『ライズオブローニン』レビュー&感想。あまりに魅力的な物語と爽快なアクションにハマること必至。幕末時代も再勉強したくなる【Rise of the Ronin】
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- hororo
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2024年3月22日に発売予定のPlayStation 5用ソフト『Rise of the Ronin』。幕末を舞台としたオープンワールドアクションRPGで、『NINJA GAIDEN』や『仁王』などを担当した“Team NINJA”が開発を担当しています。
これまで数々の骨太なACTを作ってきたTeam NINJAならではのアクションと、幕末という人気が高い時代をオープンワールドとして再現したことで注目を集めている本作。SIEからゲームを提供いただいたので、先行プレイしてわかった魅力などを紹介していきます。
倒幕側に付くか佐幕側に付くか悩ましい! 丁寧なキャラクター描写が、より物語に没頭させる
本作の舞台となるのは1853年から始まる幕末時代の日本。黒船来航によって開国を迫られる幕府と、その影響下で反乱の目が芽生え始める世情が描かれていきます。
黒船で有名なマシュー・ペリーや、幕末時代の代表的な人物として名高い坂本龍馬、高杉晋作など教科書などで聞いたことがある名前がそろい踏みで、歴史にあまり詳しくなくても「おっ」と思うキャラクターがたくさん登場します。
のちのち日本に大きな影響をもたらす福沢諭吉や板垣退助、大久保利通といった人物も登場し、偉人オールスターかというほどの豪華さ。
物語を通して彼らの心情などが描かれていくのですが、みんなそれぞれが信念を持っています。それが良く働くときもあれば悪く働くときもあり、複雑に絡みゆく物語に深みを与えています。
そしてプレイヤーは、東北地方にある黒洲藩で秘密裏に育てられた特殊な兵士“隠し刀”のひとり。序盤の物語で相棒と離れ離れになり、ひとりで幕末の世をさまようことに……。
本作は要所で重要な選択肢が提示され、それによって物語が変化していく、マルチストーリー形式。大きく分ければ幕府の打倒を狙う討幕派と、幕府を指示する佐幕派の2派閥ですが、その時々で味方する勢力を変える中立ルートもあるようです。旅の過程で出会う偉人たちと因縁を結び、自分の生き方を選んでいきましょう。
個人的には、最初に出会った坂本龍馬が魅力的だったため、龍馬のあとを追うようなプレイをしていましたが、討幕派、佐幕派それぞれのキャラクターたちもみな魅力的で、プレイ中は選択に迷うことが何度もありました。
また坂本龍馬などNPCたちは、ミッションによっては共に戦ってくれることも。ミッション中は主人公を含めて、参加しているキャラクター間の操作を切り替えられるため、限定的とはいえ坂本龍馬などの偉人を操作して遊べます。なおこれらのミッションでは、ほかのプレイヤーを招待していっしょに挑むことも可能です。
ミッション外で彼ら偉人と話したり、プレゼントを渡すことで交友関係をさらに深めることもできます。仲が深まれば、彼らのプライベートな話を聞くことができるかも……?
実際の歴史をもとにした作品ですので、当然ながら有名な事件は大きなミッションとして作中で描かれることになります。江戸幕府の大老、井伊直弼を討幕派が襲撃した事件“桜田門外の変”などは非常にドラマチックに表現されており、学生当時歴史の授業を寝ていた過去の自分に後悔しました。
私のような不真面目だった人は、「この人物は名前を知ってるけど、具体的に何をした人だっけ?」と思う機会も多いはず。そんな人間が歴史に興味を持ってしまうほど、魅力的な物語となっています。
ほどよく歯ごたえがある絶妙なアクション! さまざまな武器を扱う楽しみも
本作の醍醐味は、近接武器を使った剣戟アクション。時代劇の殺陣さながらに敵を斬り倒していくのは、かなり爽快です。しかし一筋縄ではいかないのが本作のバトル。単純に連続攻撃を繰り出しているだけではなかなか敵の防御を打ち崩せません。
本作には気力(スタミナ)の概念があり、攻撃やガードをすることで気力を消費。気力が完全になくなると一定時間無防備な状態になってしまうため、気力の管理が重要です。
逆に考えれば、敵の気力を削ることができれば大きな攻撃のチャンスということ。いかに自分の気力を維持しつつ、敵の気力を削り切るかが戦闘のポイントとなります。
この際に役立つのが“石火”というアクション。敵の攻撃を捌く、いわゆるパリィです。石火が成功すると敵が一時的に同様し、攻撃が通りやすくなります。このタイミングは敵の気力の減りも速いため、絶好の攻撃チャンス。
敵の気力を削り切ると、一気に大ダメージを与える“追い打ち”が可能に! 武器固有のアクションで敵に大ダメージを与える攻撃ができるようになります。かなり見栄えがするので、これを見るためにも石火をバシバシ決めていきたくなってしまいます。
石火は成功すれば敵をのけぞらせることができる強力なアクションですが、敵の攻撃が自分に当たる直前で発動しなければならず、失敗すると敵の攻撃に当たってしまうため、リスクが高い行動ともいえます。
しかも連続攻撃を石火ではじく場合、最後の一撃のみのけぞり効果が発生するため、敵の攻撃パターンをよく見る必要があります。もし連続攻撃をすべて石火で防げれば、その後ののけぞりも大きくなるというメリットもありますが、実戦で成功させるにはかなり難しい……!
また、敵はガード不可の攻撃を行ってくることも。石火は可能ですが、ガード不能攻撃は当たると大ダメージを受けてしまうため、回避したほうがリスクは少なめ。
敵のアクションを読み、それに対応して石火やガード、回避を行い、敵に反撃する。この流れがまさに時代劇の殺陣をやっているような感覚で、積極的に戦闘を行いたくなるほどおもしろく、丁寧な作りだと感じました。
さらに使える武器が多いのも魅力的。刀や太刀、二刀流、槍、薙刀といった日本伝統の武器をはじめ、大剣やサーベルといった西洋系の武器、牛尾刀と呼ばれる中国の刀、そして長銃に刃を取り付けた銃剣と、多種多様な武器を扱うことができます。
当然ながらモーションはすべて異なるうえ、各武器にはいくつもの流派が存在。流派は構えとして再現されており、構えを変えることで同じ武器でも攻撃内容を変化させることができます。
構えは敵の武器に対して有利不利が発生するため、対峙する相手に合わせてリアルタイムで構えを変えていくという戦闘が基本となります。隠し刀である主人公はあらゆる武芸に精通しているという設定が生かされているいい仕組みですね。
この流派も、北辰一刀流や柳生新陰流、宝蔵院流など、ほとんどが実在する流派のため、剣術や武術に通じている方はテンションがあがるのではないでしょうか。
加えて、坂本龍馬であれば北辰一刀流、というようにこれらの流派をそれぞれの使い手の人物たちと因縁を結ぶことで扱えるようになるというのもアツい! 伝位が上がるに伴って、使えるアクションの幅も広がっていきます。
使えるアクションは主人公がレベルアップして能力(スキル)を解放することでも増加。鍵縄で敵に飛びかかる忍者のようなアクションや、弓や銃などの遠隔武器を強化する能力など、プレイスタイルに応じてキャラクターを成長させることができます。
なお、ミッションによっては敵を殺さない“不殺”が推奨になることも。その場合は木刀のような非殺傷の武器を使ったり、装備を外して素手で挑むことも可能。素手で石火をバシバシ決め、追い打ちで敵を気絶させていくさまは、まさに達人といった感じで気持ちいいです。
オープンワールドで表現された幕末という新鮮さ。移動にストレスがないのも嬉しい
オープンワールドならではのフィールドを駆けまわる楽しさもしっかりとあります。フィールドにはさまざまな収集要素が隠されているのですが、区画分けされた土地との因縁を上げることで、その地域の収集要素の場所が判明するのが親切です。
土地との因縁の上げ方ですが、その土地の依頼をこなしたり、野盗などによって治安が悪化している場所を制圧することで蓄積していきます。
治安が悪化している場所はマップ上で赤い点で表示されているのですが、ここでは複数の敵を排除することで治安の改善が可能です。手軽に敵とのバトルが楽しめる場所ではあるので、私は戦闘を楽しむために次々と治安改善を進めていました。
このように敵と進んで戦える場所に行くと自然と治安の改善につながるような仕組みとなっているのは、戦闘に力を入れている本作らしいなと思います。
隠し場所も、取得するために大変な場所に配置されている、ということもなく、場所がわかりさえすれば集めるのも苦ではないという絶妙なバランス。
収集要素のひとつ“猫あつめ”は、名称の通りはぐれた猫を回収していくものですが、猫の単純なかわいさもあって、見つけたらついつい集めてしまいます。
これらの収集要素は、集めること装備やアイテムと交換できるというメリットもあるため、無駄にならないのも嬉しいですね。
お金を預けて送り出すことでアイテムを取ってきてくれる“こんぴら狗”という要素は、送り出されたこんぴら狗がほかのプレイヤーの世界に登場するという非同期オンライン要素です。自分の世界にやってきたこんぴら狗を撫でまわすことができるのですが、これがまたカワイイ!
ただカワイイだけでなく、出会ったこんぴら狗を撫でるとお金がもらえるので、見つけたら積極的にもふもふしましょう!
ほかにも非同期のオンライン要素はあり、ほかのプレイヤーの主人公が浪人として他人の世界に登場するというものも。
フィールドを歩いていたり、敵の拠点で捕まっているのを助けたりすることもできます。
斬りかかることもでき、疑似対戦のような遊びかたも可能。見事勝つことができれば報酬を得られますが、作中的には辻斬りをしている扱いになるため、手配度が上がって役人に追われる可能性があるというリスクもありますが……。
そしてオープンワールドで気になることとといえば、移動の快適さ。ここはかなり快適に作られています!
ファストトラベルこと特定の地点にしか移動できませんが、馬の入手機会が早く、どこでも馬を呼ぶことができます。馬にも能力があり、馬屋でより性能の高いものに買い替えることもできますが、初期の馬でも十分な速度があります。
また、少し物語を進めると“アビキル”という滑空用のカラクリの羽を手に入れることができます。高い場所から降りるときに使用すれば長い距離を飛んで移動できるので、かなり便利。
馬とアビキルを組み合わせれば、ファストトラベルを使わなくてもいいほどに快適な移動が可能です。
なにより幕末の日本という舞台が新鮮! みんながイメージするような過去の日本的な風景もありながら、黒船が来航し、和洋が入り混じった街並みとなっている横浜などは、これまでにないファンタジー感が強くて目新しく感じます。
自キャラ好き勢にもおすすめ! キャラクリの幅広さと、フォトモードの充実ぶりにも注目!
プレイヤーキャラクターの外見はゲーム開始時にカスタマイズすることができ、プリセットで手軽に作ることもできれば、顔の形を詳細に調整して理想の顔を再現することもできますし、かなり細かくカスタマイズ可能です。ゲーム開始後でも拠点で変更することができるのも嬉しいですね。
私はかなりキャラクタークリエイトにこだわるタイプなので、細かく設定できることは大歓迎! さらに本作はカットシーンが多用されているため、自分のキャラクターが物語の登場人物のひとりとして認識できるのも嬉しいです。
地味に嬉しいのが、頭装備の表示非表示を選択できる点。ムービー時のみ非表示にすることもできる手厚さで、普段は笠などをかぶっていたいけど、ムービー中はちょっと顔を見たいかも……という需要にも応えているのが素晴らしい。
そして本作には武器だけでなく、防具もさまざまな見た目のものが存在します。着物、甲冑、西洋風の軍服など、バリエーションが豊か。ただ武器や防具には性能が設定されているため、結局強いものを装備していくと、外見がちぐはぐになってしまう……という悩みがあると思います。
ご安心ください! ちゃんと長屋で好きな見た目の装備に上書きすることができます。お気に入りの顔で、お気に入りの服で、お気に入りの武器を使って遊ぶことが可能です。これは私のような自キャラ大好き勢にとってはかなり重要なポイント。
さらにフォトモードも完備しているとなれば、文句のつけようもありません。フォトモードも基本的な要素はしっかりと網羅しているのですが、個人的に感動したのが“アクションのコマ送り”という機能!
アクションゲームにおけるフォトモードは、自キャラのめちゃくちゃ格好いい写真を撮りたくなるもの。ですが激しいアクションであればあるほど、格好良さに比例して、最適なシーンをピンポイントで止めることが難しいのです。
しかしアクションのコマ送り機能を使えば、カメラを止めた段階で使用しているアクションを1コマ単位で進めることができるため、理想の瞬間をしっかりと押さえることができるのです。これが最高。
フォトモード愛好家のみなさまは、ぜひ本作の素晴らしい機能を利用して、理想の写真を撮ってみてください。
最後になりますが、実は今回のレビュー用に約30時間ほどプレイしていても、まだクリアできていません。もちろん寄り道をしていることもあるものの、それくらいボリュームたっぷりです。
しかもそのプレイがまったく苦にならない。この事実が、本作の完成度の高さを物語っていると思います。日本のスタジオ発のオープンワールドゲームとして、これだけのものを送りだせているのは素晴らしいことだと思うので、興味があればぜひ手に取ってみてください。
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