『バーンブレイバーン』8話感想:デスドライヴズ3体同時という無理ゲーすぎる展開。スミスが残した言葉を受けたイサミとルルの今後が気になる(ネタバレあり)

米澤崇史
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 2024年2月29日(木)に放送された、『勇気爆発バーンブレイバーン』第8話“また会おう、スミス”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『勇気爆発バーンブレイバーン』8話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

オルトスのフィギュアをやたら愛おしそうに眺めるブレイバーン

 スミスの視点から次々と仲間たちが倒されていくという衝撃的なアバンからスタートした第8話。いつものOPも流れず、冒頭から「今回は普段と何かが違う」という不穏な雰囲気を漂わせていましたね。スミスの独白が「ヒーローになりたかった」と過去形になっているのも、思えばそういうことだったのかなと。

 冒頭ではTSのプラモデルがいっぱいのスミスのオタ部屋が少し映し出されていましたが、プラモデルのパッケージがやたら本格的だなと思っていたら、ガンプラの箱絵もいくつも担当されている本業のイラストレーターさんによるものだったことが分かり納得しました。アニメだとチラッとしか映ってなかったんですが、Xで公開されているイラストは完全に商品のパッケージと遜色ないクオリティで驚かされます。

 軍事描写については今回も細かく、航空機の燃料についての話題が出るロボットアニメは初めて見たかもしれません。本筋には関係ないであろう空中給油のシーンをわざわざ入れたのもこだわりを感じます。

 ヒビキ、ヒロ、アキラ、シェリーとこれまで登場したTSパイロット達が所属し、スミスがリーダーを務めるブレイバーン専属のサポートチームも発足。“ブレイブナイツ”というあまりにもストレートな名称は不評でしたが、ミユかブレイバーンがこの場にいたらスミスと一緒に盛り上がっていたんじゃないかと思います。

 そして今回もルルがかわいい。今回はとくにオルトスに乗ることを認めてもらえずに、拗ねて頬を膨らませているシーンが一番のお気に入りです。その後の『ランボー』の影響を受けてそうなコスプレ姿も含め、全編通してシリアスな8話の中では貴重な癒やしシーンでした。

 そんな二人の様子を眺めていたミユは、ルルがオルトスに乗る手伝いもしてあげていたようですが、思えば1話からイサミの乗ったTSについて話をしてたり、同じオタク仲間ということもあってかスミスとの絡みが結構多いんですよね。何かと世話を焼いていたルル自身の気持ちを汲んであげたのは勿論ですが、不完全な状態のオルトスではスミスが死ぬかもしれないと案じていたからこそ、ルルを乗せるという決断をしたのかもしれません。

 一方、スミスとイサミがデスドライヴズとパイロット(?)との関係性について会話するシーンもありましたが、イサミのなかに残っていたブレイバーンと自分も同じなんじゃないかという考えをスミスがすぐに否定してくれるのがいいなと。

 ちょっと気になったのは、このときにチラッと映るブレイバーンが、自作したオルトスのフィギュアを楽しそうに眺めていること。ブレイバーンがロボットフィギュア大好きなのは今までも描写されていましたが、この嬉しそうな様子からは、普通ではない愛着をオルトスに対して抱いているような印象も受けました。

 またブレイバーンが出撃前にスミスに告げた「どんなことがあろうとも君の思うままに前へ進め。例え暗闇の中でも、勇気があれば必ず君の進む道に光が差す」というアドバイスは、明らかにこの先スミスに何が起こるかを知っているような口ぶりです。

 この後、相当にキツイ展開が待ち受けているであろう覚悟ができると同時に、スミスならきっと大丈夫だろうという安心感みたいなものも感じられました。

やはり食事を残した死亡フラグからは逃れられなかったヒロ

 後半からは、3体のデスドライヴズが同時に襲いかかってくるという、これまでの中でも桁違いにハードな展開が繰り広げられました。

 以前の感想で、「電子戦能力が高すぎるブレイバーンがもし敵だったら人類は詰んでいた」という趣旨のことを書いたのですが、今回はまさにそれに近い展開で、レーダーや敵味方識別を無効化してくる攻撃は、あまりにもTS部隊にとって致命的です。

 そもそも同士討ちで全滅しかねない上、TS部隊だけではどうにもならない戦力差を空・海からの支援でどうにか補っていたのが今までの戦いでしたから、その支援を絶たれてTSだけで戦わざるを得ないのは、かなりの絶望感があります。

 しかも、よりにもよってスミス達が戦うことになったクーヌスは、本作で登場した敵の中でもダントツのチート性能。“対象の強制転移”と“時間操作”という、どちららか片方だけでも十分にヤバい能力を両方を持っているのは、完全にラスボス級の反則じみたスペックです。

 これがゲームだったら強制負けイベントかと思ってしまいそうなくらい、明らかにこれまでの敵とはレベルが違っていて、仮にブレイバーンを含めた完全な戦力で戦っていたとしても、クーヌスに勝てるかは厳しい気がします。

 宇宙空間に強制転移させられたり、時間を巻き戻して何度も殺されるのはホラーすぎました。しかもスミスの眼の前で繰り返し殺されていたのが、5話でルルを肩車してあげていたシーンも印象的だったヒロだったのもかなりキツかったです。

 “食事の途中で出撃する”はロボットアニメにおける伝統の死亡フラグの一つとされていまして、今回出撃前にアキラが食堂でカツカレーを残して出撃するシーンを見たとき、「あれ、もしかしてアキラがヤバい?」と心配してはいたのですが、ヒロの方がフラグを回収してしまうとは……。

 カメラがアキラの方に向いているので気づきにくいんですが、よくシーン見直すとヒロの方も「飯食う暇もねぇのかよ!」と文句を言いながら食堂を後にしているので、アキラと同じく食事の途中だったことが分かります。つまりは、視聴者の直接見えないところでヒロも“食事の途中で出撃する”フラグをしっかりと立ててしまっていたことに。やはりロボットアニメの世界では、何があっても食事の途中で席を立ってはいけないんですね。

 クーヌスは他のデスドライヴズとは異なる方針で動いているようで、復活したクピリダスごとデスドライヴズの母船らしきものも破壊していました。

 おそらくはあの母船が“永遠の命”のカラクリだったと思われますが、“死にたい”という目的は同じにも関わらず、ヴァニタスもペシミズムも母船が壊されたことを怒っているんですよね。ヴァニタスの「何度も楽しみたかった」という台詞から察するに、ただ死んで永遠から解放されたいわけではなく、自分の最期を納得いく形で終えたいといった目的で動いているようにも思えました。どのみち人類にとって、ただただはた迷惑なのには変わりませんが……。

 スミスの決死の特攻により、クーヌスの撃退には成功したものの、キービジュアルにも描かれていた新型機がようやく登場したと思ったら僅か1話で退場は予想外すぎました。

 ブレイバーンも「また会おう」と言っていましたし、スミスは何らかの形で再登場するのではないかと思われますが、スミスがMIA(生死不明)となったのは仲間を失うことを何よりも恐れていたイサミのメンタルに尋常ではないダメージを与えそうですね……。

 ここにきてタイトルを回収しにきた「勇気爆発だ」というスミスの言葉が、今後どうイサミに影響を与えていくのかも気になるところです。

 Cパートでルルがスミスの名前を呼ぶシーンは、今までのルルとは明らかに様子が違う大人びた雰囲気があってゾクッときました。「みんなをよろしく頼む」というスミスの言葉を受けたルルが今後どうなっていくのかが、今一番楽しみになっているポイントかもしれません。7話で今後の動向が気になっていたスペルビアも、何かを待っていた様子でしたしね。

 またスペルビア役の杉田智和さん、クピリダス役の稲田徹さんに続き、クーヌス役の田中敦子さん、ヴァニタス役の緑川光さん、ペシミズム役の茶風林さんと、デスドライヴズのキャスト陣が全員豪華過ぎたのにも驚かされました。地球にやってきたリーダーは7機いるそうですから、残りの2機についてもベテランキャストが担当されているのではないかと期待が高まります。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

©「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

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