来る(クラス的にもバランスがいい)仲間に囲まれているのが心強かったです。
なかでもジョセフは、歴戦の将に相応しく、強さもケタ違い。彼がいれば、序盤のステージは怖いものなしです。
ただし強いキャラばかり戦わせると、仲間が育たず苦労するのはシミュレーションRPGあるあるなので、頼り過ぎないように気をつけたいところです。
その後も各地を旅するなかで、個性豊かなキャラクターとの出会いが待っていました。さまざまな事情で帝国に従っている者もいれば、抵抗勢力として戦っている人物も! しっかりと意志を持って、大陸で生きているキャラたちがステキなんですよね。
仲間になるキャラは総勢60人以上で、声優陣もかなり豪華です。人物像を掘り下げるクエストやイベントも用意されていて、物語を進めるほどキャラたちが好きになり、推しも増えていきます。
試遊の範囲では行くことが出来なかったのですが個人的に、獣人たちが暮らす“バストリアス”が気になって仕方がありません。公式サイトのキャラクター紹介にいる美人な梟獣人・ラモーナと、モッフモフの獅子獣人・モラードが最高で……。
さまざまな種族がそろっているので、見た目も性格も、好みのキャラクターがきっと見つかるはずです。
ただし登場キャラクターが仲間になるかは、プレイヤーしだいなのがおもしろいところ。必ず仲間になるキャラクターもいますが、勧誘するかどうかの選択肢を迫られる人物もいました。
私は小心者かつ平和主義なので、基本的には穏便な道を選んでしまったのですが、プレイヤーによって仲間構成がかなり変化しそうです。
アレインや解放軍が本編でどんな活躍をするかは、ぜひみなさんの目で確かめていただきたいので詳しくは触れませんが、“王道ストーリーに期待する要素”がしっかり押さえられている展開だということはお伝えしたいです。
しかし、それだけじゃ終わらないという雰囲気も序盤からヒシヒシ感じていて……。謎多き遺跡に、帝国の裏でうごめいている怪しい影。世界にどんな秘密が隠されているのか、先が気になる物語になっています。
ユニット編成に、“作戦”に。戦略を練るのが楽しい
物語は、メインクエストをクリアすることで進んでいきます。クエストを進行していくと、ステージ(バトル)が発生することも!
難易度は、CASUAL、TACTICAL、EXPERTの3種類があり、初心者から上級者まで自分に合ったレベルのバトルが楽しめます。難易度は序盤で選択でき、オプションでいつでも変更可能です。
ステージは味方ユニットに指示を出し、制限時間内に敵将の撃破など、勝利条件を達成できればクリア。青い旗が掲げられたスタート地点の自軍拠点を敵ユニットに制圧されるなどすると、負けとなります。
バトルはリアルタイムで進行していきますが、味方ユニットの行動指示をしている際は自動でポーズ(一時停止)状態になるので、慌てず作戦が練れるのが助かりました。
自軍の拠点では、画面左上に表示さえる“ブレイブ”を1つ消費して、味方ユニットを出撃させることができます。“ブレイブ”は敵の撃破、施設の解放、落ちているアイテムを拾うことで回復。積極的に戦って戦況を有利にするほど、“ブレイブ”が貯まっていくわけです。
拠点では、出撃させるユニットの編成が可能。キャラにはそれぞれクラスがあり、シーフだったら速さを活かした回避盾、ソルジャーは前後列の貫通攻撃が出来るアタッカーなど、役割があります。回復できるクラスを1人は入れるなど、バランスを考えて、編成を組むのが大事だなとプレイしていて感じました。
もう1つ気にかけたいのが、キャラ同士の“親密度会話”の存在です。同じユニットに入れたキャラ同士は、“戦闘”後に親密度が上昇。親密度が高いキャラでユニットを組むと、編成ボーナスが得られます。
さらにキャラの組み合わせによっては、親密度が一定以上になると“親密度会話”が見られるイベントが発生するように! 私はキャラ同士の絆、関係性にときめきを見出すタイプのゲーマーなので、ユニット編成にはかなり悩みました。
後述しますが、親密度を上げる方法はほかにもあるので、使いやすいユニット編成をするのが1番かなと思います。
出撃させたユニットを選択し、カーソルで目的地を選ぶことで移動できます。複数のユニットを選んで、一気に移動させることも可能です。敵に接触させるとエンカウントとなり、“戦闘”を選ぶとバトルに突入します。
“戦闘”では、各キャラクターに設定された“作戦”に応じてスキルを使用し、オートで進行。早送り機能があるので、バトルのテンポも快適でした。ただキャラのアクションに、開発陣の愛とこだわりを感じる部分が多く、じっくり見てしまうことも多かったです(笑)。
“戦闘”時に使用するスキルは、“アクティブスキル”と“パッシブスキル”の2つがあります。
“アクティブスキル”は赤い宝石で表示された“AP”を消費し、行動順がまわってきた際に、回復や攻撃などのスキルを使用します。各キャラのメインのアクションと思っておけば、ほぼ間違いないです。
“パッシブスキル”は、青い宝石で表示された“PP”を消費し、攻撃を受けるなど特定の条件を満たした時に自動でスキルが発動します。敵に反撃したり、防御したり、スキルによって効果はさまざま。
敵味方全員分の“AP”が消費されるか、一方が全員戦闘不能になると、バトル終了となります。もし味方ユニットが戦闘不能になっても、キャラロストにはならないのでご安心ください。
スキルが自動で発動するため、事前の“作戦”決めが大事です。いかに被ダメージを減らし、効率よく敵を殲滅していくか、戦略を考えるのがすごく楽しいんですよね。
初心者の方は便利なおまかせ機能もあるので、慣れないうちや悩んだ時にぜひ活用してみてください。
1つの敵ユニットに対して、複数の味方ユニットが隣接している場合、“チェンジ”で“戦闘”するユニットを変更することが可能です。
クラスには、相性があります。例えば物理防御力に特化したホプリタイは頼れる盾役ですが、魔法防御が弱く、ウィザード、ウィッチとエンカウントすると大ダメージを受けてしまいます。それに対してハンターは、行動力が勝るためウィッチなど術師系に有利になるといった感じです。
“チェンジ”でユニットを選択した時に、敵ユニットへの総ダメージや、被ダメージを確認できるので、有利なジョブがいるユニットで“戦闘”ができるような状況を整えていくことが大切です。
“戦闘”を行うと、ユニットの“スタミナ”が消費されます。“スタミナ”がゼロになると移動ができなくなるので、強いキャラを集めた1つのユニット頼りではなく、複数のユニットを出撃させられるようにしておくのがオススメです。
各キャラクターには、強力な“ブレイブスキル”も用意されています。このスキルは、フィールドで使用でき、“ブレイブ”を消費するかわりに、広範囲に攻撃や回復できる強力な技ぞろい。
個人的に広範囲の敵ユニットに攻撃できるハンターの“アローレイン”と、ウィザードの“ブレイズ”が便利過ぎて、強敵相手には必ずお世話になっていました。
敵ユニット数が多いステージや、味方ユニットが出そろった終盤などは、意外に“ブレイブ”が余りがちになるので、惜しまずに使って問題なしです。
フィールドには、町があることもあります。町にいる敵ユニットを倒して解放すれば、その地点が新たな拠点となって味方ユニットが出撃可能に! 戦闘が有利になりますし、何より解放軍の指揮者たるもの、困っている民を放っておくことなんてできないですよねってことで、忘れずに助けてあげてください。
ほかにも竜巻などを呼ぶ“祈りの像”や、投石する“カタパルト”など、フィールド上にはさまざまなギミックが用意されています。ステージの特徴を上手く利用して、戦闘を有利に進めていきましょう。
戦略の幅が広く、工夫して自分のスタイルを見つけて遊ぶのが楽しいです。覚えることは多いですが、ステージごとに少しづつ解放されていきますし、チュートリアルもていねいなので、物語を楽しんでいれば自然に戦いのコツも覚えていくと思います。
また“ステージメニュー”で、ステージ攻略中でもセーブ可能です。さらにフィールドに戻る、ステージをやり直すが選べるほか、ゲームオーバー地点から再開できる貴重なアイテムも用意されている親切設計ぶり。敵が強すぎて勝てず、にっちもさっちも進めないという状況にはならないので、最後まで物語を楽しめますよ!
強敵とも戦える!? 大陸をじっくり探索しよう
メインクエストは敵のレベルや、登場する主要クラスが固定されており、プレイ状況によってはレベル差などで苦戦する可能性も……。
そんなときは、大陸をすみずみまで探索してみましょう! 大陸では、メインクエスト以外にも、さまざまな出来事を解決するフィールドクエスト、サブクエストなどに挑むことができます。発生したメニューの“クエスト”に登録され、いつでも確認できるので、気になったものから進めて行けるのが嬉しいポイントです。
フィールドクエストでは、アレインの活動を支援する機能解放やアイテムを獲得できます。なかには、“鶏を捕まえて”なんてコミカルなものも!
サブクエストは、仲間を増やしたり、新たなクラスを解放したりすることが可能です。バトルのステージも発生するので、味方ユニットのレベル上げになりますし、豪華な報酬も獲得可能ですし、メリットがいっぱい。
そして何より、展開するエピソードが楽しいんですよ。メインクエストを進める準備が整っても、ついつい寄り道してサブクエストを遊んでしまうことも多かったです。
また大陸を探索するなかで、資材を採取したり、施設を利用したりすることもできます。
採取地によって、魚だったり、植物だったり、獲得できる資材が違います。時には、“天のかけら”という特殊なアイテムが取れることも……。
また採掘場を利用できるようになれば、お金を払って採掘ゲームに挑戦可能に! 一定時間採掘ができ、鉱石などの資材や稀に宝の地図を発掘されることもあるようです。
宝の地図を見つけたら、そこに描かれたヒントをもとに、実際にマップで宝探しをすることができます。大陸の知らなかった景色を発見できるし、豪華報酬ももらえるし、挑戦して損なしです。
町ではアイテムや、武器を購入可能。町によって、店員さんが違います。ステキな子ばかりで、お店によるのが楽しいです。
さらに資材を納品して、復興させることで、利用できる施設や機能が追加されます!
大きな町を復興した場合には、宿屋を利用できるようになります。宿屋では食事を共にすることで、仲間たちとの親密度を上げることができます。同じクラスなどユニットを組ませづらいキャラ同士や、仲間になるタイミングが遅かったキャラの親密度を一気に上げられるのが嬉しいです。
復興した町には、仲間を1人“守備兵”として駐屯させることができます。駐屯させていると、ステージクリアごとに、報奨金が手に入ります。さらに発見済みの採取スポットがあれば、採取品を回収してくれて……何とも働き者。
そんな便利…頼もしい“守備兵”をお願いしているキャラクターには、贈り物をしてアレインとの親密度を上げることが可能です。好みの品だった場合は、親密度が大きく上昇するとか。キャラの好みを想像しながら、贈り物選びをするのも楽しいです。
各地にある砦では、“ユニット拡張”や味方同士で戦ってスキルを確認する“模擬戦”を行うことができます。
“ユニット拡張”を行うためには、名声を上げる必要があります。名声は町を復興したり、“クエスト”でステージをクリアすることで、ランクが上昇していきます。大陸の人たちのためにした行動が、巡り巡ってアレインたちの力になる展開は胸アツだなと思ってしまいました。
ちなみに名声が上がると、上級職へのクラスチェンジの道も開けますよ。
砦の“雇用”では、各クラスの一般兵を傭兵として雇うことができます。特定のクラスを増やしたいなど、不足する戦力を補えるのが魅力です。
傭兵は名前と見た目がカスタマイズ出来るので、仲間とは違った愛着がわくんですよね。さらに成長タイプも選択できるので、意外な強キャラに育てられる可能性も!
メインクエストやサブクエストでバランスよくユニットを育てようとしても、どうしてもレベル差は生まれてしまうものです。使用することで経験値が得られる“指南書”なんて便利なアイテムもありますが、仲間の数も多いだけに、全員満遍なくとなると難しいところです。
そんな悩みを解決するのが、フリーステージ“古代の魔法陣”! “古代の魔法陣”では幻影の兵士と戦うことで、経験値が得られます。しかも、何度でも挑戦可能! “古代の魔法陣”は大陸各地にあり、登場する幻影の兵士のレベルも異なります。発見するまでマップには表示されないので、大陸をすみずみまで見て、探し出しましょう。
ほかにも大陸には、不思議な遺跡など、いろいろな施設が点在しています。そこを調べることで、新たな発見があることも……。
どこに行った方がいいというメインクエスト進行の流れはありますし、敵ユニットのレベル差という壁もありますが、意外に序盤からいろいろなところに行けてしまいます。ジョセフには強く止められますがいきなり強敵に戦いを挑んだり、他国に行ってみたり、なんてこともできちゃうんですよね。プレイヤーごとに、違った冒険譚を紡いで行けそうなのも本作の魅力だなと感じました。
現在、序盤の約5時間ぶんのストーリーをたっぷり遊べる体験版が配信中です。セーブデータは製品版に引き継げるので、発売までの期間を利用して、ぜひ遊んでみてください!
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