電撃オンライン

アニメ『ダンジョン飯』10話感想。カエルスーツのインパクトがすごいけど、本作の複雑な政治問題も分かる重要なエピソードだった!(ネタバレあり)

カワチ
公開日時

 TVアニメ『ダンジョン飯』の第9話“大ガエル/地上にて”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ダンジョン飯』第10話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。

ついにあのスーツが登場!

 九井諒子さんの人気コミック『ダンジョン飯』をアニメ化した本作。ドラゴンに食べられた妹のファリンが消化される前に助けるため、主人公のライオス一行がダンジョンを探索する作品。

 ウンディーネ戦でマルシルが負傷したことにより第4層で足止めを食らっていた仲間たちですが、タンス夫妻による治療もあり、第5階層へと進んでいきます。

 途中の階段には前回苦戦をしたテンタクルスが大量に道を阻んでいました。テンタクルスを切り分けながら進んでいこうとするも、早々に音を上げるライオスがおもしろかったですね。

 なお、原作ではチルチャックがテンタクルスについて悪態をついたあと、ライオスが「俺は好きだなあ」と語っているシーンがあったのですが、残念ながらアニメ版ではカット。何気ないシーンですが、ライオスらしさが詰まっているので、気になる人はこのエピソードが収録された原作コミック第3巻をチェックしてみてくださいね。

 テンタクルスに苦戦しているライオスたちの前に大ガエルが出現。行く手を阻みます。大ガエルは知能が高いのかライオスの剣であるケン助やマルシルの杖・アンブロシアを奪い取ります。なお、アンブロシアはギリシャ神話に出てくる神々の食べ物で、“不死”を意味しています。

 ライオスの「ケン助~!」に続いてマルシルが「アンブロシア~!」と叫ぶシーンは、彼女がライオスのように自分の武器に名前を付けて愛着を持っていることが分かっておもしろいシーンですが、その言葉の意味が分かると深いですね。マルシルのアイデンティティが描かれることになる後半のエピソードも楽しみです。

 今回の大ガエル戦ですが、大迫力のクラーケン戦や強敵だった精霊のウンディーネに比べると地味になるのではないかと思っていましたが、そこはさすがのTRIGGER。

 ガエルならではの不気味な動きをこまかく表現していて、とても見応えのあるバトルに仕上がっていました。チルチャックに狙いを定めるときに目を細めるなど、原作にはなかったアニメならではの表現もあり、緊張感がありましたね。

 その後としてはチルチャックが大ガエルの皮膚がテンタクルスの毒を受け付けないことに気付く展開に。ライオスとチルチャックが大ガエルでスーツを作り、一方のセンシはテンタクルスと大ガエルを食材にニョッキを作ることになります。

 コミックでは二組の行動が左ページと右ページで分かれていましたが、アニメ版は交互に描かれる流れになっていて、より同時に進行している雰囲気になっていましたね。マルシルの力強い「ひとりずつ持ってこい!」というツッコミもキレキレで笑えました!

 とはいえ、笑えるのはカエルスーツを着込んでから。アニメはコミックと違ってカラーであることも相まって、ダンジョンとの場違いな雰囲気が出ていて笑わずにはいられませんでした。

 続いて、原作4巻の“地上にて”と“炎竜1”の内容へ。“地上にて”はタンス夫妻がカーカブルードの権力者にダンジョンの異常を報告するというもので、ライオスたちとの冒険には直接関係ないのですが、本作の政治的な要素が分かる大事なエピソードなので、アニメで省かれなくてよかったです。

 種族間にどういう思惑があり、現在どういう状況になっているのかについてはぜひアニメ本編でチェックして欲しいのですが、注目なのは会話シーンでありながら作画に手を抜いていないところ。食事も美味しそうに描かれていますし、イメージ的なイラストも導入されて分かりやすく解説されるので、観ていて飽きることがありませんでした。

 また、転移酔いで倒れていたナマリが目を覚ましてからはキキたちと行動を共にすることになりますが、ナマリはナマリなりにファリンの身を案じていたことが判明。じつは面倒見のいい彼女の姿が描かれます。

 原作ではカカとキキにダンジョンに潜っていると死の感覚が薄れていくことを解説するパートがありましたが、残念ながらここはカット。ナマリ、カカ、キキで会話をするシーンはほんわかとしていていいシーンなので、ぜひ原作のほうでチェックしてみてください。

 後半は、いよいよ炎竜(レッドドラゴン)に近づいてきていることが分かるとともに、すでに眠りから冷めて活動を再開した炎竜にファリンが消化されてしまっているのではないかという不安が描かれます。

 炎竜を倒す作戦を練るなか、前回は空腹で負けてしまったライオスたちは満腹の状態で挑もうと食事を作ります。

 願掛けにカツレツを作るところは笑ってしまいますが、これまで食事の重要性を描いてきた『ダンジョン飯』だけに説得力は抜群。ライオスが仲間たちに感謝の言葉を綴るところは思わず感動してしまいました。普段はサイコパスなのにこういうときだけ主人公らしくて格好いいのはズルい……!

 次回はいよいよ炎竜との対峙が描かれることになりそう。大迫力の炎竜とのバトルをTRIGGERがどのような表現で描くのか今から楽しみです!


カワチ:RPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。


■アニメ『ダンジョン飯』Blu-ray BOX 全4巻予約受付中!


©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


関連する記事一覧はこちら