電撃オンライン

PS5『Rise of the Ronin』インタビュー。“Team NINJA”が追い求めた幕末オープンワールドアクションRPGの姿とは?【ライズオブローニン】

電撃オンライン
公開日時
最終更新

 2024年3月22日に発売予定のPlayStation 5用ソフト『Rise of the Ronin』。『仁王』や『NINJA GAIDEN』を開発した「Team NINJA」が手掛ける最新作ということもあり注目を浴びている本作について、開発を手掛けた2人のキーパーソンにお話を伺っていきます。


 オープンワールドアクションRPGというジャンルにおいて斬新な、幕末という時代を舞台とした本作を手掛けたのはコーエーテクモゲームスの“Team NINJA”。

 ここからはプロデューサーを務める早矢仕洋介氏と、開発プロデューサー兼ゲームディレクターを務める安田文彦氏へのインタビューを掲載していきます。

  • ▲早矢仕洋介氏(左)と安田文彦氏(右)。

関連記事

いかにして『Rise of the Ronin』が生まれたのか、その内情に迫る

――歴史ものを得意としているコーエーテクモゲームスとして、幕末を題材としたオープンワールドACTは初めてだと思います。開発にいたった経緯を教えてください。

早矢仕洋介氏(以下、敬称略):もともと、PS4世代でコーエーテクモゲームスらしい新規IP……という意図で立ち上がったのが『仁王』でした。“戦国死にゲー”というコンセプトで形にした『仁王』が世界中の皆さまにご好評いただいたこともあり、次のチャレンジとして当時からさまざまな案があがっていたんです。

 歴史ものの死にゲーの次であれば、よりその時代を直接体験するような作品がいいということで、必然的に今回のようなオープンワールドを軸としたコンセプトに決まりました。プレイヤーが自由に世界を体験できるということがオープンワールドの魅力ですし、さまざまな人物と思想が入り混じった幕末という時代が、プレイヤーが選択をするという要素と相性がいいだろうと思いました。じつはかなり早い段階で決まっていて、『仁王』の発売前くらいからコンセプトは固まっていたんです。

――歴史を題材にしたゲームでは、歴史に忠実な部分とゲーム性を重視する部分があるかと思います。その使い分けをどのように組み込まれたのでしょうか?

安田文彦氏(以下、敬称略):まさに難しいところで、あまりに荒唐無稽なものにしてしまえば、歴史をモチーフにする意味もなくなってしまいます。しっかり想像できるものであったりとか、考証や検証をしたうえでネタとして扱えるものは積極的に取り入れますが、そのままだとゲームとしておもしろくならないというものも多々あるので、そういった部分はアレンジをすることになります。

 例えば今作では阿鼻機流(あびきる)という滑空する装置がありますが、あれは実際に幕末の発明家が資料として設計図を残しているものなんですよ。ちょうど開発中に発見されたものでしたが、これはおもしろいのでゲーム中で体験してもらおうと。あとはリアリティベースではできないことや、アクションゲームとして気持ちよくないと感じるものは、そぎ落としてしまうこともあります。ゲームとしての楽しさを削がないようにすることを意識しています。

――幕末の世界を描くなかで、意識したポイントなどあれば教えてください。

安田:時代考証には意識を割いているのですが、これまでの作品で三国時代や戦国時代を考証したうえで作ってきているので、資料へのアプローチのノウハウが蓄積されているのを感じますね。コーエーテクモゲームスも数多くの歴史ものを作ってきていますから、そういったものに強いスタッフも多いですし。

 ただ今回は戦国時代と比べると近い時代であたるので残存している建物や資料も多く、自分の脚で見に行くことができました。じつは私がこれまでかかわったゲームのほぼすべてに清水寺が登場するんですよ(笑)。しかし今回はただのステージではなく、オープンワールドの世界にある清水寺ということで、寺の周囲などを改めて訪れて確認しています。これまでとはジャンルが変わったことで、違った密度で研究や考証をしてゲームに落とし込んでいます。

――オープンワールドを作るにあたって苦労した点と、逆にコーエーテクモゲームスだから、Team Ninjaだからできた点というのを教えてください。

安田:Team Ninjaとしては新しい試みでしたし、最新のプラットフォーム専用で作るというのは有意義でした。グラフィックももちろん重要なのですが、60fpsのフレームレートでしっかりとアクションを楽しめるという、これまでTeam Ninjaが作ってきたものを実現しながら、オープンワールドのゲームデザインで成立させるというのは苦心した部分です。Sonyさんもプラットフォームやコントローラーの調整といったところで長期的に協力してくださったので、そこもゲームにいい影響を与えてくれたのではないかと思います。

――Team Ninjaが得意とするコアなアクションと、アクションが苦手な人でも楽しめるという部分は両立するのが大変そうだと感じるのですが、それぞれどのような部分に力を入れていますか?

安田:Team Ninjaがこれまでアクションを重点的に作ってきたこともあって、アクションが好きな方には歯ごたえが必要だと思いますし、我々もその期待には応えたいと思っていました。ただ今回はアクションだけではなく、オープンワールドによる体験だったり、幕末という歴史を体験していただくことに注力しているので、アクションが得意ではない方にも楽しんでもらえるように難易度設定を入れています。

 また本作には、NPCを因縁を結んでいく要素があるのですが、因縁を結んだキャラクターといっしょにミッションに挑める“徒党”という仕組みもあります。こういった要素を駆使すれば、仲間が戦っているなかで背後から銃で狙うといった戦い方も可能です。またオンラインにも対応していますので、ほかのプレイヤーと徒党を組んで攻略してもらうこともできますし、さまざまな遊びかたを楽しんでもらえればと思います。

――Team Ninjaがこれまで手掛けてきた作品に通じる部分や要素はあるのでしょうか?

安田:あります! 我々はこれまで刀を主軸としたアクションを作ってきましたが、その部分は受け継いでいますし、『仁王』や『NINJA GAIDEN』を楽しんでくれた方にはニヤリとできるようなものも入れてあります。ゲーム中も、いろいろ探索してもらえると、シリーズをやってきた方は「おっ」て思ってもらえるのではないでしょうか。

 具体的なアクションとしては、刀を振って血を払い、気力を回復させる“閃刃”というのがまさにそれですね。『仁王』シリーズにあった“残心”というアクションから派生してきたもので、「こういったアクションはあったほうが楽しいよね」という感じで取り入れられています。

――敵の火矢を刀で弾くと刀に炎をまとえるという要素がありますが、物理的には嘘かもしれないけれど、ゲーム的に見栄えのする要素だと思います。このようなおもしろいアクションはほかにも存在しますか?

安田:アクションゲームとしておもしろい、ということを重視した要素ですね。ほかにもアイテムを使うことで別の属性を付与することができますよ。

 本作を作るうえで参考にしたもののひとつに時代劇があるのですが、時代劇も決してリアリティだけで作られているわけではありません。時代劇や時代もののマンガなどもそうですが、それならではの外連味や浪漫は実現したいと思っていました。本作は歴史ものといっても教育的な歴史ものではないので、いわゆるウソ物理的なものも出てくることもあります。しかし基本的には、地に足の着いたアクションを心がけています。

――戦闘以外にも、敵と交渉するスキルや敵の落とすお金が増えるスキルといったものが存在していましたが、オープンワールドのゲームにするにあたって、スキルの多様性というのは意識されたのでしょうか?

安田:そうですね。これまでもスキルツリー自体はありましたが、今回は会話シーンがあり、選択肢もひん繁に表示されるため、自分のパラメータやスキルを駆使する部分は意識しています。ゲームをプレイするうえでいろいろなことを試していただきたいし、多種多様なビルドを許容したいと思っていて、それらを考えた結果、スキルの幅も必然的に広がっていきました。

早矢仕:スキルは最終的にすべて習得できるようにはなっていますが、全部習得するのは大変だと思います。ストーリークリア後も引き続き遊べるのですが、そこまでいかないと全部取るのは厳しいんじゃないかな……?

安田:なので、最初は自分のプレイスタイルに合わせて習得するスキルの優先度を決めるのがオススメですよ。

――ストーリー分岐があるとのことですが、どのように分岐していくのでしょうか?

早矢仕:主人公である浪人はあくまでひとりの人間です。なので、日本の大きな歴史が浪人ひとりの働きで変わるものではありません。本作のストーリーの分岐のしかたとしては、歴史上のキーとなる事件に関して、そのとき浪人としてどっちにつくのかを決めるものとなっています。歴史の流れはしっかりとあって、その中でプレイヤーがどの立場で歴史を体験するのか、というイメージですね。

――本作はマルチプレイにも対応していますが、ほかのプレイヤーとはどのような形でプレイできるのでしょうか?

安田:基本的には特定のミッションに挑む際に、いっしょに挑戦していただく形です。オープンワールドの部分は同期型のマルチプレイには非対応なのですが、非同期としてのマルチプレイは導入されています。例えば誰かのキャラクターが横浜の街を歩いていたりだとか、京都ですれ違ったりというのは起こりえます。そのキャラクターとどう接するのか、という要素もあります。

 友人と直接遊びたいときは、特定のミッションに突入する際に示し合わせていっしょに遊ぶ、という仕組みです。歯ごたえのあるアクションという部分のクオリティは維持したかったので、同期型のマルチプレイはミッションに限定させていただいて、ワールド部分は比較的緩いつながりにしておく、というのが本作の設計思想となっています。

――ほかに開発中の印象的なできごとや、思い入れ深いエピソードなどはありますか?

安田:Team Ninjaのタイトルって、これまでは画面内で動くものはすべて敵だったんですよ(笑)。だけど今回は幕末を描くうえで、一般の人がいないわけない。敵じゃない、生活を営んでいるキャラクターを作っているというのは、我々としては新しいチャレンジだなと思いました。ちなみに開発内では坂本龍馬と勝海舟、あとは新選組の土方歳三の3人が圧倒的に人気があります。

――ちなみにお二人の好きなキャラクターは?

安田:僕も坂本龍馬ですね。重要なキャラクターというのもあるのですが、やはり作っていて思い入れが生まれてしまって。

早矢仕:現段階では名前は出せないのですが、幕府側の人間がすごく魅力的でした。歴史を勉強するときって、どうしても幕府側が“時代に付いていけなかった人たち”というニュアンスでとらえられがちですよね。けど本作ではウィットに富んだ人間味のある姿で描かれていて、そこがすごく魅力的だなと感じています。

――最後に、本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

安田:Team Ninjaらしいアクションに加え、オープンワールドやプレイヤーの自由な選択でつむがれるストーリーという大きな挑戦をしています。ぜひそれを体験してください。

早矢仕:コーエーテクモゲームスとしてド真ん中の、王道のゲームを目指して作りました。コーエーテクモゲームスでゲームクリエイターをやっているなら、一生に一回作りたいと思うものを形にできたと思います。私自身、本作に携われて本当によかったと思っていますので、ぜひプレイヤーのみなさんも楽しんでいただければと思います。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら